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2012年8月3日
【質問主意書】 体外受精培養液中に含まれる化学物質の安全性に関する質問主意書

●体外受精培養液中に含まれる化学物質の安全性に関する質問主意書
(内閣参質180第205号)
(平成24年7月26日提出、政府答弁書8月3日)
昨年、プラスチックを加工しやすくする化学物質「フタル酸エステル類」が人の体外受精で必要となる培養液に高い濃度で含まれていることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。妊婦の血液から検出される濃度の最大で約百倍に相当する。動物の胎児の生殖機能に影響を与える濃度の千分の一ほどだが、マウスの細胞の遺伝子には異常が起きるレベルで、受精卵や胎児への影響が懸念されるとの内容であった。
日本産科婦人科学会の集計によれば、平成二十一年の新生児の四十人に一人は、体外受精や顕微授精などの高度医療生殖補助によって生まれている。
この現状を踏まえ、以下質問する。

一 前述の厚生労働省研究班による調査結果に関して、政府の見解を示されたい。
(政府答弁)
一について
御指摘の厚生労働科学研究費補助金による「化学物質の子どもへの健康影響に関するエピジェネティクス評価法の開発に関する研究」(以下「評価法開発研究」という。)の平成二十年度から平成二十二年度までの総合研究報告書及び同年度の総括・分担研究報告書(以下「総合研究報告書等」という。)によると、一部の人工授精用の培養液から妊婦の血清中濃度の平均値と比較して数十倍の濃度のフタル酸エステル類が検出され、また、妊婦の血清中濃度の平均値と比較して十倍の濃度のフタル酸エステル類を、マウスの胚性幹細胞に暴露させたときには遺伝子の活性の変化が観察されたが、ヒト人工多能性幹細胞に暴露させたときには遺伝子の活性の変化は観察されなかった。これらのことを踏まえ、厚生労働省としては、引き続き、化学物質の子供への影響評価に関する研究を実施し、知見の集積に努めていきたい。

二 平成二十四年六月十四日の参議院内閣委員会で、政府参考人は、「人工授精用の一部の培養液から母体血中濃度の十倍から百倍のフタル酸エステルが検出された」と答弁した。「一部の培養液」とは、何種類の培養液か。また、人工授精用の培養液は全部で何種類あるか示されたい。
(政府答弁)
二について
お尋ねの人工授精用の培養液が全部で何種類あるかは把握していないが、総合研究報告書等によると、評価法開発研究で用いた培養液は五十九種類であり、当該培養液のうち、三十九種類の培養液で正常妊娠の妊婦の血清中濃度の平均値と比較して十倍以上の濃度のフタル酸エステル類が検出された。
 
三 日本では、体外受精で毎年二万人以上の新生児が生まれている。この現状に鑑み、体外受精の安全性について早急に詳しく調査すべきと考える。今後の政府の取組について示されたい。
(政府答弁)
三について
厚生労働省としては、化学物質の子供への影響評価や体外受精により生まれた子の発達や発育の状況について、厚生労働科学研究費補助金により調査研究を実施しており、当該調査研究等を通じて、体外受精の安全性について、引き続き、知見の集積に努めていきたい。