国会での活動報告詳細

2011年7月1日
【質問主意書】検定通過の中学校用教科書の記述に関する質問主意書

・検定通過の中学校用教科書の記述に関する質問主意書
 (内閣参質177第209号)
(平成23年6月22日提出、政府答弁書7月1日)

今春、検定を通過した中学校用教科書については、今夏に全国の教育委員会・私立中学校において、使用する教科書を選ぶ「教科書採択」が行われる。
平成十八年に教育基本法が改正されて以来、初の教科書検定となり、同法に則った質の高い教科書で子供たちが学べることを期待しているところである。しかしながら、検定を通過した中学校用教科書の中に、朝鮮人の徴用について、従来政府が発表していた内容と異なる記述がある。
そこで、以下質問する。
一 朝鮮人徴用労務者が導入されたのは、いつからいつの間か。

二 日本政府は、昭和二十一年三月にGHQ指令に基づいて、六十五万人の残留朝鮮人に帰還希望の有無を聞いたとされているが、どのような方法で希望を聞いたのか。

三 残留朝鮮人のうち帰還希望者には、日本政府により便宜が与えられ、引きあげの配船もなされたとされているが、どのような形で、どのくらいの者が引きあげたのか。

四 外務省発表集第十号の五十一頁(記事資料昭和三十四年七月十一日)では、在日朝鮮人の外国人登録票について、渡来の事情を調査した結果、戦時中に徴用労務者としてきたものは二百四十五人にすぎないことが明らかとなったとされているが、この調査は今も有効か。

(政府答弁)
一から四までについて
 旧国家総動員法(昭和十三年法律第五十五号)により、朝鮮半島出身者が徴用されたことは承知しているが、政府としては、お尋ねの「朝鮮人徴用労務者が導入された」時期、「残留朝鮮人に帰還希望の有無」を実際に聴取した方法、「引きあげ」の形式及び人数、「外務省発表集第十号」にある情報の内容等については、現時点では、その詳細について確認するができないため、お答えすることは困難である。

五 検定を通過した中学校用教科書の中には、「二〇〇八年現在、日本には五十九万人の在日韓国・朝鮮人の人たちがくらしています。この人たちの多くは、一九一〇年の日本の韓国併合による植民地統治の時代に、日本へ移住を余儀なくされた人たちや、意思に反して日本に連れてこられて働かされた人たちとその子孫です」と記されているものがある。これは、四に記した外務省発表集の内容と異なると考えるが、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
 ご指摘の教科用図書については、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成二十一年文部科学省告示第三十三号)に照らし、教科用図書検定調査審議会の専門的な調査審議により強化用図書として適切であると判断され、検定に合格となったものであるが、御指摘の教科用図書の記述における「一九一〇年の日本の韓国併合による植民地統治の時代に、日本への移住を余儀なくされた人たちや、意思に反して日本に連れてこられて働かされた人たち」は、四で御指摘の「戦時中に徴用労務者としてきたもの」のみを示すものではないと考える。