国会での活動報告詳細

2012年4月19日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。中川大臣、関係省庁の皆々様、御苦労さまでございます。
 この新型インフルエンザ等対策特別措置法案、平成二十一年のときのいろいろな反省も踏まえ、あのときは基本方針や基本的な対処プロセスのいろいろな責任体制あるいは権限の明確化というものがなされていなかったという反省の下に、そうした体制をつくらなければならない、この基本的な考え方には賛同いたしますけれども、参考人の方々の意見や今日の、今のはた委員のいろんな指摘もありましたけれども、具体的にどう適用されるのか、運用されていくのかということになると、まだまだ見えないところが多過ぎるというのがいまだに私の思いでございます。
 そこで、何点かお聞きしたいと思います。
 まず、そもそも短期間に数十万人死亡ということを設定していろんなことを考えられたということなんですが、このそもそもが実はスペイン風邪並みのものだろうという予測って、それは全く根拠がない予測だと思いますが、どうしてスペイン風邪並みの六十四万人が短期間で死亡するという、新型だから全く未知のものなのにそのような設定をなさったんでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) これは、専門家の中でその検証といいますか、議論をしていただいた上での判断ということになります。
 具体的には、平成十六年八月に厚生労働省の新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会の報告書、これにおいて、新型インフルエンザが発生した場合の影響として、スペイン・インフルエンザの我が国における患者数、それから死亡者数のデータを挙げるとともに、スペイン・インフルエンザ流行時と比較すると医療供給体制が質、量共に大幅に改善されて衛生環境も向上しているということはあるんですけれども、もう一方で、人口が増加して高齢人口と基礎疾患を有する者の増加があり、都市への人口集中、あるいは世界的な高速大量交通の飛躍的な発達があるということ、こういうことを前提にしていくと社会生活環境が感染症対策に好ましくない方向に大きな変化を遂げているということがあって、そのことを指摘がされたということ。
 それからもう一つは、現行の政府行動計画、平成二十三年九月にこれは制定しているんですけれども、この対策を考える上での一つの想定としてスペイン・インフルエンザの死亡率等を参考にしております。これも専門事項については厚生省新型インフルエンザ専門会議の意見、これを踏まえたものであります。
 そういう意味から、その専門家の意見を聞いたということと、それからもう一つは、東日本大震災の対応の経験から考えて最悪の事態を想定をしていくということ、これも重要な要素であるということでありまして、被害想定に係る推計については多様な要因が複雑に影響するものでありますけれども、これから先も、これは随時最新の科学的な知見を踏まえて、実際どういうことなのかということを見直していくという努力もこれもまた必要だというふうに思っております。
 以上です。
○山谷えり子君 バイオテロにも考え方としては準用されるというようなことをおっしゃられましたけれども、バイオテロだともう百万、二百万、三百万人、そういうレベルだと思うんですね。
 それから、今の説明、長々とおっしゃられましたけれども、スペイン風邪流行のときよりは衛生状況がいい、しかし都市部にいろんな人口が集中したりということもあって、だからスペイン風邪並みのこういう想定にする、プラスマイナスを考えるとって、余りにも非科学的、根拠のない説明を長々となさって非常に不安になるばかりでございます。
 それから、これまでのワクチンの製造では間に合わないだろうということで、細胞培養法という新しい形で開発していくんだということをお決めになった。しかし、この細胞培養法というのはまだ開発、確立しておりませんで、平成二十五年にできるんじゃないかなと言われているんですね。
 WHOが推奨株、新型インフルエンザと思われるものがはやり始めたときに、推奨株というのをこれだと決めるのが二か月掛かる。そして、それに基づいて、推奨株に基づいてワクチンが、新しい新型インフルエンザに対応するワクチンが生産開始ラインに乗るか乗らないかというところまで一・五か月掛かる。つまり、三・五か月間は無防備な状態でワクチンがないままほうっておかれるわけですね。それから、ワクチンが開発されても、何と今の考えでは一億二千万人全員がワクチンを打つというような、私はこの想定自体あり得るのかなと思っているんですけれども、生産に六か月掛かると。ということは九か月間掛かるんですよ。これ、流行終わっちゃうんじゃないでしょうかね。
○国務大臣(中川正春君) ワクチンの接種がその対応の全てということではありませんで、基本的にはワクチン接種を含めてトータルな対応をしていくということであります。
 ワクチンというのは蔓延期に間に合わせることができるということ、これを目標に作っていかなきゃいけないわけでありますが、その以前の対策としては、水際対策、あるいは外出の自粛要請等の公衆衛生的な介入、あるいはタミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬等による治療によって実は感染のピークをなるべく後ろへ向いてずらしていくという、そういう対応をまず初期にやっていって、その間にこのワクチンの製造というのを急いで、できる限りその遅らせたピークに間に合うような形でこのワクチンを製造して接種をしていくというふうなことであります。
 また、新型インフルエンザというのは、最初の蔓延期が終息した後の第二波、それから第三波といった流行も懸念をされておるということが専門家の間で指摘をされておりまして、仮にワクチンの供給が第一波に間に合わなかったとしても、第二波以降に備える意味においても、免疫を有していない方が予防接種をすることは非常に重要だということ、こういう知見を前提にしてワクチンを製造していくということであります。
○山谷えり子君 流行のピークを後ろに遅らせていく、そして第二波、第三波もあり得るのではないかという想定の下に今議論しているわけですね。ですけど、新型インフルだから、全然その想定に外れる場合も非常に考えられるわけです。
 この流行のピークを遅らせて、第二波、まあ第三波ぐらいには間に合うんじゃないか、一億二千万人分作るには。しかし、それには九か月掛かると。流行終わっちゃうんじゃないですかと私は先ほど聞いたんです。中川大臣の答えは今の私の問いに対しての答えではないと思いますが。
○国務大臣(中川正春君) 海外を想定したときに、そこで株が取得ができて、それから日本でその対応をしていくということになるわけですが、その間、この細胞培養法によると、今のそれぞれの専門家の話の中では、六か月でこれを製造していくということができる、そういう体制をしいていくんだということであります。
 先ほど申し上げたように、これまでの蔓延の波というのは、最初の部分を後へずらしていって第二波、第三波ということになると、その六か月間の猶予というのは、私は間に合うというふうに思います。
○山谷えり子君 ですから、WHOが推奨株をこれだと決めるまでに二か月掛かるんですよ。それからワクチンができるまでに一・五か月掛かるんですよ。それから生産開始して六か月なんですね。つまり、九・五か月。
 一億二千万人、全国民がワクチンを接種するだろうというような体制を欧米は取っておりません。日本だけがなぜそのようなシミュレーションをしているんでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 事実関係だけ申し上げますと、平成二十一年の新型インフルエンザ発生時には、発生から約一か月後にWHO推奨株が決定されまして、その後、国立感染症研究所等でいろいろワクチン株を推奨したということで、その間一月掛かっておりまして、二か月後に国内ワクチンメーカーに生産開始を要請したということになっております。
 で、今度の細胞培養へ行きますと、全国民にその後行き渡るには六か月掛かりますけれども、三か月後には国産ワクチンの初出荷を開始できるというふうになっておりまして、時間の関係はそういうことになっております。
○山谷えり子君 私は金曜日のレクで聞いた数字ですからね。それは、そこのところ、ちゃんと厚生労働省で見解を統一しておいてほしいというふうに思います。そして、このときは細胞培養法ではありませんでしたし、いろんな変化が今起きているということをきちんと認識しながら進めていただきたいと思います。
 このワクチン生産体制づくりに四つの事業者が指定されて、そして既にお金も行っておりますが、その四つの事業者にそれぞれ幾らお金が渡っておりますでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方からお話がございました四事業者でございますけれども、この四事業者に対しては現段階では約三百六十二億円が交付をされているところでございます。
○山谷えり子君 私は、やっぱり金曜日、レクを受けたところによりますと、一般財団法人化学及血清療法研究所に約二百四十億円、北里第一三共ワクチン株式会社に約三百億円、武田薬品工業株式会社に約二百四十億円、一般財団法人阪大微生物病研究会に約二百四十億円ということになっているんですが、今の答えと違いますね。
○大臣政務官(藤田一枝君) 全体として基金の中で割り振っている金額、総体的にはそういう金額だと思いますけれども、現時点で交付をしている額については三百六十二億円ということでございます。
○山谷えり子君 今私が言ったのは平成二十三年八月に決定しているものですから、今の私の数字でお答えいただくのが適当なのではないかというふうに思うんですが。
 この四事業者、どういう基準で選定したんでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 平成二十三年度から第二次事業として、実生産施設の整備あるいは臨床試験の実施等に関する事業ということを行っておりまして、そこでこの四事業者を採択をしたわけでございますけれども、事業の実施に当たっては、まず事業者の公募を行って、提出された事業計画について有識者から成る評価委員会で専門的、学術的観点や事業の継続性の観点から評価をした上で、厚生労働省において価格などの観点を含めて総合的な評価を行いまして、応募事業者のうち評価の高かったこの四事業者を採択したものでございます。
○山谷えり子君 これまで、いろいろな医薬、製薬関係では、医者の学閥があったり製薬会社との利権があったり、国民は大きな不信感を持っているわけでございます。この四つの事業体が選定されて、そしてワクチン生産をこの四者で担っていくんだということに関しては国民のいろんな心配もあるかもしれませんので、きちんとプロセス、透明性をチェックしていただきたいというふうに思います。
 この一億二千万人分ワクチンを生産していく、これ、欧米ではそんなことやりません。全国民の全てに生産するというような形を取ってはいないというふうに思うんですが、一億二千万人分、もう流行のピーク終わっちゃっているかもしれませんよね、九か月たっていて。幾ら掛かるんでしょうね。
○政府参考人(田河慶太君) 新型インフルエンザ対策に要する費用につきましては、新型インフルエンザ等の病原性の程度や、あるいは国内での流行の状況により異なるものでございまして、現時点でなかなかお答えすることが難しい面もございますが、しかし、仮に病原性が高い新型インフルエンザが国内で発生し、多くの国民に予防接種を実際行うというふうになった場合におきましては、これはやはりもう数千億円のようなお金が掛かる場合も考えられます。しかしながら、一方、そうした病原性が低い場合、そうした費用は掛からないことも考えられます。
 いずれにせよ、新型インフルエンザが発生した際に必要な財政措置につきましては、状況に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○山谷えり子君 ウイルスの型が途中で変容していくかもしれない、だから違うタイプのワクチンに生産切り替えなきゃいけないかもしれない、あるいは一億二千万人分も実は要らないというような状況が起きるかもしれない。誰が判断するんでしょうかね、これは。
○政府参考人(田河慶太君) 新型インフルエンザ対策につきましては、平時から事前に専門家等の御意見等も聞きながら政府対策行動計画を定めていく必要がございますが、状況に応じて対応を変えていく必要もございます。
 その際、やはり、この法案の中でも学識経験者の意見を聞くことを定めておりますが、そうした学識経験者の意見も踏まえながら、政府対策本部として方向性を決めていくことになるというふうに考えております。
○山谷えり子君 六条の五に政府行動計画の作成、公表というのがいろいろ書かれておりまして、総理は、専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聞かなければいけないと。専門家、学者の意見を聞いて、そして閣議決定をしていくと。
 ところが、当時、平成二十一年、厚生労働大臣でありました舛添さんが、先日、四月四日の参議院の予算委員会で、この行動計画、そのときは厚生労働省が作った、これが実は、強毒性の鳥インフルエンザだと思って行動計画作ったと、しかし実は弱毒性の豚インフルだったと、だから行動計画がかえって役立つどころか手かせ足かせになっちゃったんだということを言っているわけですね。
 これ、学者を集めて、学者にはいろんな意見ありますよ。原発のときも分かりました。もういろんな学者がいろんな意見を言って、菅総理がお友達を集めてもういろんなことを言わせるから、船頭多くして船山に上るじゃないけれども、結局、手かせ足かせになっちゃったわけですよ。そういうことはないんでしょうかね。これ、机上の空論だと思いますよ、この六条の五というのは。
○国務大臣(中川正春君) 事前にしっかりとした学者集団あるいは専門家集団というのを確定をするということ、これは一つ大事なことだというふうに思うんです。そのときそのとき、あの人に聞いたらいい、この人に聞いたらいいというような、そういう話ではなくて、その委員会を構成する専門家が責任を持って判断する体制というのをつくっていくということ、これは一つあると思います。
 その上に立って、最終的にその専門家がまとめた考え方を、それに基づいて政治的な判断をするというのは、これはもう最終、総理大臣の判断になっていくということでありまして、そこのところの体制というのを、事前に行動計画を作っていく過程で、そしてまた事が起こったときに対処ということで対応していく過程で、あるいはまた見直していく過程でそれぞれ機能させていくということでありまして、そこのところ、御指摘のように、あの大震災の経緯を踏まえて、しっかりとした整理をしながら専門家の意見を反映をさせていくということだと思っております。
○山谷えり子君 基本的対処方針に関して、第十八条の四では、あらかじめ専門家の意見を聞かなければならない、ただし緊急を要する場合はこの限りではないと書いてあるんですね。
 もう本当に危機的な状況で、学者の意見を聞かなきゃいけない、いや、このときはもうこの限りではないとか、今の民主党政権で本当にそのようなことができるんだろうかと。準備していくことは本当に大事なことだと思いますけれども、あの原発のときの民主党政権の官邸のめちゃくちゃぶり、あるいは原子力村のめちゃくちゃぶりを見ますと、これは相当に緻密に準備をしていかなきゃいけないし、それぞれの現場でコンセンサスが十分にお互いに行き渡っていなければ機能しないことだというふうに思っております。
 北朝鮮がミサイルを発射した四月十三日、米国早期警戒情報は、SEWは、七時四十分確認、防衛省の幹部たちにも全部それが伝わりました。イージス艦にも空自のレーダーにもPAC3にも伝わりました。しかし、八時三分に内閣危機管理監は、全国の自治体にエムネットというシステムで、発射確認せずという、流したんですよ、偽情報を、間違った情報を。今回のこれも、この新型インフルエンザの対策ですね、今民主党のはた委員が、責任者、司令塔誰ですかと言ったら、まさにその内閣危機管理監だというじゃないですか。八時三分に全国の自治体に確認しないって間違った偽情報を、アメリカや韓国はもう当局のニュースとして七時四十分と言っているんですよね、それを実はそのとき総理も官房長官も知らなかったんですよ、そんな八時三分にネットを流したって。
 これ、今更言ったってしようがないですけど、こういう民主党政権に、今、中川大臣、きれい事をお答えになられましたけれども、私は本当に機能するんだろうかということを思っておりまして、もっともっと細部を詰めていただきたいというふうに思います。
 ところで、平成二十一年のときの推定接種者は二千二百八十三万人とされております。前回、ワクチンですね、国産で二百六十億円、外資で八百五十三億円使ったんじゃないかと言われておりますが、これは、国産にこれだけ注文するんだ、どこの企業に注文するんだということを誰が決めたんでしょうか、二十一年のときです。
○大臣政務官(藤田一枝君) 平成二十一年のワクチン量ですけれども、二十一年新型インフルエンザ発生時には、同年の七月から九月にかけて厚生労働省において専門家で構成する新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会というものを開催をいたしまして、ワクチンの接種対象者や接種回数等の検討を行ってまいりました。
 その意見等を踏まえて、政府の新型インフルエンザ対策本部が二十一年十月一日に新型インフルエンザワクチン接種の基本方針というものを策定をいたしまして、二回接種を前提としたワクチンを、七千七百万人分程度のワクチンを確保する方針を決定したところでございます。
○山谷えり子君 その決定は、だから正しくなかったんですね。結局、弱毒性で、はやりもなかったということでたくさん余っちゃったんですよ、注文したのが。だから、外資の製薬会社に違約金を払わなければならなくなりました。ノバルティス社には幾ら払いましたか。
○政府参考人(外山千也君) ノバルティス社に対しましては、違約金といたしまして九十二億円を払っております。
○山谷えり子君 外資で注文した会社は、ノバルティス社とグラクソ・スミスクライン社です。グラクソ・スミスクライン社には違約金幾ら払いましたか。
○政府参考人(外山千也君) 払っておりません。
○山谷えり子君 なぜグラクソ・スミスクライン社はノバルティス社が違約金をもらったにもかかわらず違約金を放棄したんでしょうか、払わなくてもいいと言ったんでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 輸入ワクチンにつきましては、第二波に対応するために備蓄等を考慮してもなお余剰が見込まれたことから、グラクソ・スミスクライン社に解約を要請し交渉を行ったところ、先方の方からの申出によりまして違約金なしで解約に至ったものでございます。
○山谷えり子君 外資というのはお金にシビアなところです。ノバルティス社が九十二億円もらっているのに、グラクソ・スミスクライン社が違約金を要りませんと言う訳がちょっと私には分かりません。
 その後、グラクソ・スミスクライン社が作っている子宮頸がんワクチン、サーバリックス、これに公費補助をするということが急展開で決まりました。当時、鳩山総理、長妻大臣は否定的な言い方していたんです。この有効性、安全性、まだまだ分からないし、ヒトパピローマウイルスという、百種類以上あるウイルスの中で子宮頸がんになるハイリスクタイプが十五種類、その中で、グラクソ・スミスクライン社のサーバリックスは16型と18型と二つのタイプにしか効かない、だから公費助成するのに適当かどうか、それはまだ結論が出ないというような答弁を本会議でも委員会でもしていらっしゃるんですよ。ところが、急に決まったんです。これはなぜでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 先ほどのグラクソ・スミスクライン社の対応でございますけれども、同社は他国でも場合によっては違約金なしで解約している例がございます。
 この子宮頸がん予防ワクチンの問題につきましては、グラクソ・スミスクライン社のワクチンを使っているわけでございますけれども、これは子宮頸がん予防ワクチン、それから小児の肺炎球菌ワクチン、それからHibワクチンということで、厚生労働省の厚生科学審議会の予防接種部会の方でこの三つについてしかるべきワクチン接種事業を行うべしというふうなことは提言を受けまして、それから国会での様々な議論も踏まえまして、補正予算で対応したということでございます。
○山谷えり子君 だから、その決め方が急展開だったんです。Hibワクチンは副作用が出るから、お母さんたち、今打ちたくないといってすごく控えていますよね。十分なデータがそのときあったのかどうかということをもう一回検証し直していただきたいと思います。
 平成二十二年八月二十日、菅内閣のときです。私は質問主意書を出しております。子宮頸がんワクチン、小六から高一まで七五%ぐらいが今もう打っています、既に。国と地方でお金を出すことが決まったと。三回打ってこれ六万円という非常に高いワクチンなんですね。それで、私は、子宮頸がん、若い人になぜ近年急に増えたんですか、子宮頸がんが、そして予防ワクチンはどの程度効くんですか、安全性、有効性のデータは十分ですかというような質問をいたしました。
 なぜ近年、二十代後半から三十代の若い女性の子宮頸がん発症率が上昇しているのか、政府の見解を聞きましたが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方から御指摘がございましたように、近年、四十歳代以下の年齢の女性に子宮頸がんにかかる方の割合が増加をしているということについては認識をいたしているところでございます。そして、この子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスは性交渉により感染することが知られておりまして、国立感染症研究所の報告によると、性交渉開始時期の低年齢化が四十歳代以下の年齢層の子宮頸がんの罹患率の増加に関係していると考えられるとされているところでございます。
○山谷えり子君 そうなんです。そのとき私の質問に対して政府が答えたのはこういうふうだったんです。性交渉開始時期の低年齢化等の影響があるものと考えている。そして、国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページにもこう書いてありました。子宮頸がんリスクの要因は低年齢での初交、つまり十代前半とかローティーン、ミドルティーン、複数の人とセックスする、性的パートナーが多い、そして他の性行為感染症とのかかわりというようなことなんです。つまり、十三歳セクシャルデビューなんて言って、今もうワクチン接種の勧めをグラクソ・スミスクライン社はこんな漫画まで作ってやっているんですよ。それで、子宮頸がん予防ワクチンはセクシャルデビュー前、性交渉の経験前の十代で接種すると効果的と書いてあります。そしてまた、ホームページも、キティちゃんのこんなのを作って、メール、ツイッターでお友達に子宮頸がんワクチン打つのが大事よって知らせましょうねって書いてあります。
 しかし、両方とも本当の原因を書いていないんですよ。なぜ子宮頸がんになるのか、十代の前半あるいはミドルティーンで複数の人とセックスする、性交渉年齢が早いからだって。二十代では、神様がちゃんとお体つくってくれているんですよ。だから、低年齢でセックスしちゃ駄目よって、そうすれば子宮頸がんになるリスク減りますから。それをまず教えるべきじゃないでしょうかね。
○大臣政務官(藤田一枝君) 今委員の方から御指摘をいただきました、そういう視点も含めていろんな啓発に取り組んでいかなければいけないと考えております。
○山谷えり子君 視点も含めてじゃなくて、それがまず第一だというふうに思っています。
 これ地域差がありまして、16型、18型というグラクソ・スミスクライン社が効くと言われている型、これは欧米では八、九割ですが、日本ですと五割から七割有効という形で地域差もあるんですね。それから、長期的な効果、どのぐらい持続するんですかと聞きましたら、海外の十五歳から二十五歳までの七百七十六例を対象とした試験結果によると、平均追跡期間五・九年の時点では、その予防効果は最長六・四年間持続することが確認されているものの、その予防効果の持続期間については確立していないと政府はお答えになられました。これから二年たっていますから、今予防効果最長八・四年ぐらい効くと、こういう状況でよろしいんでしょうかね、政府としては。
○政府参考人(外山千也君) 最近のグラクソ・スミスクライン社より確認できた情報でございますけれども、十五歳から二十五歳の女性四百三十七例を追跡した海外の臨床試験では、平成二十三年三月時点で予防効果が最長九・四年間持続することが確認されております。
○山谷えり子君 費用対効果について、私はこのときも質問を政府にいたしました。
 平成二十二年七月七日、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会の資料によりますと、サーバリックスによる免疫維持期間が明らかでないこと、全ての子宮頸がん患者に占めるサーバリックスが感染予防効果を有するHPV、ヒトパピローマウイルスですね、16型及び18型が検出される子宮頸がん患者の割合が五〇%から七〇%までと幅があることから、費用対効果について現時点で評価は難しいというふうに言っているんですね。この政府見解は今も同じなんでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 子宮頸がんワクチン等について厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会に設けられましたワクチン評価に関する小委員会で、その効果や安全性、そしてまた医療経済的な評価というものをこの間行っていただいてまいりました。そして、昨年の三月十一日に報告書が取りまとめられたところでございます。
 その中で、医療経済的な比較分析を行ったところ、ワクチン接種により健康な寿命を一年延伸させる効果を得るための費用については五百万円程度以下であれば良好であると判断されておりまして、この子宮頸がん予防ワクチンは二百一万円と推計されることから、国内での子宮頸がん予防ワクチン導入の費用対効果というものは良好であると、このように推計されたところでございます。
 ただ、ワクチンの評価については医療経済的な分析のみで行えるものではなくて、効果や安全性などを総合的に考えていかなければいけないと、このようにも考えているところでございます。
○山谷えり子君 これ、婦人科の病院のホームページなんですが、ハイリスクタイプのヒトパピローマウイルスに感染しても、九〇%以上は体内から自然消滅すると。全世界で毎年三億人の女性が発がん性のハイリスク型ヒトパピローマウイルスに感染すると仮定した場合、そのうちの約〇・一五%が子宮頸がんを発症すると推定されているというふうなこともございます。
 日本の場合、さっきも言ったように、HPV16型、18型が地域的には小さいもの、それから性交渉を十代の初め、半ば、そういった時期にしなければゼロなんですよ。今の費用対効果の、私、説明、何か違うんではないかと思いますけれども、疑問感じられませんか。
○大臣政務官(藤田一枝君) この子宮頸がん予防ワクチンの効果ということについては、いろんな御議論もございましたし、国会の中でも様々な御指摘もございました。もちろん、このワクチンだけが全てではなくて、先ほどから委員の方から御指摘をいただいているような啓発をしっかりやるということが当然必要だということは言うまでもございません。その上に、この予防ワクチンということで取組をさせていただいているところでございます。
○山谷えり子君 このグラクソ・スミスクライン社の子宮頸がんワクチンの説明書には、本剤の予防効果の持続期間は確立していないと書いてあります。それから、副作用の検証もまだ不十分でありまして、抗体が子宮頸部の粘膜ににじみ出ることによって予防されるのではないかと考えられているというような分析なんですが、そしてまた、新しいタイプの免疫増強剤も使われておりまして、この有効性、安全性というのもフォローアップが十分ではないんですね。
 今、厚生労働省は、追跡調査をこの会社にお任せしちゃっているんですよ。グラクソ・スミスクライン社は、製造販売後ももちろん安全性を調査しているというところで、今、一生懸命安全性を調査しつつあるところなんですね。これに対して、国の行政としてはインフォメーションの在り方に非常に問題があると思いますけれども、今言ったような、まあ山谷さんの意見もそれはそうですねというような意見じゃ、答えじゃなくて、もう少し根本的に問題をとらえ直していただいて、十代、つまり十代の初め、半ばでセックスを始めて複数とするから、十数年の潜伏期で二十歳から三十歳までの子宮頸がんの人たちが今増えちゃっているわけでしょう、急に。そういうことをもう少し分かりやすく説明したらどうでしょうかね。
○政府参考人(外山千也君) 先生御指摘のように、現在、グラクソ・スミスクライン社では、有効性及び安全性に関する製造販売後調査を行っております。しかし一方、厚生労働省の方でも、子宮頸がん等接種緊急促進事業の中で、ワクチン接種後の副反応の収集、評価も実施しておりまして、医薬局、健康局合同の委員会の中でそういった副作用のことについても抜かりなくフォローアップしております。
○山谷えり子君 ノルウェーでは公費助成はまだ早いということでしていないというふうなことも聞いておりますし、またアメリカの大統領選でも、子宮頸がんワクチン打ったからもう子宮頸がんにならないからといってセックスしてもオーケーというような、そういうようなむしろモラル破壊の方がかえってリスクを高めているんだというようなこともありまして、きちんと海外の情報も得てください。この新型インフルエンザワクチンのことについても私は似たようなことが言えると思います。ある部分では欧米に倣ったりするんですが、この今の特措法に関しては私はちょっと前のめり過ぎるんじゃないかなと。そういう根拠がない状態の中で、根拠があるんならいいんですが、根拠を決めるその土俵設定が余りにも曖昧過ぎるということで、本当に何かに引っ張られていく可能性が非常に強いということを心配しているわけでございます。
 医学と科学とは違う政治判断、政治決着、あるいはワクチンビジネスというお金の問題と絡んで、どこか人々の健康とか有効性とか費用対効果とか、そうしたこととは違う方向に走っていってしまう、それは国民の思いとは違うわけですから、十分気を付けていただきたいと思います。
 中村祐輔先生、残念ながら、アメリカで研究するんだといって出られました。がんペプチドワクチン、それから丸山ワクチンのようながん免疫活性化療法にも注目すべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○大臣政務官(藤田一枝君) がんペプチドワクチンが、手術、放射線療法、そしてまた化学療法に次ぐ第四の治療法として大変期待をされているということは強く認識をいたしております。このため、全国どこでも質の高いがんペプチドワクチンを受けてもらえるように、平成二十三年度より薬事承認を目指した新たな研究事業を立ち上げまして、八課題の臨床研究を採択をし、本格的な医師主導治験を実施する準備段階に入っているところでございます。
 今後も、早期の実用化を目指して財政的な支援も含めて取り組んでまいりたいと、このように考えております。
○山谷えり子君 今、丸山ワクチンもがん免疫活性化療法の一つだという形で再注目をされているわけですが、三十年前、残念ながら、厚生労働省の審議会で承認されなかったと。しかし、それからもずっと有償治験薬として三十数万人の方たちがお使いになられて、効くのではないかというようなことを言っておられるわけでありまして、バランスの問題として私は引っかかるものがあるんですね。
 三十年前、私は記者でありまして、丸山博士、あるいは行列を並んで丸山ワクチンを手にしておられる患者の皆さん、家族の皆様、取材しました。そして、国会でも集中審議が開かれて、何だかおかしいんじゃないかというようなことが言われたんです。いろいろな形の承認あるいは財政的支援も含めて、バランスの良い支援体制というものをいま一度、今回の特措法を機にもう一度見直してほしいと思いますけれども、いかがですか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 難病あるいはがん等の疾患分野の医療費の、実用化研究事業ということで、先ほど申しましたように、平成二十三年度からかなり力を入れて取り組んできておりまして、今年度予算でも十二・六億円を計上させていただいているところでございます。そういうことを活用しながら、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
○山谷えり子君 ですから、その部署とかその金額の掛け方が全く違うんです。ですから、総合的にもう少しバランスの配分を見直してほしい。
 それから、国内産業の育成ということが余り視野にないのではないかなというふうに思います。ですから、どんどん外資と合体していかないと生き残れないような状況に追い詰めようとしているように思われますけれども、国内産業の育成についてはどのような体制を取ろうとしていらっしゃいますか。
○大臣政務官(藤田一枝君) 医薬品産業というのは経済成長を担う重要な産業だというふうに認識もいたしておりますし、期待もいたしているところでございます。
 政府としては、これは委員も御承知のことと思いますけれども、二十二年六月に閣議決定をいたしました新成長戦略において七つの戦略分野の一つにライフイノベーションを位置付けまして、日本発の革新的な医薬品等の研究開発等を推進をしているところでございます。厚生労働省としても、今年度予算で革新的医薬品等を創出するためのライフイノベーションの一体的推進として百二十七億円を計上させていただきました。
 さらに、平成十九年に厚労省が取りまとめました革新的医薬品・医療機器創出のための五か年戦略というものがございますが、これが五か年を経過をいたしましたので、現在、医療イノベーション推進室と協力をして新たに医療イノベーション五か年戦略を策定しているところでございます。この新たな五か年戦略については、今後、日本再生戦略が策定される予定でございまして、その中にしっかりと盛り込んでいきたい、このように考えております。
 今後も、医薬品産業を我が国の成長牽引役とすべく、引き続き支援を強化をしてまいりたいと考えております。
○山谷えり子君 今、百二十七億円って、少な過ぎるんですよ。で、中村祐輔先生は責任者として呼ばれたのに実は違っていたと。もう悲しみ、無念こらえながら、アメリカで研究の場を移されてしまうんですね。その事実を受け止めてください。
 それから、子宮頸がんワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、これ千六百億円、よく分からないまま急に決まって、それから新型インフルエンザだってそうですよ、一億二千万人分作ると七千億円掛かると、もしかしたら無駄になるものかもしれない、流行終わっちゃっているかもしれないと。そのお金の掛け方が違う、それから透明性に対して非常に疑問を感じているところでございます。
 最後に、専門家からのヒアリングで、経団連の久保田専務理事が、労働法制や事業法上の諸規制の弾力的運用、法令、事前リスト化など見直しが必要だというふうに思うのですと。ここには何にも書いていないんです、法律には、何にも書いていないんですよ、現場を分かっていらっしゃらないから、民主党政権は、申し訳ないけれども。事前に意見をきちんと経済界の皆さん方と、聞かなきゃいけないと思いますよ。その辺はいかがですか。
○政府参考人(田河慶太君) 御指摘の様々な活動に対するものでございますが、経団連等からもお話をこれまでもお伺いしております。そのため、例えばよく、これは知事会の方からも要望書の中で出されましたけれども、運転免許の更新期限が来たらどうするのか等々御指摘もいただきました。そういう観点から、この法案の五十七条におきましては、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法案を、これを準用するような規定も設けているところでございますが、それ以外にも運用の面で配慮していくべき点もございます。
 昨年九月に改定しました政府行動計画におきましても、そうした点を踏まえ検討していく旨記載をしておりますが、今後私どもとしても、政府行動計画を策定する際には、経済界等のお話などもよく聞きながら、さらに運用面で考えていくべき点、そうした点も検討してまいりたいというふうに考えております。
○山谷えり子君 それから、同志社大学の川本哲郎法学部教授は、やはり参考人のヒアリングのときに、人権とか何か、不服申立てのところとか、もう全く何も書かれていないんですよ。
 例えば、四十五条の三、施設管理者に感染防止の協力を求める、特に必要とされる場合って、じゃ、特に必要とされる場合って何なんですかとか、六十二条の方でも補償がいろいろ書いてありますが、補償の範囲とか何にも、これ政令で決めるって書いてあるんですが、イメージができないんです。イメージができない。
 私、衆議院の内閣委員会のこの特措法に関する議事録全部読みました。たくさん質問していらっしゃいます、これに関して。答えは何にも分かりません。そういうことなんです。不服申立ての規定もありません。非常に乱暴な、雑な特措法なんですね、今のこの法案は。心配でいっぱいでございます。
 時間が来ましたので、この委員会で更に詰めて、同僚議員が、いただけるというふうに思います。
 質問、これで終わります。