「硫黄島」
現在審議中の予算に、硫黄島（東京都小笠原村）からの遺骨帰還のための予算十一、六億円が計上されている。自民党は以前から�猯臆�島問題懇話会�瓩鮑遒辰導萋阿靴討�り、私もそのメンバーとして昨年の十二月十四日、菅総理と共に硫黄島での戦没者追悼式に出席し遺骨収集の作業を手伝わせていただいた。その時、この想いを超党派で大きくつないでいくことを確認し、今国会での動きとなっている。
硫黄島は昭和二十年三月、サイパン陥落から八カ月後に玉砕した島である。総指揮官栗林忠道中将（戦闘終結直前に大将へ進級）のもと地下壕が十八キロにわたり掘りめぐらされ、持久戦で三十六日間にわたり島は死守された。今も年間で約二十五センチ隆起する火山の島は硫黄の臭いがする。地下壕に入れば四十度から五十度もある蒸し暑さで、この中で立てこもりながら日米合わせて八万人が戦い、日本兵約二万人、米兵約七千人が亡くなられ、日本の約一万三千柱が未帰還（国内では最多数）であることに言葉を失った。
遺族や関係者の方々のご協力で、これまでに七十七回、千百五十八か所の壕口を開口し収容がなされたという。私が作業を手伝わせていただいた日も十八柱が収容された。私の横で作業されていた千葉県の遺族の方は�猊磴琉箙�を探したいとやってきて今日で三回目です。�瓩噺世錣譴拭�昭和四十三年まで米軍の占領下にあった島は今も民間人はおらず、自衛隊の基地があるだけである。米軍がまいた銀ネムの種は木々になり、そこここに砲台の跡やトーチカがある。標高百六十九メートルの摺鉢山以外はほとんどがなだらかな東西八キロ、南北四キロの島で、祈りつつ働かせていただいた。バッタがどこからか飛んできて私の胸に休んで離れようとしない。�爐�つりの人生、亡き戦友たちに申し訳ない�瓩箸茲�言っていた傷痍軍人だった父の想いのように感じられた。
天皇・皇后両陛下には平成六年二月十二日、硫黄島を訪ねておられる。皇后陛下は、その前年の十月二十日の五十九才のお誕生日に倒れられ声を失われておられたが、硫黄島での拝礼のあとで声を取り戻され、東京都遺族連合会の会長に�爐完簑欧諒�たちは、皆さん元気でお過ごしですか�瓩噺譴蕕譴拭△醗簑欧諒�に教えられた。
硫黄島で、天皇陛下には「精魂を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」との御製を詠まれ、皇后陛下は「銀ネムの木木茂りゐるこの島に五十年（いそとせ）眠るみ魂かなしき」と御歌を詠まれている。
栗林忠道中将は最後の総攻撃を前に「国の為重きつとめを果たし得で矢弾（やたま）尽き果て散るぞ悲しき」と辞世をしたためている。
悲しみを胸に、国会審議は祈りの心でなさなければならない。
