国会での活動報告詳細

2012年7月10日
【質問主意書】 シリアの情勢に関する質問主意書

●シリアの情勢に関する質問主意書
(内閣参質180第172号)
(平成24年7月2日提出、政府答弁書7月10日)

日本政府は平成24年6月29日の閣議で、シリア政府が鈴木シリア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」と通告したことを受け、大使を帰国させる事を決定した。
また、シリアのアサド大統領は平成24年6月26日、23日に発足させたヒジャブ新内閣の閣議に出席し、「我々は真の戦争状態にある」と宣言した。
 このような悪化する情勢の下で、現在もゴラン高原に国連兵力引き離し監視団(UNDOF)が展開し、日本政府も部隊を派遣している。
右の点をふまえ、以下質問する。

一 日本政府はシリア大使を解任し帰国させる事を閣議決定し、かつ、真の戦争状態にあると宣言した状況に鑑み、現在のシリア国内の治安情勢はPKO参加五原則に合致しているか日本政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
一について
国際連合兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という)については、UNDOFの活動地域において、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成4年法律79号)第3条第1号に規定する武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意としてイスラエル国及びシリア・アラブ共和国(以下「シリア」という。)間の合意があり、かつ、同号に規定する国際連合の統括の下に行われる活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者であるイスラエル国及びシリアの当該活動が行われることについての同意並びに同法第6条第1項第1号に規定する紛争当事者及び当該活動が行われる地域の属する国であるイスラエル国及びシリアの我が国の国際平和協力業務の実施についての同意は得られている。また、当該活動は、イスラエル国及びシリアのいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されている。
同条第13項第1号に掲げる場合には、同法第8条第1項の規定により定めた実施要領に従って当該業務を中断することとなり、さらに、派遣の終了が必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、同法第6条第13項に規定する実施計画の変更を閣議により決定し、我が国の要員の派遣を終了することとなる。
我が国の要員の武器の使用については、同法第24条等に定めるところによる。以上を踏まえ、政府としては、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が、現時点においても満たされていると考えている。

二 シリア南西部ゴラン高原地域は、内戦地域ではないと判断する具体的理由を示されたい。
(政府答弁)
二について
御指摘の「内戦地域」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「内戦」については、国際法上その具体的な意味について、確立された定義があるとは承知しておらず、お尋ねの「シリア南西部ゴラン高原地域」の状況がこれに該当するかどうかについて判断することは困難である。

三 現在、ゴラン高原に派遣されている自衛隊員は、イスラエル側とシリア側双方に何人派遣されているか。また、どのような支援活動を行っているか示されたい。
(政府答弁)
三について
現在、昭和四十九年(千九百七十四年)五月にイスラエル国とシリアとの間で締結された兵力引き離し協定に規定する兵力引き離し地帯(以下単に「兵力引き離し地帯」という。)の東側に位置するキャンプ・ファウアールに、広報、輸送及び重機材整備の業務に関する企画及び調整等の業務を行う司令部要員三名及びUNDOFの活動に必要な日常生活物資等の輸送及び道路等の補修等の業務を行うゴラン高原派遣輸送隊の要員十二名を派遣している。また、兵力引き離し地帯の西側に位置するキャンプ・ジウアニに、同輸送隊の要員三十一名を派遣している。