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2010年12月7日
【質問主意書】在外邦人救出のための「自衛隊法の一部を改正する法律案」と北朝鮮砲撃事件への対応に関する質問主意書

・在外邦人救出のための「自衛隊法の一部を改正する法律案」と北朝鮮砲撃事件への対応に関する質問主意書
(内閣参質176第号)
(平成22年11月26日提出、政府答弁書12月7日)

 北朝鮮による韓国の延坪島砲撃により民間人の犠牲者が発生、さらに北朝鮮が核兵器製造につながりかねないウラン濃縮施設が明らかにされた。世界から孤立していく北朝鮮国内においては、いつ有事が発生しても不思議ではない状況にある。
 また、尖閣における中国漁船衝突事件を発端とし、日中関係も緊迫した状況にある中、外国に住む邦人の安全確保に万全を期し体制を整える必要がある。
 平成二十二年六月、自民党では外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して、邦人の生命または身体保護のため必要があると認める場合には、邦人救出のため自衛隊法の一部を改正する法律案を提出したが、政府与党の協力が得られず未だ審議未了のままとなっている。
そこで、以下のとおり質問する。

一 十一月二十四日の参議院予算委員会で、邦人救出のための自衛隊法の一部改正案の審議を進めてほしいと求める私の質問に対して、菅総理大臣は「大いに私は一般的に言えば議論をすればいいと思う」と答弁した。
総理の発言をうけ、在外邦人の安全確保のため、政府としてどう対応していくのか。

(政府答弁)
一について
政府としては、在外邦人の安全確保は、国としての重要な責務であり、平素から関係省庁が連携し、事態に応じて速やかに在外邦人の安全確保を図ることができるよう、その態勢につき不断に検証をする必要があると考えている。在外邦人の安全確保のために、自衛隊が派遣先の外国でどのような活動を行うかについては、様々な観点からの議論が必要であると考えている。
御指摘の菅内閣総理大臣の答弁は、一般に、このような議論がなされることは有意義であるとの趣旨を述べたものである。




二 北朝鮮砲撃を「許しがたい蛮行」と非難した菅総理大臣だが、対策本部の会議では有事の際の北朝鮮の邦人救出について話し合いがなされたのか

(政府答弁)
二について
政府は、北朝鮮による韓国延坪島に対する砲撃事件(以下「砲撃事件」という。)について、政府としての対応を総合的かつ強力に推進するため、本年十一月二十四日に「北朝鮮による砲撃事件対策本部」(以下「対策本部」という。)を設置し、第一回会合を開催したところであるが、対策本部における議論の詳細については、砲撃事件についての政府対応振りに関わるものであり、事柄の性質上、お答えを差し控えたい。



  
三 北朝鮮砲撃を受け、関係閣僚会議を十一月二十三日に開いたが、安全保障会議を開かなかったのは何故か。安全保障会議設置法にある重大緊急事態にあたるとは認識しないのか。根拠を示して考えを示されたい。
安全保障会議には、議長が必要と認めるときには、統合幕僚長などの自衛隊関係者を出席させ、意見を述べさせることができると承知している。だからこそ安全保障会議を開くべきではなかったか。

(政府答弁)
三について
政府としては、本年十一月二十三日、砲撃事件を受けて関係閣僚会合を開催し、情報分析及び今後の対応について協議を行い、また、同月二十四日には対策本部を設置し、第一回会合を開催するとともに、内閣官房副長官及び関係省庁の副大臣等を構成員とする情報連絡会議を開催するなど、適切に対応したものと考えており、安全保障会議については、我が国の国民生活に直ちに影響を及ぼすような事態ではないとの認識の下、開催しなかったものである。なお、関係閣僚会合においては、統合幕僚長も出席し、軍事専門的見地からの意見を述べたところである。




四 十一月二十三日、初動の七十分間は政治家が官邸、公邸に菅総理大臣以外誰もおらず、総理は七十分間ひとりぼっちだったといわれる。これが政治主導の姿と思っているのか。

(政府答弁)
四について
菅内閣総理大臣を初めとする関係閣僚は、砲撃事件について、第一報をうけて必要な指示を行うとともに、逐次、情報報告を受け、また、内閣総理大臣官邸における関係閣僚会合に参集するなど、適切に対応したところである。
なお、内閣官房においては、砲撃事件の発生時を含め、内閣総理大臣官邸の危機管理センター等において、所要の職員が対応に当たっていたところである。