国会での活動報告詳細

2011年11月15日
【委員会 質疑】 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会

北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会(平成23年11月14日)
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。山岡拉致問題担当大臣、玄葉外務大臣、御苦労さまでございます。
 玄葉大臣が、先ほど、アニメ「めぐみ」や映画など、各大使に説明しながら、御覧いただきながら広報していきたいということをおっしゃってくださいました。是非、国際連携につながりますように働きかけていただきたいと思います。
 冒頭では、山岡拉致問題担当大臣から誤解と混乱を招いたと。すなわち、十月二十八日の参議院のこの北朝鮮の拉致問題に関する特別委員会、この委員会で、山岡拉致問題担当大臣が、松原国土交通副大臣のことを正真正銘の拉致問題担当の副大臣でございますとおっしゃられました。また、松原さんも、拉致問題担当副大臣としての発令をいただいているというふうに答弁なさいました。しかしながら、調べた結果、内閣府の発令はなかったと。したがって、法的根拠のないままに委員会で答弁なさったということで陳謝なさったわけでございますけれども、十一月十一日、先週の金曜日には野田総理が藤村官房長官に対して、法的根拠なく答弁させたことに対して官房長官を厳重注意なさいまして、また今日、官房長官は議運の場で陳謝なさったと聞いております。
 山岡大臣は、なぜ正真正銘の拉致問題担当、内閣府の担当副大臣でありますというふうにあのとき答弁なさったんでしょうか。

○国務大臣(山岡賢次君) 冒頭で陳謝申し上げたとおり、内閣府の発令ではないと、ありませんということは申し上げたとおりでございますが、あの当時は、私が総理にお願いを申し上げたのは、是非、この家族のことなぞ考えるとと、また、七か月で替わっていると、これはもう厳然たる事実ですから、それは政府を挙げてやるといっても、家族の気持ちなぞをおもんぱかって、是非とも議連の事務局長の松原さんを私の下での副大臣でお願いを申し上げたいと、こういうふうに総理や官房長官にお願いをしていた経緯があったものですから、私はそういうふうにしていただいたとあのときには思っておりました。
 しかし、先生の御指摘があって、さっき陳謝申し上げたように、それは間違いであったということが分かりましたので、今後十分気を付けてまいりたいと思います。

○山谷えり子君 法治国家としてあるべきではない暴走をしたということで、なぜこんなことが起きたのか、二度と起きないように本当に確かめたいと思うんです。
 なぜ内閣府の拉致問題担当副大臣として発令しなかったのか、できなかったのか、お分かりでございましょうか。

○国務大臣(山岡賢次君) それはよく今は理解をしております。
 拉致担当と、あるいは国土交通副大臣というのは内閣府の立場ではございませんから、それを任命するにはこれはその発令はできないと、こういうことだと思います。

○山谷えり子君 どういう法律に反するから発令できないんでしょうか。今の答弁ではちょっと答えになっていません。

○政府参考人(河内隆君) お答え申し上げます。
 松原国土交通副大臣に対しましては、拉致問題担当副大臣としての任命は行われておりません。この点につきましては、これまでから当委員会でも触れられていると思いますが、拉致問題につきまして、まず、九月六日の閣議の場におきまして、内閣の首長たる内閣総理大臣が、松原国土交通副大臣に対し、前田国土交通大臣の御了解を得て国会対応を含め事実上の補佐をお願いをしたところでございます。
 内閣の担当大臣につきましては、その時々の政策課題に応じまして内閣総理大臣の判断により任命されるものであるため、副大臣、政務官等の補佐体制は制度上措置されておりません。しかしながら、内閣の担当大臣に命じられた事務がより円滑に進むように、総理が関係する各省の副大臣等に対しまして、所属する省の大臣の命令の下、調整事務等につきまして当該省の所掌事務に関連して事実上の補佐を依頼することは、内閣法及び国家行政組織法等に必ずしも反するものではないわけです。
 しかしながら、今回、様々な御指摘、そして九月六日の総理の発言の趣旨が十分徹底されなかったため、十月二十八日の当委員会での審議において混乱を生ずることになったこと、そしてまた、総理の発言に基づき事実上の補佐を依頼することについて、政権交代以前から手続上不適切な点があったにもかかわらず、これを改めてこなかったことについて、御指摘……

○委員長(大塚耕平君) 答弁者は、答弁を手短に、簡潔にお願いします。

○山谷えり子君 私の時間は限られております。今の、審議妨害だと思います。
 私は、山岡大臣に、何の法律違反だから内閣府の特命担当副大臣に任命できなかったとお思いですかと聞いているんです。

○国務大臣(山岡賢次君) 何の法律違反かと言われると、あえて申し上げる必要もないと思うんですが、法律違反という、法律違反という形にはなっていないと思っております。

○山谷えり子君 内閣府設置法十三条には、「内閣府に、副大臣三人を置く。」という条文がございます。このとき既に内閣府には副大臣三人任命されて、天皇陛下から認証されておりました。ですから、四人目の内閣府の拉致問題担当副大臣に松原さんを任命することはできなかったんです。
 それを、山岡拉致問題担当大臣が、それは家族の思いを酌んでくださった、私も拉致議連で一緒に働いてきた仲間ですから、松原さんに拉致問題やってほしいです。けれども、法令違反だから内閣府副大臣はできないんです。その認識まだないんですか、今日も。

○国務大臣(山岡賢次君) そういう認識を持っておりますので冒頭に謝罪をさせていただいたわけでございますが、おっしゃるとおり、内閣府設置法十三条で副大臣三人を置くと、置くことができると、こう書いてありますが、その範囲の中でなかったということで、申し訳ありません。

○山谷えり子君 今の今までその法令違反の根拠法を御存じなかったということが分かりました。
 こんな形で、山岡大臣、やっぱりもう松原さんを切るという形ではなく、拉致問題として、担当として引き続き任用はできるんですよ。ただ、副大臣だけはできないと。だったら、拉致問題にかかわるポストをおつくりになったらいいじゃないですか。

○国務大臣(山岡賢次君) おっしゃるとおりでございまして、私も国対をやっておりますが、かつては国会内でいろいろな応用もありましたが、厳密に御指摘をいただければおっしゃるとおりでございますのでそのようにさせていただきましたが、しかし、私の松原さんへの気持ちとか、また松原議員の役割については、実質上意図したとおりになるように取り計らっていくように今しているところでございます。

○山谷えり子君 九月六日の閣議の後に藤村官房長官は、松原さんに内閣府特命の副大臣ということで拉致担当をさせると、これ全く間違いの記者会見をしているんですね。そして、山岡大臣も、異例だが役所のルールよりも御家族の意見、意思を優先すべきと思うと。これ、役所のルール違反ではないんです、法律違反だから任命、発令できなかったということなんですね。
 野田総理も十一月十一日に藤村官房長官に厳重注意なさったんですが、実は野田総理の閣議発言にも問題があるんです。九月六日、拉致問題については松原仁国土交通副大臣に山岡大臣の補佐を国会対応を含めお願いすることといたしますと。この閣議発言は適切だと思われますか。

○国務大臣(山岡賢次君) 法的に的確かと言われれば、今日おわびを申し上げたように、的確ではないと思っております。

○山谷えり子君 この野田総理の発言は、内閣府設置法違反というよりも、国家行政組織法に違反しているんですね。つまり、総理というのは大臣を任命することはできますが、副大臣というのは各役所の大臣が任命するものですから、野田総理の閣議の発言は越権行為なんです。つまり、前田国土交通大臣が松原副大臣にいろいろな仕事を任じられるということでありまして、民主党政権というのは法治国家としてのわきまえがなさ過ぎるんです。
 自民党政権でしたら、法律に余り詳しくない部分でうっかりミスというのがある場合も、未然に、事前に役人が、いや、これはこの法律違反です、こっちはこれは法律違反です、閣議のこの発言は不適切です、全部アドバイスするはずなんですが、こんなに暴走がここまで許されてしまったという、これは民主党政権の未熟というよりも、私は法治国家としてのわきまえがない、あるいはそのようなものはどうでもいいというふうに思っていらっしゃるんだと思うんです。
 冒頭で陳謝いただきましたけれども、その部分に関する思いは全く感じられませんでした。今私が指摘しました内閣府設置法違反、国家行政組織法の違反、これについて今、山岡大臣はどのような思いでございますか。

○国務大臣(山岡賢次君) あえてこれ以上申し上げたくはないんでございますけれども、こういうケースは、これは自民党さんのときも民主党のときも、今までは慣例に従って行われていた経緯はあるわけでございますが、先生のそういう御指摘を受けて、これを正確に対応していけばおっしゃるとおりでございますので、撤回をして謝罪を申し上げているところでございます。

○山谷えり子君 まだ分かっていないということがよく分かりました。
 自民党のときは、関連があるところで任務をお願いするということはあります。例えば国土交通副大臣松原さんに内閣府の海洋政策を担当させる、これはいいんです。しかし、関連が薄いということとともに、内閣府の設置法、今一生懸命耳打ちしている、官僚、ちゃんと教えてあげてください、内閣府設置法違反なんです。三人までしか副大臣を任命できないのに四人目を任命させようとして、それができなかった。その説明も何も分からないまま、正真正銘の拉致問題担当副大臣でございますと国会で答弁している。法的根拠なく暴走している。そして、それを指摘されてもまだ理解できない。担当大臣として不適格だと思います。
 今理解なさいましたか、今で。いいです。もういいです。大臣に聞いています。

○国務大臣(山岡賢次君) その点については理解をしているつもりでございます。
 拉致は、これは内閣に属しておりますから、内閣府ではありませんので、内閣の属している副大臣を内閣府で任用するというのは、先生のおっしゃるとおり、これは正しくないと、こういうふうに理解をしております。

○山谷えり子君 法律の本当理解をしていただきたいことと、役所のルールを無視してもいい、あるいは法律のルールを無視してもいい、こういうことでは全くないというその自覚を、責任をお持ちいただきたいと思います。
 普通は、ここまでひどい暴走をした場合、大臣は自ら辞任なさるのが普通ではないかなと思いますが、その辺いかがですか。

○国務大臣(山岡賢次君) あくまでも私の真意は、拉致担当大臣として拉致問題を解決をしていきたいと。しかし、その大きな前提の中に、拉致家族の皆様のお気持ちをおもんぱかれば、これは察して余りあるものがあると、皆様ともう全く同じだと思いますが。
 そして、そういうことを思うがゆえに、七か月で替わっているという御指摘は、またそれももっともな御指摘でございまして、したがって、ここは拉致の被害者の家族の皆様と長いお付き合いがあり、信頼もあり、そういう松原さんに副大臣になっていただいてそのことをケアをしていただきたいと、こういう思いからのことでございますので、そういう手続に対してミスを生じましたことはおわびを申し上げますが、真意を是非御理解をいただきたいと思います。

○山谷えり子君 法治国家ですから思いだけでは全くいけないわけでございまして、引き続き拉致問題の担当を松原さんにやっていただくようなポスト、法令違反ではないポストを御用意いただきたいというふうに思います。
 それで、山岡委員長が財務委員長、民主党のをやっていらした平成十九年、二十年、二十一年、この間に民主党の国会議員、地方議員あるいは民主党の都連、組織として、拉致問題、拉致の実行犯として国際指名手配されている犯人、それとずぶずぶの関係の団体に二億円以上のお金が渡っているんです。そして、今もその関係団体から民主党の国会議員たちは秘書を送ってもらっています。
 七月二十一日に、私は菅総理にこの問題ただしました。菅総理は明確に答えられませんでした。十月二十八日、この委員会で私は山岡大臣に、拉致問題解決を願うならば、これを経理の問題、そして、何しろ拉致実行犯と深い関係のある人たちのところにお金行っているわけですから、その人たちから情報を得ればいいわけですから、聞き取り調査などなさいましたか。

○国務大臣(山岡賢次君) まず、私が財務委員長という役割のときは、まあ一言で言えば金庫番というのが分かりやすいところでございまして、一定の指示の下に一定の規定の出費をして領収書をきちっと通して経理的に処理をしていたという立場でございますので、そこから先のことについては、財務委員長としては承知をしておりませんでした。
 また、今御指摘の点についても、これは拉致問題と先生は結び付けて、関連はあるといえばそうかもしれませんが、直接担当大臣としてそこに対応するということはしておりません。

○山谷えり子君 その関係団体は、拉致の実行犯、国際指名手配されているその犯人から平壌からの原稿をもらったり、もうすごい関係なんですよ。そして、今秘書さんが民主党の国会議員のところで働いているんです。聞き取り調査ぐらい簡単なことじゃないですか。ありとあらゆることをやっぱり情報収集して取り組まなければいけないんです。
 ですから、そんな怠慢なこと言わないで、是非聞き取り調査、お金の流れ、人の流れ、そして秘書さんからの情報収集なさってください。

○国務大臣(山岡賢次君) また、その点については検討させていただきます。

○山谷えり子君 拉致問題担当大臣でいらっしゃいますから、是非そのことは行っていただきたいと思います。
 といいますのも、政府認定の拉致被害者十七名、五名御帰国くださいましたけれども、まだまだ民間の調べで、拉致の疑いが濃厚あるいは拉致されたんじゃないかという問合せ、特定失踪者問題調査会というところに四百七十人の問合せがあります、リストがあります。そのうち七十三名は非常に拉致の疑いが濃厚だと言われております。
 私、今月に入ってからも、十一月五日、特定失踪者福井の集会に出ました。山下貢さん、山下春夫さん、宮内和也さん、河合美智愛さん等々、平成九年とか十年とか、そういう割合最近になっても不思議な形で失踪しているんです。もう家族からの訴えを聞きました。
 そして、この十一月九日には、特定失踪者問題調査会は民間でやっていますからお金がないんです、それを全国で支援しようじゃないかという全国組織が立ち上がりました。
 そして、十一月十日にはこの「拉致報告書」という本が出版されたんですが、チャック・ダウンズさんという方が編集していらっしゃる。この方は国防総省の元北朝鮮の交渉担当官なんですね。これを読めば、そんな人数じゃない、物すごい人数の拉致があったに違いないということでありまして、シンポジウムを十一日に行われたところでございます。
 政府のこの「北朝鮮による日本人拉致問題」、特定失踪者問題調査会の問合せ場所とか何にも書いていないんですね。もちろん政府自らが特定失踪者問題調査会と連携しながらきちんとやってくださるのはもう当然のことなんですが、それがなかなか進まないんです。家族の皆様はこうやって自分でパンフレット、「特定失踪者にも光を」、作っていらっしゃるんですね。
 来年の概算要求に情報収集・分析、書いてあります。ここに特定失踪者問題調査会との連携、あるいはこうした問合せの御家族、政府には九百人ぐらいの問合せあると思いますよ。丁寧に丁寧にありとあらゆることに当たっていただきたいと思いますが、その辺、いかがでしょうか。

○国務大臣(山岡賢次君) 委員のおっしゃるように、いわゆる特定失踪者、拉致の可能性が排除できない事案ということについては、御指摘のとおり、情報収集とか分析等について、これは対策事務局、また警察挙げて徹底をして調査をしているところでございます。
 また、先生のおっしゃる、委員のおっしゃる、警察の方では九百件と、こういう数字を挙げておりまして、調査会では四百七十人と、こういうことを一応は数字が出ておりますが、この九百件以上のところについても、平成二十一年秋以降、二十五人が国内で新たに発見をされました。調査会の四百七十人の中ですと十五人でございますが、そういうところで、この拉致の認定に行くというところはなかなか確定できないので特定失踪者ということになっているわけでございますが、その中でも国内で発見をされたという方についてはこのぐらいの数で今出てきているわけでございます。
 いずれにしても、調査会の皆様と全面的に協力をして、この特定失踪者についての対応にも全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

○山谷えり子君 来年度の概算要求、されておりますが、そこの情報、調査というところにしっかりと特定失踪者問題、これを位置付けていただきたいというふうに思います。そして、法令違反、こうしたことを明確に自覚なさって責任の重さというものを感じていただきたいと思います。
 終わります。