国会での活動報告詳細

2011年3月31日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

○山谷えり子君 
自由民主党、山谷えり子でございます。
 東日本大震災、亡くなられた皆様の御冥福をお祈りいたします。また、被害に遭われた皆様のお見舞いを申し上げます。また、復興・復旧支援で活動してくださっております自衛隊、警察、消防、あるいは関係者の皆々様に感謝を申し上げます。また、各国からの御支援、大変に感謝申し上げます。困難な状況の中でも、外国の報道、メディアなども報道しましたけれども、日本人の思いやりと冷静さを失わない行動、高く評価されております。すばらしい民族のDNAであり、また国柄だというふうに思っております。
 先日の委嘱審査で、宮沢委員と与謝野大臣の間で税と社会保障の一体改革についてのいろいろな意見、やり取りがございました。宮沢委員は、二〇三五年には第二次ベビーブーマー世代が六十五歳になる、また団塊の世代も八十代の後半になると。そうしますと、二〇二三年から二五年までにプライマリーバランスを回復したとしても、消費税を二〇%に上げたとしても、今の年金、医療、介護、財源が賄えないのではないかというような問題提起でございましたが、与謝野大臣は、ヨーロッパに学んだ日本の社会保障制度はもうすばらしいものだと、そして六月をめどにまとめていくとおっしゃられましたが、このタイムスケジュールは今どうなっていらっしゃいますでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
官邸を中心とした各閣僚の皆さんは、震災対策、原発対策に追われているというのが現状でございます。しかし、税・社会保障一体改革はそれだからといって放置していいものではありません。したがいまして、私の下であらゆる方の意見をお伺いし、四月の末には社会保障の一体改革案をお示しをする、六月には社会保障と税一体改革の姿をお示しできるように全力を挙げたいと思っております。
 ただし、総理、官房長官、関係閣僚の御協力はその間得られませんので、それぞれの省の代表の方々、あるいは、その都度総理、官房長官に御報告しながら、四月、六月のスケジュールは何とか守らなければならないと思っております。

○山谷えり子君
スケジュールを守ってやっていきたいということでございますが、ヨーロッパから学んだものという、ここに私はもっと問題意識を今持ち直すべきではないかと思うんです。一神教の個人主義、そしていろいろな王様のいろんな交代がある国と、我が国は本当に天皇陛下を頂き大きな家族のように、西暦二〇一一年ですが、今年皇紀二六七一年ですね、世界には見られない最も長い歴史と価値観、国柄を持つ国でございます。
 反スターリンの作家、反共の作家ソルジェニーツィンが一九八二年に来日したときに、日本にはヨーロッパにはない家族的な価値、そうしたものがあると。個人より家族を中心にして、道徳も美的意識で考える、そして伝統的価値観がある非常に希有な国だというふうにおっしゃられたんですね。私は、この強みを生かさないと、幾ら財源を求めても、これはもう本当に立ち行かないんではないかというふうに思います。つまり、家族と地域のきずなを守る、再生するというような形で税制とか諸施策を組み直していくということを改めて考え方の中に、中心に入れていただきたいというふうに思うんです。
 自民党は、平成十八年の小泉内閣のとき、安倍官房長官の下で各省の政務官があったかハッピープロジェクトということで官邸に集まって、こうした家族と地域のきずな再生という形で諸施策、税制を変えられないかという検討会を開きました。経済優先、個人優先の価値観とは異なる価値観で、命を継承していく重要性を基に考えていこうというもので、三世代同居、近居の支援、平成二十一年の内閣の税制改正の要望の中に、不動産取得税、所得税、固定資産税の減税策をこうした視点から打ち出してもいるわけです。それから、より多くの子供を持つ家庭が有利になるような税制も検討してはどうかということも提言しました。この辺はいかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
日本の社会保障制度というのは、私はヨーロッパ由来なものだと思っております。ただ、ヨーロッパ由来でやや社民主義的な考え方が入った社会保障制度を導入したと思っておりますけれども、そこはやはり日本人が知恵を働かせて、高福祉高負担ではなくて中福祉中負担と、やはり自助、共助、公助、この三つがバランスが取れた社会保障制度を構築しようというのが長い間の自民党の歴史の中での努力であると思っております。
 私は、この中福祉中負担という考え方は今後の社会保障制度の改革の中に生かされるべきものであって、何から何まで公に頼ると、そのような制度は持続可能ではないと思っていますし、中福祉中負担が日本の社会的な風土、あるいは歴史、国民性に最も合ったものだと思っております。
 言ってみれば、アメリカの社会保障制度が自分のことは自分でやれという制度であるとすれば、スウェーデンなどの制度は生まれてから亡くなるまでのあらゆることに公が関与すると。多分、日本の社会保障制度はこれからも、国の名前を挙げて恐縮なんですけれども、アメリカとスウェーデンの中間ぐらいに位置する中福祉中負担制度というのが国民の物の考え方に一番合っているんだろうと、私はそういうふうに思っております。

○山谷えり子君
スウェーデンは、家族解体や青少年の自殺率も高まりまして、非常に悩みを今抱えているところなんですね。だからこそ、日本モデルというのをもっとプライドを持って立て直すべきではないかと思っています。
 与謝野晶子様、おばあちゃまは何人お子様を産み、育てられましたでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
十一人なんですが、一人だけ里子に出しております。

○山谷えり子君
そうなんです。十一人の子供を御出産なさって、出産は光輝、光り輝く、そして子供は歓喜、喜びだというふうにおっしゃっていらっしゃるんですね。
 第三次男女共同参画基本計画、昨年末、十二月十七日閣議決定されました。男女が互いに協力し支え合う社会の形成は大切ですが、随所に日本の国柄、国民の思いとは懸け離れた考え方が含まれていると感じております。
 与謝野大臣は男女共同参画担当大臣も兼ねていらっしゃいますけれども、例えば施策の基本的方向として、「男性片働きを前提とした世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行」と。世帯単位ではなくて、個人単位の制度、慣行に移行していくと。つまり、社会の基礎単位を家族ではなくて個人に持っていきたいというふうな基本政策の下につくられていますが、これはこういう考えでございますか、与謝野大臣も。

○国務大臣(与謝野馨君)
男女共同参画社会基本法第六条においても、男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の教育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならないと定めており、男女共同参画社会という考え方は家族を大切なものとして位置付けていると私は考えております。

○山谷えり子君
民主党政権は今年の一月から扶養控除など廃止していますね。そして、この第三次男女共同参画基本計画、これは福島担当大臣の下で仙谷官房長官がかなり深く関与されて、そして岡崎トミ子大臣の下で閣議決定されたものなんですね。
 ここで、税制の見直しとして、「配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しの検討を進める。」というふうに書いてあります。扶養控除を縮小、廃止して、そして来年には配偶者控除の縮小、廃止も民主党は考えているわけですが、これでは家族を大事にするではなくて、家族解体税制を進めるということなんでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
私は、家庭で家事労働をしている女性の方というのは、これは労働と考えるよりも非常に大きな社会的貢献をしているわけでして、専業主婦の立場というものはやっぱりきちんと税制の上でも守っていく必要があると思っておりまして、共働きを前提にした税制ではなくて、やはり家事労働をしている専業主婦がたくさんおられるということを前提にした税制でなければならないと私は思っております。

○山谷えり子君
是非その考え方の下で、もう一歩進んだ、家族をむしろ守る、扶養控除、配偶者控除を上げてもいいじゃないかと、あるいは三世代同居、近居を優遇してもいいじゃないかというところまで踏み込んだ考え方を今度の社会保障と税の一体改革の中に入れていただきたいと思います。
 仙谷官房長官は、自衛隊は暴力装置なんておっしゃって、学生運動をなさった四十年前から頭がやっぱり変わらないんだなと、左派思想の考え方ですね。専業主婦に関しても、去年、全国私立保育園連盟でこんなことを言っていらっしゃるんですね。日本は極めて極端な子育て観、女性の位置付け観を持ったへんちくりんな国として世界の諸国から置き去りにされる危機感を持っています。なぜそうなってしまったのか。そこには専業主婦の存在があります。専業主婦というのは、日本の戦後の一時期、約五十年ほどの間に現れた特異な現象です。工業化社会がうまくいって、働く人の大宗をサラリーマンが占めるという一時的な社会構造が生み出したものです。そのために、働く女性が結婚し、働きながら子供を産み、働きながら家庭を運営し子育てをするという普通に行われてきた女性の環境が充実されないままになりました。もうそんな女性は終わったのに、それに気付かず専業主婦という病気を引きずっていることが大問題なのですと。
 この考え方と与謝野大臣は違うということですね。

○国務大臣(与謝野馨君)
多分違うんじゃないかと思います。

○山谷えり子君
第三次男女共同参画基本計画の中には、家族に関する法制の整備ということで、選択的夫婦別氏制度の導入ということもあります。事実婚とか一人親家庭、あるいは千葉景子元法務大臣は戸籍の解体が最終目標というようなこともおっしゃられていたわけですが、そうではなくて、社会の基礎単位は家族だという、これをしっかり軸に入れたいろいろな改革を進めていただきたいというふうに思います。
 ゼロ歳児保育に今幾らぐらい一か月掛かっていると思われていますか。

○国務大臣(与謝野馨君)
これは保育所入所児童の年齢別保育単価、月額でございますが、ゼロ歳児につきましては、標準的な地域でゼロ歳児で十六万三千百円でございます。月額です。

○山谷えり子君
国と都道府県と個人の負担で、全部で、東京のいろんな区によって違いますが、五十万円前後だと思います、一か月。

○委員長(松井孝治君)
答弁をお求めですか。

○山谷えり子君
はい。

○国務大臣(与謝野馨君)
例えば公立の保育所、それを造った費用、あるいはそこで働く人件費、そこに必要な水道、電気、ガスの費用、清掃費、その他もろもろのことを入れると、今先生が言われたような数字になる場合があります。

○山谷えり子君
施設整備、そういうことを言っているんじゃなくて、一か月のゼロ歳児の保育の月額、約五十万円前後なんですよ。
 それで、二〇〇八年の人口問題基本調査では、三歳まで子育てに専念した方がいいという方が四十代から六十代では九割なんです。私も三人子育ていたしましたけれども、おっぱいが出る間、あるいは子供が日々成長していくときには、別にお母さんがとは言っておりません、やっぱり家族的な誰か愛着の形成ができる方がそばにいらした方がいいというのは子育てを経験した人間は九割思っているわけですね。実は二十代、三十代の方も八割思っていらっしゃるんです。
 ですから、ゼロ歳児保育を無原則に増やしていくとか長時間保育を増やしていくとか、欧米でもそんなことはやっておりません。それは児童虐待だということで、むしろ育児休業とかあるいは再就職の支援とか短時間勤務、フレックスタイム、こうしたことをむしろ充実すべきであって、その辺の子育て、育児の面でも、いろいろな制度改革のときに是非頭に入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
今後考える重要な検討課題とします。

○山谷えり子君
一か月にゼロ歳児保育に五十万円ぐらい掛かって、じゃ、赤ちゃんは幸せですかと、きっとそうでもないだろうと思います。親は幸せですかと、そうでもないだろうと思います。むしろ家庭内保育でいかに支援していくかという、両方バランス、どうしてもゼロ歳児保育が必要な方もいらっしゃるとは思いますけれども、やはりバランス、それから人間性、人間が育つというのはどういうことかと、その視点からいろんなことを考えていただきたいと思います。
 事業仕分で残念ながらカットされてしまったんですが、教育再生のためのエビデンスを集めるための全国学力調査、体力調査、生活習慣調査、こういうのがございました。
 それで、学力も体力も高い県というのは別にがり勉をしているわけではないんですね。どういう特性があるかというと、三世代同居の割合が高い、それから地域の行事に、様々な行事に地域の皆様が連帯して参加している、あるいは、家庭の中でたくさんおしゃべりをしてテレビも余り長時間見ないで本をよく読むと、そういうような生活を、つまり、日本古来の落ち着いた情のあふれた生活をすることが子供にとっても高齢者にとっても家族にとっても地域にとっても幸せなわけですから、是非ヨーロッパをまねしまして立派な政策、形ですというのではなくて、むしろジャパンモデルをこの際打ち出していくんだと。十一人のお子さんをお産みになられた与謝野晶子さんのお孫さんとしていかがでしょうか、最後にもう一回。

○国務大臣(与謝野馨君)
お話はよく承っておきます。

○山谷えり子君
日本の財政状況についてお伺いいたします。
 政府の債務残高、中央、地方でどのぐらい今ありますでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
パーセントにいたしますと、一九九でございます。一九九・二でございます。

○山谷えり子君
政府の債務残高、お金です。

○国務大臣(与謝野馨君)
八百三十四兆円でございます。

○山谷えり子君
政府の金融資産はどのくらいありますでしょうか。米国債はどのぐらい買っているか、あるいは社会保障の基金積立てがどのぐらいあるか、全体の政府金融資産はどのぐらいでしょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
政府はもちろん金融資産を持っております。例えば、年金でお預かりしているお金はある種の金融資産でございます。百二、三十兆ありますけれども、これはどんなことがあっても手を付けてはいけないお金でございます。
 それから、大ざっぱに言って、外貨準備、これは百兆円ぐらい金融資産を持っております。これはドルの形で持っておりますが、これを使っていいのかというと、これを、そもそもドルを持っているのは、人から借りて買ったドルなので、借金と資産と両建てになっておりますから使ってはいけないというお金です。
 したがいまして、これから先生が政策をお考えいただくときに、政府の金融資産はゼロだと考えていただいた方が正解に近いと思っております。

○山谷えり子君
いろいろな統計の取り方、考え方だと思うんですが、政府の金融資産は今、五百四十九兆円ぐらいあると。その中には、米国債の百兆円ぐらいとか社会保障の積立金二百兆円とかあるわけでございますから、政府の純債務額としてはどのぐらいあると、引いてですね。いかがですか。

○国務大臣(与謝野馨君)
これは、世の中にバランスシートを大事にする人がいまして、片側に負債、片側に資産と、こういうことをやる人がいるんですけれども、政府の持っている資産というのは、ほとんど評価はできるけれども全くお金にならないと。
 例えば、成田空港を持っていると仮にしましても、それは相当な資産ですけれども、これはお金にならない。ですから、よく論者で、日本は借金あるんだけれども政府に財産があるんだから大丈夫だと、こう言う人がいるんですけれども、お金にならない資産というのは、実は金繰り上、資産ではないわけでして、それを当てにして物事を考えるということは私は間違いだろうと思っております。

○山谷えり子君
日本は、国債の九五%を日本国民が保有しております。また、円建てでございます。償還日には、日本国民あるいは子孫に返ってくるわけです。そして、政府の金融資産というのもあるわけでございますから、もっとバランスの取れた報道をしないと、若者たちは絶望感に打ちひしがれているんですよ。日本とギリシャと一緒だと思っているんですよ。
 それは全く違うんだと、日本では政府の金融資産というのはたくさんあるんですと、そしてまた国債の担い手もこういうことなんですと、ですから純粋な政府の純債務というのは全体の中央と地方の債務残高とは違うんですということを、全体をインフォメーションしないと、もう年金、医療保険も幾ら払ったって僕たちのころにはもらえないと、そういうふうな絶望感の中に今若者たちは投げ入れられている。
 そのやっぱり正しいインフォメーションの仕方で若者たちに希望を与えて、よし、これから国づくりしようじゃないかという気持ちにさせなきゃいけないんじゃないでしょうかね。

○国務大臣(与謝野馨君)
一時的な慰めの言葉を口に出すことはできますけれども、若者の持っておられる絶望感の方が現時点では私は正しいんではないかと思っております。
 今、国民の皆様方が国債について余り心配をされておられない二つの理由を是非私は申し上げたいと思うんですが、一つは、日本の国債が国内で消化されているという事実。それから、日本の国債の長期金利というものが一・二%から一・三%の間を行ったり来たりしているという現状。これはそう長く続かない話です。長期金利がいつ跳ねるか、長期金利がどうなるかということは、日本銀行でさえ操作できない水準でございます。
 それから、国内消化については、ある人の説によりますと、去年も今年も四十四兆の国債を出したと、その結果、国内で長期債に動員できる預金の残高、金融資産の残高は全て合わせて七十七兆しかもうないという、こういう悲観的なことを言う方がいますが、やはり日本の国債あるいは債務残高というのは危機的状況に来ている。ただし、長期金利が安いからみんながその痛みを感じていないだけだと、長期金利はいつでも上がってしまう危険性があるということをやっぱり自覚をして財政をやっていかなきゃならないと思います。
 ただし、我々がやらなければならない作業は、そういう若い方の絶望感や将来の希望が見えないというそういう事態をなくすということは、財政改革や税制改革の私は使命であると思っております。

○山谷えり子君
ギリシャと日本は全く違う、日本は世界の中でも世界一の債権国であると、絶望は愚か者の結論なり、絶望から希望は生まれないということで、やはりもっと希望を与えるような物の言い方をしていただければというふうに思います。
 蓮舫大臣にお伺いいたします。
 自殺者も出ました福島第一原子力発電所の農家の方の風評被害、深刻でございます。
 収束が今見えない状況の中で、自民党は、風評被害に負けるな、自民党では食堂で供する野菜に関し、各県のJAの協力の下、原発事故による風評で被害を受けている福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉県産品を積極的に購入していくことに決めました。農家の皆さんが丹精込めて育てた野菜を毎日党本部九階食堂でおいしく調理して提供します。議員、秘書さん方はもとより、官公庁の皆さん、報道関係者の皆さんも是非御利用ください。野菜、食材は安全なものしか流通していません。風評被害で困っている農家の皆さんの安全な野菜をいっぱい食べて被災地の皆さんを一緒に元気付けましょう。こういう具体的な取組を自民党はやっているんですけれども、もう少しこういうきめ細かい具体的な提言、あるいは汗をかきながら歩き回るということが必要だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(蓮舫君)
自民党が積極的に風評被害を止めるために自らの党本部の食堂で大変な御努力をしていただいていることは、私もこれはお礼を申し上げたいと思います。あわせて、民主党もできることをやっていく。もう党というよりも、今、国会議員みんなができることをやっていかなければ、生産者の方々が本当に困っておられる部分をどうやって救ってさしあげることができるのか、ここは知恵を是非出し合わせていただきたいと思いますが。
 消費者庁担当、そして食品安全担当の私からしますと、風評被害をどうやって防ぐのかは、まずしっかりとしたファクト、事実を出していく。この事実に基づいて、安全である、そして一時的な出荷制限あるいは摂取制限というものを掛けているものはこちらである、それ以外は大丈夫だというメッセージをしっかり出し続けていくことが大事だと思っています。

○山谷えり子君
積極的な行動が広がっていくようなひとつ工夫もお願いしたいと思います。
 ヤフーネットでは、東京電力の電力の使用状況の目盛りがずっと出ているんですね、今日は今八五%まで来ていますと。ああいうのを街の電光掲示板とかあるいは電車の中とか、あるいは蓮舫さんの記者会見の後ろとか、いろいろもっとやられたらいかがでしょうか。見える化です。

○国務大臣(蓮舫君)
計画停電を、そして並びに節電の御協力を国民の皆様方、東北電力管内あるいは東京電力管内の皆様方にお願いをするときから東京電力さんに特に強く要請をしていたのは、やはり見える化であると。委員御指摘のように、今電力需要がどれぐらいで、その日の供給力の上限は一体どれぐらいで、ここを超えてしまうとピークアウト、ブラックアウトといいますか大規模停電ということがあり得ますので、是非見える化をすることによって積極的な御協力をいただきたいということをお願いを申し上げて、ようやく東京電力のホームページにそのグラフというのが三十分ぐらいの時差で見えるようになって、ヤフーのホームページでは更にもっと分かりやすいグラフで、今何%電力需要がある、一〇〇%が供給力の上限であれば何%、なので皆さんもっと電気を消してくれ、あるいは暖房を一度下げてくれということができるんですが。
 更に分かっていただくために、今駅や通勤電車の車内にモニターといいますか、広告を流している映像であるとか、様々なものがございますので、そこに御協力を今呼びかけまして、至る所で今の電力がどれぐらい使われているかというのをお示しできるように最大限努力をしているところです。

○山谷えり子君
是非見える化を進めてください。
 それでは、文科省にお伺いします。
 被災した中には専修学校や各種学校もたくさんございます。施設の災害復旧事業にかかわる国庫補助、どうなっておりますでしょうか。

○政府参考人(板東久美子君)
お答え申し上げます。
 今御質問がございました専修学校の施設に関する災害復旧事業につきましては、御承知のように、私立学校全体につきましては、正規の私立学校につきましては激甚法に基づく法律補助の対象になっておりますけれども、専修学校についてはその対象からは外れているという状況でございます。しかし、阪神・淡路の大震災の際におきましては、これは予算措置、補正予算による補助といたしまして、学校法人立それから準学校法人立の専修学校につきまして他の私立学校と同様の措置をとったということがございます。
 こういった前例を踏まえまして、我々といたしましても最大限その補正予算の対応について政府部内の検討に努力していきたいというふうに思っているところでございます。

○山谷えり子君
是非一次補正に入るように頑張っていただきたいと思います。
 補助率についてはどうですか。二分の一ですか。三分の二に上げられますか。

○政府参考人(板東久美子君)
激甚法につきましては二分の一の補助ということになっておりますので、前回の阪神のときにもそれと同様の措置ということでございました。全体をどうするのかということについては政府部内でもいろいろな御検討があるというふうにはお聞きしておりますけれども、今の法律による補助と同様ということでございますと二分の一ということでございます。

○山谷えり子君
公立あるいは私立では三分の二に今度するというふうに聞いていますが、それに並ぶということはどうですか。

○政府参考人(板東久美子君)
ほかの私立学校と同じような措置がとられるように我々としては努力をしていきたいというふうには思っております。

○山谷えり子君
被災された学生さんの授業料減免についての国の補填、どうでしょうか。

○政府参考人(板東久美子君)
就学支援ということは非常に重要だというふうに思っておりまして、その一つといたしまして、奨学金の緊急貸与それから返還猶予などにつきましてはもう既に始まっているというところでございます。
 また、阪神・淡路の大震災のときには、授業料減免を行って経営上の措置が必要になっていると、支援が必要になっているというような専修学校を対象といたしまして、当時、日本私学振興財団の方から特別の融資が行われたというようなことがございます。
 一方、私立学校に対します補助制度というのが元々あった上にいろいろな減免措置に対する補助というのが行われているほかの私立学校と違いまして、一条校というふうに位置付けられておりません専修学校につきましては、残念ながら、阪神・淡路大震災におきまして、その授業料減免に対する国の補助というものは予算措置はされなかったという経緯がございます。
 今回につきまして、我々としても、専修学校の教育の重要性ということ、学生に対する支援の重要性ということがより理解が進みますように、政府部内の検討においても努力をしていきたいというふうに思っております。

○山谷えり子君
大学、短大、高専は国がするわけですね。専修学校、各種学校は非常に就職率も高い、地域密着型で、地元で就職して、地元で結婚して子育てをしてくれるということで、地域再生の物すごく大きな貢献をしてくださっているわけですから、是非、文部科学省頑張っていただいて、政府にその思いを伝えていただきたいというふうに思います。
 次に、法務副大臣にお伺いします。
 専修学校、各種学校、留学生が二、三万人おられますけれども、母国に帰国なさった方もいる。恐らく、慌てて再入国の手続等々せぬままにお帰りになられた、もう一度また戻ってこられて勉学を続けたい、そうした方々への配慮はどうなっていますでしょうか。

○副大臣(小川敏夫君)
今回の地震の直後に急遽帰国した留学生が多数ありましたが、その中で、再入国許可を受けないで、これ時間が掛かるものですから、帰国した人がおりますが、留学ですとやはり四月から新学期ということもありますので、再入国許可を受けないで帰国した人がまた入国する場合には、本来の再入国許可を受けている人となるべく同じような扱いをしまして、早期にスムーズに入国できるような手配をいたしております。

○山谷えり子君
震災で、福島の地検が三十一人、宮城が地検が三十人、容疑者を処分保留のまま釈放してしまったという報道がございました。釈放した容疑者の中には、強制わいせつあるいは窃盗、傷害、詐欺、覚醒剤等々の容疑者がいらっしゃるわけですが、これは釈放の理由はいかがでしょうか。

○副大臣(小川敏夫君)
釈放したのは事実でございますが、まず検察庁といたしましても、勾留している被疑者についてやはりその身の安全を考えるという義務は当然あるわけでございまして、被疑者だから何らかの災害に遭遇してもいいというわけではございません。この甚大な地震がありまして、まだ余震というものも報じられている中で、やはりそうした被疑者の安全も考えなくてはいけないと。
 それからもう一つは、大変この地震後の通信とか交通の状況が混乱しておりました。また、その地域全体がやはり救助とか復興とかいうことで大変に人が大変な状況にあるわけでありまして、捜査を行うためにそうした方たちを参考人として検察庁までお呼びいただくのも困難ではないかということで、捜査を継続するということが難しいと考えられる状況になりました。
 そうした中で、検察庁といたしましては、起訴できる者、釈放できない、これはしっかりと公判請求しなければならない者は公判請求して、そのまま身柄を勾留したまま安全な場所に移監するという措置をとりましたが、中では、起訴をしないで起訴猶予ということが見込まれる者、あるいは必ずしも公判請求しない、あるいは勾留していなくても、一旦釈放しても、在宅のまま、また追って捜査をして処分することができるというような者については可能な範囲で釈放しようと、このような選別をいたしまして、起訴すべき者は起訴し、そして釈放できると判断した者については処分保留のまま釈放したと、こういうことでございます。

○山谷えり子君
今の答弁違和感があるんですね。
 阪神・淡路大震災のときは他の管内に移送したわけですね。今回も岩手地検の場合は他の管内に移送をしているんですね。福島、宮城はなぜ処分保留のまま、強制わいせつ、窃盗、傷害、詐欺、覚醒剤、被疑者を処分保留のまま釈放したんでしょう。

○副大臣(小川敏夫君)
基本的には検察官の判断でございますが、例えば罪名、強制わいせつといいますと大変悪質な犯罪が想定されるような印象が受けますが、犯行の態様の中には必ずしも公判請求して処罰を求めなければならないというほどには至らないようなケースもございますので、罪名だけで、これは釈放することがけしからぬ、釈放しては、あってはならない被疑者たちであったということではないんでありまして、あくまでも、釈放しても在宅での捜査が継続できる、あるいはそのまま捜査継続しても公判請求には至らないと、このように判断した者について、検察官がその判断によりまして釈放したと、こういうことでございます。

○山谷えり子君
ちょっと納得できる説明じゃないんですが。福島の次席検事は、食料がなく、建物も壊れたら責任が持てないと、警察の日常業務に支障もあるからというようなことをおっしゃったんですが、これは事実ですか。

○副大臣(小川敏夫君)
その発言については承知しておりません。

○国務大臣(中野寛成君)
権限は検察にありますので、これについてはコメントいたしませんが。
 警察としては、食料、水、その他人道的、人権的な視点から全てきちっと賄っておりましたし、これからも必要とあればその体制を整えて応じます。また、移送をすることも当然のことながら必要に応じて考えるべきものと、そういう段取りは常に心掛けております。

○山谷えり子君
中野公安委員長の説明には非常に納得できます。
 今、中野国家公安委員長、治安状況あるいは防犯パトロールの状況はどうなっておりますでしょうか、被災地での。

○国務大臣(中野寛成君)
被災地において、いわゆる被災地ならではの犯罪というものが相当数発生しているということは事実であります。
 ただ、前年の同時期に比べますと、全体としての刑法犯はむしろ減っておりますが、ただ、被災地ならではの犯罪というのは、これは被害を受けた方のダメージも大きいですから、より一層強化をしていかなければならないという気持ちで心掛けております。
 例えば、違法行為の取締りを強化する、これは厳正に法律やその他のものを判断をし、より一層目を配らせるということ。それから、地域警察特別派遣部隊、これはもう被災地三県では賄い切れませんので、それ以外の県警察から今百八十八名投入をして、パトロールの強化、これはもう意図的に日ごろの警察官の制服そしてパトカーという、もう牽制効果と、それから被災者の皆さんの安心につながるということを兼ねまして、意図的に目に見える形でのパトロール等にも心掛けるようにいたしております。
 それから、関係事業者、業界、これは警備関係もそうですし、金融関係もそうですし、コンビニもそうですが、各業界の皆さんとの連携をより密にしながらその予防に努めているところでございます。

○山谷えり子君
もう一度文科省にお伺いしますけれども、介護、看護などの専門学校、指定養成校ですね、これ、例えば留学生の再入国の問題とかいろいろなことで、あるいは引っ越しなさった方々もいらっしゃるかもしれない。転校などでも定員がすごく厳しいと聞いていますし、あるいは実習先がなくなったとか、様々な変わった状況の中で学習を続けなきゃいけないという場合もあるわけですが、それはどのように対応なさっていらっしゃいますか。

○政府参考人(板東久美子君)
先日、三月の十四日でございますけれども、我々から専修学校を所管している都道府県に対しましては、様々な修学などについての弾力的な措置を講じていただくように都道府県を通じて専修学校などにも指導していただくように通知を出しているところでございます。
 そして、厚生労働省の方にも同じような取扱いというものをお願いをしておりまして、厚生労働省の方からも、今御質問ございました指定養成施設の関係につきまして、事務連絡ということで、先日同じような、いろいろな意味での特別の配慮、弾力的な取扱いが行われるような形での事務的な連絡をされているというふうにお聞きをしているところでございます。
 我々としても、できる限りそういった事態に合わせました弾力的な取扱いとか配慮が行われるように努めてまいりたいというふうに思います。

○山谷えり子君
最後にもう一度与謝野大臣にお伺いします。
 二〇〇七年比で、その後、金融ショックとかサブプライムローン、リーマン・ショック、いろいろあったので、イギリスはポンドを三倍資金供給、今の時点に比べるとですね、二〇〇七年時点と比べると三倍の供給拡大をしています。アメリカも二・五倍から三倍という資金供給の拡大をしているわけですけれども、震災後、日銀は十日間で十兆円の資金供給の拡大をしております。非常事態であります。こうした日銀のやっていることをどういうふうにお考えでございましょうか。

○国務大臣(与謝野馨君)
日銀は、伝統的な分野、非伝統的な分野、両方において、日銀の能力、精いっぱいのことを今回やってくださったと思っております。

○山谷えり子君
関東大震災の後、復興庁をつくって、復旧ではなく復興だといって本当に大きなグランドデザインの下に復興を成し遂げた日本国でございますので、そうした金融、お金の面も含めて予算については、本当にじっくり様々なことを検討していただきながら、いい補正予算を出すように努めていただきたいと思います。
以上です。