国会での活動報告詳細

2012年6月14日
【委員会 質疑】 参議院 内閣委員会

平成24年6月14日 参議院 内閣委員会
○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法案についてでございますが、これも十分に審議は進んできて採決も終わったところではございますけれども、基本方針を作って責任体制、権限の明確化を図ると、こうした基本的な考え方には大賛成でございますけれども、しかしその立法の根拠になる根拠事実が曖昧だという、これは私は今もその疑念は消えておりません。
 スペイン風邪並みの六十四万人が短期間で死亡するという想定の下にという想定自体が分かりませんし、それから生産体制完了するまでに九か月掛かってしまう、これでは流行が終わってしまうんじゃないかと。しかも、欧米ではやっていない国民全員一億二千万人に接種するという計画で、既に四事業者指定が終わって、お金も何百億円付いているという、こうしたことが本当に想像という土台の上に乗っての、法律が成立しても、これから政令を決めたりいろんな運用をやっていく中で、やはり疑念を消すことはできないということを申したいと思います。
 平成二十一年の反省の上に立ってなんですが、このとき、新型インフルエンザだと、厚生労働省は専門家委員会で二回接種、七千七百万人のワクチンの確保を決定しました。しかし、弱毒性で、はやりもしなかった。頼んだワクチンは余ってしまって、非常にお金を無駄にしてしまったということがあります。これはなぜ間違ったんでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) お答えします。
 平成二十一年の新型インフルエンザ発生時のワクチンの接種回数につきましては、国際的な評価が定まっておらず、国内での臨床試験の結果を含め十分な根拠がそろうまで待つ必要があったことから、余剰が生ずる可能性も考慮の上で、当面二回接種を前提として十分な量のワクチンを確保することとしたところであります。
 その後、健康成人二百人、中高生百一人、妊婦百三十一人を対象とする臨床試験を実施し、一回接種で良好な結果が得られることが確認された対象者につきましては、有識者との意見交換会での検討結果を踏まえまして、順次一回接種への変更を決定したところであります。
○山谷えり子君 七千七百万人のワクチンを確保しよう、二回接種だと。それは九月なんですよね。で、十月にはもう一回接種でいいと。今のサンプルの数聞いてもいいかげんでございまして、つまりそういうことなんですよ。この特別措置法の下に、実際に運用されるときにはまた平成二十一年の間違いを犯すんではないか。
 これは誰の責任だったと、平成二十一年の場合考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(中川正春君) いわゆるパンデミックフルー、新型のインフルエンザに関連する法案、御了解をいただいて通していただいたということを本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。
 御指摘のように、これは運用していく段階では、やはり一つ一つ専門家の知見というのをしっかりとした形で固めて、それに基づいて運用していくということが何よりも大事なことだというふうに思っていまして、これから具体的な計画を作っていくわけでありますが、そこにそうした専門家の知見が反映できるような、そういう組織とそれから権限というものをはっきりさせて仕組みをつくっていきたいというふうに思っております。
 その上で、二十一年、いわゆる三年前のインフルエンザ、H1N1だったわけですが、これについて時系列的に、どういうところで誰がどういう判断をしてきたかということをちょっと説明をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、出発は平成二十一年四月の二十八日にWHOがフェーズ4、これは今H5N1というのはフェーズ3、まだ3の段階なんですが、それがそのフェーズ4になるとそれぞれアラートという形で世界中がそれに準備を始めるわけですが、その4の宣言をしまして、それを受けて、政府の対策本部ではウイルス株を早急に入手をしてパンデミックワクチンの製造に取り組むということを基本的な対処方針として決定をしました。
 続いて、五月一日に設置をされました、政府対策本部で、これもここで、専門家の諮問委員会においてこの判断について議論をしていただいて、この基本対処方針というものでやっていきなさいということでありましたので、その専門家の立場から確認されたということを基にしまして実行に移していったということであります。
 さらに、WHOについても、各国におけるワクチン接種に向けたウイルス株の選定、配付を行ったこと、それから、同年七月末以降に厚生労働省において専門家で構成する新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会において検討を更にやっております。その上で、新型インフルエンザは国民のほとんどが免疫を持っていないということ、それから非常に大きな流行がそのために懸念をされるということを踏まえて、二十一年の十月に新型インフルエンザワクチン接種の基本方針というのを決めまして、政府対策本部においてワクチンの接種の実施をここから発動をしているということであります。
 そうした意味で、判断そのものにはその当時の専門家が入った上での判断をしてきたということでありまして、結果としてそのワクチンは余って廃棄をしたということは事実なんでありますが、しかし、この時点の判断としてはそれで間違っていなかったということだというふうに私も解釈をしております。
○山谷えり子君 欧米などではやっていなかった水際対策をやったりとか、やっぱり余りにもばたばただったと思いますし、それから欧米での情報収集をやっぱり十分ではなかったというふうに思っております。採決は済みましたけれども、これからも折々フォローアップをしながら、想像上のことで暴走しないように、そしてまた利権とおかしな絡み方をしないように私どもチェックをしていきたいというふうに思います。
 それから、日本のワクチン行政なんですけれども、少し前のめりではないかと思う点がございます。
 先月五月二十三日、厚生労働省予防接種部会が子宮頸がんワクチン来年度より予防接種法に基づく公的予防接種に加えようという提言をいたしました。しかし、この子宮頸がんワクチンは、二年前同じ予防接種部会の資料として、免疫持続期間が明らかでないと、費用対効果、評価難しいと。がん対策室長も、その前に長期のデータがない、副作用の情報が不十分と言っております。それから、去年の九月も厚生労働省の審議会でドクターから、他の予防接種に比べて失神などの副作用報告が目立つというようなことでありまして、有効性、安全性、副作用、長期データ、まだ集まっておりません。私、メーカーにも三度ほど問い合わせましたけれども、フォローアップのデータはこれから集めていくというような状況です。
 そんな中で、どうしてこの予防接種法の改正案を出されようとしていらっしゃるんですか。
○大臣政務官(藤田一枝君) ただいま先生から御懸念の点御指摘をいただきました。
 現在のところは、このデータの安全性、有効性のデータということでございますけれども、グラクソ・スミスクライン社の子宮頸がん予防ワクチン、サーバリックスの有効性については、二十歳から二十五歳の女性千四十例を対象にした国内の臨床試験で、子宮頸がんの原因であるHPV16型と18型の六か月間の持続感染を一〇〇%予防することが確認をされておりまして、がんに移行する前段階の病変の発生予防効果というものが確認をされているところでございます。
 また、十五歳から二十五歳の女性、これは四百三十七例を追跡した海外の臨床試験でございますけれども、平成二十三年三月時点で予防効果が最長九・四年間持続することが確認をされておりまして、更なる長期的な有効性について現在このグラクソ・スミスクライン社で製造販売後の調査を行っているところでございます。
 また、副反応についてでございますけれども、接種後の注射部位の疼痛などのほかに、先ほど先生からお話もございましたが、全身性の症状として疲労、疼痛、発疹、発熱などがあり、また失神であるとか血管迷走神経反射やアナフィラキシー関連の症状というものがあるということも承知をしておりますけれども、ワクチン接種後の副反応情報に関する専門家の方々によります評価の結果では、現時点では因果関係が明らかな重篤な副反応というものは認められていないところでございます。
 こうした評価、データの蓄積がないという御指摘でございますけれども、こうした評価であるとか、平成二十二年の十月の予防接種部会意見書を受けて、当面の対応として平成二十二年度より補正予算によって基金事業で実施をしてきた経緯がございまして、それを踏まえて、今般の第二次提言で子宮頸がん予防ワクチンについて二十五年度以降も円滑な接種を行えるようにする必要があると提言されたところでございますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。
○山谷えり子君 子宮頸部の粘膜に抗体がにじみ出続けることによって予防が持続するというようなことが考えられているんですが、その子宮頸部の粘膜に抗体がにじみ出続ける長期のデータというのはないんですよね。それから、持続期間もやっと九年。今、十三歳でセクシャルデビューなんというとんでもない単語を使って打ち始めているわけです。九年しかまだ分からないと。そうした有効性、安全性、副作用、フォローアップデータ、まだないんですよ。
 それから、サーバリックスは、ヒトパピローマウイルスという子宮頸がんに移行するウイルス、百種類ぐらいあるんですが、16型と18型に効くだけです。今度認めるガーダシル、6型、11型、16型、18型。ところが、日本人に多いのは52型、58型。おかしいじゃないですか、行政として。もう少し謙虚に、前のめりにならないで、今国会に予防接種法の改正を出すなんということは慎重にしていただきたいと思います。
 続いて、文部科学省にお伺いします。
 これは、集団的個別接種ということで便宜的に学校を会場にしているところが非常に多いんですね。子供たちはとても拒否しづらいということなんです。打たないと、もう十三歳セクシャルデビューなんといって打って、その後は性行為オーケーだとか、あるいは、親の懸念があってうちの子には打たせないという子供に対しては、あなたはもう性行為しているから、もう間に合わないから打たないんでしょうという、考えられないおかしないじめとか変なことが起きているんですよ。こういうことは把握していらっしゃいますか、今。
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 現時点での学校を会場とした子宮頸がんワクチン接種の状況については把握していないところでありますけれども、ただ、先ほど御指摘いただいたようなその個別の状況というところも含めて、今後も、厚生労働省における定期接種化の検討状況も横に見ながらでありますけれども、既に基金によって行われている接種の実施状況等も厚生労働省から伺いながら、そこは連携をして必要な対応をしていきたいというふうに考えております。
○山谷えり子君 栃木のある市では学校での集団接種率九五%というのも聞いていますので、全国でどのぐらい学校が会場に使われているのか、文科省、すぐに調査をしてほしいんです。そして、子供たち、あるいは保護者の間で、あるいは先生はどのように教えてこの接種を保護者に説明しているのか。そうしたデータは今はないわけでしょう、今の話では。ですよね。これからどんなふうに把握していこうと考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(城井崇君) いわゆるデータということでは、先ほどの把握していないところでありますけれども、これまでの知見ということだけで申し上げますと、いわゆる学校でワクチン接種を行って問題があったというふうな報告例、聞いた例というのは今のところないという状況ではあるんですが、ただ、先ほどからのいわゆる現実はどうかという議員からの御指摘等もありというところを踏まえますと、厚生労働省と連携しながら必要な対応は検討していきたいというところでございます。
 以上でございます。
○山谷えり子君 私がこの質問をしているのは、いろんな国会議員からすごく問題が起きているという声をたくさん聞くからなんです。そして、私自身も聞いているからなんですね。
 この子宮頸がんになるハイリスク要因、一番の原因は何でしょうか。文科省。
○政府参考人(外山千也君) 前回もお答えいたしましたけれども、最近の若年齢化の原因は、学者によれば、性行為年齢の若年化がその一つの要因であろうというふうなことも言われておりますし、さらには、先生今御議論されているように、ヒトパピローマウイルスという感染症も原因なことは明らかなわけでございますけれども、そういった要因が重なってこういった発生状況だというふうに理解しております。
○山谷えり子君 そうなんです。低年齢で性交渉をする、そして複数のパートナーがいる、これが一番の原因なんです。
 そして、日本人には極めて限定的にしか効かないワクチンであるということと、長期のフォローアップデータがまだないというワクチンなんです。そのことを文科省は教育としてきちんと伝達すべきではないですか。いかがですか。
○大臣政務官(城井崇君) 子宮頸がんワクチンということも含めてになると思いますけれども、若い世代への性に関する指導については大変重要だというふうに考えております。
 その上ででありますが、必要な部分は、一つは性に関しての正しい理解と、そして適切に行動を取れるようになることと。その二つ目の適切に行動を取れるようになることというところに今の御指摘は非常に当てはまっているというふうに思っております。その上ででありますが、発達段階を踏まえるということとともに、保護者の理解を得ることなどにも配慮することが重要だというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今の御指摘を踏まえて、指導を適切に実施をされますように努めてまいりたいと思います。
○山谷えり子君 厚生労働省は、このワクチンの限界、検診もその後しましょうというような、そういう通知ではなくて、ワクチンそのものの限界性というものをきちんと広報で教えるべきではありませんか。
○政府参考人(外山千也君) このワクチンだけでなくて、予防接種法に基づく定期接種などでは、実施主体の市町村が予防接種の効果及び副反応、その他接種に関する注意事項等について十分周知を図ることとしております。また、接種前の予診の際にも有効性や安全性について保護者に説明を行い、同意を得た場合に限り接種を行うことにしております。
 今回の子宮頸がん予防ワクチンの問題につきましても、その辺を十分に勘案して周知を図った上で、あるいは同意を得た上で接種すべしという形で実施要綱にも明記しているところでございます。
○山谷えり子君 九年ちょっと前ですか、「ラブ&ボディBOOK」という、ピルの製薬会社からお金を集めて厚生労働省の外郭団体が「ラブ&ボディBOOK」という小冊子を作ったんですね。中学三年生、全国の全員、百三十万人分印刷して配り始めていたんです。
 そのとき私は、文科委員会で遠山敦子文科大臣に不適切じゃないかと。ピルは世界のみんなが使っているよ、女の子だけで避妊できるのが最大のメリットだと、面白おかしく漫画で、イラストですね、もうゲーム感覚。遠山大臣は、子供に対してこの表現は不適切だと。WHOでは飲まないようにと、十八歳以下はですね。そのピルをお勧めするように入手方法まで書いて、中学三年生の全国の全員に厚労省は配ろうとしたんですよ。厚生労働大臣は見て見ぬふりしましたよ、そのとき。
 ですから、この子宮頸がんワクチンだって同じなんです。十三歳、セクシュアルデビューなんという漫画本を作って、今子供たちにもうばんばん漫画本は配るわ、インターネットでキティちゃんのマーク使ってやるんですよ。文科省は、子供の心と体、発達状況をもっときちんと厚労省に、おかしいじゃないか、そのやり方はということを私は発言すべきだと思いますよ。
 遠山敦子大臣は私の質問に答えて、これ回収すべきだと言ったんですよ。ところが、厚労省は、これはうちが作ったものだから文科大臣には権限ないと言ったんですよ。それで、その本がいいと思うおかしな先生たちは学校の外の校門で配っていたんですよ。非常におかしなことが九年半前。そして、あの時代にコンドームのはめっこ教育とか、ひどい教育が物すごく行われたんです。そこで、子供たちはゲーム感覚で、もちろん出会い系サイトとか、ひどい情報のいろんなツールもありました。そこで、初交年齢がぐっと下がって、複数化、パートナーの複数化が起きたんです。そして、潜伏期間を経て、今十年後、二十代の子宮頸がんの急増になっているわけですね。そういう長い目で原因、結果をきちんと見ていただきたいと思います。
 子供たちがどのような状況で今打っているのか、そして子宮頸がんワクチンの限界性、これを文科省は、厚労省の問題だからといって腰を引かないで、きちんと取り組んで一緒にやってほしいと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(城井崇君) お答えを申し上げます。
 子宮頸がんワクチンも含めて、今、予防接種上の定期接種化に向けた検討が厚労省において行われておると。その中で安全性の検証については厚労省ということかというふうに認識をしておりますけれども、今御指摘いただいた学校現場を取り囲む状況もしっかり見据えつつ、この検討状況を我々もしっかり見させていただきながら必要な対応を是非させていただきたいと、検討させていただきたいというふうに思っております。
○山谷えり子君 厚労省にはしっかりした情報収集と公表、そして文科省にはしっかりした子供の心と体を守るという点からの取組を期待したいと思います。
 ありがとうございました。