国会での活動報告詳細

2010年8月24日
【質問主意書】一問一答形式(8月6日提出、政府答弁書8月20日)

・国歌『君が代』の歌詞の表記と所謂『五十音図』の「ゐ」と「ゑ」に関する質問主意書
(内閣参質175第32号)
(平成22年8月6日提出、政府答弁書8月20日)

一 国歌「君が代」の歌詞について
 1 政府において法律を起案する場合には「現代仮名遣い」を用いているが、これは昭和六十一年七月一日内閣告示『現代仮名遣い』「前書き2」の「この仮名遣いは、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。」を適用したものか。他に適用される法令等(「申合せ」等も含む)があれば示されたい。
 2 内閣告示『現代仮名遣い』「前書き4」の「この仮名遣いは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞などでこれによりがたいものは除く。」と「前書き8」の「歴史的仮名遣いが、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして、尊重されるべきことは言うまでもない。」を適用すれば、法律を起案、或は修正する場合に「現代仮名遣い」が適用されない場合、つまり所謂「歴史的仮名遣い」を適用することは可能か。所謂「歴史的仮名遣い」を適用することが不可能な場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。
 3 議員において法律を起案、或は修正する場合に、内閣告示『現代仮名遣い』の「前書き4」及び「前書き8」の趣旨に鑑み、これを適用したいとして所謂「歴史的仮名遣い」を用いようとした場合、政府がこれを拒否することは可能か。可能である場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。
 4 『国旗及び国歌に関する法律』(平成十一年八月十三日法律第百二十七号)の別記第二は国歌『君が代』の歌詞を、
 君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで
としている。この歌詞は同法別記第二の「二 楽曲」欄に「古歌」とあるように和歌に由来するが、これは「現代文のうち口語体のもの」か。「現代文のうち口語体のもの」とも言い切れない場合、或は「原文の仮名遣いによる必要のあるもの」と議員が判断した場合、この別記第二の「一 歌詞」を内閣告示『現代仮名遣い』の「前書き4」及び「前書き8」の趣旨に鑑み、これを適用したいとして所謂「歴史的仮名遣い」、具体的には歌詞中の「いわお」を「いはほ」に修正することは可能か。不可能な場合は改めて理由も添えて根拠法令等を示されたい。

(政府答弁)
一について
 「現代仮名遣い」(昭和六十一年内閣告示第一号)は、一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころとして定めたものであり、政府においては、「公用文改善の趣旨徹底について(依頼通知)」(昭和二十七年四月四日付け内閣閣甲第十六号)及び「「現代仮名遣い」の実施について」(昭和六十一年内閣訓令第一号)により、法律を起案する際には現代仮名遣いを用いているところである。
なお、議員が法律を起案する際に歴史的仮名遣いを用いることについては、政府としてお答えする立場にない。

二 所謂『五十音図』の「ゐ」と「ゑ」について
 1 小学校及び中学校の教科用図書における仮名遣いについては、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)において、「現代口語文においては、『現代仮名遣い』(昭和六十一年内閣告示第一号)を用いること。ただし、近代詩歌などの原典をそのまま載せる必要がある場合には、この限りでないこと。」、「文語文においては、原則として歴史的仮名遣いを用いるものとし、必要に応じて、適切な配慮をすること。」とされており、小学校及び中学校の国語教育においては、歴史的仮名遣いを用いた題材が掲載された教科用図書を使用して指導が行われているとの現状の中で、小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)において歴史的仮名遣い自体の指導、例えば「ゐ」や「ゑ」の学習について触れていないのは何故か。

(政府答弁)
 二の1について
 学習指導要領は、児童生徒の発達の段階等を踏まえて定めており、小学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十七号)の国語科においては、歴史的仮名遣い自体の指導については触れていないが、第三学年及び第四学年では「易しい文語調の短歌や俳句について,情景を思い浮かべたり,リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること」を、第五学年及び第六学年では「親しみやすい古文や漢文,近代以降の文語調の文章について,内容の大体を知り,音読すること」を指導することとし、中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の国語科においては、歴史的仮名遣いを含む文語のきまり等について指導することとしているところである。

 2 「ゐ」と「ゑ」については、義務教育諸学校教科用図書検定基準で「必要に応じて、適切な配慮をすること。」との措置に止めることなく、『学習指導要領解説』等で、「歴史的仮名遣いの『ゐ』『ゑ』については、五十音図に記載するなど、児童の学習負担に配慮しつつ仮名の体系的指導に留意すること。」などと規定することは、『学習指導要領』の趣旨に反するか否か。趣旨に反する場合は理由を示されたい。
 また、趣旨に反しない場合は次回の『学習指導要領』改訂時に同趣旨の規定を加えることは検討に値するか。検討に値しない場合は理由を示されたい。
 3 「歴史的仮名遣いの『ゐ』『ゑ』については、五十音図に記載するなど、児童の学習負担に配慮しつつ仮名の体系的指導に留意すること。」との規定を、次回の『学習指導要領』改訂時の『学習指導要領解説』に加えることが検討に値する場合、『学習指導要領』の次回改訂迄の時限的措置として、平成二十五年度にも実施が予定されるという次回の教科用図書検定の中に反映させることは可能か。不可能な場合は理由も添えて根拠法令等を示されたい。

(政府答弁)
 二の2及び3について
 御指摘の「仮名の体系的指導に留意すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、小学校及び中学校の国語教育においては、二の1についてで述べたとおり、児童生徒の発達の段階等を踏まえた指導を行うこととしているところである。
 なお、教科用図書の検定については、一般的に申し上げると、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)において、教科用図書について、小学校学習指導要領又は中学校学習指導要領に示す内容を不足なく取り上げていることを求めているところであり、小学校学習指導要領又は中学校学習指導要領に示されていない内容を取り上げていることを求めることは困難であると考える。


・地域ごとに大型連休をずらして取得する「休暇分散化」に関する質問主意書
(内閣参質175第33号)
(平成22年8月6日提出、政府答弁書8月20日)

 政府が立ち上げた観光立国推進本部(本部長、前原誠司国土交通大臣)において現在検討している春と秋に大型連休を地域別に分けて設定するという休暇分散化について、経済産業省と観光庁が、本年六月二十二日から七月十二日まで、インターネットで議論や投票ができる「アイディアボックス」(サイト登録者三千二百七十八人)により実施した調査の結果が、八月三日に発表された。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 今回実施された調査の結果、六十八パーセントの人が、春と秋に大型連休を地域別に分けて設定する休暇取得の分散化のメリットについて、「特にない」と回答した。この結果について、政府の見解を示されたい。

二 調査の結果、「春の大型連休の分散化、秋の大型連休の創設のいずれも効果がないと思う」との回答が六十四パーセントとなり、春と秋の年二回、全国を五地域に分けて、ずらして各五連休を設定する政府の構想にとっては、厳しい結果であった。この結果について、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 一及び二について
 御指摘の「休暇取得の分散化」(以下「休暇分散化」という。)については、御指摘の調査の結果をも参考としつつ、引き続き検討を進めてまいりたい。

三 マスコミなどは、政府が休暇分散化を盛り込んだ国民祝日法改正案を来年の通常国会に提出すると報道しているが、これは本当か。また今回の調査の結果を見ると、休暇分散化は国民の理解を得られていないと考えるが、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 三について
 「新成長戦略」(平成二十二年六月十八日閣議決定)において、「「休暇取得の分散化」を実施する・・・ための祝日法の改正について検討を進め、十分な周知・準備期間を設けた上で、早ければ平成二十四年度中の実現を目指す」としている。また、御指摘の調査の結果をも参考としつつ、休暇分散化に対する国民の理解が得られるよう努めてまいりたい。

四 本年三月三日の観光立国推進本部休暇分散化ワーキングチームのヒアリングで、全国中小企業団体中央会より「GWやSWなどの一斉休暇は、国民の祝日という側面から国民からも受け入れられ続けている制度。休暇分散化については、広く国民、企業等のコンセンサスを得てから進めることが肝要」、「休暇減少に繋がる会社も増えるのではないか」との意見が出ているが、これらの指摘に対する政府の見解を示されたい。

五 本年三月八日の観光立国推進本部休暇分散化ワーキングチームのヒアリングで、全国連合小学校長会より、休暇分散化は「学習指導要領における道徳教育の目標等の方向性と逆行する」との意見が出ているが、この指摘に対する政府の見解を示されたい。

六 五のワーキングチームのヒアリングで、日本労働組合総連合会より「労働者と子どもの休暇が異なってしまうことや、労働者がかえって休暇を取得できなくなるようなことを避けるよう、十分な条件整備が必要である」、「本社と支社で所在地が異なる場合、「休暇分散化」が有効に機能するかどうか、その影響を考慮すべき」との意見が出ているが、これらの指摘に対する政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 四から六までについて
 今後観光立国推進本部休暇分散化ワーキングチームを中心として、御指摘の全国中小企業団体中央会、全国連合小学校長会、日本労働組合総連合会等からのヒアリングの結果をも踏まえつつ、休暇分散化が経済活動に与える影響等について検討を行うこととしている。また、休暇分散化に対する国民の理解を得ることについては、観光庁において「休暇取得の分散化に関する地方説明会」を開催するなどの取組を行ってきているところであり、引き続き、国民の理解を得られるよう努めてまいりたい。


・天皇陛下御在位二十年の記念式典行事に関する質問主意書
(内閣参質175第34号)
(平成22年8月6日提出、政府答弁書8月20日)

 昨年開催された天皇陛下御在位二十年の記念式典に合わせて、当時の河村建夫内閣官房長官は、塩谷立文部科学大臣に対し「天皇陛下御在位二十年の式典に合わせて国民の祝意の機運を高めるため、教育委員会をはじめとした関係機関への周知等に御協力を御願いいたします」との内容の通知を出した。
 この通知を受けて文部科学省は、全国の教育委員会及び地方公共団体に対して、天皇陛下御在位二十年記念式典で上映を予定している「天皇陛下 御即位から二十年」というDVDの送付と、活用の協力を要請し、このDVDが全国の小中高校へ配布された。
 このDVDは、平成十八年の教育基本法の改正を踏まえ改訂された新学習指導要領に盛り込まれた「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図る」との方針に基づいており、日本の国柄、文化を子供たちに伝えるために大変有効であると考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 「天皇陛下 御即位から二十年」のDVDは全国の小中高校の何校に送付したのか、また、何月何日に送付したのか。

(政府答弁)
 一について
 文部科学省においては、御指摘のDVD(以下「本件DVD」という。)について、全国の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に一枚ずつ配布されるよう、平成二十一年度学校基本調査速報に掲載された全学校の数を基に、三万九千三百七十七校分を各都道府県教育委員会等に対して平成二十一年九月四日付けで送付したところである。

二 全国の小中高校にDVDを送付する際、どのような文章を添えて送付したのか、具体的に示されたい。

三 全国の小中高校に送付されたDVDが、各校にて実際に鑑賞されたのか否かの確認を政府はしているのか。また、何校鑑賞され、何校鑑賞されなかったのか。

四 全国の小中高校に送付されたDVDは有効に活用されたと考えているのか。また、子供たちにどのような効果があったと考えているか。政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 二から四までについて
 文部科学省においては、本件DVDが天皇陛下の御在位二十年をお祝いする記念式典で上映される予定のものであることを説明しつつ、各学校への配布を依頼する内容の事務連絡を添付して、本件DVDを各都道府県教育委員会等に対して送付したところである。文部科学省としては、各学校における本件DVDの活用状況の詳細については把握していないが、各学校において本件DVDがその趣旨に沿って活用されたものと考えている。


・子宮頸がんワクチン接種に関する質問主意書
(内閣参質175第35号)
(平成22年8月6日提出、政府答弁書8月20日)

 子宮頸がんは遺伝などに関係なく、近年では二十代後半から三十代の若い女性の発症率が増加しているといわれている。
 この子宮頸がんの原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染であるとされている。近年この子宮頸がんの発症の原因であるHPVの予防ワクチン(以下単に「ワクチン」という。)が開発され、昨年十月に厚生労働省はその販売を承認し、十二月二十二日より一般の医療機関でそれを接種することができるようになった。
 国立がん研究センターがん対策情報センターによると、子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、性的パートナーが多い、多産、他の性行為感染症が報告されている。
 HPVは百種類以上もあり、このうち約十五種類が子宮頸がんになるハイリスクタイプといわれる。厚生労働省が承認した英グラクソ・スミスクライン社のワクチン「サーバリックス」は、子宮頸がんの原因ウイルスHPV十六型と十八型の二種類の感染を予防するとされる。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 我が国における子宮頸がんによる年間の死亡者数を示されたい。

(政府答弁)
 一について
 平成二十年人口動態統計によると、同年の子宮頸がんによる死亡者数は、二千四百八十六人である。

二 我が国において新たに子宮頸がんと診断された年間の罹患者数を示されたい。また、早期発見で切除すれば、それ以上の進行や転移を防げることが多く、生命保険約款でも対象外となっている場合もある上皮内がんとそれ以外の内訳も示されたい。

(政府答弁)
 二について
 お尋ねの罹患者数は、各都道府県からの最新の報告を基に推計すると、平成十七年において、上皮内がんを含む罹患者数が一万六千四百二十二人であり、上皮内がんを含まない罹患者数が八千四百七十四人である。

三 HPVに感染した場合に、子宮頸がんに発展する割合を示されたい。

(政府答弁)
 三について
 ヒトパピローマウイルス(以下「HPV」という。)の感染者数を把握しておらず、お尋ねの割合についてお答えすることは困難である。

四 何故、近年二十代後半から三十代の若い女性の子宮頸がん発症率が増加しているのか、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 四について
 お尋ねについては、性交渉開始時期の低年齢化等の影響があるものと考えている。

五 承認間もないワクチンの長期的な効果及びその副作用についてどのように考えているか。また、ワクチンへの公費助成の検討もされている中で、その費用対効果についての見解を示されたい。さらに、ワクチン接種後の経年チェックについての対応をどのように考えているのか示されたい。

(政府答弁)
 五について
 平成二十一年十月十六日にHPV十六型及び十八型感染に起因する子宮頸がん(扁平上皮細胞がん及び腺がん)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)二及び三)の予防について承認されたサーバリックスの長期的な効果に関しては、海外の十五歳から二十五歳までの七百七十六例を対象とした試験結果によると、平均追跡期間五・九年の時点では、その予防効果は最長六・四年間持続することが確認されているものの、その予防効果の持続期間については確立していない。
 一方、サーバリックスの副反応については、注射部位の疼痛、発赤等のほか、全身性の症状として、疲労、筋痛、頭痛、胃腸症状(嘔吐、下痢等)、関節痛、発疹、発熱等があり、まれに、ショック、アナフィラキシー様症状等があるものと承知している。
 また、我が国におけるサーバリックスの費用対効果については、「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するファクトシート(平成二十二年七月七日版)」(平成二十二年七月七日厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料)によると、サーバリックスによる免疫維持期間が明らかでないこと、すべての子宮頸がん患者に占めるサーバリックスが感染予防効果を有するHPV十六型及び十八型が検出される子宮頸がん患者の割合が五十パーセントから七十パーセントまでと幅があることから、現時点で正確な評価は難しいとされている。
 お尋ねのサーバリックス接種後の経年的な影響の把握については、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン株式会社において、承認申請前に実施した国内の二十歳から二十五歳までの千四十例を対象とした試験に参加した被験者に対し、有効性及び安全性の長期追跡調査を製造販売後においても実施するとともに、千例について延べ三千回接種後の安全性に関する調査を実施することとしている。

六 HPVの型の流行性には地域差があるといわれている。欧米諸国では、子宮頸がん患者の原因としてHPV十六型と十八型が八十〜九十%を占めるのに対して、日本では両者が占める割合は五十〜七十%程度と報告されている。五十〜七十%程度に有効なワクチンへの公費助成のあり方は、どうあるのが適切か。

(政府答弁)
 六について
 お尋ねの公費助成の在り方については、御指摘のワクチンの有効性及び安全性を踏まえつつ、今後、検討してまいりたい。

七 「サーバリックス」の説明書には「本剤の予防効果の持続期間は確立していない」とある。また、同製品の販売開始は昨年十二月であり、まだ再審査期間中の薬品に対する公費助成のあり方はどうあるのが適切か。現段階で任意型でなく対策型に組み入れるのは適切か。

(政府答弁)
 七について
 サーバリックスを含む新医薬品の製造販売の承認に当たっては、承認前に詳細な資料の提出を求めて厳格な審査が実施されているが、承認時までに集めることのできる臨床試験症例数等にはおのずから制約があることから、承認後も引き続き新医薬品の使用成績等の調査を行い、一定期間経過後にその安全性及び有効性の再確認を行っているところである。
 また、御指摘の「任意型」及び「対策型」の意味するところが必ずしも明らかでないが、子宮頸がんワクチンの接種に係る公費助成の在り方については、今後、検討することとしている。

八 ラットのデータでは、抗HPV十六抗体あるいは抗HPV十八抗体が乳汁中に移行することが報告されている。授乳中のワクチン接種に関する安全性は確立していないと「サーバリックス」の説明書にある。また、同説明書の薬効薬理には、本剤により誘導された血清中抗HPVlgG抗体が子宮頸部粘膜に滲出し、子宮頸がんの主要原因である病原性HPVの持続的な感染を予防していると考えられていると記載されている。
 ワクチンの長期的な効果、副作用の検証が十分でない中で、母乳や子宮頸部に与える影響の情報も当然十分でないと考えられるが、経年チェックの中で臨床データを今後どう集めていくのが適切と考えるか。

(政府答弁)
 八について
 サーバリックスの臨床データについては、五についてで述べたとおり、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン株式会社における追跡調査等により把握することとしている。

九 抗体価だけでワクチンの効果を評価しても大丈夫と考えているか。

(政府答弁)
 九について
 サーバリックスの有効性については、承認審査において、接種時及び接種後六か月後におけるHPV十六型又は十八型の感染の有無、HPV十六型又は十八型に対する血清抗体価、HPV十六型又は十八型に起因する子宮頸がんの前駆病変の有無等により評価を行っており、「抗体価だけでワクチンの効果を評価」したとの御指摘は当たらないものと考えている。

十 現在、全国の地方自治体で本ワクチンへの公費助成を表明する動きが広がっており、東京都杉並区では「中学入学お祝いワクチン」と称して区内の医療機関で無料接種を開始した。このような地方自治体はどのくらいあるのか。自治体名を具体的に示されたい。

(政府答弁)
 十について
 お尋ねの無料接種を実施している地方自治体の数及び名称は承知していないが、何らかの公費助成を実施又は実施を予定している市区町村については、厚生労働省のホームページにおいて「法定接種以外のワクチンの公費助成調査について」として公表しているところであり、その数は、平成二十二年七月二十六日時点で百二十六市区町村である。

十一 ワクチンは海外ではどの程度の規模で接種され、効果はどのように考えられているのか。また、長期のフォローアップデータがないうちに、欧米では何故こんなに早く承認したのか。さらに、日本で昨年十二月より販売を開始したのは何故か、政府の考えを示されたい。

(政府答弁)
 十一について
 サーバリックスの海外での接種規模については、グラクソ・スミスクライン株式会社からの報告によれば、平成二十一年十一月時点において、世界百三か国において販売され、平成二十二年一月までの全世界における累積供給数は約九百九十二万接種回数分である。
 また、欧米でのサーバリックスの承認日は、欧州連合が平成十九年九月二十日、米国が平成二十一年十月十六日であると承知しているが、それぞれの国又は地域の医薬品の規制当局において、有効性、安全性等を確認の上、承認されたものと考えている。
 また、我が国においても、厚生労働省において、サーバリックスの品質、有効性及び安全性を確認した上で、平成二十一年十月十六日に承認したところであり、これを受けて、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン株式会社が販売を開始したものである。

十二 ワクチンの主な対象は十一〜十四歳の若年層となっているが、ローティーンの女子に接種することは生命倫理上、どのような悪影響をもたらすか、政府の考えを示されたい。

(政府答弁)
 十二について
 お尋ねの「生命倫理上」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十三 年齢にふさわしい性教育は必要と考えるが、すでに製作されている複数の子宮頸がん予防パンフレットの中に「セクシャルデビュー前に」なる言葉が使われている。セクシャルデビューなる単語を用いての教育は不適切と考える。初交年齢を結果として早めることになりはしないか。政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 十三について
 学校教育における性に関する指導においては、児童生徒の発達段階を踏まえることが重要であるが、セクシャルデビューという単語を使用することと性行動との関係について把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十四 政府はワクチンの基本的情報(リスクを含む)を各自治体や国民に提供すべきではないか。また、ワクチンだけでは限界があり、がん検診の受診との併用が肝要であることの周知徹底も必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 十四について
 お尋ねのサーバリックスの「基本的情報」は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページにおいてサーバリックスの添付文書として掲載している。
 また、御指摘のように子宮頸がんによる死亡者を減少させるためには早期発見による早期治療が重要であることから、独立行政法人国立がん研究センターのホームページ等を通じて、子宮頸がん検診の重要性について周知徹底を図っているところである。