国会での活動報告詳細

2011年3月11日
【質問主意書】応神陵古墳への立ち入り調査に関する質問主意書

・応神陵古墳への立ち入り調査に関する質問主意書
(内閣参質177第95号)
(平成23年3月1日提出、政府答弁書3月11日)
平成二十三年二月二十四日、宮内庁の許可により日本考古学協会など考古・歴史学の十六の学会が第十五代応神天皇の陵墓と指定されている応神陵古墳への立ち入り調査を実施した。
古代天皇陵への立ち入り調査は過去に例がなく、宮内庁は陵墓に指定された古墳について「御霊の安寧と静謐を守るため」として一般の立ち入りを禁止しているにもかかわらず、学会側の要望を許可したことは異例ともいえる。
よって、以下質問する。

一 今回、調査が許可された十六の学会の名称と、調査の目的を示されたい。

(政府答弁)
 平成二十三年二月二十四日に応神天皇陵への立入りを行った団体は、大阪歴史学会、京都民科歴史部会、考古学研究会、古代学研究会、財団法人古代学協会、財団法人史学会、地方史研究協議会、奈良歴史研究会、一般社団法人日本考古学協会、日本史研究会、日本歴史学協会、文化財保存全国協議会、一般財団法人歴史科学協議会、歴史学会、歴史学研究会及び歴史教育者協議会である。また、立入りの目的は「現地における古墳の精察及び調査所見の確認のため」である。

二 今回、調査が許可されたのは墳丘本体を巡る濠を取り囲む内堤部分だが、学会側は墳丘本体への立ち入りについても「粘り強く求めていきたい」としている。これに対し、宮内庁書陵部は「安全の確保が確認できれば墳丘への許可も検討したい」と述べたとされるが、この「安全の確保の確認」とは具体的にどのようなことをさすのか、政府の見解を示されたい。

三 平成十八年十一月二七日に発信された宮内庁書陵部の「陵墓の立入りの取扱方針について」では、「書陵部長が立入りを許可できる場所は、業務の遂行や安全等に支障のない限りにおいて、次の各号に掲げる分類に応じ、当該各号に定めるところとする。
(一)古代高塚式陵墓 堤防その他の外周部から墳丘の最下段上面のテラスの巡回路まで(巡回路が無い場合は、墳丘裾に一番近い巡回路まで)
(二)前号以外の陵墓 書陵部長が定める外構囲障まで」
と定められており、いずれも「墳丘への許可」は対象外であると認識する。二の宮内庁書陵部の墳丘本体への立ち入りについての言及は、宮内庁の方針とは異なるのではないか。

(政府答弁)
二及び三について
 宮内庁においては、学術研究を目的とする陵墓への立入申請があった場合、天皇及び皇族を葬る所であり、静安と尊厳の保持が最も重要であるとされる陵墓の本義を踏まえて定められた御指摘の「陵墓の立入りの取扱方針について」に基づき、業務の遂行や安全等に支障のない限りにおいて、古代高塚式陵墓については堤防その他の外周部から墳丘の最下段上面のテラスの巡回路(最下段上面のテラスに巡回路がない場合にあっては、墳丘裾に最も近い巡回路。以下同じ。)までの範囲で、立入りの区域及び経路を定めて許可しているところである。したがって、宮内庁としては、古代高塚式陵墓については、墳丘の最下段上面のテラスの巡回路以外の墳丘部への立入りは認めていないところである。
  なお、今回の立入りに当たっては、安全に周濠を渡って墳丘部に到達する方法が確保できなかったことから、墳丘の最下段上面のテラスの巡回路への立入りについても許可しなかったものである。

四 平成二十年十一月二十日の参議院内閣委員会で、陵墓の管理体制について問うたところ、宮内庁は「陵墓は、現に皇室において祭祀が継続して行われ、皇室と国民の追慕尊崇の対象であり、その静安と尊厳の保持が最も重要と考えております」と答弁している。今もこの管理体制について変わりはないか。

(政府答弁)
 御指摘の答弁のとおり、宮内庁においては、陵墓については現に皇室において祭祀が継続して行われ、皇室と国民の追慕尊崇の対象となっているので、静安と尊厳の保持が最も重要であるとの考えに立って陵墓の管理を行っているところであり、引き続き適切な管理に努めてまいりたい。