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2012年7月24日
【質問主意書】 小型惑星探査機「はやぶさ2」に関する質問主意書

●小型惑星探査機「はやぶさ2」に関する質問主意書
(内閣参質180第191号)
(平成24年7月11日提出、政府答弁書7月24日)

宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」という。)は、小型惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星1999JU3の物質を持ち帰るサンプルリターン・ミッションについて、二年後の平成二十六年に打ち上げを計画している。二年後を逃してしまうと軌道の関係から、次の打ち上げの機会は十年先になるとも言われている。
 生物の起源を明らかにし、イノベーションの大きな可能性のあるプロジェクトであるため、二年後の打ち上げ成功を国家として目指すべきと考える。
 JAXAによると、探査機の設計・製作費が約百六十億円、H2Aロケットの打ち上げ費用が約百億円となることから、今年度と来年度の予算で合計二百六十億円が必要な計算となる。
 しかし、平成二十四年度は七十三億円の予算要求に対し、半分以下の約三十億円しか予算が認められなかった。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 「はやぶさ2」プロジェクトの意義について、政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
一について
お尋ねの「「はやぶさ2」プロジェクト」においては、水や有機物の存在が考えられる小惑星より試料を採取し、当該試料を分析することで、生命の材料となった水や有機物の起源の解明につなげることや、小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げで試みた試料採取等に係る新しい技術を継承し更に発展させ、より確実に宇宙探査を行える技術を獲得すること等に意義があるものと認識している。

二 平成二十四年度予算で約三十億円しか認めなかったのはなぜか、具体的な理由を示されたい。

三 現在の予算額ではミッションを中止しろと言っているに等しいという専門家もいる。このような厳しい意見に対する政府の見解を示されたい。

四 今年度と来年度の予算で計算上約二百六十億円が必要となるプロジェクトに対し、今年度は約三十億円しか予算を認めなかったが、来年度には二百三十億円を計上するということか。予算計上の配分と今後の見通しについて、政府の方針を示されたい。
(政府答弁)
二から四までについて
「はやぶさ2」プロジェクトについては、平成二十四年度予算編成における「予算編成に関する政府・与党会議」の中で「急遽運用停止した陸域観測技術衛星(ALOS―1)の後継機(ALOS―2)については、相対的に優先すべきもの」といった評価等を受けたこと等を踏まえ、同年度予算においては、探査機の開発を中心に約三十億円を計上したところである。
 今後も、探査機の開発や打ち上げに向けた予算を措置し、小惑星探査機「はやぶさ2」の打ち上げの実現に向けて、引き続き努力してまいりたい。

五 JAXAは、現在、「はやぶさ2」の打ち上げを含めた宇宙航空研究開発の更なる発展のために寄付を募っている。JAXAが寄付を求めなければならないほど危機的状況にあるのはなぜか、政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
五について
御指摘の「危機的状況」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難であるが、独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)は、御指摘の「宇宙航空研究開発」の更なる発展のため、平成十七年度から幅広く寄付金を募っているものと承知している。

六 政府はJAXAの「はやぶさ2」プロジェクト担当者らと意見交換を行っているのか。既に意見交換を行っているのであれば、成功を目指す途上にある当該プロジェクトの見通しに対する政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
六について
文部科学省においては、機構の「はやぶさ2」プロジェクトの担当者等とプロジェクトの進捗状況等について意見交換を行っている。平成二十六年度の「はやぶさ2」の打ち上げの実現を目指し、引き続き努力してまいりたい。

七 三月二十二日の参議院内閣委員会での私の質問に対し、古川宇宙開発担当大臣は、地球観測衛星、陸域観測技術衛星だいちALOS1の後継機ALOS2を優先すべきだろうと判断し、そちらの方の予算を重点化した旨を答弁しているが、これでは二年後の打ち上げを目指す「はやぶさ2」を犠牲にすることにならないか。
 この点に関して、同委員会で古川大臣は、「ちゃんと平成二十六年に打ち上げられると、そこはやっぱり守っていかなければいけないと思っています。」、「しっかり二十六年度に予定どおり打ち上げができるように、これは責任を持ってやってまいりたいというふうに考えております。」と答弁しているが、「はやぶさ2」の二年後の打ち上げが確実となるのか。今後の宇宙航空研究開発の方向性について、国民が納得できるよう、政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
七について
宇宙開発利用は総合的かつ計画的に推進すべきものであり、我が国の厳しい財政状況も踏まえ、重点化・効率化を図ることが必要であると考えているところ、二から四までについてで述べたとおり、ALOS―2の開発等を相対的に優先すべきものと判断し、そのために必要な予算を措置したところである。
 「はやぶさ2」についても、二から四までについてで述べたとおり、その打ち上げの実現に向けて、引き続き努力してまいりたい。