国会での活動報告詳細

2012年8月10日
【質問主意書】 慰安婦問題に関する質問主意書

●慰安婦問題に関する質問主意書
(内閣参質180第210号)
(平成24年8月2日提出、政府答弁書8月10日)
慰安婦問題については、平成二十二年十月に米国ニュージャージー州パリセイズパーク市の公共図書館に慰安婦記念碑が建立され、平成二十三年十二月にはソウルの日本大使館前に平和の碑・少女像が建てられた。また、平成二十四年五月にはソウルの「戦争と女性の人権博物館」内に慰安婦問題に関する記述が展示された。さらに、同年六月には、米国ナッソー郡アイゼンハワー公園に慰安婦記念碑が建てられるなど、相次いでいる。
これまで日本政府は、委員会での答弁及び各議員から提出された質問主意書に対する答弁書において、その都度韓国側に申入れを行っていると答えている。しかしながら、我が国の立場は韓国側に理解されないばかりか、韓国による一方的な諸外国へのロビー活動は年々活発化し、慰安婦問題に関して事実でないことが真実のように世界に広められていることを危惧している。
よって、以下のとおり質問する。

一 平成二十四年六月に米国ナッソー郡に建てられた慰安婦記念碑について、外務省として抗議したのか。

(政府答弁)
一について
御指摘の碑に関し、政府として、米国ニューヨーク州ナッソー郡関係者等に対し、慰安婦問題についての我が国の立場等を申し入れている。

二 平成二十四年五月に建てられた「戦争と女性の人権博物館」に関しては、片山さつき参議院議員提出の「従軍慰安婦問題に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第一一八号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第一一八号)において、「博物館では、慰安婦問題の経緯等について展示されていると承知するが、当該博物館の開設のために大韓民国政府が一部、補助金を出していること、また、当該展示の内容には我が国の立場と相容れないものがあること等を踏まえ、政府として、大韓民国政府に対し慰安婦問題に関する我が国の立場等を申し入れた。」とされている。本博物館建設に当たっては、『日本軍「慰安婦」の名誉と人権のための「戦争と女性の人権博物館」日本建設委員会』により約千七百件に及ぶ個人と団体から寄付が集められ、建設費の約三分の一が同委員会からの寄付によるものだという。政府は当該博物館の展示内容は「我が国の立場と相容れない」という認識であると承知しているが、このように民間から多額の寄付が同博物館にされていることに対する政府の見解を示されたい。
また、寄付を行った団体の中には、自治労や教職員組合の名前もあるが、こうした事実に対する政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
二について
お尋ねの博物館の開設のために、我が国の民間の団体等が寄附を行っていることは承知しているが、このような民間の団体等の活動について、政府としてお答えする立場にない。

三 平成四年七月六日と平成五年八月四日の二度にわたり発表された政府調査資料「いわゆる従軍慰安婦の調査結果について」は、調査対象の機関が警察庁、防衛庁、法務省、外務省、厚生省、労働省、国立公文書館、国立国会図書館及び米国国立公文書館で、合計二百八十三件、二千頁に及ぶものである。同資料によると、日本軍が悪徳業者による拉致など違法な慰安婦募集が行われないように、また、軍や警察がきちんと取り締まっていたことも明らかである。さらに、同資料は徹底分析され、平成十九年には冊子にまとめられている。政府の調査結果を国内はもとより海外に対しても、広く発信していくべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

(政府答弁)
三について
政府は、慰安婦問題について、御指摘の調査を行い、平成五年八月四日の内閣官房長官談話により政府の基本的立場を表明している。当該調査の結果及び当該内閣官房長官談話を外務省ホームページに掲載するとともに、基本的立場について在外公館による説明、国際会議における発言等を行い、対外発信に努めているところである。

四 来年度から高校で使用される検定済教科書のうち、東京書籍発行の日本史Aでは「日本の植民地や占領地では、朝鮮人や中国人・フィリピン人・ベトナム人・オランダ人など、多数の女性が「慰安婦」にかりだされた。」と記述されているが、「かりだされた」とは誰によってかりだされたという意味なのか、政府の認識を示されたい。また、このように主語がはっきりと示されない記述により、誤解が生まれる懸念について、政府はどのように考えるか。さらに、本年度から使用されている中学教科書では、事実と異なる「従軍慰安婦」に関する記述がすべて削除されたが、高校教科書では削除されなかったことについて、政府の見解を示されたい。
  右質問する。

(政府答弁)
四について
教科用図書の検定は、申請図書の具体的な記述について、教科用図書検定基準等に従い、教科用図書検定調査審議会の調査審議に基づいて、検定の時点における客観的な学問的成果、適切な資料等に照らして記述の欠陥を指摘することを基本として実施しているものであり、国が特定の歴史認識や歴史事実を確定するという立場に立って行うものではない。学習指導要領を踏まえどのように記述するかについては、欠陥のない範囲において、申請図書の著作者等の判断に委ねている。したがって、御指摘の教科用図書の記述において誰によって「かりだされた」かについて述べていないことに関し、お尋ねの認識及び懸念に対する考えについては、お答えを差し控えたい。なお、本年度から使用されている中学校の教科用図書については、平成二十二年度の検定における申請図書に、慰安婦に関する記述がなかったものである。