国会での活動報告詳細

2011年4月15日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

○山谷えり子君

 自由民主党、山谷えり子でございます。
 内閣の皆様、連日御苦労さまでございます。枝野官房長官にお伺いいたします。
 福島の原発事故、四月十二日、チェルノブイリ事故と同じ最も深刻なレベル7というふうになりましたけれども、官房長官は三月下旬には知っていたというような、記者会見でおっしゃられた。事実関係を言いますと、三月二十何日、二十三、四日ぐらいにはもう分かっていたんじゃないかというような報道もありまして、なぜ四月十二日のタイミングになったんでしょうか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 正確に申しますと、レベル7に該当するのだということについては、発表の前日に報告を受けて初めて承知をいたしました。
 記者会見で申し上げましたのは、このレベル7になぜ該当するのかというのは、数万テラベクレル単位での放出が認められたと。今回は、保安院の計算だと三十七万、安全委員会の試算だと六十三万でありますが、この安全委員会において、この数万単位の放射性物質が放出をされている可能性があるという報告は三月の段階で受けていたということを申し上げたものでございます。
 これについては、記者会見でもお話を申し上げたんですが、三か所の放射性物質、周辺地域放射性物質のその量を測定をして、そしてそれをSPEEDIという機械、シミュレーターに掛けた。本来、SPEEDIというのは、どれぐらいの放射性物質が出ているのかということがはっきりすると、それと気候とに合わせて、どこにどう拡散しているのかというのをシミュレートする装置だそうでございますが、そういう装置があるならば、逆に、周辺部分の放射性物質の量が分かれば、逆算をしてどれぐらい出たのかと推測できるのではないかと申し上げましたら、そういう逆算をするとこれぐらいになりそうですということでの報告を受けました。
 それは、じゃ、そういったことはどれぐらい確からしいのかということを伺いましたら、それは、どれぐらい確からしいかということについてはまだ何とも言えないという報告でございました。ということを申し上げたものでございます。

○山谷えり子君

 いえ、報道では、三月十五日に最大で毎時一万テラベクレルの放射性物質の放出があったと、数時間。レベル7というのは、数万テラベクレルというのが基準になっていますよね。もう三月十五日だけでも毎時一万テラベクレルの放射性物質の放出があったと。しかし、三月十八日にレベル4から5にして、そしてレベル7まで変えるのに四月十二日。なぜ公に認めるまでに一か月も掛かったのかとニューヨーク・タイムズなんか電子版で報道しているわけですよ、各国もですね。もう結局、内外の不信感を高めたんですね、これによって。
 そして、放射線の量はアメリカも測っております。ですから、アメリカが各国際機関にも知らせていますから、外圧があったんじゃないんですか、日本は。それから、選挙が終わったからじゃないですか。それから、更に避難地域の拡大しなきゃいけない事態が考えられているのかもしれない、そのための根拠としてやったんじゃないんですか。いかがでしょうか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 まず、これは先ほど申しましたとおり、三月の段階で私が報告を受けたのは、数万単位ということの放出がされている可能性があるという報告を受けました。その折だったかどうかは正確に記憶をしておりませんが、とにかくどれぐらいの放射性物質が原子力発電所から出ていたのかということについてはいろいろなやり方をしてできるだけ早くある程度の確からしい推定をしないといけないのではないかということは申し上げてきておりますが、じゃそのどれぐらいの量が出てきたと確からしい推測ができるのか、あるいはそれに基づいてレベルが5なのか6なのか7なのかということについては、それぞれ専門機関である安全・保安院と安全委員会の方に早く放射性物質の放出量についての確からしい推測をしろという指示は出しておりますが、それ以外、政務の方では一切何らかの指示とかサジェスチョンをしたことはございませんので、政治的な配慮に基づくものでは全くございません。
 客観的にある程度の確からしい数字が出てきたので、それで、そうするとレベル7に該当するので、そのことを含めて公表したいという報告が上がりましたので、分かりましたといってそれを了承したものでございます。

○山谷えり子君

 安全委員会の方では放出された放射性物質の量が六十三万テラベクレル、これ、十六ゼロが付くということなんですけれども、それから保安院の発表では三十七万テラベクレル。余りにも発表の数が違うんですね。これ本当に、レベル7に上げた遅さも含めて、両方の機関による発表の数値も含めて、余りにもめちゃくちゃなんで国内外に不信感を高めているだけだと私は申しているんですが、なぜこんなに、理由は分かりますよ、大気中のあれで測ったのと原子炉の損傷から測ったと。しかし、そんなのは専門家の言い訳にしかすぎないんですよ。国民には全く通じませんよ、こんな二倍近い三十七万と六十三万。
 官房長官、これはおかしいじゃないかってたださなかったんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 それぞれの専門家がそれぞれの手法を使ってこれが確からしい数字であるということで報告を受けました。逆に私などが、これでは分かりにくいから、それぞれの専門家が違う手法で出てきた数字をそこで加工をしてどちらかにそろえるとか、それこそ足して二で割るということはあり得ないと思いますけれども、というふうなことをしてはいけないと私は逆に思いました。それぞれの専門家が専門的にまさに出してきたもので、それぞれがそれについて確からしいということであれば、そのことについてはしっかりと国民の皆さんに公表する、政府として何らかのことを隠したりあるいは加工したりということはないということが私は大事だと判断をいたしました。

○山谷えり子君

 アメリカが毎日放射線量を測っていますが、アメリカの発表というか、どのぐらい累積していると報告あったんでしょうか。

○政府参考人(久木田豊君)

 お答え申し上げます。
 米国のDOEの航空機サーベイというものが系統的に行われておりまして、それによる線量率の結果というのは、文部科学省等によって行われております地上での線量率の結果と整合する結果であるというふうに理解しております。

○山谷えり子君

 ですから、幾らなんですか。
○政府参考人(久木田豊君) 米国においてはここで問題にしておりますような放出量の評価というものはまだ行っていないというふうに理解しております。

○山谷えり子君

 おととい、ウィラード・アメリカ太平洋軍司令官が上院の軍事委員会で日本の原子力発電所の事故についていろいろな意見をおっしゃられましたが、枝野官房長官はこの報告は受けていますでしょうか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 詳細な報告は受けておりません。必要なことがあれば報告されているものと思っております。

○山谷えり子君

 まだ報告は受けていないということですね。

○国務大臣(枝野幸男君)

 少なくとも私は受けておりません。

○山谷えり子君

 アメリカは毎日放射線量を測っていて、画像も日本に送っていると。無人偵察機、航空機で毎日日本と外国機関にいろいろな情報を送っている。それから、海兵隊の放射能専門部隊を百五十人派遣しているけれども、日本から更に求めがあれば応じる能力があるとおっしゃられているんですけれども、これについて官房長官は報告まだ受けていないんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 その御発言についての報告は特段受けておりませんが、アメリカ側において今おっしゃられたような御支援をいただいていること、こちら側で支援の必要があれば更に御支援をいただけるということで、実務レベルで、これ二日に一遍だか三日に一遍ぐらい日々折衝というか御相談をしているという報告はいただいております。

○山谷えり子君

 二日か三日に一遍、誰と誰がどういう場所で、正式の名前というのはどういうんでしょう。

○国務大臣(枝野幸男君)

 これは、私が直接申し述べるというよりは、多分経産省からお答えをいただいた方がいいのかもしれませんが、アメリカのNRC、原子力規制委員会、それからFCMT、海外被害管理チーム、DTRA、国防脅威削減庁、それからDOE、エネルギー省の皆さんと我が国の原子力安全・保安院、それから原子力安全委員会の関係者、それに外務省や防衛省等の関係者も加わって協議をしていると報告を受けております。

○山谷えり子君

 政治的リーダーシップが必要だと思います。アメリカは核戦争に備えて様々なノウハウを御存じなわけですから、官房長官が大づかみのところをやはり情報をすぐに知る必要があると思います。そして決断をして、どのように収束させる方法があるのか、今現在どうなっているのか、是非官房長官がここら辺にかかわって私はリーダーシップを取っていただきたいというふうに思います。
 ところで、レベル7に上げたとき、例えば福島県知事にどのような形でいつ伝達なさいましたか。

○副大臣(松下忠洋君)

 三月十八日にレベル5ということで、そのときに得られた情報を基にした水準をこれは直ちに報告をしております。
 あと同時に、四月十二日に保安院と安全委員会が同時に公表したというその時点で連絡はしてもらっています。

○山谷えり子君

 これ、地元の福島県の新聞なんですが、深刻度チェルノブイリ級、事前になぜ連絡がないのか、知事が不快感というふうに言っていらっしゃるんですが、これはどうですか。

○副大臣(松下忠洋君)

 いろんな状況の中からそれぞれの段階でいろいろな通報があったんだと思いますけれども、そういう感情を持たれたことについては大変申し訳なく思っております。

○山谷えり子君

 その日の夜に県の災害対策本部の会議で佐藤雄平知事は、再三再四お願いしているが発表前になぜ教えてくれないのかと、こういうことを言っているんですね。
 先ほど枝野官房長官は、汚染水の放出、海への放出、それ四月四日にあったわけですが、実は、海外への、あるいは担当の自治体あるいは漁業組合、事後になってしまった、こういうことがないようにもうしっかりとやるんだって言った、これが四月四日ですよ。四月十二日にまた同じことをやっているんじゃないですか。ちっとも言うこと聞いていないじゃないですか。枝野官房長官、何をなさったんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 先ほどの御答弁の中でも、水の放出のときに指示を出しました。その後、残念ながら必ずしもそれが徹底していないということを含めておわびを申し上げたものでございます。
 この点についても、結果的に福島県知事がそういった印象を持たれたということは間違いないわけでございまして、当然のことながら、こういった情報でございますので、どれぐらい事前に御報告できるのかということはあろうかというふうに思いますが、少なくとも事前に報告がされていたという認識を知事さんに持っていただける段階で報告をすべきであったというふうに思っておりますし、なぜそれができていなかったのかということについては今検証しているところでございます。

○山谷えり子君

 政府には十九から二十の会議が震災後できました。反省してくださるのも会議を開くのも結構なんですが、指揮系統が複雑で役割分担の調整もできていなくて、官邸の記者たち複数からお聞きしましたが、とにかく菅総理はヒステリー、それからイエスマンばかりを周りに集めて癒やしていると、それから東電、保安院に情報統制しているかのようで、総理は何事も決断、決裁できないと、こういうことを言われているわけでございます。また、西岡参議院議長、いつまで会議をやっているのかと、本当にそうだと思いますよ。
 既にもう日本の最強のシンクタンクである各役所があるわけですよ。計画停電するときだって、菅総理が俺がやると言って、計画停電の発表が二時間遅れたというじゃないですか。しかも、各省の課長会議も開いてないと思いますよ。だから、国土交通省の鉄道局なんて怒っているわけですよ。医療関係者も怒っているわけですよ。自民党政権の時代でしたら各省の課長会議開きますよ、当然。こういうことをやるんだけれども、どのような、リスクを少なくするためにどうしたらいいか、やりますよ。そういうことをやるべきであって、新しいいろんな方たちを、お友達呼んできて会議開いて、そんな場合じゃないんですよ、今。本当にしっかりやっていただきたいと思います。
 医療関係者からも薬がないないって、直後、いろんなことがあった。政府に言っても厚労省に言っても問題ない問題ない問題ない。結局どうしたと思いますか。米軍の飛行機で運んでもらったんですよ。
 これ、天災ですけど今人災に、内閣の失敗続きで人災になっている。これに対して国民は、危機的な状況だから菅総理替えるべきじゃないという思いをずっと持っていましたけれども、こういう状況だから菅総理に替わってもらわなきゃと、とても復興できないんじゃないかと、そういうふうに今気持ちは変わりつつあるんです。その結果が統一地方選の結果だったんじゃないですか。枝野官房長官、いかが思いますか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 実際に、震災そして原子力発電所の事故において、多くの皆さんに大変な御苦労をお掛けしております。そういった意味では、様々な御批判があることは当然だと思っておりますし、それを真摯に受け止めなければならないと思っております。
 ただ、今おっしゃられた中で幾つかは是非反論をさせていただきたいと思っておりますが。
 総理の周辺にイエスマンばかりというのはこれは全く逆だと思っておりまして、仙谷副長官にしろ私にしろ、菅総理に対しては、率直に申し上げて、ここで、外で申し上げるべきではないと思っておりますが、少なくとも相当厳しいことを二人又は少人数のときは申し上げてきております。
 それから、計画停電を始めとして会議体はたくさんつくりました、いわゆる本部はたくさんつくりました。しかし、その本部をつくったことの一番の意味は、まさに各省庁間の連携をしっかり取っていただく、その省庁間の連携をしっかり取っていただくに当たって、そのテーマが多岐にわたっております。それぞれ、その都度その都度で関係省庁の連携を取るとか、あるいは局長級とか次官級のところで全部の案件について処理するということができないということを前提にして、それぞれのテーマごとに関係省庁の連絡会とかあるいは関係省庁の方々に集まっていただいたチームをつくるとか、そうしたことがそれぞれチームとか本部をつくっていることの主たる要因でございまして、したがいまして、何とか本部とかたくさんありますが、その会議はほとんど逆に開いておりません。ポイントポイントでしか開いておりません。
 むしろ、御指摘いただいたとおり、それぞれのつかさつかさの役所の、官庁の皆さんが力を発揮していただくための省庁間の連携を事務レベルでもしっかり取っていただく、そのことをしっかりとこの間、中心に置いて対応をしてきているということは申し上げておきたいというふうに思っております。

○山谷えり子君

 そういう認識は結構ですけれども、でも役所の皆さんが萎縮しちゃって意見上げてこれないんですよ。こういう現実をもう少し率直に謙虚に認められたらいかがかと思います。
 ところで、大連立の話、菅総理が谷垣自民党の総裁にお電話を掛けられましたけれども、この話はいつお聞きになられましたか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 報道で存じております。

○山谷えり子君

 どう思われましたか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 これは時々会見でも申し上げておりますが、平時においては、官房長官の役割の一つは、与党あるいは野党の皆さん含めて、国会との内閣としての連携調整のいわゆる一種の窓口という役割があろうかなというふうに思っておりますが、三月十一日以降、それぞれの省庁も大変でございますが、内閣官房としても震災対応とそれから原発事故対応で平時と比べたら桁違いのやらなければならない仕事があるということの中で、野党の皆さん含めた国会との対応については、これは、総理は与党の党首でもございますので、与党の党首としての役割も果たしていただかざるを得ない部分があるかと思っておりますが、そうしたことについては党の方のしかるべき皆さんに私の平時であれば果たすべき役割含めてお任せをしている状況でございますので、お任せをしている立場でコメントをするべきではないと思っております。

○山谷えり子君

 菅総理が谷垣総裁に電話をしたというのは、与謝野大臣を一本釣りしたかのように、これは大連立でも何でもなくて一本釣りの話ですね。しかも、自民党、最大野党にそのようなことをするのは非常識極まりないという認識を菅総理自身がお持ちになれていないということは、これは非常にびっくりします。大連立というのは政党同士の話、党首同士が練りに練って政策をどうする、そうしたことを経て始まる話でありますので、菅総理は本当に冷静な判断能力すら失われていらっしゃるんじゃないかなと恐らくこの報道を見て多くの国民はそう思われたと思いますよ。今の弁護士さんのような答弁はちょっとよく分かりません。官房長官としてどうですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 総理と谷垣総裁がお電話で話をされたということについては報道でも承知をいたしておりますが、お二人の間でどういったやり取りがあったかということについては、私、総理から特段の報告受けておりませんし、例えば新聞紙上等では、例えば大連立とか、いろいろな言葉躍っておりますが、例えばそうしたことに備えての官房としてやるべき準備等の指示等も一切受けておりませんので、何ともコメントのしようはございません。

○山谷えり子君

 今月中にも出される第一次補正、復興をしなければいけませんから、与野党協力してそれは審議していかなければならないというふうには思っています。しかし、考え方、ビジョン、青写真、一緒に作ろうじゃなくて、まず政府の方からきちんと青写真の下でこの第一次補正があるんだというような説明がなくて、いきなり一本釣りのような未熟なものを持ちかけられても非常に困るということをもう少し分かっていただきたいと思います。官房長官は、でも、これについて総理に何かおっしゃられたんじゃないですか。やり取りは、会話はなかったんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 それについての直接の総理からの御指示とかございませんし、私も尋ねておりません。ただ、私の立場からは、今お話しいただきました、この後第一次補正それから震災対応の緊急にやるべき立法等がございます。これについては野党の皆さんの御協力をお願いしなければなりませんので、そのことについては野党の皆さんに十分な御議論をいただき御理解をいただくための準備、段取りが必要でありますよということは申し上げました。そして、それについては、官房でやるべき仕事とそれから与党、党の側にお願いをすべき仕事とございますので、そのことについては、例えば主に官房副長官と国対委員長等などの間で連絡を取らせていただいて、できるだけ、至らない点多いかと思いますけれども、野党の皆さんにしっかりと御検討いただき、できるだけ御協力いただけるよう、内閣として更に努力をしてまいりたいと思っております。

○山谷えり子君

 官房長官あるいは仙谷官房副長官は相当言いにくいことも総理に、この平場では言えないけど、言っているというふうにおっしゃられましたけれども、こういう肝心なことを全く話もしないって、一体何を話しているんだろうというふうに思います。
 ところで、自衛隊の皆様あるいは消防の皆様が福島の原発の事故で本当にたくさん働いていてくださっております。原発の事故の周辺でお泊まりなさっていらっしゃる方、あるいは、主にそれは東電関係者だと思いますが、それから近くの体育館、あるいはJヴィレッジという二十キロ離れたところ。このJヴィレッジで、ホテルのようなお部屋があるわけですが、そこに入らせてもらえないで床や広間に寝かせられていると。これはどういうことなんでしょうか。

○委員長(松井孝治君)

 どなたがお答えになりますか、政府側。

○副大臣(松下忠洋君)

 そういう事実を私自身は確認しておりませんけれども、津波による大きな影響、下水施設、水道施設、これは全部壊滅しておりまして、あの地域でたくさんの方たちが活動をしておられますけれども、全員が大変不自由な生活をしておられます。一体になって、一緒になってやっていこうという気持ちの中でしておられるんだろうと私は思っています。

○山谷えり子君

 これはもう報道でもされておりまして、私自身も確かめたことでございます。お部屋に入れてもらってないんです。数百人いらっしゃいます。是非一日も早くお部屋に入って、ちゃんとベッドがあるわけですから、そこでお休みになれるように取り計らっていただきたいというふうに思います。
 それから、風評被害は自治体が受けられるわけですが、企業からいろんな、農産物は農産物であります。工業製品に関して企業からいろいろな相談がある、自治体がいろいろそれを受けてということですが、今自治体でそのようなことをできるような状態にはありません。是非経済産業省でフォローをしていただきたいと思います。
 また、食品に関しては食品衛生法や放射性物質の暫定規制値などがあるんですけれども、実は工業製品、木材のいろんな加工品も含めて、ないんですね。これ、早急に作らなきゃいけないんじゃないでしょうかね。いかがでしょう。

○委員長(松井孝治君)

 政府側、どなたがお答えでしょうか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 それぞれについての安全規制値、それぞれの主務官庁が基本的には所管をいたしますので、木材なら農林水産省になろうかなというふうに思っておりますが、それぞれのところで風評被害等を防ぐために必要な対策を取るように御指摘を踏まえて指示をいたします。

○山谷えり子君

 木材の加工の一般的な工業製品ですから経済産業省です。ですから、是非作っていただきたいと思います。

○副大臣(松下忠洋君)

 風評被害も含めて、工業製品そのものについても内外いろんな問題を抱えております。
 そういう中で、二十キロから三十キロ圏内に七千ぐらいのいろんな企業が入って集中しているわけですけれども、それがほとんど動いてない状況になっているという中で、やっぱり生産活動そのものも動いていませんので、いろいろな必要なものをどこからどういうふうに調達してくるかということも大変大事なことでございまして、これも真剣に今全力を挙げてやっているところでございます。

○山谷えり子君

 基準作りですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、大震災の悲しみの中にある我が国の状況の中で、韓国は今、竹島への不法占拠強化に着々と手を打っているんですね。
 昨日、竹島の横一キロに十五階建てぐらいの海洋基地を造るという、この入札が行われましたけれども、官房長官はどのように報告を受けているでしょうか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 そうした話が出ているということについての報告は受けております。

○山谷えり子君

 まさに震災があった後にヘリポートの改修工事が始まって、竹島における、五月に竣工予定です。それから、住民の宿泊所、今老夫婦二人と軍人が三十人前後そこにいるんですけれども、四十人民間人が泊まれる宿泊施設を五月にも竣工予定と、ここに移り住めばお金がもらえるというような状況になっています。そして、海洋科学基地が、昨日、工事が入札されました。
 それから、今、韓国の方たちは観光旅行に行っていらっしゃるんですが、竹島に、二十分ぐらいしか歩けないと、本当に手前のところしか。それをもっとゆっくり観光できるようにということで、水中庭園と展望台、防波堤が建設されようとしていて、基本設計を今年にやるということでございます。
 こうした一連の流れの中で、昨日報告を受けたわけですが、官房長官は、そうか、分かったと言っただけなんですか。どのように反応なすったんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 竹島問題に関する我が国の立場は、御承知のとおり、一貫をしてきているところでございまして、これまでも外務大臣を含め、韓国側の一連の措置についてはあらゆるレベルで累次の機会に韓国側には強く申入れをしてきているところでございまして、それぞれの対応に、韓国側の措置に応じてあらゆるレベルでしっかりと我が国の主張を伝えるということについて強い姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。

○山谷えり子君

 四月五日にこの工事の着工について佐々江事務次官は抗議をなさいましたが、韓国は聞きおくという態度でございまして、外務大臣自身は抗議をしておられません。
 小泉内閣時代に、竹島の沖合で海流調査をするということがございました。そのとき、海上保安庁が巡視船を出しました。当時、小泉内閣、安倍官房長官、麻生外務大臣でした。麻生外務大臣はしっかりと向こうの外務大臣に抗議し、事務次官レベルでの会議も開き、協議の場をつくったんです。それでストップしたんです。そういうことを言っているんです。官房長官のリーダーシップが必要です。いかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 竹島問題については、日本国として、日本国政府として、我が国の主張、我が国の立場をしっかりと踏まえて対応してまいりたいというふうに思っておりますし、どういうやり方がこの問題の解決、我が国の主張をしっかりと、我が国の立場をしっかりと確保していく上で重要であるのか、効果的であるのかについては、御指摘も踏まえながら、外務省を中心に官房の方もしっかりと連携を取りながら更に努力をしてまいりたいと思っております。

○山谷えり子君

 外務省じゃないんですよ、政治なんです、国を守るのは、そして官邸が、総理、官房長官がきちんとリーダーシップを取って閣僚会議を設定しろと、協議の場をつくれと、そういうふうに外務省に言ってやらなきゃ動けないですよ、役人が。何考えているんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 外務省と申し上げたのは、外務大臣始めとする政務三役も含めて外務省と申し上げております。

○山谷えり子君

 その外務大臣が何も抗議していないんですよ。

○大臣政務官(菊田真紀子君)

 御質問ありがとうございます。
 この竹島問題についてでございますけれども、我が国の立場は一貫しておりまして、これまでも大臣レベルを含めまして、韓国側の一連の措置についてあらゆるレベルで累次の機会に強く申入れをさせていただいております。直近では、四月一日に松本大臣から権哲賢駐日大使に対しまして竹島に関する我が国日本側の立場を強く申入れをさせていただいております。

○山谷えり子君

 それは教科書問題に関してであって、工事のことじゃないんじゃないですか。

○大臣政務官(菊田真紀子君)

 一連の日韓の間にある様々な問題についても申入れをさせていただいております。

○山谷えり子君

 それでしたら、そういうふうにプレスで発表してください。プレス発表はそうなっていませんからね。だから、そんなこと言っていないんじゃないんですか。
 外務省はホームページに、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土です。韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であると書いてあるわけですが、このとおりですよね、外務省のホームページどおりですよね、政務官。

○大臣政務官(菊田真紀子君)

 そのとおりでございます。

○山谷えり子君

 官房長官、不法占拠されているんですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 従来から申し上げているとおりでございます。

○山谷えり子君

 不法占拠という言葉を使って今の答弁をやり直してください。

○国務大臣(枝野幸男君)

 我が国の立場は一貫して変わっているものではございませんで、正当な根拠なく支配をされている状況にあるということで、先ほど外務省のホームページの記載もおっしゃられましたけれども、いずれにしてもこうした認識に立っているということでございます。

○山谷えり子君

 そうしますと、官房長官も不法占拠という認識でいいわけですね。

○国務大臣(枝野幸男君)

 ですから、竹島の置かれている状況についての我が国政府の見解は全く変わっておりません。

○山谷えり子君

 見解が変わっていないが、表現方法が変わったということですか。不法占拠という言葉をもう一度お使いになりながら答弁をお願いします。

○国務大臣(枝野幸男君)

 答弁でございますので、どういう表現をするかは私が判断をさせていただきますが、我が国の見解はホームページに載っている表現も含めて、我が国の立場というのは一貫して変わっておりません。

○山谷えり子君

 鳩山総理、岡田外務大臣のときから、不法占拠ということを総理、官房長官、外務大臣、この方たちが言われなくなったんです。法的根拠のない形で支配されているというふうに表現を変えたんですよ。これは、何か密約のようなものが日韓の間であったんじゃないか。そして、そういった態度を取るから、竹島は今実効支配が着々と強化されているんですよ。そういうふうには認識されないんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) それ以前も、多くの場合は私が申し上げているような表現で申し上げてきているケースが多いと、国会議事録等によるとなっておりますし、また、それ以外の表現を、先ほど申したとおり、私は否定はしておりません。

○山谷えり子君

 それ以前というのは、自民党時代は不法占拠と言っておりましたので、民主党政権になってから不法占拠という表現が使われなくなったということでございます。
 いずれにしましても、閣僚級の協議の場をつくってほしい、事務次官レベルの協議の場をつくってほしい。
 それから、枝野官房長官もできることがあります。こういうふうに、宿泊施設、ヘリポート、それから海洋基地の計画、防波堤、水中庭園、展望台、こうした写真を見せながら記者会見なさったらいかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 官房長官は一般的には政府のスポークスマンというような言われ方もしておりますが、基本的には我が国の、それは政務三役も含めた行政は各省各省ごとの分担管理の原則の下で行われております。内閣官房においてはその総合調整を行う機能を命じられているところでございます。総合調整の必要があるケース等については私が記者会見で発表することになりますけれども、基本的にはまさに外交問題というのがこの問題の中心部分でございますので、そうした見地から外務大臣において対応をしていただいているというふうに認識しておりますが、当然、必要に応じて、必要があれば私のところで対応させていただきます。

○山谷えり子君

 領土を守るのは国の仕事、国家主権の問題です。基本です。官房長官がやらなければならないんです。記者会見してください。

○国務大臣(枝野幸男君)

 お気持ちはよく分かるんですけれども、だけど、ここは内閣官房の役割とは何なのかという話であって、国家主権の問題とも、日韓、竹島の問題と私は直接はかかわらない話だと思っておりまして、私は、基本的には、いい悪い別としても、今の制度の中では、基本的には各省の分担管理原則の下で我が国の行政システムというのができています。重要なことだから何でも内閣官房がやるべきだということになれば、内閣官房が全ての省庁の仕事をやることになってしまいます。それはまさにおかしな話になってしまいます。
 したがいまして、内閣官房は、基本的には省庁間、内閣の中の調整を行うというのが内閣官房の仕事でございまして、そういった意味では、重要だから内閣官房がやるべきだというお話は私はちょっと違うというふうに思っております。

○山谷えり子君

 これは最重要問題ですから、やるんです、内閣官房が。官房長官がやるんです。それが分からない、そういう内閣だから国民は不信感を高めているんですよ。国を平気で売るようなことを今官房長官おっしゃられているんですよ。その自覚がないんですか、理屈は、へ理屈はぺらぺらおっしゃるけれども。いかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 今のような御発言は失礼だと思います。国を売るような発言を私はしておりません。
 まさに我が国の領土の問題として、竹島の問題は大変重要な問題であるというふうに思っております。これについては全く我が国の政府としての立場は揺らぐものでございませんし、その我が国の主張をしっかりと通していくために最善の努力を今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。
 そのことと内閣の中における行政分担の仕事とは、それは次元の違う話であって、重要問題であるかどうかということと内閣官房の所掌事務であるかという話は全く次元の違う話だというふうに私は思います。

○山谷えり子君

 竹島の周りで韓国が実効支配を強化しているという事実を国民に知らせてくださいということを言っているんですよ。それをしようとしないと言っているから、それはどういうことですかと言っているわけでありまして、是非、記者会見で国民に、あるいは内外共に、あるいは国連の場で外務大臣に言ってくださいとお願いしてもいいでしょう、とにかく対策を考えていただきたいと思います。いかがですか。

○国務大臣(枝野幸男君)

 この問題に対して国民の皆さんに対する周知、啓蒙、重要であると思っておりますし、また、政府を挙げてこの問題に取り組んでいかなければならないと、その御指摘には全く同感でございまして、そのために内閣官房としてやるべきことはしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。

○山谷えり子君

 竹島は我が国の固有の領土ですって我が国の立場を説明していたって何にもならないんですよ。今、具体的な行動が起こされているから、具体的な行動を起こしてくださいと言っているんです。
 北方領土には十一・八億円付いています。竹島には二千三十一万円しか付いておりません。これ、竹島の日を制定して、北方領土の日はあるわけですから、制定して、予算も付けて、そして、まず、何より官房長官は発信力がおありになられるんですから、是非記者会見をして、国民にこの事実を知っていただくような努力をして、国を守る、そういう立派な官房長官のお務めを果たしていただきたいと思います。
 文部科学省にお聞きします。
 韓国政府、この四月に、竹島に関する、独島は韓国のものであるという副教材を小学生にばっとみんなに渡しました。それ、手に入れられましたか。

○大臣政務官(笠浩史君)

 いえ、私の方、役所としては手に入れておりません。

○山谷えり子君

 韓国の日本大使館には文科省から出向していますね。ですから、是非副教材を手に入れてください。それから、韓国でどのように学習指導要領、教科書、なっているかというのも手に入れてください。
 それから、韓国政府がこの四月に日本の自治体や先生たちと連携して中学の教科書の不採択運動をするということを言っております。しかし、今回検定に合格した中学の教科書には全て竹島は日本の領土だって書いてあるわけですよね。そしたら、不採択運動、全ての教科書が採用できない。これ、もう内政干渉ですし、とんちんかんな主張と言わざるを得ないと思います。
 六年前の平成十七年、中学校の採択の年でありました。この年にも韓国から、日本の自治体の首長あるいは教育委員会にそういう教科書、竹島は日本の領土だと書いてある教科書は不採択にしろというような物すごい手紙があったんですね。そして、日教組の強い地域では、教育委員会がそういう手紙をずらずらずらずら読んで無言の圧力を掛けてきたわけです。そして、自民党政権は、これはおかしいじゃないかと声を上げ、当時の政府ももちろんおかしいということで様々なヒアリングをいたしました。山口県では、全市町、百八十二のところに韓国から手紙が送られてきたんですね。それから、いろいろなヒアリングも行いました。広島県や和歌山県、愛媛県、大阪府等々、ヒアリングを行いまして全国調査を行ったんです。
 私は、三月八日、高木文部科学大臣に予算委員会の場で、調査をすべきではないかというふうに申しました。そのとき高木文部科学大臣は、我が国の自立と自主の中で教育行政は行われるべきだと立派な答弁をなさったんですが、その後、四月に韓国政府が不採択運動を繰り広げるんだと言っているわけですね。今繰り広げられているのか、あるいは調査をどのような形でしようとしているのか、教えてください。

○大臣政務官(笠浩史君)

 今のところ具体的なそうした韓国政府による、あるいは関係の団体等々によるそうした運動が行われているということは承知をしておりません。
 ただ、今後、様々な立場から今御指摘のような意見が表明される、あるいは動きがある可能性もあるかもしれませんので、私どもは四月七日付けで、現在、この中学教科書の採択に入った、採択のプロセスに入ったところございますけれども、各都道府県教育委員会に対して、十分な調査研究を行い、採択権者の権限と責任の下、公正かつ適正に採択を行うこと、また、外部からの不当な影響などにより公正かつ適正な採択の確保に問題がある場合には、適切な措置を講じるとともに、国に対してしっかりと報告をすることなどを通知を出しておりますので、この採択は八月にかけて行われますので、しっかりと状況の把握に努めながら、必要に応じて指導もしてまいりたいというふうに考えております。

○山谷えり子君

 そういう通知だけでは日教組の強い地域は教育委員会が文部科学省に上げられないんです、案件を。ですから、文部科学省の方からヒアリングをしていかないと駄目なんですね。
 笠さん、せっかくですから、チーム長になられてそれを是非やってください。いかがですか。

○大臣政務官(笠浩史君)

 どういう形の調査かということは別といたしまして、私もそういう責任感を持ってしっかりとチェックをしながら公正な形で採択が行われる環境づくりをしていきたいというふうに思っております。

○山谷えり子君

 本当に連日、枝野官房長官の体力には本当に敬意を表しますけれども、しかし、真のリーダーシップとは何か、そして国民の信頼を得るためには何をすべきか、あるいは海外からの信頼を受けるためにはどのような情報発信をしなければいけないのか、しっかり肝に銘じながらやっていただきたいと思います。
 そして、特に竹島の問題では、国を売るようなことにならないように緊張感を持って積極的にこちらの方も、まさに今の時期を狙ってやってきているわけですから、頑張っていただきたいと思います。
 ありがとうございました。