やまたにの活動報告詳細

2011年1月8日
【プレスルーム】「解答乱麻」 産経新聞1月8日(土)

「次世代へ美しい糸を」
今年もたくさんの初詣姿に、日本人であることのもったいなさをかみしめている。門松、しめ飾りを整えて歳神さまをお迎えし、皆で“数え年”を重ねることは喜びであった。
 数え年と、満年令と、誰もが年令を二つの数え方で確認し合っていたのはいつの頃までだったろうか。日本人は、母親のお腹の中に授かった時から生命の存在を尊く考えていた。だから西洋のように誕生してから“ゼロ歳”とは数えず、歳神さまと共に“一歳”と数えたのである。
 司馬遼太郎さんが「日本人というのは、長い長い間“人間はどう行動すれば美しいのか”ということばかり考えていたような感じがありますねぇ」と言われていた言葉を、初詣姿の人々を見ながら思い出す。損か得かではなく“道”を求める心で謙虚に勤勉に歩む国民性は今も失われていない。人間は伝統という縦糸と時代という横糸の中で生かされている。私たちは記憶の糸でご先祖さまから子孫へとつながれていくのだから次世代に美しい糸をつなげていきたいものである。
 さて、安倍内閣時代の教育再生、学習指導要領改訂により、このたび小学一、二年生の教科書に神話や昔話が載るようになった。
 アメリカの教科書には載っていた「因幡の白うさぎ」を多くの日本の子供たちも教科書で読むようになるわけである。かつての日本の子たちは絵本で、歌で、皆このお話を知っていた。大国主命の優しさ、うさぎの痛みと後悔が幼い心に優しさや強さへの憧れを育んだものだった。今、改めて読み返すと、虚言を吐いた八十神は族長になれず、正直で親切で、知恵の持主の大国主命が国神となる神話は、日本人の姿を象徴しているように思える。
 「とんとんとろりことんとろり とんとんとろりこつく杵は、月姫様のお使いか かちかち山の兎さん 狸もおいたをやめにして…」故郷の懐かしい子守唄のひとつだが、乳幼児から十才くらいまでに、昔話や子守唄をたくさん与えられると情操や知育、体力の発達に良い影響があると、最近の脳科学の研究でもわかり始めてきている。
 時代の荒波がどんなに日本や人々を揺らしても、人生の揺籃期に豊かな揺籃の地を持てた人は幸いである。自国の素晴らしさを知ることにより、他国の素晴らしさにも気づくようになり、敬愛の念や理解が深まる。まだまだ地方には魅力ある歌やお話が残っている。自然体験も含めて、ふるさとからご先祖さまの生命を汲みとってもらえたらと四年前、教育再生予算を組んだ。こうしたことが政権交代で止まるのは残念であるので、現政権の文部科学副大臣などと教育再生のフォローアップの場を昨年作り、継承する活動も始めた。
 今年、辛卯(かのとう)は、古代より産神、子育て神の神性ある年といわれる。教育再生が調和的に進展していくよう努めたい。
 「たらちねの 親の心は 誰もみな 年ふるまゝに おもい知るらむ」(明治天皇御製)


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