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2010年12月10日
【質問主意書】第三次男女共同参画基本計画(案)に関する質問主意書

・第三次男女共同参画基本計画(案)に関する質問主意書
(内閣参質176第145号)
(平成22年11月30日提出、政府答弁書12月10日)

十一月二十二日、男女共同参画会議において第三次男女共同参画基本計画(案)が発表された。平成二十二年度中に第三次男女共同参画基本計画を閣議決定する方向で進んでいるが、本計画について、以下のとおり質問する。

一 計画案では、「この資料は、内閣府が作成した案であり、今後も調整を進めていくものである」と、表紙に注記されている。このような記載が政府計画案になされること自体が異例ではないか。本案は政治主導を掲げる現内閣が、男女共同参画会議委員による議論の総括としてまとめあげたものではないのか。また、本案が内閣府の作成した案であるのならば、委員による議論のまとめはどこにあるのか示されたい。



(政府答弁)
  一について
   本年十一月二十二日の男女共同参画会議において配布された「第三次男女共同参画基本計画(案)」(以下「計画案」という。)は、「第三次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」(平成二十二年七月二十三日男女共同参画会議答申。以下「答申」という。)を踏まえ、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)第十三条の規定に基づき政府が策定する男女共同参画基本計画のその時点における案として、内閣政府が作成したものである。なお、御指摘の記述は、計画案において調整中の施策等があることを示すために記載したものである。

二 本案三頁に「ジェンダー予算の在り方」と記載されているが、これは何を意味するのか。十月十九日提出した私の質問主意書に対し「各国の具体的な実施事例の調査を行うこと等を想定して」と政府答弁があった。具体的な取り組み、具体的な実施事例を具体的に示されたい。

(政府答弁)
  二について
   御指摘の計画案の記述は、我が国においてジェンダー予算についてどのように取り組んでいくべきか検討を行うため、今後各国の具体的な実施状況の調整研究を行う旨を述べたものであり、お尋ねの「具体的な取組、具体的な実施事例」について、現段階でお答えすることは困難である。

三 本案十六頁に「再婚の増加等に伴う家族の在り方の多様化、少子化など時代の変化等に応じ、家族法制の在り方等について広く課題の検討を行う」と、新たに加わったがこれらは何を意味するのか。また再婚の増加による家族法制の見直しとは何か。さらに、少子化による家族法制の見直しとは何か。それぞれ示されたい。

(政府答弁)
  三について
   御指摘の記述は、現時点において、家族法制の見直しについて特定の具体的な方向性を念頭に置いたものではなく、今後、家族の在り方の多様性等に応じ、家族法制の在り方等について広く課題の検討を行う旨を述べたものである。

四 本案十九頁に「家事、育児、介護、ボランティア活動などの無償労働の把握」とあるが、これらを単なる無償労働と考えるのか政府の見解を示されたい。また、十月二十九日の答弁書で、本件につき「その担い手や時間等を把握し、目に見える形で表すことを目的」としているが、担い手や時間を目に見える形で表すことによってどんな成果が得られるのか。


(政府答弁)
  四について
   賃金や報酬が支払われない家事、育児、介護、ボランティア活動等の無償労働については、過小評価されているとの指摘もあることから、その担い手や時間等を把握し、目に見える形で表すこと等により、これらの活動についての理解や認識を深めることにつながるものと考えている。

五 心をこめた料理や、心をこめた育児を政府としてどう評価するのか。

(政府答弁)
  五について
   お尋ねの「心をこめた料理や、心をこめた育児」については、大切なものであると認識している。

六 本案二十五頁に「性感染症についても、その予防方法を含めた教育を推進する」とある。この予防法とは、以前各地の中学校で行われていたコンドーム教育を徹底するということか。

(政府答弁)
  六について
   御指摘の記述は、現行の「男女共同参画基本計画」(平成十七年十二月二十七日閣議決定)
と同様に、性感染症等の健康を脅かす問題についての対策の推進が重要であるとの観点から述べたものであり、引き続き、中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)等に基づき、適切な指導が実施されるよう努めてまいりたい。

七 本案三十六頁に「М字カーブ問題」として、М字カーブを問題、つまり悪いことのように記しているが、平成二十二年厚生労働白書では一歳までは子育てに専念(育児休業を含む)したい(八十八・一%)、平成二十年全国家庭動向調査では、「子どもが三歳くらいまでは母親は仕事を持たずに育児に専念した方がよい」と考える二十代、三十代の女性は、約八割、四十代から六十九才では約九割いる。この多くの女性達の気持ちをどう考えるか。

(政府答弁)
  七について
   政府としては、就業継続を希望しながら出産、子育て等のために就業を中断せざるを得ない女性も多いことから、多様な生き方を尊重することを前提に、育児休業の取得など各人がそれぞれ希望する生き方において、その能力を十分に発揮できるようにすることが重要であると考えている。


八 子育てに専念したい女性を支援することを政治のつとめと考えないか。在宅勤務や短時間勤務、育児休業取得の支援をもっとすべきではないか。

(政府答弁)
  八について
   政府としても、子育てを行う男女を支援することは重要であると考えており、事業主を対象としたセミナー等の実施により在宅勤務の普及促進を図るとともに、本年六月に改正された育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)の円滑な施行や職業生活と家族生活との両立に取り組む事業主への支援により、育児休業制度や短時間勤務制度の利用促進等を図っているところである。

九 三つ子の魂百までと言われる愛着の形成には、家庭育児が大切なことが最近の脳科学でもわかりはじめているが、どう考えるか。

(政府答弁)
  九について
   お訪ねの「家庭育児」により場合も含め、子どもの健やかな成長は大切であり、その支援は重要であると考えている。

十 本案六十一頁に「性的指向を理由とする差別や偏見の解消を目指して、啓発活動や相談、調査救済活動に取り組む」とは、具体的にどのようなことを行うのか。また、七月二十三日にはなかった本文章をあえて付け加えた理由をしめされたい。

(政府答弁)
  十について
   御指摘の記述は、答申を踏まえ、政府が策定する第三次男女共同参画基本計画の案として、法務省の人権擁護機関において、性的指向を理由とする差別や偏見がなくなるよう、啓発冊子の配布等の各種啓発活動を実施するほか、人権相談に応ずるとともに、人権侵犯の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、事案に即した適切な措置等を講ずる旨を述べたものである。

十一 性的指向(異性愛、同性愛、両性愛)と記されているが、十月十九日に私が提出した質問主意書に対し、「性的指向の内容を明確にする観点から、その態様の一つとして記述したものであり、異性愛を理由として困難な状況に置かれている場合を具体的に想定して記述したものではない」と答弁しているにもかかわらず、異性愛を性的指向と表現したのは何故か。



(政府答弁)
  十一について
   御指摘の計画案の記述は、「性的指向」の内容を明確にする観点から、その態様の一つとして記載したものであり、「異性愛を理由として困難な状況に置かれている場合」を具体的に想定して記載したものではない。

十二 本案八十二頁に「人工妊娠中絶・生殖補助医療に関する法制度等の在り方について、多様な国民の意見を踏まえ、検討が行われる必要があり」とされているが、国内法に反して中絶する自由を認めないという現行法をあえて変更する方向への検討を進めるのは何故か。

(政府答弁)
  十二について
   御指摘の記述は、「国内法に反して中絶する自由を認めないという現行法をあえて変更する方向へ検討を進める」ことを念頭に置いたものではない。

十三 「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(七十七頁)は中絶の権利を含むものとして、第二次男女共同参画基本計画に記されていない。「ライツ」をあえて書き記した理由をしめされたい。

(政府答弁)
  十三について
   御指摘の記述は、答申を踏まえて記載したものであり、国内法に反して中絶する自由を認めるものではない。