国会での活動報告詳細

2011年4月21日
【委員会 質疑】 参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 拉致被害者の家族会、救う会がつくられて長い長い年月がたちました。また、この度の東日本大震災で、救う会で救出活動をなさってくださっていた方々、まだ連絡が取れない方たちもいらして本当に心を痛めているところでございます。
 冒頭、松本外務大臣に、東日本大震災で政府が菅総理の名前で百三十四の支援してくださった国や地域に対し感謝のメッセージを出されましたけれども、これはアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、韓国の六か国とインターナショナル・ヘラルド・トリビューンということですが、これはどういうことでそういう形でなさったんでしょうか。
○国務大臣(松本剛明君) 引き続き現在も震災の対応、原子力発電所の事故対応、それから復興への歩みというのがございまして、支援などもまだ言わば継続して受け入れているもの、これから新たに受け入れるというお話のものもあるというのが今の状況ではありますけれども、もう四月の十一日、一か月ということで、やはり広く私どもの謝意を国際社会にもお伝えをしたい、これは政府にお伝えすると同時に、広くその国の国民の方にもお伝えをしたいということでそのような形を取らせていただきました。
 主に英字紙は、いずれもいわゆるワールドワイド版というんでしょうか、国際的なものに私どもから紙面を確保しまして広告という形で載せさせていただいたわけでありますが、同時に在京の大使館から各国のメディアなどにも協力を要請して、記事の形でメッセージを載せていただいたり広告を無料で掲載していただいたりというのも合わせましたら、ちょっと今手元に数字がありませんが、六十か国以上、百三十以上の新聞などに私どもの謝意が載ったと、掲載されて伝わったというふうに考えておるところでございます。
○山谷えり子君 最も義援金を送ってくださいましたところはどこでしょうか。
○国務大臣(松本剛明君) 国、地域、国際機関などからいただいた義援金は、今総額約六十八億円以上というふうに承知をしておりますが、国によってむしろ、これはそれぞれの国の考え方があると思いますけれども、民間ベースで送っていただいているものが多数ある国もありますし、我が国の受入れもまた多様なところで、自由な国ですから我が国も、受け入れておりますので、個々に国別の寄附金の総額というものを、集計を現段階でするというのを正確に把握をするということは大変困難でもありますし、また義援金というお金の性格上、何かランクを付けるといったような性格のものでもないというふうに理解をいたしております。
 国と国の間でそれぞれ、もし、幾らかというのは個別には把握をしておりますが、個別の国の金額というのを並べてみるということは差し控えさせていただいているところでございます。
○山谷えり子君 最も多かったのが台湾の百四十二億円というふうに承知しております。しかし、台湾には感謝広告が載っておりません。台湾の皆様は大変に心を痛めておられます。
 例えば、英語ですとこういう形で菅総理の署名で感謝広告が載っているわけですね。しかし台湾では、外務省の説明では、いや台湾でも記事になっていますと言うんですが、これは新聞記事でありまして、東電が放水を開始したとか、いろいろな犠牲者の数とかそういうことであって、記事なんですね。感謝広告ではないんです。
 台湾の皆様は、どうして百四十二億円という世界で最も、もちろん見返りを求めて義援金を集めたわけじゃないでしょう、もう本当に友情の気持ちなんです。この気持ちに外務省としておこたえいただきたいと思うんですが、台湾への感謝広告、御検討いただけませんでしょうか。
○国務大臣(松本剛明君) 他の国で、先ほど話したように、総理の感謝メッセージの公開書簡をプレスリリースの方法で国内の各メディアに発出をして、私が拝見をする限りではその趣旨は載せていただいているんではないかなというふうに考えておりますけれども。
 先生の御指摘の趣旨が、私どもの謝意がもし伝わっていないということであれば、伝わっているというふうに私は考えておりますけれども、改めて確認をしたいというふうに思っております。
○山谷えり子君 台湾の四紙に載っておりますけれども、いずれも感謝広告ではなくて震災の記事という形でございますので、是非、外務省、もう少し細かく御覧になられて検討いただきたいと思います。
○国務大臣(松本剛明君) 総理のメッセージそのものが掲載をされているというふうに理解をしておりますけど。
○山谷えり子君 そうはなっていませんよ、四紙見ましたけれども。こういう形の菅総理の感謝広告は載っておりません。ちゃんと御覧になっていらっしゃいますか。
○国務大臣(松本剛明君) 率直に申し上げて、今のような状況でありますので、広告というのも費用が掛かります。どのぐらい御協力いただけるかということをお願いをしながら、それでも国際的に英字紙などには最低幾つかのところには広告の形でいかざるを得ないだろうという。
 他方で、それぞれの国で、大使館で、御協力いただけるところは記事掲載であるとか無料広告であるとか何らかの形で謝意が伝わる形が取れればその形を取っていきたいということで取らせていただいておりますので、現地の、台湾の場合は大使館ではないのはもう先生よく御存じのとおりでありますけれども、現地のそれぞれの対応の中で取れる最も効果的な方法、そして国民の税金の有効活用という意味からも最もいい方法で、しかもお伝えできる形ということで取らせていただいて、台湾の方でも一応きちっと総理の名前の入った形でのメッセージとして掲載はされているというふうに私は理解をしていたということで申し上げたんですが。
○山谷えり子君 それでしたら、もう少し事情を詳しくお調べくださいまして、是非、感謝広告としての形で掲載を検討していただきたいと思います。本当に台湾の皆様、いろんなチャリティー、いろいろな活動の中で、百四十二億円現在送ってくださっているということを御認識いただきたいというふうに思います。
 さて、拉致問題でございますが、長く要望しておりました拉致問題を人権教育・啓発に関する基本計画に四月一日、閣議決定して入れていただきまして、本当にありがとうございます。先ほど委員からもいろいろやり取りがありました教育でもしっかりとやっていただきたいと。
 教科書も、今年の新しい中学の検定合格の教科書を見ますと、公民の教科書七社中七社、全て拉致問題が書かれていると。ただ、教科書によっていろいろな書きぶりの差がありますですね。ですから、副教材とか、こういうアニメ「めぐみ」という二十五分物ですが、これ政府が作ったものです。実は、小中学校四万校に配っているんですけれども、まだ上映しているところは七十校とか八十校とか非常に少ないんですね。もう一つ、「めぐみ」という映画もございます。
 こうしたことも、内閣府としては教育委員会に見てくださいねという通知は送っているんです。私も見ました、その通知。しかし、これはやっぱりもうちょっと大臣がリーダーシップを取って、情が通う形で、まず大臣自らがこの試写会を開くなりなんなりして伝える意欲を示していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中野寛成君) いろんな機会にそれが活用されることはとても大事なことだと思います。少なくとも、かなり各教育機関、公立学校で行われ、また学校の先生だけの研修会でもそれをみんなで見るとかという機会なども数多く実施されているようでありますが、ただ、何となく、それが時間がたつとともに何か形骸化若しくは忘れ去られかねていないかという印象を持たれるようになることは大変避けなければいけないこと、むしろ日を追ってそういうことが活発になっていくということがとっても大事なことだと思いますので、その啓発については、私自身もまた考え、努力をしてみたいと思います。
○山谷えり子君 平成十四年に五人の拉致被害者が御帰国なさってから九年たっているわけですね。先日も横田早紀江さんにお会いしましたけれども、全国各地を講演に回っていらっしゃるんですが、本当にもう今、小学生、中学生、高校生、若い方、知らない人が増えているのよと。九年たつということはやっぱりそういうことなんだなと思いました。
 このアニメは八十校で見ていると。映画の「めぐみ」の方も七十校で見ている。これ四万校から見たら本当に少ないんですね。ですから、是非いろいろ考えていただきたいと思います。
 平成十九年、安倍内閣のとき、安倍昭恵夫人は公邸でアジア太平洋州の大使夫人、またアフリカの大使夫人、それからヨーロッパの大使夫人、三日間に分けて五十か国もの大使夫人らにこの上映会を企画なさったんです。もう皆様知らなかったって涙を流して、夫の大使に伝えるわなんてことをおっしゃられたわけでございますけれども、是非、あれからまた何年もたっております、中野大臣あるいは松本剛明外務大臣、官邸を使うなり、あるいは飯倉公館を使うなり、是非大使あるいは大使夫人への、国際社会での連携が大事ですから、そうした企画もしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中野寛成君) 先ほどちょっととっさに数字を申し忘れましたが、アニメ「めぐみ」の件、上映回数、各都道府県や市町村教育委員会などを通じて、各教育機関又は公立図書館等に無償で配布をして、これまで約千四百校を超える小中学校、高等学校等で児童生徒に視聴されていると。また、映画「めぐみ」につきましても、約四百校。それ以外に、教職員向け視聴を行った校数が二千八百校ということでございましたので、ちょっと追加させていただきます。ただ、これで十分だというものではありませんので、より一層今後ともその活動を続けていくこと、また拡大していくことは大事だという認識を持っております。
 また、今、各大使夫人にというお話がありましたが、大変貴重なサジェスチョンだというふうに思いました。いろんな方法でやっぱり世界の人たちに見ていただくということは大事なことだというふうに思いました。また外務大臣とも御相談をしたいと思います。
○山谷えり子君 じゃ、以前内閣府から聞いた数字よりも大分学校での視聴が広がっているということだと思うんですが。
 大臣は、拉致の可能性を排除できないこと等があるということで、未認定の拉致被害者と思われる方ですね、それの所要の捜査、調査を進めるということもおっしゃいました。民間の特定失踪者問題調査会、リストに四百七十人挙げられております。また、公表したものでも二百七十人挙げられております。
 その中で、山本美保さんという昭和五十九年六月四日に失踪された方でございますが、この方についてお伺いします。
 平成十六年三月に、当時の山梨県警警備一課長丸山課長が、山形県の海岸で発見された身元不明遺体の骨髄と山本美保さんの双子の妹である森本美砂さんの血液をDNA鑑定した結果一致した、ゆえに遺体は山本美保さんであると発表しました。ところがその後、遺体の調書などから両者の体格が全く異なり、なおかつ遺体の遺留品も家族が全く見たことのないものであること、つまり両者が別人であることが分かったということなんですね。しかし、警察の立場はいまだに同一人物だということを言っているわけです。
 これ、余りにも不審な点が数々あることと、政府の対応に家族は、あるいは支える皆さんの支援の会ですね、不信を持っておられまして、これは未認定の拉致被害者の数、余りにも多いので、この山本美保さんという方はとても、もう署名も十二万五千集まり、のぼり旗ももう山梨県で本当に大きなことになっているわけですから、これを止めることによって、特定失踪者問題調査会のあるいはそうした活動を止めようとしているのではないかというような不信感が広がっているわけですが、なぜそのような食い違いが起きたんでしょうか、説明いただきたいと思います。
○国務大臣(中野寛成君) 私からお答えすることも一つの方法だとは思いますが、これ継続して捜査がなされてきております。国家公安委員長という立場もありますけれども、個別の案件について公安委員長として内容に触れてお答えをするというのはいかがかと思いますので、今日は警備局長に来ていただきましたので、警備局長から直接答えさせていただきたいと思います。
○政府参考人(西村泰彦君) ただいま御指摘の拉致の可能性のある方についての捜査につきましては、全国警察挙げて全力で捜査を続けているところであります。その結果、国内で発見された方も相当数に上っている状況であります。
 今お尋ねの山本美保さんの事案につきましては、昭和五十九年六月に山形県の海岸で発見された身元不明死体につきまして、山梨県警察が平成十六年三月にこれまでの捜査結果などから山本美保さんと同一人物であると判断いたしました。これに対しまして御家族の方から様々な御指摘をいただいているところであります。
 具体的に申し上げますと、御家族の方からは、DNA型鑑定を実施することについて説明を受けていない、あるいは御遺体が着用していたジーパン、下着が美保さんのものとは異なっている、あるいは御遺体の状況からして美保さんの御遺体ではないなどの御指摘をいただいております。
 これらの御指摘につきましてはこれまでも山梨県警察におきまして所要の捜査を行いまして、身元不明死体を美保さんであるとすることに矛盾はないと判断しております。この点につきましては御家族に対しましても繰り返し説明を行っているところであります。また、身元不明死体が美保さんであるとの判断につきましては、検視及び司法解剖の結果得られました血液型、性別、推定年齢、推定身長に関する事項やDNA型鑑定結果などを踏まえて総合的に判断したところであります。
 本件は、ただし失踪から死亡に至る経緯が現在も不明でありますので、山梨県警察におきまして拉致の可能性も含め事件、事故等あらゆる可能性を念頭に置き捜査を継続しているものでありまして、今後とも事案の全容解明に向けて徹底した捜査を推進してまいる所存であります。
○山谷えり子君 家族にDNA鑑定をするということをまずないしょで血液を下さいと言ったことに対する不信感、あるいは下着やジーパンが全く違うのに同一人物だというふうに無理やり認定した不信感、それから、体つきも御遺体のが全く違うわけですね、それの不信感、そしてDNA鑑定をしたのであるならばそのデータを見せてくれと言っても見せてくれないという不信感、それから、家族は遺留品を見せられまして警察にはこれ見たことがないですと言ったんですが、警察の調書では分かりませんと、見たことがないではなくて分からないと答えたというふうに書き換えられているという問題等々、やっぱり家族は納得していらっしゃらないんですね。
 中野大臣、家族会の方たちとお会いになられたと思います。こうした特定失踪者問題調査会の皆様ともお会いになられて、あるいは山本美保さんの御家族ともお会いになられて、その辺も是非、引き続き所要の捜査、調査を進めるとおっしゃられたわけですから、大臣自らが、これずっと長くくすぶっている問題ですので、ひとつリーダーシップを取ってお会いするということができませんでしょうか。
○国務大臣(中野寛成君) この件につきましては、報告は折に触れてちょうだいをしておりますので、警察に対しては、しっかりと調査をし、捜査をし、そして御家族の皆さんにも正しく、そしてまたできるだけ御納得いただけるように詳しく説明をするようにということは今日まで申してまいりました。その一環を今警備局長からお答えをしたところであります。
 よって、公安委員長という立場からこれらのことについて具体的にくちばしを入れるのはいかがかというふうに思いますが、ただ、拉致担当大臣という、使い分けるわけではありませんが、という立場であれば、いろいろな皆さんの、御家族の皆さんのお気持ち、当事者の皆さんのお気持ちをお聞かせをいただき、トータルとして対応により万全を期すということのためにお話をするということについては、私自身は別に否定をするものでは全くありません。いかなるところでいかような形でお会いするべきかということにつきましては、また関係者とも御相談をしてみたいと思います。
○山谷えり子君 是非、誠意を持った対応をお願いしたいというふうに思います。
 丸川委員もおっしゃられましたが、十二月十日、菅総理は家族会の皆様の前で、北朝鮮にもしものことがあった場合にどのように被害者を救出するかということを考えなければならない。実はあのとき、私、拉致議連の副会長として陪席をしておりました。それで、その言葉を大変に重く受け止めまして、家族会の皆さんも本当に驚かれたんです。そして、自衛隊法の改正を自民党は出しているということもありまして、これは前向きに進むんではないかと思いましたけれども、いまだに進んでいないということを非常に残念に思っております。
 韓国に行きまして朝鮮半島どうなりますかと聞いたときも、雪崩のようなことが起きるかもしれないというようなことを議会関係者がおっしゃられたということもありまして、これは是非前向きに自民党の案、あるいは閣法で出していただいたらいいんです、そういう対応でお願いしたいというふうに思います。
 緊急事態に備えまして、認定被害者はもとより特定失踪者など拉致の可能性がある被害者の家族関係情報、DNAデータなどを政府が集めておく必要があると思いますけれども、これはどこまで進んでいますでしょうか。
○委員長(白眞勲君) どちらですか。
 ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(白眞勲君) 速記を起こしてください。
○国務大臣(中野寛成君) 私自身もちょっと就任後浅いということもあるかもしれません、それは言い訳にはなりませんけれども。
 少し、今おっしゃられたことにつきましては調べさせていただきたいと思います。
○山谷えり子君 実は、小泉政権時代、田中均局長らは被害者の情報を十分に集めていなかったんです。ですから、平壌で外務省の役人が被害者とお会いしたときに、実際はそれが本人かどうか分からなかったというようなこともございまして、本当に何かあったときに、すぐに分かるデータだけはきちんと集めて整理をし直しておいていただきたいと思います。
 それから、このゴールデンウイークに私ちょっとアメリカに渡って議会の関係者とお会いしようと思っていたんです。といいますのは、本当にアメリカとの連携によって、例えば横田早紀江さんの公聴会意見陳述等々が実現したり、いろんな形で連携が実ってきたケースがございます。
 この前の中間選挙で、昨年の中間選挙で下院で共和党が多数を取りまして、下院外交委員長になられたのがイリアナ・ロスレーティネン議員という方で、この方は長年拉致問題に取り組んでくださっておりまして、この四月一日にも北朝鮮をテロ支援国家に再指定する法案を外交委員会に提出しています。この中に、日本の拉致問題の解決はもう必須であるというふうに書かれているんですね。
 松本外務大臣、また下院の構成等々変わりました、また駐米大使はおいとこさんでいらっしゃるんですか、ということもございますので、アメリカとの連携も深めていただきたいというふうに思いますけれども、その辺、日米の関係は今どうなっていますでしょうか、拉致問題に関して。
○委員長(白眞勲君) 松本外務大臣、時間が来ておりますので手短にお願いします。
○国務大臣(松本剛明君) はい。
 米国につきましては、つい先日の十七日、日米外相会談を行ったところでありますが、必ずしも長い時間の会談時間は取れませんでしたけれども、私からは、北朝鮮問題については、拉致問題を含めしっかりとお話をこれからしていきたいという趣旨のことをお話をさせていただきました。クリントン長官からも拉致問題についての日本の立場を強く支持する旨の御発言がありました。
 ほかの国々ともしっかりと連携を取って取り組んでまいりたいと、このように思っております。
○山谷えり子君 ありとあらゆる場で拉致問題の解決、救出に向けて一段と強化していただきたいと思います。
 ありがとうございました。