国会での活動報告詳細

2012年4月10日
【質問主意書】 皇室制度に関する有識者ヒアリングに関する質問主意書

●皇室制度に関する有識者ヒアリングに関する質問主意書
(内閣参質180第75号)
(平成24年4月2日提出、政府答弁書4月10日)
 政府が本年二月よりスタートした「皇室制度に関する有識者ヒアリング」では、緊急性の高い皇室のご活動の維持と婚姻後の女性皇族の問題に絞り、皇位継承問題とは切り離して検討を行っていくとしているが、世界に誇る我が国の皇室制度であるだけに、検討には時間をかけ、慎重に慎重を重ねて議論していかなければならない。よって、以下質問する。

一 昨年十二月一日の野田首相の記者会見及び本年一月六日の藤村官房長官の記者会見では、「皇室活動の安定性」、「皇室のご活動の安定的な維持」が緊急性の高い課題であるとしている。では、この「皇室のご活動」とは、具体的にどのようなものを指すのか。その定義を示されたい。
(政府答弁)
一から五までについて
 天皇の行為については、憲法に定める国事行為、象徴としての地位に基づいて公的な立場で行われる公的行為及びその他の行為に分類され、皇族の行為については、皇族の身分をもって公的な立場で行われる公的行為及びその他の行為に分類されると考えられる。御指摘の「皇室のご活動」という用語は、これらの全てを表すものとして、御指摘の「天皇皇后両陛下のご公務」という用語は、これらのうち、国事行為及び公的行為に限らず、広く公的色彩を帯びた行為を表すものとして、それぞれ用いたものである。

二 前記一における「皇室のご活動」は、全て公的なご活動と理解してよいか。「皇室のご活動」に私的なご活動も含まれる場合、「皇室のご活動」と「皇族の私的活動」とはどこが違うのか。また、両者を区別する基準を示されたい。

三 本年一月六日の記者会見において、藤村官房長官は緊急性の高い課題として「皇室のご活動」のほかに、「天皇皇后両陛下のご公務」の負担軽減を挙げている。では、「天皇皇后両陛下のご公務」とは何か、その定義を示されたい。

四 前記三における「天皇皇后両陛下のご公務」は「皇室のご活動」に含まれるか。ご公務に含まれないご活動がある場合、「皇室のご活動」には具体的にどのような活動が想定されるか。

五 前記三における「天皇皇后両陛下のご公務」のうち「天皇陛下のご公務」は、憲法に定められた天皇の「国事行為」を除き、「天皇の公的行為」と重なるのか。両者の関係について示されたい。

六 本年二月二十九日に行われた「有識者ヒアリング」では、園部内閣官房参与が「天皇陛下の御公務の継続をお助け頂くという体制といいますか、(中略)御公務を分担して頂きたいという気持ちが湧き上がってくる」と述べている。これについて、「天皇陛下のご公務」は、天皇以外の皇族にも「分担」が可能なのか。可能とした場合、それはどの皇族にも可能か。あるいは、「ご公務」の内容により、「分担」できる皇族は限られるのか。
(政府答弁)
六及び七について
 御指摘の「天皇陛下のご公務」のうち、国事行為については、摂政を置くべき場合を除き、国事行為の臨時代行に関する法律(昭和三十九年法律第八十三号)第二条の規定に基づいて委任を受けた皇族が臨時に代行することができる。国事行為以外の「ご公務」については、法令上明文の根拠はなく、それぞれの「ご公務」の趣旨、性格等に照らして皇族がこれを行うことは可能であると考えられる。

七 前記五における「天皇の公的行為」は天皇の「象徴としての地位」に由来するものと理解する。では、その地位にない皇族に、その行為の「分担」あるいは「代理」は可能か。また、可能とした場合、その「分担」あるいは「代理」は、どの皇族にも可能か。