国会での活動報告詳細

2011年6月20日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

6月16日参議院 内閣委員会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 六月六日の決算委員会で枝野官房長官に、被災地をお回りくださいまして、私たち、被災者をお励ましくださっておられます天皇皇后両陛下、また御皇室の皆様への感謝と、それから、今上陛下何代でいらっしゃいますかという質問をさせていただきましたが、その折、枝野官房長官はお答えいただけませんでしたけれども、今改めて質問させていただきます。
○国務大臣(枝野幸男君) 今上陛下、百二十五代の天皇陛下であられると承知をしております。
○山谷えり子君 本当に長い間御皇室を頂きながら、私たち日本人は平和の国、文化の国、道義の国を紡いでまいりました。また、御皇室は、世界の平和を祈り、また国民の幸せを祈り、五穀豊穣を祈り続けてくださってきた、この長い歴史、国柄、これを是非、海外の人に説明するようなときもあると思いますので、すばらしい国柄というのを私たちみんなでかみしめながら、すばらしい政治をやっていきたいというふうに思っております。
 ところで、昭和二十七年四月二十八日というのは何の日でございましょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 済みません、直ちにはちょっと浮かんでまいりません。
○山谷えり子君 敗戦六年八か月のGHQの占領、それから主権を回復した日でございます。来年の四月二十八日が六十周年、主権回復記念日でございます。
 自民党では、主権回復記念議員連盟というのをつくりまして、この日を毎年記念日として、主権とは何か、主権回復できたということはどういうことかということをみんなで学び合う、確かめ合う日にしたいというふうに思っておりますけれども、この主権回復記念日に対して何か御感想あればお教えください。
○国務大臣(枝野幸男君) 我が国にとって、長い歴史の中でこの国にとって大変重要な日というのは幾つかあろうかというふうに思っております。御承知の二月十一日が建国記念の日であると、古くはそういうところから始まるんだというふうに思いますし、また一九四五年、昭和二十年の八月十五日というのが一つの大きな節目であるというふうなお考えの方もいらっしゃいます。
 そうしたことの中で、第二次世界大戦を受けた後の主権の回復という日が一つの大きな我が国にとっていわゆる記念日という意味を持ち、その日に当たって様々なことがなされるということについては私は望ましいことだというふうに思っております。ただ、政府という立場でどういうふうにその日を対応するのかということについては、これはまさに様々な我が国としての、しっかりと記憶にとどめる日が幾つかある中において総合的に判断しなければいけないことだろうと思っております。
○山谷えり子君 自民党は議員立法を出したいというふうに思っておりますので、是非政府の方も良い形でまとまっていくように歩みを一緒にしていただきたいなというふうに思っております。
 吉田総理は当時そのときの記者会見で、国を守る決心がなければ独立も有名無実に終わる、国民にこの決心を付けることが、諸君、マスコミの役目であるぞというような会見をしておられます。また、いろんな社説を読みますと、憲法改正が政治課題だとか、いろいろなことが当時社説に見られています。
 占領時代に憲法という国の根幹、基本法を占領軍の力によって作らせるというのは国際法違反だと思いますが、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 今の点についてはいろいろな御意見があることを承知をしております。一方で、衆参両院において憲法調査会が設置をされ、その場において、専門家の皆さんから御意見を伺うことを含めて、五年以上の期間にわたって様々な御議論がなされ、それを踏まえたそれぞれの院の調査会の報告書ができているということを承知をしておりまして、そうした御議論も踏まえながら政府としての対応をしてまいりたいと思っております。
○山谷えり子君 憲法にはいろんな問題があると思います。
 まず第一に、やはり成立が占領時代であったということですね。それから、戦後六十五年、いろいろな状況が変わってきているにもかかわらず、この六十五年間憲法改正を一回もしていない国というのは、ちょっと調べましたが日本ぐらいしかなくて、時代に合わないところが数々出てきている。あるいはまた、今回の震災で痛感しましたところは、非常事態の宣言といいますか、非常事態に対する対処が憲法には何も記されていない。これも世界の多くの国々で規定があるわけでございまして、衆議院で憲法審査会が始動し、先日、参議院の方でも始動する体制が整ったわけですから、是非、国の本当に大きな方向、形を決めていく憲法を審議していきたいと思います。
 ところが、民主党がこの審査会のメンバーを出してくれなくて、実際動かないんですね。憲法改正手続法が成立したのが平成十九年ですね。それから、もう今二十三年ですね。一体なぜこのような与党がそういう態度であるか。あるいはまた、政府としては、現政権はどのようなスタンスを持っていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 私もかつて民主党の憲法調査会長を務め、また衆議院の憲法調査会長代理を務めさせていただいております。様々な経緯については承知をいたしております。
 一方で、憲法は、公権力を名あて人とした法でございます。もちろん広い意味では国会や裁判所等もその名あて人でありますが、特に行政権が憲法の名あて人でございまして、ある意味では行政府は憲法のまないたの上のコイでございます。
 それから、実際、今できております手続法などにおいても、発議権は国会にあるということでございます。そうしたことを考えますと、これについては議会において様々な御議論がなされることが望ましく、主たる名あて人である行政府の立場からは、これについては発議権を持つ国会の御議論を見守るということにとどめるのが建設的で前向きな憲法議論が進んでいくための前提条件であると考えております。
○山谷えり子君 民主党は綱領もまとめられないし、安全保障の議論もまとめられないし、なかなか政府としてリーダーシップを取っていくということが現状できないので今のようなお答えだったんだろうなというふうに思っております。
 民主党のインデックスでは、憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範であるというのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像や自らの重視する伝統、価値をうたったり、国民に道徳や義務を課したりするための規範ではありませんと、まあこれ民主党のインデックスなんですが、やはり憲法というのは国柄を示すものでもあり、また責任や義務ということも示すものであり、やっぱりこのインデックスの書きぶりは本当に多くの国民が共有できるものなのかな、果たして、というふうには思っております。
 続きまして、六月六日にやはり決算委員会で日本の離島について質問をさせていただきました。
 中国が昨年、海島保護法という法律を作りまして、中国の全ての島に名前を付けていく、それは海洋権益の保護と防衛の前線を築くというような意図で作った法律でございまして、当然、尖閣も中国のものと、中国はそういうふうに主張しているわけですからそうなっているわけでございますが、日本では有人島が四百二十一、無人島が六千四百二十六あり、登記がどうなっているか必ずしも明確ではない。二千二百十八の島に今名前が付いていないと。これを何とかすべきではないかという私の質問に対して、枝野官房長官は大変前向きに、安全保障上重要度の高いところから登記をしてやっていく、確かめていく必要があるというふうにお答えくださいましたが、その後どのような指示をどんな部署になさいましたか。
○国務大臣(枝野幸男君) 先日、国会で貴重な御指摘をいただきまして、それを踏まえまして、国土地理院、法務省を始めとする関係省庁に対して、具体的に早急にできるところから名前を付けていくと、そして、それを海図等にしっかりと示していくということについて指示をするとともに、ここまでの進捗状況について把握をしたところでございます。
○山谷えり子君 法務省にお伺いします。
 今、個人所有の離島の数、それから登記がどのくらいされているか、お答えください。
○政府参考人(團藤丈士君) まず、私有地につきましては不動産登記法上、表題登記の申請義務がございますため、離島の私有地につきましても表題登記はされておるものと考えております。
 したがいまして、関係省庁などから所在を特定した上で具体的な離島について登記の有無の調査を求められた場合には、それに応ずることは可能でございますが、私どもといたしまして、現在のところ、離島であって個人が所有しているもの又は登記されているものというカテゴリーでもってその所在や数について具体的に把握できている状態ではございません。
○山谷えり子君 是非早急に具体的に把握していただきたいと思います。
 財務省に伺います。
 国有財産の島は幾つで、管理はどのような状況になっていますでしょうか。
○政府参考人(飯塚厚君) お答え申し上げます。
 離島の国有地につきまして、現在国有財産台帳に登載されているものが合計で四千九百十六件でございます。そのうち、有人島の土地につきましては四千五百件、それから無人島の土地が四百十六件でございます。
○山谷えり子君 今、個人所有の島それから国有の島は、恐らく財務省が台帳のような形で全部書いてあるわけですか。それから、各役所の所有あるいは地方公共団体の所有、いろいろあると思いますけれども、その辺はどういう分け方になっているんでしょうか。
○政府参考人(飯塚厚君) 私ども国有財産を所管しておりますので、国有財産につきまして関係の各省庁でそれぞれ所管が違います。それぞれの所管ごとに国有財産台帳に登載するということにしております。
 また、離島でございますけれども、無主の国有地につきましては国有財産ということになるわけでございますけれども、そういった財産全体が国有財産台帳に登載されているというわけではございません。これまで、例えば領海等の関係で意味があるというような部分につきましては調査を行って、そういったものについては悉皆的に国有財産台帳に関係各省で登載しているということでございます。
○山谷えり子君 無主、所有者が分からない、ないというようなものについては台帳に必ずしも登載されていないということですので、法務省それから財務省、それぞれ縦割りではなくて、きちんと全ての島が把握できるように作業を進めていただきたいと思います。
 平成十九年に総合海洋政策本部というのが内閣府につくられまして、各役所から出向で二十人ぐらいが働いてくださっております。今、二百海里のEEZの根拠となっている島、百島ぐらいあると思いますけれども、これどのぐらい名前を付けてきちんと把握し終わっていますでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 我が国の排他的経済水域の外縁を根拠付ける離島については九十九島がございます。そのうち名称が既に付けられている離島は五十島であります。
○山谷えり子君 残り五十島はいつごろまでに作業を終えられそうですか。
○国務大臣(枝野幸男君) まず、今名称が政府として付けていない四十九の島のうち、十の島については既に地方自治体や漁業協同組合等に対して調査を行いまして、地元においてどういう呼び方をしているのかという調査の結果名称が判明をしておりまして、地図、海図等に名称を記載することを本年五月に決定をしたところでございます。
 残り三十九島については、現地においても通称、呼称等がない、あるいは把握ができないということでございますので、これについては名称決定ルールを早急に検討し、本年度中に名称を決定することを目標として、順次海図、地図等に記載をしていきたいというふうに考えております。
○山谷えり子君 それが終わると、まあ本年度中か来年の少し初めの方ですか、そうしますと、今度は十二海里、領海の根拠となっている島への名前の付ける作業、あるいはきちんと把握して台帳に、いろいろなところに登録する作業が残っていると思いますが、そちらの作業はいつごろまでに、どういう進展状況でしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) こちらの方は、実は率直に申し上げて、いわゆる島以外に岩礁のようなところまで含めると、率直に言ってまだ全部の数が把握できていないというような状況にございます。
 ただ、まさに我が国の領海についての我が国の支配をしっかりと様々な意味で明確にするという趣旨からは、特にその離島等により確保される領海面積の大きさ等の優先順位を考えながら、優先順位の高いところについてはできるだけ早く今と同じような手順で呼称を確定をさせていく。
 また、先ほどお尋ねのございました私有地であればちゃんと登記がなされているのかどうか等の把握についても、これも先ほど法務省から御答弁いただきましたとおり、この地域のこの島はどうなっているんだということであれば把握ができますので、そういったことの確認をして、しっかりと様々な公的記録上我が国の領土であるということを明確にする手順を急がせたいと思っております。
○山谷えり子君 官房長官は記者会見で、たとえ内閣が替わっても何年掛けてもやっていくべきことだというふうにおっしゃられましたので、是非引継ぎ引継ぎしながら、スピードアップを図っていただきたいと思います。
 続きまして、昨年の九月、尖閣諸島の海域で中国の漁船が日本の巡視船に体当たりをしてきたと、九月二十四日には中国漁船の船長を処分保留のまま釈放してしまったという、本当に苦い思いがありますけれども、六月の十七日、沖縄返還の日ですが、千隻ぐらいの中国船で尖閣諸島の海域を埋めようじゃないかというような呼びかけが以前ありました。しかし、つい最近になりまして、東日本大震災で苦しんでいる日本、水に落ちた犬をたたくべきではないというようなことで、それが取りやめになったということも言われております。
 六月十七日、不測の事態に備えて、海上保安庁等、あるいはどのような状況を今予測していらっしゃいますか。
○政府参考人(鈴木久泰君) お答えいたします。
 六月十七日、もうあしたでございますが、現在のところ、尖閣諸島へそういう抗議団体の船が多数押しかけるというような情報はございません。ただ、私どもとしては尖閣諸島に関する我が国の一貫した立場に基づきまして、その時々の状況や情報に応じて巡視船艇、航空機等の勢力を十分配備をして、関係省庁とも連携しながら必要な警備を厳正かつ適切にやっていきたいと考えております。
○山谷えり子君 昨年十月、私は沖縄に行きまして、自治体の議員さんの方とか漁業組合の方とか、いろいろお話を伺いました。中国漁船がいっぱい操業しているんだということとか、あるいは、日本の船が行こうとすると、トラブルを恐れてか、行かないでくれと、漁に、というような話もあるというようなことをお聞きしました。
 沖縄管区石垣支部ですか、そのようなことを日本の漁民に対してなさっていらっしゃるんですか。
○政府参考人(鈴木久泰君) 私どもの十一管区本部が那覇にございまして、その出先の石垣海上保安部が石垣市にございますが、一般論として、船舶安全法等の関係法令を遵守するように、必要に応じ航行安全の観点から指導、助言を行っておるという事実はございますが、こういう指導、助言が日本漁船の尖閣諸島周辺海域における操業を阻害しているという状況にはないと認識しております。
○山谷えり子君 一般論として指導、助言を行っているということなんですが、割合最近も、本当に、漁に出ようとすると立入検査を何度もされたりというようなことを日本の漁民の方から聞いておりますので、そのようなことはなく、むしろ漁民の方には安全操業していただけるように海上保安庁としてはお努めいただきたいというふうに思います。
 先日、参議院の予算委員会の理事たちが、そのときの、中国漁船がぶつかってきた、あるいは海上保安官が乗り込んでいくというようなビデオ、十時間以上あるんですが、早回しをしながら全部を見たと。本当にあの海域に中国漁船がたくさんいて、海上保安庁の船が出ていってください、出ていってくださいと言っても、ちっとも言うことを聞いてくれないと。六人の保安官が命懸けで乗り込むシーンなんというのも見まして、胸が痛んだというような感想を私聞きました。
 元海上保安官がユーチューブにビデオ流出、一部ですね、したために、日本人は、あるいは世界のみんながその真実を知ることになったわけです。それまでは中国が、日本の船が中国の船にぶつけてきたんだというような、そんな言い分がまかり通っていたわけですから、その真実を知ることができるようになったというのは大変いいことだというふうに思いますが、しかし、あれは本当に短い。もっと全貌というものを全部のビデオでやっぱり国民は知るべきだろうというふうに思います。
 枝野官房長官はこの全体のビデオを御覧になられましたか。
○国務大臣(枝野幸男君) 私は拝見しておりません。
○山谷えり子君 それでは、ユーチューブのあの部分は御覧になられましたね。感想があれば教えてください。
○国務大臣(枝野幸男君) この事件は、本当に我が国の領海に対して、あるいはそれを守っている海上保安庁の職員に対して大変許されない事件であったというふうに思っておりますが、あのユーチューブ等を通じて出された映像によってそのことが更に明確に示されているというふうに思っております。
○山谷えり子君 そうしますと、中国の漁船の船長を釈放したのは間違いだったというふうに考えていらっしゃるんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) その時点における政府の対応として適切に行われたものということで引継ぎを受けております。
○山谷えり子君 本当に主権を守る意思がないと、中国は先日もベトナムのケーブルを切っていったりとか、あるいは宮古と沖縄の、まあ公海ですけれども、艦艇を太平洋の方に動かしていったりとか、本当に覇権的な行動をし続けております。それから、軍事費の増強、これも不透明なままでありますので、しっかりと主権、国益を守るために官邸はお働きいただきたいと思います。
 あのベトナムのケーブルが切られたときに多くの国々がおかしいじゃないかと言ったんですが、日本は正式には何にも言っていないんですよね。その辺のことはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 国家として、政府として、我が国の主権、特に領土領海をしっかりと守るということは一義的な何よりも重要な役割、責任であるというふうに思っております。
 そうしたことの中で、我が国の固有の領土であります尖閣諸島あるいはその周辺海域に対する様々な行動がなされていることについては大変遺憾に思っておりますと同時に、そうした行動を許さないために政府としても最善を尽くしてまいりたいと思っております。
 特に、海上保安庁においては大変厳しい装備の中でその職務を果たすために全力を挙げていただいているところでございますが、全体としての予算の制約のある中ではございますけれども、この海上保安庁の領海の警備に対する体制や装備等の強化については、政府としても政府を挙げて優先事項として進めてまいりたいと思っておりますし、是非それに当たっては国会からも御支援をお願いをしたいと思っております。
○山谷えり子君 そうであるならば、官房長官の誠実さとして、十時間以上のビデオ、一部早回ししてもいいですから、全体像を御覧くださいまして、一体何が必要か、何をせねばならないかということを判断していただきたいというふうに思います。
 そしてまた、国民にもビデオが公開されるように、それもまた国会のそれは意思だというふうにおっしゃられるんだというふうに思いますけれども、やはり主権、国益を守るということはそういう政府の姿勢というのが大きいものですから、是非そのような形もお考えいただきたいと思います。
 ビデオを全部御覧に、一部早回しでもいいですが、なられることについてはいかがですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 正直にお答え申し上げますが、時間的余裕があればそうしたこともしたいというふうには思います。ただ、御承知のとおり、官房長官の職務はこの尖閣での衝突事故だけではございません。そうしたことの中で、必要な部分についてのビデオと、それから、具体的にこうした事件を踏まえて、どうした体制や装備等が必要であるか等については、まさに専門的な知見、知識、経験を持っている海上保安庁から、こうしたところがあればもっと警備がしやすくなるとか安全にできるとかということについての報告等はしっかりと承って、そして、予算の制約のある中ではありますけれども、できるだけそれにこたえていくべく努力をしていきたいと思っております。
○山谷えり子君 お忙しいのは分かりますけれども、主権、国益を守るために、尖閣諸島の海域がどうなっているかという現実を是非御覧いただきたいというふうに思います。
 先週の木曜日の六月の九日ですが、石垣市長が、政府にも要望なさったというふうに思いますけれども、昭和二十年の七月に尖閣諸島疎開船遭難事件というのがございまして、犠牲者が百十人前後、遺族会も結成されております。慰霊碑が昭和四十四年建立、慰霊祭を是非遺族会の皆様そして石垣市として行いたいので上陸許可を出してほしいと。この検討状況はどうなっているでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 遺族の方々の御要望は、これは大変重たいものだというふうに思っております。一方で、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理を図るという政府の賃借目的を踏まえながら、あえて申し上げますが、御要望は重たいものだということの前提の下で対応を総合的に判断、検討しているところでございます。
○山谷えり子君 固定資産税の課税の実地調査も、石垣市長あるいは市議会が全会一致で上陸してしたいんだと。あるいはセンカクモグラ、あるいはヤギの繁殖状況、自然生態系、環境問題、上陸して調査をしたいということも昨年の十月に政府に要請しておりますが、この検討状況はその後どうなっていますでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 今の二つの目的のことにつきましては、国の機関を除き上陸等を認めないという所有者の意向を踏まえ、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持及び管理のためという政府の賃借の目的に照らして、原則として何人も上陸を認めないとの方針を取っております。
 地方税法に基づく実地調査につきましては、何度かお答えを申し上げておりますが、これまでも上陸調査せずに課税をしてきており、徴税費用最小原則等を踏まえて、上陸を認めないとの結論になっているところでございます。生態調査についても、その必要性と、平穏かつ安定的な維持管理のためという目的を総合的に勘案した結果、現時点では上陸を認めないという結論になっております。
○山谷えり子君 それに関しては今所有者の意向を踏まえとおっしゃられましたけれども、慰霊祭は所有者の意向はどうなっておられますでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 慰霊祭については、あえて先ほど違った表現で御答弁申し上げました、重たいものだというふうに思っております、御遺族の意向が。そのことを踏まえながら、所有者の意向等についてもしっかりと確認をして、総合的な判断をしてまいりたいと思っております。
○山谷えり子君 一月七日に政府の回答で、平穏かつ安定的な管理のために上陸を認めないというような政府回答なんですが、これ固定資産税の課長の名前なんですよね、たしか。センカクモグラとかヤギの繁殖とか、自然生態系のことをなぜ固定資産税の担当課長が出せるんでしょうね。
○国務大臣(枝野幸男君) 直接の御通告がありませんでしたので確認をしてきておりませんが、基本的には、固定資産税課税に当たってのお問合せに対する回答ということで担当課長名であったというふうに記憶をいたしておりますが、今後、こうした御要望に対するお答えを出すに当たっては一定の配慮が必要ではないかと私はそのときも思いましたので、今のお尋ねも踏まえて、今後この種の御要望に対しては、よりしかるべく総合的な立場で回答申し上げるべき立場の者から回答すべきであるということで、各省、特に総務省等には指示を出したいと思います。
○山谷えり子君 本当に事なかれ主義で場当たりで、権限のない人がそんな通知を出しているんですよね。本当に真面目に国は守ることを考えているのか、上陸許可、地元の地域主権とか民主党政権はいつもおっしゃるんですけれども、それをどう受け止めているのか。本当に真面目にやっていただきたい。そして、上陸許可、慰霊祭の実施ということは多くの遺族会の皆さんが願っていらっしゃることですから、実現できるように取り計らっていただきたいというふうに思います。
 さて、中国の大使館が、東京都港区南麻布のKKR、国家公務員共済組合所有の土地、千七百坪ぐらいですが、落札いたしました。松本外務大臣は、ウィーン条約二十一条、公館開設のための便宜にのっとったものであると国会でも答弁をされているんですが、しかし、このウィーン条約十一条では、接受国、日本ですね、は職員数について合理的かつ正常と認める範囲内のものとすることを要求することができるというふうにされております。今の中国大使館は一万一千平米、東京に八か所、関係部署があります。今回で九か所目になります。
 外務省に問い合わせましたが、中には面積不明とか、古くてよく分からないという非常にとんでもない回答が来ているんですね。ほかに、札幌総領事館、大阪総領事館、ここは教育部宿舎、別の場所に計三か所、福岡総領事館、長崎総領事館と、どこの国よりも大きくて数が多いんです。これが合理的かつ正常な範囲なのか、ウィーン条約はそれはそれで分かりますけれども、合理的かつ正常と認めた日本政府の根拠を伺いたいと思います。
○大臣政務官(徳永久志君) 今御指摘がありました外交関係に関するウィーン条約及び領事関係に関するウィーン条約による合理的かつ正常と認める範囲とは、使節団の職員数に関するものであるということでございます。そして、この際には、合理的かつ正常の規模というのはどのような形で認めていくのかということでございますけれども、現在の、例えば日中関係の重要性、さらには在日中国人の数であるとか、そういった面を総合的に勘案をして判断をされるところだというふうに思っております。
 なお、現在の在京の大使館における外交官及びその他の職員の数等を比較していきますと、中国が極めて突出をしているという状況では必ずしもないというふうに認識をいたしております。
○山谷えり子君 大使館、公使館は固定資産税も掛かりません。KKRのこの土地も二千万円ぐらい固定資産税も入っていたわけですけれども、それが国はもう入らなくなるというわけですね。
 それから、今、名古屋城のそばで中国が約二千四百坪ぐらい買いたいと言っていると。これは、国家公務員宿舎の跡なので国有地なので、随意契約で決まってしまう。それから、新潟の中心市街地、小学校の跡地、ここにも四千五百坪ぐらい買いたいと言っていましたが、これ、人々の反対で今のところストップしておりますが、ほかに二か所また新潟の市内で土地を見付けて、これならどうだ、これならどうだというような形で言ってきております。
 中国は、日本だけでなく多くの国々でこうした土地の買い方を行っているというふうにも言われておりまして、政府として、他の国はどのような方針でどう対処しているのか、お調べになっていらっしゃいますでしょうか。
○大臣政務官(徳永久志君) 中国の他国における土地取得の状況につきましては、政府としてその全てを把握する立場にはございませんが、その動向についてはそれぞれ我が国の在外公館を通じて、極めて慎重に注視をしていくようにというふうにしているところであります。
○山谷えり子君 アメリカなどは、相互主義を原則とする外交使節団法でそうしたことをそれぞれで判断するわけですね。日本の場合、そうした政府の判断基準というものが全く示されておりませんし、相互主義じゃありませんよね、日本は中国の土地を買えないわけですから相互主義でもないと。これは、一回、もう少し各国の対応を調べられて、そして、日本で今どのような土地が押さえられつつあるかということも調べられて御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(徳永久志君) 相互主義の問題につきましては、外国政府が公館を開設することを容易にするための便宜を図る義務というものがこのウィーン条約で定められておるわけでありまして、我が国としては、それが接受国として負っている義務であるということでございます。したがいまして、相互主義を前提としたものではないというふうに理解をしているところであります。
 いずれにいたしましても、この土地取得につきましては、先生の御指摘も踏まえまして、ウィーン条約の趣旨並びに我が国の国有地の処分方法の在り方を含めて総合的な検討が必要だというふうに考えております。
○山谷えり子君 もう少し真面目に検討しながら行っていただきたいと思います。中国は国防動員法というような法律も昨年作っておりまして、国民は非常に不安に思っているということを受け止めていただきたいと思います。
 中国は世界で第二位の日本を抜いて経済大国になっているわけですけれども、まだ日本はODAを出しておりますけれども、これはいつおやめになられるんでしょうか。
○大臣政務官(徳永久志君) 今後の対中のODAにつきましては、日中関係全体及び各協力の意義などを総合的に考慮しつつ、有効な対中外交のツールを構築していくという観点から随時検討を行った上で実施をしているところであります。また、予算要求に伴うものにつきましては来年度概算要求に反映をしていく考えでありますけれども、ちなみに、今後のODAの在り方全般につきましては、中国の経済発展の状況を考えれば増やすということにはならないということで、松本大臣、前原前大臣もるる国会で説明をしているところであります。
○山谷えり子君 増やすではなくて、私は止めるという意味で質問したんですけれども、本当に真面目に御検討をいただきたいと思います。国民は非常に違和感を持っているんではないかというふうに思います。
 続きまして、五月三十一日、世界保健機関、WHOの専門組織、国際がん研究機関が、携帯電話の電磁波に発がん性のおそれがあると指摘しました。五段階のリスク評価で上から三番目に当たるとの報告でございますが、耳に当てて通話を長時間、長期間いたしますと、脳腫瘍や聴覚神経がんの可能性、毎日三十分間の携帯利用十年間で神経膠腫危険性も四〇%上がるというような報告でございました。
 厚生労働省はこの報告、どういうふうに受け止めて、どのような対策を今後取っていこうとお考えですか。
○政府参考人(外山千也君) 世界保健機関のがん研究の専門機関である国際がん研究機関、IARCにおいて高周波電磁界の発がん性評価が実施され、携帯電話の使用について、人に対して発がん性があるかもしれないと評価されたことは承知しております。
 なお、この判断の根拠となった、我が国も含む世界十三か国が参加をしておりますインターホンスタディーの研究結果によりますると、全体として携帯電話使用によって神経膠腫及び髄膜腫の発生リスクは増加しなかったと。暴露の程度でグループ分けした解析では、暴露レベルが最も高い群で神経膠腫の発生リスクの増加が示唆され得る結果も示されたが、疫学研究の妥当性を左右する偏り、バイアスと誤差、エラーを考慮すると、電波の暴露と因果関係があるとは結論できない。携帯電話の長期間のヘビー使用によるリスクについて更なる調査が求められるということになっております。
 携帯電話によります健康影響につきましては、これまで電波の規制を行っている総務省を中心に研究が進められてきておりますけれども、厚生労働省といたしましても、当然病院や現場の専門家も抱えておりますことから、総務省が行う研究へ協力するとともに独自に社会科学研究を行うことを検討し、国民へ正しい情報を周知するなど、関係省庁と連携して積極的に対応してまいりたいと考えております。
○山谷えり子君 日本は対応が全くできていないんですね。電磁波過敏症も重い人も軽い人もいろいろありますが、頭痛とか吐き気とかめまいとか、欧米では専門医がいらして保険も適用される、あるいは自治体によっては電磁波を遮蔽するためのリフォームにお金を付ける自治体などもあります。特に子供は電磁波に大変に弱いということは、もう十五年ぐらい前から海外で言われているところでありまして、例えばロシアの国立非電離放射線防護委員会は、十六歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない、イギリスの国立放射線防護委員会は、八歳未満の子供には携帯電話を使わせないように、カナダのトロント市公衆衛生局は、八歳以下の子供たちは固定電話を使ってください、アイルランドのアイルランド医師環境協会は、十六歳以下の子供には携帯電話を使用させないように。ロシア、フランス、フィンランド、ドイツ、イスラエルなどでも制限あるいは禁止というような子供の携帯の使用に関して様々な勧告や禁止が出ていますけれども、各国はなぜこうした規制、勧告、要請を行っていると厚生労働省は判断しているんですか。
○政府参考人(外山千也君) 各国は、独自にそういうふうな評価をして判断してやっているんだと思います。
○山谷えり子君 ふざけないでください。当然、各国が何の根拠でどのような議論があってこの規制をしたか、勧告をしたか、厚生労働省はデータがあるんじゃないんですか。そして、それを無視してもいいと、日本は、こんな規制はもう考慮するに値しないと日本は判断しているわけでしょう。そういうことですよね、今の答弁は。
○政府参考人(外山千也君) 先ほど申し上げましたように、この判断となりましたインターホン研究につきましては、我が国も総務省を中心として参画しているわけでございます。その結果、先ほど論文の結論を申し上げましたけれども、携帯電話の長期間のヘビー使用によるリスクについて更なる調査が求められるというふうに結論付けてあるわけでございます。
 厚生労働省といたしましても、それに、どう言いますか、今回の結論について指をくわえてただ黙って見ているというわけじゃなくて、総務省のやる研究について積極的に協力しようということになっておりまして、しっかりリスクについてはまた評価していきたいというふうに思っております。
○山谷えり子君 更なる調査を待ちたいんですが、更なる調査を待つのではなくて、各国でこのような規制が始まっていると、それから予防原則の観点から、日本で特に子供たちの携帯電話の使用については、本当にもう少し前向きに調査してほしいというふうに思います。
 通信用の高周波の規制値は日本は本当に高いんですけれども、ヨーロッパなどは、ベルギー、スイス、イタリア、ギリシャ、クロアチア、病院や学校の周り、老人介護施設は、世界の基準値よりも二分の一あるいは十分の一にしようという国々もあるんですね。是非、本当に、後から分かってごめんなさいではなくて、子供たちを守るのが、国民全体の健康を守るのが厚生労働省の役割ですから、枝野官房長官、今のやり取りを聞いてどうですか、政府としてリーダーシップをお取りいただきたいんですが。
○国務大臣(枝野幸男君) 私自身、この専門家の皆さんのいろんな研究や各国の状況は今やり取りの中で伺ったところでございますが、まさに予防原則が重要な特にお子さんについては課題だというふうには思います。
 したがいまして、厚生労働省においては、各国の状況、そしてその基になっている根拠、理由等についても十分に把握をして、健康を守るという観点、特にお子さんについての健康を守るという観点からの積極的な対応が望ましいというふうに思いますので、私の方からも厚生労働大臣にもそうした要請をしておきたいというふうに思います。
○山谷えり子君 電磁波の関係省庁連絡会議というのがございまして、環境省、総務省、厚労省、経産省、国交省、消費者庁、あるんですが、半年とか一年に一回しか開かれておりません。是非この議題で積極的にプロジェクトチームをつくってやっていただきたいと思います。枝野さんのリーダーシップを期待しておりますので、よろしくお願いいたします。