国会での活動報告詳細

2011年7月27日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 枝野官房長官に、ちょっと質問通告はしていないんですが、今朝の報道で、中井元拉致問題担当大臣が北朝鮮の日朝の国交正常化担当大使と中国でお会いしたという報道があるんですけれども、これは事実でしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) そうした事実を承知しておりません。
○山谷えり子君 岡田幹事長が、もしそのことを菅総理、松本外務大臣が知らないとすれば大変なことだと言っていらっしゃるんですが、これは岡田幹事長が勘違いして発言をなすったとお考えですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 岡田幹事長がどういう前提でお話しになったかまで承知をしておりませんが、もしお会いになっていたとしたら、そしてお会いになっていたにもかかわらず総理や外務大臣が御存じでなかったとしたらということだというふうに思いますが、お会いになったということ自体承知をしておりません。
○山谷えり子君 各社報道しているわけですから、事実関係をお確かめになられましたか。
○国務大臣(枝野幸男君) 中井先生はさきの拉致担当大臣でもございまして、経験、見識、十分お持ちの先生でいらっしゃいますので、もし政府に報告等が必要なことをなさっているのであれば当然報告をされているものと思っておりますが、報告等はございません。
○山谷えり子君 中井元大臣は請暇願を国会に出して中国に行っておられます。こういうような会談があれば、通訳も外務省は普通は便宜供与するものでございます。その事実関係はどうでしょうか。
○大臣政務官(山花郁夫君) 現時点でそういった事実については承知をいたしておりません。
○山谷えり子君 確かめたけれど、なかったということですね。
○国務大臣(枝野幸男君) 外務大臣と私はお話をしましたが、外務省においてそうしたことを行ったことはないというふうに聞いております。
○山谷えり子君 北朝鮮というのは容易ならざる国でありますから、二元外交というのは絶対にやめていただきたいと思います。
 さて、北方領土、竹島、あるいは尖閣をめぐる諸問題、民主党政権になってから数々起きてきているわけでございますが、七月八日に竹島の領土権確立のための国際司法裁判所へ提訴するように政府に求める意見書というのが島根県議会で全会一致で、自民党だけでなく、民主、公明、共産党も全会一致で意見書が採択されました。
 実効支配をどんどん強めている韓国でありますが、日本は国際司法裁判所へ提訴するということはお考えになりませんか。
○委員長(松井孝治君) どなたがお答えになりますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 国内に様々な御意見があることは承知をいたしております。我が国として、我が国の国際法上正当な主張が実際にしっかりと確保、確立されるために何がベストであるのか、外交当局を中心にしっかりと検討して対応してまいります。
○山谷えり子君 是非、竹島の日を国として制定し、また北方領土並みの予算を付けながら、国際司法裁判所への提訴も含めて具体的な行動を示していただきたいと思います。
 先週、ASEANの地域フォーラムが開かれまして、南シナ海の領有権をめぐって、中国のやり方、覇権的なですね、アメリカを始め日本もそうです、各国がいろんな意見を申しました。
 中国は昨年、海島保護法というのを作りまして、これも私、委員会で何度も言っているんですけれども、海洋権益の保護とそれから安全保障上の前衛基地を造るという意味で、中国の島だと主張する島々、まあ尖閣も中国はそういうふうに主張しているわけですが、名前を付けて標識を立てていくというようなことを行っております。五月の二十一日にもフィリピンの島に中国は自分の島だという標識を立ててしまいました。フィリピンは、それはフィリピンの島であるということで、六月十四日、軍がその標識を撤去いたしました。こうした事実を官房長官は御存じでございましょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 今御指摘いただいたことの詳細な事実までは承知をしておりませんが、南シナ海においてそうした種類のやり取りが関係国の間であるということは承知をしておりました。
○山谷えり子君 日本の排他的経済水域の根拠となる島々というのは九十九あります。そのうちでまだ名前が付いていない島というのは三十九あります。早く名前を付けていただきまして、この九十九の島に標識を立てるということをしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 国会でも御指摘をいただきまして、EEZの根拠となる離島九十九のうち名称のなかった四十九島について調査を行い、十島については本年五月に名称を決定いたしました。残り三十九島についても本年度内に名称を決定することを目標に、これは迅速にやるようにという指示をしております。
 標識を立てるかどうかということについてまでは決めておりませんが、貴重な御意見として参考にしてまいりたいと思います。
○山谷えり子君 中国は標識を立てているわけですから、是非日本も、日本の島々ですから、EEZの根拠となる島々九十九には標識を立てていただきたいと思います。また、今島々は六千八百五十二ありますが、無人島が六千四百二十六、その中で名前が付いていない島が二千二百あるというような現状でございますので、こちらの方も是非名前を付け、そしてまた登記、あるいは国有財産台帳に記入していくこと、この作業を進めていただきたいというふうに思います。
 さて、今年七月七日でございますが、中国の観光客の皆様が沖縄にたくさんいらっしゃいました。七月七日、マルチビザ、三年間有効で九十日間一回につき滞在できるというビザでございますが、その条件というのがまず沖縄に訪問することという条件でございますが、これはどこで、いつ、誰が決めたんでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 昨年六月に閣議決定された新成長戦略において観光立国の推進がうたわれていることを踏まえ、政府として、これまで中国人個人観光ビザについても見直しを行ってきているところでございます。そうした中、沖縄県から中国人観光客に対するビザ緩和につき度重なる要請、要望をいただき、外務省を中心として関係省庁が相談して、沖縄振興の観点から今回の措置を決定したものでございます。
○山谷えり子君 決定は余りに唐突で、沖縄県議会は知らなかったというふうに言っていますけれども、そうでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 沖縄県議会が御存じなかったということについては承知をしておりませんが、沖縄県から数度にわたって御要請をいただいてはおります。
○山谷えり子君 沖縄県の議員の方あるいは県民の方でも、もちろん観光客が来てくださるのはうれしいし、中国の皆さんが日本のすばらしい美しさや文化、あるいは沖縄の自然、楽しんでいただくのは大変にうれしいことだと。しかしながら懸念もあると。中国は、中国の人々とは違って中国政府は、戦略的に覇権的な行為をしていると。
 つまり、基地がたくさんある沖縄に中国の人々がたくさん訪れるということによって日米同盟を弱体化していく一つのカードとして使うこともできる。あるいは、琉球は元々独立国であったのだというような今講座などが随分沖縄では広がってきております。また、今検定されている中学の教科書の中には、沖縄は中国に朝貢外交していた時代の方が幸せだったというようなことが書かれていたりということもございまして、本当に戦略的に沖縄を中国のこのようなソフトな形で関係を支配の中に入れていこうという戦略があるということについては、公式ではどのような答弁を枝野官房長官がなさるのかなと思いますけれども、一度聞いてみたいなと思いまして、質問いたします。
○国務大臣(枝野幸男君) 中国人の個人観光客の訪日は、まず一般的に二〇〇九年の七月から認められておりますが、現在のところ、この個人観光客の訪日による特段の問題は生じていないと承知をしております。
 今回の数次ビザについては、更に十分な経済力の有無、犯罪歴の有無等を総合的に判断しており、さらに、御指摘のような危惧が当たっていないかどうかということについては、運用状況を見つつ、もし問題がある場合には要件の厳格化や制度の停止など必要な見直しを行うことといたしております。
 沖縄、長い歴史、いろんなお立場、事情、御意見の方もいらっしゃるかというふうに思いますが、まさに日本の大事な地域の一つであるということで、これについてはしっかりと定着をしているものというふうに私は認識をしております。
○山谷えり子君 昨年の九月七日に尖閣諸島付近で日本の巡視船に中国の漁船が体当たりをしてまいりました。那覇検察審査会が、中国漁船の船長を九月二十四日に処分保留で釈放してしまったわけですが、私はこの日は国辱記念日、屈辱の日だと思っておりますけれども、検察審査会が船長を起訴すべきだと議決いたしました。つい先日も二回目の議決をいたしました。
 これは中国の船長に二か月以内に起訴状を届けなければならないということでございますが、それに対して日本政府はどのようにサポートなさいますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 準司法的な手続でございますので、刑事訴訟法等の手続にのっとり、法に基づいて対応してまいります。
○山谷えり子君 中国の方は、中国公民に対する日本のいかなる司法手続も不法で無効であるというふうに談話を発表しております。どのように日本はなさるんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 刑事訴訟法と、それから、この件に限らず外国との関係においては、それぞれの国との間に存在する条約に基づいて対応してまいります。
○山谷えり子君 それでは、中国政府が日本のいかなる司法手続も不法で無効と言っても、日本の主権の問題として必ず船長に起訴状を二か月以内に届けると、日本政府は、そういうことですね。
○国務大臣(枝野幸男君) 法と条約に基づいて対応いたします。
○山谷えり子君 しっかりと国民は見ております。これは国民感情にかなった議決だと思いますので、審査会の、しっかりと政府は対応していただきたいというふうに思います。
 元々この案件は、動画を公開すれば世界中にきちんと事実が知れ渡るところとなったわけでございますが、政府は事実を隠そうとしました。そのために中国の方では日本の船が中国の漁船にぶつかってきたんだなんていうとんでもないことが言われ、そしてそれが世界中に広がっていくところでございました。元海上保安官がやむにやまれぬ大和心でビデオをユーチューブに一部投稿いたしましたが、参議院の予算委員会の理事たちは全部を見ました。これは全部を公開すべきだと。更に明らかになる事実が自分たちだけで理解しているのでは駄目だというようなことを言っておりましたけれども、政府としては動画を全て公開すべきではありませんか。
○国務大臣(枝野幸男君) 参議院の予算委員会において中国漁船衝突事件の映像記録の公開に関する御議論がなされているということを承知をしております。一義的には、予算委員会理事会の場でまずは御相談をいただいた上で内閣としての対応を検討してまいりたいと考えております。
○山谷えり子君 主権侵害を招く、本当に今の政権の体質を見破られているわけでございますから、しっかりと国を守るために頑張っていただきたいと思います。
 文科省にお尋ねいたします。
 今、中学の教科書がまさに採択の時期にあるわけでございますが、地図帳は帝国書院と東京書籍、この二つしかございません。これも文科省の検定の及ぶところでございますが、両方の地図帳共に台湾と中国の間に破線が書いてないんですね。竹島とか尖閣のところには当然国境線が書いてあるんですが、与那国と台湾の間にも。これは問題だとは思われませんか。
○副大臣(鈴木寛君) 台湾に関します我が国政府の立場は、昭和四十七年の日中共同声明で示されているとおりであります。外務省のホームページ等においても、台湾については地域として扱われているところでございます。
 御指摘の記述につきましては、教科書発行者におきましてこれらの資料等を踏まえ教科書を編集したものと考えております。また、これらの教科書については、検定基準に照らし、教科書検定審議会の専門的な審議により、教科書として適切であるとの判断をされたものであるということでございます。
○山谷えり子君 そうすると、台湾は中国だということなんですね。
○副大臣(鈴木寛君) 昭和四十七年の日中共同声明というのが我が国の立場だというふうに理解をいたしております。
○山谷えり子君 その声明、当然御存じだと思いますが、非常に玉虫色になっております。それと今の答えとは全く関係ないわけでございまして、文科省は、検定で意見を付けなかったということは、台湾は中国のものだというふうに文科省は考えていらっしゃるんでしょうか。
○副大臣(鈴木寛君) 日中共同声明に基づいて教科書発行者が適切にその資料を理解され、そして教科書を編集しておられるということが実態でございます。
○山谷えり子君 子供たちが台湾は中国のものだとこの地図帳を見たら考えますね。そのことに対して、それでよろしいんですか。
○副大臣(鈴木寛君) 昭和四十年以来の外務省そして日本国政府の立場に基づいておりますので、そのことを踏まえて教科書検定審議会において審議がなされているというのが実態でございます。
○山谷えり子君 この地図帳を見たら、その答弁とは関係なく、子供たちは台湾は中国のものだと誤解してしまうでしょう。破線を付けるように本当に指導していただきたいというふうに思います。
 続きまして、教育公務員の、先生の協約締結権の付与についてお伺いいたします。
 国家公務員制度改革関連四法案が六月三日に閣議決定されました。ここに協約締結権ということが記されているわけですが、地方公務員にもそれが及ぶという形で動いております。今、文科省に、初等中等教育局に、学校の先生たちに協約締結権を与えようというようないろいろ検討を進められているというふうに聞いております。
 この協約締結権というのは何かといいますと、例えば県知事さんやあるいは県や市の教育長さんたち、あるいは校長先生相手に学校の先生が、勤務時間、休み方、それからいろんな条件、それから出世、昇任あるいはほかの学校に移る転任、そうしたことを交渉できるというものですね。今までこういうことがなかったときでさえ、鉛筆休み、年休なんていってぱあっとうそのことをやって、鉛筆で書いて後で消しゴムで消してしまうとか、国旗・国歌をめぐっては広島の校長先生は自殺までなさるとか、いろんなことがあったわけですね。
 協約締結権を与えたら、また学校が子供を巻き込んで権利闘争、イデオロギーの対立闘争になってしまうと心ある人々は皆心配していますけれども、どういう方向で今検討がなされているんでしょうか。
○副大臣(鈴木寛君) これは、当時総理補佐官でいらっしゃいましたので委員の方がよく経緯については御存じのことかと思いますけれども、平成二十年の六月十三日でこの国家公務員制度改革基本法が制定をされました。労働基本権につきまして第十二条で、国家公務員につきましては、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものという規定がございまして、附則の第二条で、地方公務員につきましては、国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって検討するということになったところでございます。
 それを受けまして、平成二十年七月九日に国家公務員制度改革推進本部令が定められまして、その二条で、本部に労使関係制度検討委員会というものが置かれました。基本的にこの労使関係制度関係委員会において決められた方向が、平成二十一年十二月十五日にこの労使関係制度検討委員会が報告書として「自律的労使関係制度の措置に向けて」を取りまとめております。こうした流れにのっとりまして、本年六月に国家公務員の労働関係に関する法律案が提出をされる運びとなりました。
 こうした動きに対応いたしまして、総務省より、国家公務員に係る自律的労使関係制度の措置を踏まえた地方公務員の労使関係制度に係る基本的な考え方が示されたところであるのは委員よく御承知のとおりでございます。総務省より示されました考え方におきましては、一般職の地方公務員に協約締結権を付与することとされておりまして、文部科学省としましては、総務省と連携をしつつ教育公務員の労使関係制度について検討しているところであります。
 今後、具体的な検討ということになるわけでありますけれども、この点については教育委員会等の意見を伺いながら、丁寧に検討を進めていく必要があるというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○山谷えり子君 民主党は日教組に支援をされております。日教組は、この協約締結権を取ったら自分たちの権利がいかに拡大されて自分たちのいろんな条件が通るかということをホームページで、だから日教組に入ってくださいというような呼びかけをしているわけでございます。それから共産党系の組合も、これはスト権に代わるものとして使っていけるんだというような学習資料を作っております。
 その辺の組合活動、イデオロギー活動、先生は聖職だと思いますけれども、労働者としての権利を主張して子供の教育をないがしろにしていくという方向に暴走してしまうのではないかという、そうした懸念については副大臣はいかにお考えですか。
○副大臣(鈴木寛君) これは、委員が総理補佐官をお務めになっておられました平成二十年七月九日に設置をされました労使関係制度検討委員会において、基本的には委員の構成、もちろん人事異動による委員の変更は二名ございますけれども、その委員会において定められた結論に基づいて今回の様々な法制定等々も行われているというふうに承知をいたしております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、教育委員会等々の意見を伺いながら丁寧に検討を進めていくことが必要であるというふうに私どもは考えております。
○山谷えり子君 私は、補佐官としてその案件には全くかかわっておりませんでした。私が行ったことは、教育再生、教育基本法改正に基づく日本のすばらしい教育を実現しようということでございます。
 各県が、校長先生たちが集まって今文科省の方と意見交換しているんですね。その中で、本当にイデオロギー闘争、組合の左派活動が過激な県は校長先生が、自分たちの県だとこういうこともこういうこともこういうことも起きるのではないかと恐れているというふうに言ったところ、文科省の役人が、協約締結権が付与されれば現場の校長は大変になりますねと相づちを打ったということでございますので、この辺は現実を見ながらしっかりと運用、今の検討を心引き締めてやっていただきたいと思います。
 被災地の私立幼稚園が再建に非常に苦しんでおります。小学校、中学校、高校、専門学校、いろいろな援助は行き始めているんですけれども、私立の幼稚園というのは必ずしもそうではない。その辺についてはいかがですか。
○副大臣(鈴木寛君) 委員御指摘のとおり、岩手県、宮城県、福島県の沿岸部の私立幼稚園は大変に深刻な状況にあるところでございまして、私どもも大変懸念をいたしているところでございます。現在も休園中のものが三園、そして市町村の施設等を借用し暫定的な保育を行っているものが三園、姉妹園で合同保育を行っているものが四園あるという実態でございます。
 これに対しましては、激甚災害法に基づく施設災害復旧費の補助でありますとか、日本私立学校振興・共済事業団による無利子、長期低利融資を実施するための必要な経費を第一次補正予算で手当てはしておりますけれども、津波による甚大な被害を受けた園は同じ場所で再建ができないという深刻な問題を抱えている園もございますので、そうした場合には、新しい土地の確保等々といったものが大変重要な課題となっております。
 これにつきましては地域全体の復興計画と密接に関係をいたしておりまして、また、新たな施設を、先ほども市町村の施設等を借用し、暫定的な保育を行っているというケースを御紹介申し上げましたけれども、公的な施設を造って、そしてそれを私立幼稚園が借用するというふうな形も含めて、いろいろな方法、工夫を最大限講じて、現場の意向、そして現場の保育ニーズ、教育ニーズにこたえてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山谷えり子君 現場の意向を聞きながら、是非、本当に園長先生が孤立して困っているというような状況もございますので、いろいろな支援をいただきたいというふうに思います。
 文科省は結構でございます。外務も結構です。
○委員長(松井孝治君) よろしいですか。それでは、鈴木副大臣、山花政務官は御退席いただいて結構です。
○山谷えり子君 昨年の十二月に菅総理と一緒に私は硫黄島に遺骨収集に参りました。自民党が長らくやってまいりました遺骨収集でございますが、民主党政権が引き継いでくださっている、これは大変に有り難いことだというふうに思っております。
 昭和二十年三月、玉砕した硫黄島、二万人以上が亡くなられた、日本人がですね。そして一万二千柱がまだ未帰還ということでございます。私ども参りましたときも十八柱収容することができました。菅総理は御遺骨の前で軍手でこう合掌なさった。あれは非常に残念だったなというふうに思っております。
 栗林中将、最後に立てこもった地下ごうにも入りました。四十度、五十度ある地熱の物すごい島で本当に日本兵は戦われたわけでございますが、最後の大本営への電報は、「国の為重きつとめを果たし得で矢弾尽き果て散るぞ悲しき」というふうに打たれました。
 戦後五十年、天皇皇后両陛下が五十年たって島を慰霊に訪れてくださいました。そして、天皇様はこのような御製をお歌いになられました。「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」。皇后様はこのような御歌をお歌いになられました。「銀ネムの木木茂りゐるこの島に五十年眠るみ魂かなしき」。栗林中将の「矢弾尽き果て散るぞ悲しき」の悲しきに呼応されるかのように、天皇皇后両陛下は御製、御歌をお詠みになられました。私たちは、その鎮魂、祈り、遺骨収集、これはもう是非とも、どのような政権であってもつないでいかなければならないと思っています。
 阿久津政務官、御尽力くださっておりますが、何かございますか。
○大臣政務官(阿久津幸彦君) 私が、昨年の夏だったと思うんですけれども、菅総理から、硫黄島から遺骨帰還のための特命チームのチームリーダーに指名されたとき、三つの御指示をいただきました。
 一つ目は、米国の国立公文書館で徹底した情報収集を行えということ。二つ目が、科学的な手法に基づいて調査をしてみたらどうかということ。三つ目が、政府部内の意思を統一してとにかくスピードアップを図れ。特にこの三つ目は、硫黄島で亡くなられた方々が、その関係者の方、つまり亡くなられた方々を知っていらっしゃる方々がどんどん高齢化していて、高齢化されている方々が命があるうちに何とか硫黄島から御遺骨を帰還させたいという思いからだというように考えております。
 その後すぐに渡米しまして、発見した集団埋葬地の地図に基づいて、自衛隊の協力の下、御遺族、ボランティアの参加を得て御遺骨の収容を実施し、近年例のない多数の御遺骨、集団埋葬地からの収容数八百十五柱を含む八百二十二柱の収容を達成したところであります。
 今年度は、年度替わりの三月十一日に東日本大震災が発生して、自衛隊を含めて国を挙げてその復旧復興に取り組んでおりましたので、半年ほど当初の予定より遅れましたけれども、防衛省、厚労省と協議した結果、自衛隊の協力も得て、若者を含めたボランティア参加の強化などにより政府一体となって取り組むことになり、まずは八月三十日から九月の七日までの日程で遺骨収容、調査を実施することとして、現在ボランティアの募集を進めているところであります。
 今、実は硫黄島は水不足で悩んでおります。渇水状況等によっては、現地事情等のやむを得ない理由によって延期あるいは中止する場合もあるかもしれません。
 今回の派遣に当たっては、将来の遺骨帰還事業の指導者層となる方々を、若者を育成していくきっかけにもつなげたいというふうに考えております。先ほど委員の方から、政権がどんなふうに替わろうとも大切なことという御指摘がありましたけれども、そのとおりだと考えておりまして、ボランティアを募集する中で、若者たちの中から指導者層も育成していきたいというふうに考えております。
 さらに、効果的な遺骨収容を実施するための手段として、米国資料調査の徹底と、それから科学的手法による地下ごうの探査、それから埋葬地情報に関する地図、資料の作成も実施する予定でございます。また、懸案となっておりました滑走路下について、防衛省がこの秋にも滑走路下について電磁波を使った科学的な探査を行う予定でございます。
 最後に、戦没者の御遺骨の帰還は国の責務であり、戦後六十年以上経過した今日でも、硫黄島には国内最多数の約一万二千柱が未収容であることから、引き続き硫黄島からの遺骨帰還について政府一体となって取り組んでいきたいと考えております。
○山谷えり子君 十二月に御遺骨を収容いたしまして、千鳥ケ淵で引渡式がございました。雪の降ったきれいな朝でございましたが、菅総理は、御遺族の方々がずっと座っていらしたんですが、ちょっと慌てて遅れてやってこられまして、遺族会の皆さんに名刺を配り始められまして、ああ、市民運動家というのは総理大臣になられても不思議なことをするんだなと思いましたけれども、これはパフォーマンスではなく、祈りの心でもってやっていかなければならないことだというふうに思っております。
 ありがとうございました。阿久津政務官、引き続き御尽力をお願いいたします。
○大臣政務官(阿久津幸彦君) 一点だけよろしいですか。
○委員長(松井孝治君) よろしいですか、答弁。
○山谷えり子君 はい、どうぞ。
○大臣政務官(阿久津幸彦君) ありがとうございます。
 千鳥ケ淵の戦没者墓苑での御遺骨の引渡式、私は非常に大切なことだというふうに考えております。この硫黄島からの遺骨の引渡式に初めて参列をした総理が菅直人総理であるということも是非、もう御承知のことだと思いますけれども、御認識いただければ幸いでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○山谷えり子君 官房長官にお伺いいたします。
 八月十五日、例年、官房長官はどのようなことをなさっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(枝野幸男君) 戦没者を追悼し平和を祈念する日でございます。国務大臣であったり、あっ、国務大臣で八月十五日はありません、昨年はたしか幹事長でございましたので、日本武道館における天皇皇后両陛下の御臨席を仰いだ全国戦没者追悼式に参列をいたしました。
 それ以前は、年によってどこにいたかは全部別々でございますが、率直に申し上げますが、十二時に、戦没者追悼式に合わせて、これはサイレンが鳴るというんでしょうか、テレビ等を通じて鳴りますので、それに合わせて戦没者の追悼と慰霊のために、それぞれいる場所において黙祷をいたしております。
○山谷えり子君 坂本龍馬や吉田松陰やひめゆりの乙女や、そして硫黄島で亡くなられた日本兵の皆様がお祭りされている靖国神社にはお参りなさいますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 私の宗教上の問題でございますので、お答えは差し控えたいと思っております。
○山谷えり子君 護国神社にはお参りなさいますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 同じく宗教上の問題でございますので、お答えは差し控えたいと思います。
○山谷えり子君 戦没者の中心的な慰霊の施設でございます。これは宗教上の問題とは関係ないと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 戦没者の皆さんを追悼して平和を祈念するという思いはしっかりと持っておりますが、どういう形でどこでそれを追悼し祈念をするのかということについて、全国戦没者追悼式のような非宗教の形式によることについては当然申し上げますが、それ以外については政教分離の観点から申し上げるべきでないと思っております。
○山谷えり子君 それでは、政治家になる以前、子供のころあるいは若者のころ、靖国神社や護国神社にお参りなさったことございますか。
○国務大臣(枝野幸男君) 政治家としてもお答えをすべきでないということでございますので、政治家になる以前のことについてはもっと申し上げるべきではないのではないかと思っておりますけれども。
○山谷えり子君 非常に違和感のある答弁でございます。
 先日の参議院の予算委員会で、民主党は、党員、サポーターに外国人を認めている。党員は年間六千円、サポーター二千円。昨年の九月の菅代表の代表選挙も外国人が恐らく投票したであろう、何%ぐらいか分かりません、民主党自身も分からないと答えておられますが、これは憲法違反だという憲法学者もおられます。それに関して法律家の枝野官房長官、いかがですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 憲法違反だとは思いません。
○山谷えり子君 野党のときならばともかく、与党の民主党の代表ということはイコール日本国の総理であります。日本国の総理が外国人によって、投票権によって選ばれるというのは、これは非常に違和感があるところです。私は憲法違反だと思っております。
 民主党の中でもそういう方たちはいっぱいいらして、先日、菅総理に参議院の予算委員会で、どうなさるんですかと言いましたら、幹事長室で検討しているというふうにおっしゃられましたが、枝野幹事長のときはどんなふうに進めていらしたんですか。
○国務大臣(枝野幸男君) 今、国務大臣の立場で幹事長時代のことをどこまでお話をしていいのかどうか、非常に迷うところではございますが、先ほど申しましたとおり、私は憲法違反だとは思いませんが、そのような御指摘がございまして、私は適切でないというふうに判断をいたしまして、これについて次の代表選挙までにしっかりと見直すようにという議論のスタートをさせたのは私が幹事長の時代だったというふうに思っております。
○山谷えり子君 菅総理は先週の木曜日に私の質問に対して、今幹事長室で検討中だというふうにお答えになられました。しかしながら、調べてみますと、先週の火曜日に報告書が出ております。その報告書は、外国人の登録をやめるか否かということは結論を出さずに先送りするという結論だったんですね。こんなんでよろしいんでしょうかね。
○国務大臣(枝野幸男君) まずは、党員投票等による代表選挙は、規約上来年の九月までは行われませんので、まだ一年以上の検討の時間がございます。私、党から離れておりますので、今詳細な検討経緯については承知をいたしておりませんし、また今、内閣の方で仕事をさせていただいておりますので、今の党の執行部の皆さん、あるいはこれは代表選挙規則の検討委員会等が設置されていると承知しておりますので、そうした皆さんに対して内閣に入っている側から何を申し上げ、どこまで申し上げていいか、これも迷うところでございますが、私自身は、一民主党員としては、来年の九月までには適切な結論を出すものというふうに思っております。
○山谷えり子君 外国からの介入を招くようなことをあえてほったらかしにする、結論を先延ばしにしていく、これは民主党政権、官邸が日本国の政府としてはもう成っていないということだろうというふうに思っております。そのような政権の体質、あるいは反日工作機関の介入を招くようなことを放置、あえて放置する、結論を出さないわけですから。そうしたことが北方領土や竹島や尖閣や様々な問題をこれ招いているんだというふうに思っております。
 今、中国は日本を抜いて世界第二位の経済規模の国になりました。前原外務大臣は、中国へのODA大幅削減というふうに見えを切られましたが、今回出した結論は大幅な削減ではありませんでした。ほんの少しの削減でございます。もうやめてもいいんじゃないでしょうか、中国へのODAは。いかがですか。
○国務大臣(枝野幸男君) ODAについては、いろんな経緯といろんな目的、具体的な細かい目的があると承知をしておりますが、そうしたことの中で、できるだけ早く大幅に削減をすべきであると思っておりますし、そちらに向けて歩んでいる途中であると思っております。
○山谷えり子君 全く同じ論理なんですね。大幅削減するけれども、今度は削減しないと。それから、外国人の党員によって代表が選ばれて総理が選ばれていく、これはおかしいと思っているけれども、今回も結論を出さなかったという、そういう政権、無責任でいかがわしい政権に対して、国民のみんなが疑問を持ち始めたということをしっかりとわきまえていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。