国会での活動報告詳細

2011年2月8日
【質問主意書】菅首相の施政方針演説に関する質問主意書

・菅首相の施政方針演説に関する質問主意書
(内閣参質177第36号)
(平成23年1月31日提出、政府答弁書2月8日)

平成二十三年一月二十四日に衆参両院本会議で行われた、菅首相の施政方針演説につき、以下のとおり質問する。

一 「内閣の大方針である地域主権改革の推進です」と述べているが、本来、主権は国家にあり、「地域主権」の表現は問題があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、民主党政権下で地域主権を推進していく際、安全保障やエネルギー分野などについても地域主権の枠組みとして捉えるのか。さらに、「地域主権に対する慎重論を吹き飛ばしていきましょう」と述べているが、慎重論とは具体的にどのような意見をさすのかと、なぜそのような慎重論が波及していると考えるのかについて示されたい。

(政府答弁)
一について
「地域主権」という用語は、比較的新しい用語であるため、例えば、御指摘のような「地域主権」という表現を用いることに対する慎重な御意見があるものと考えるが、「地域主権戦略大綱」(平成二十二年六月二十二日閣議決定)で示しているとおり、「地域主権」は、「日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革」の根底をなす理念として掲げているものであり、「「国民主権」の内容を豊かにする方向性を示すもの」である。また、御指摘の「安全保障やエネルギー分野など」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、国においては、国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担うべきであると考えている。


二 「硫黄島からの遺骨帰還のための特命チーム」が調査した結果、「新たな集団埋葬地を見つけることができました」と述べているが、今回明らかとなった埋葬地の場所と、そこに埋葬されていると思われる遺骨の御柱数について示されたい。また、現在自衛隊が使用している滑走路下に埋葬地があるとも言われているが、滑走路下の調査結果と、そこに埋葬地があった場合の遺骨帰還にかかる費用についても示されたい。
さらに、硫黄島からの遺骨帰還のためのボランティアを増員する場合、どのように募集するのか。計画とスケジュールについて示されたい。

(政府答弁)
二について
硫黄島において、今般、新たに発見された集団埋葬地は、摺鉢山山麓のものと硫黄島飛行場の滑走路西側のものの二か所であり、そこに埋葬されていると思われる遺骨の柱数は、米国側資料の記述によるとそれぞれ約二百柱と約二千柱である。
御指摘の滑走路下の埋葬地の存否については、まずは資料調査を行うとともに、探査方法の検討等を行うこととしており、現時点において、お尋ねの調査結果及び費用をお示しすることは困難である。
また、お尋ねの「硫黄島からの遺骨帰還のためのボランティアを増員する場合」の具体的な募集方法等については、現在検討中であり、現時点においてはお示しすることは困難であるが、取りまとめ次第、ホームページ等で速やかに公表することとしたい。


三 北朝鮮問題に関し、「国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現する」と述べているが、有事の際の朝鮮半島における混乱下から邦人救出を行うためには、自衛隊法を改正し、万全の準備を整えておくことが肝要と考えるが、政府の見解を示されたい。加えて、平成二十二年十二月十日、菅首相は拉致被害者家族との懇親会の席上、「万一のとき、拉致被害者をいかに救出できるか準備を考えておかなければならない」と述べ、さらに翌十一日には「拉致被害者はもちろん、韓国にたくさんいる一般の邦人を、民間機(での輸送)が危なくなった場合に自衛隊機で救出するルールができていない。これから韓国との間で相談を始めたい」と北朝鮮有事の際の拉致被害者救出策を検討していることに言及したが、その後の取組はどのようになっているのか。

(政府答弁)
三について
拉致被害者を含めた邦人の安全確保は、政府にとって極めて重要な課題であり、その対応に遺漏なきを期するのは当然のことであるが、具体的ないかなる検討を行っているか等については、事柄の性質上、個別具体的にお答えすることは差し控えたい。
また、邦人の安全確保のために、自衛隊が派遣先の外国でどのような活動を行うかについては、様々な観点から議論が必要であると考えている。


四 今回の施政方針演説の中で、尖閣諸島における中国漁船衝突事件に係る一連の問題やロシア大統領の北方領土訪問など、国民の最も関心の高い領土問題に全く言及していないのは何故か。「国民の生活が第一」というのであれば、領土を守ることは最重要ではないか。

(政府答弁)
四について
御指摘の演説の内容については、内外の諸情勢等を勘案し、内閣として決定したものである。いずれにせよ、政府としては、我が国の領土の保全及び海洋における我が国の主権的権利等の確保につき万全を期す考えである。