国会での活動報告詳細

2012年7月17日
【質問主意書】 次世代スーパーコンピュータ「京」に関する質問主意書

●次世代スーパーコンピュータ「京」に関する質問主意書
(内閣参質180第181号)
(平成24年7月9日提出、政府答弁書7月17日)

政府は、平成十八年より国家プロジェクトとして、次世代スーパーコンピュータシステムの開発を進めてきた。
「京」と名付けられた我が国の次世代スーパーコンピュータは、昨年には、世界初のペタフロップスを達成し首位を獲得したが、本年六月のランキングでは、米国IBM製「Sequoia」に記録を抜かれ、世界第二位になってしまった。
そこで、以下のとおり質問する。

一 スーパーコンピュータシステムの開発については、平成二十一年十一月の行政刷新会議における「事業仕分け」で、仕分け人であった民主党の蓮舫参議院議員(のちに行政刷新担当大臣)が「世界一になる理由は何があるんでしょうか。二位じゃダメなんでしょうか」と発言し、平成二十二年度予算も「事実上の凍結」から紆余曲折の後、概算要求から四十億減で計上された。事業仕分けによる大幅な予算削減と、今回二位という結果となったことの因果関係について、政府としてどう考えるか。

(政府答弁)
一について
御指摘のスーパーコンピュータ「京」(以下単に「「京」」という。)の開発を行った「次世代スーパーコンピュータ・プロジェクト」(以下単に「プロジェクト」という。)においては、これを開始した平成十八年度の時点で、十ペタフロップス級の演算性能を有し、汎用性を重視した世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータを平成二十四年度までに開発・整備することとしていたものであり、平成二十一年に実施された行政刷新会議の事業仕分け(以下単に「事業仕分け」という。)の評価等を踏まえ、開発・整備の方針を開発側から利用側の視点に立つものに転換し、平成二十二年度予算の概算要求において要求していた開発・整備の加速に要する経費を削減するなどの見直しを行ったが、これにより、十ペタフロップス級の演算性能を有する次世代スーパーコンピュータを開発・整備するという点に変更を加えたものではなく、平成二十三年十一月、「京」において十ペタフロップス級の演算性能を実現したところであり、御指摘の「今回二位という結果となったこと」が事業仕分けによるものであるとは考えていない。

二 そもそも、我が国における次世代スーパーコンピュータシステムの開発の意義について、政府はどのように考えているのか示されたい。

(政府答弁)
二について
御指摘の「我が国における次世代スーパーコンピュータシステムの開発の意義」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、プロジェクトは、計算科学技術を更に発展させ、広範な分野の研究及び産業における幅広い利用のための基盤を提供することにより、我が国の競争力の強化に資するとともに、多様な分野で社会に貢献する研究成果を挙げること、並びに我が国において、継続的にスーパーコンピュータを開発していくための技術力を維持及び強化すること等の意義があると考えている。

三 今後の次世代スーパーコンピュータシステムの開発の方向性について、政府はどのように考えているのか示されたい。

(政府答弁)
三について
「京」の共用開始後は、「京」を含む我が国の主要なスーパーコンピュータ等を国全体の研究開発基盤として機能させることが重要であると考えており、文部科学省において実施している「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ計画」(以下「HPCI計画」という。)において、「京」や東京大学等全国の九つの大学が保有するスーパーコンピュータ等をネットワークで結ぶとともに、これらのスーパーコンピュータ等を一つのユーザーアカウントにより利用するなどできるようにするシステムを構築し、その共用を平成二十四年九月末に開始することを予定している。
また、同省において、今後十年程度を見据え、「今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討ワーキンググループ」を開催して今後のHPCI計画推進の在り方を検討しているところであり、将来のHPCI計画推進の在り方について、平成二十五年夏ごろまでに中間取りまとめを行うべく、調査・検討を進めていくこととしている。