やまたにの活動報告詳細

2011年7月16日
【プレスルーム】 拉致解決へ超党派外交 産経新聞「緯度経度」 7月16日(土)

 菅政権下では珍しい超党派の歩調の合った活動が8人の国会議員によりワシントンで展開された。北朝鮮による日本人拉致事件の解決のために米国の協力を得ようとする外交努力だった。
 10日から来訪した一行は、拉致議連の平沼赳夫(たちあがれ日本代表)会長の下に、副会長の山谷えり子、幹事の塚田一郎両参議院議員がともに自民党、事務局長の松原仁衆院議員が民主党、さらに対米折衝では新顔の谷田川元、向山好一両民主党衆院議員、自民党の竹本直一同議員が加わった。そのほかに内閣府で拉致問題を担当する副大臣の東祥三衆院議員が菅政権の代表の形で同行した。文字どおりの超党派である。
 この拉致議連と「拉致被害者家族会」の飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、「救う会」の島田洋一副会長が一体となっての合同訪米団だった。
 米側は議会も政府も意外なほど前向きな対応を示した。日本の民主党政権の登場以来、初めての拉致関連の訪米団かつ初の大型超党派議員団となったためか、国務、国防両省の高官や上下両院の有力議員など合計14グループが相次いで面会に応じた。
 なかでも上院の超大物のダニエル・イノウエ議員が「上院の同僚に呼びかけ日本人拉致問題と積極的に取り組む」と明言したことが訪米団を元気づけた。下院でも昨年秋の中間選挙で多数を制した共和党のイリアナ・ロスレイティネン外交委員長が拉致問題での日本との連携の一環として日本訪問の招待に応じる方針を表明した。訪米団は同委員長がすでに下院に提出した北朝鮮に拉致の解決などを迫る法案成立への期待を伝えた。
 訪米団が国務省など行政府に強く要求したのはオバマ政権内部で考えられている北朝鮮への食糧支援の取りやめと制裁の強化だった。日本側は超党派で「食糧は真に飢えている層には渡らず、北朝鮮当局は制裁強化など強硬な態度に直面したときにしか譲歩をしない」という点を訴えた。
 過密な日程を14日には終えた訪米団の成果には家族会の飯塚代表も「米側が超党派で日本人の拉致解決への協力を横へ広げてくれる態度をみせたことは心強い」と述べる。だが現政権がすっかり弱くなった日本側で実際にどんな具体的な措置がとれるかが心配だという。
 妹の田口八重子さんを33年前に拉致された飯塚氏はいま73歳だが、食品加工機メーカーの工場長を務める現役で社長の理解により休みをとり、拉致解決の活動にあたる。「日本国内にいると八方ふさがりという気持ちにもさせられる」ともらす飯塚氏。
 だからこそ米国での活動には強行日程でも体力と知力を全投入してがんばるのだろう。
 ここ10年間、拉致関連組織の訪米には必ず参加してきた救う会の島田副会長は今回の訪問について「日本の政権の中枢がメルトダウンを起こしている時期に民間や議員が対米外交活動を先導し、政府が後からついてくるという新しいパターンを示した点にも大きな意義がある」と語った。
 この訪米の成果が政局混乱や震災復興で薄れがちな拉致解決への一般の熱意の明かりをまた強くすることを期待したい。

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http://sankei.jp.msn.com/world/news/110716/amr11071607570002-n1.htm