国会での活動報告詳細

2013年3月26日
【委員会 会議録】 参議院 内閣委員会

○山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。
 大臣、政府関係者、誠に御苦労さまでございます。
 まず最初に、出生前診断と子宮頸がんワクチンについて、厚生労働省と文科省にお伺いしたいというふうに思います。
 おなかの赤ちゃんがダウン症などの染色体異常かどうか分かる出生前診断について、三月九日、日本産婦人科学会の指針が決定され、本年四月から新たな出生前診断が実施される見通しとなっています。生命尊重の観点からも、出生前診断による人工妊娠中絶の増加を懸念しております。優生思想が広がっていくということもあってはならないことだと思っております。厚生労働省はどのように対応を考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) 質問ありがとうございます。
 新しい出生前検診についてお答えさせていただきます。
 妊婦の方にその内容や限界、検査の結果のとらえ方等、十分に理解していただくように情報提供していくことが必要だというふうに考えております。そのため、日本産科婦人科学会の指針に沿いまして、臨床研究として慎重に実施されることが適当と、このように考えております。
 厚労省といたしましても、国民の皆様が検査について正しく理解できるように引き続き必要な情報提供をしっかり行っていきたいと、このように考えております。
○山谷えり子君 最近ですが、報道にありまして、産婦人科医会が、出生前診断で胎児が異常診断されたというふうな後に中絶をしたと推定されるケースがこの十年で倍になっているんですね。つまり、カウンセリング等々現場が必ずしもうまく機能していないんではないかと思います。
 報告によりますと、検査結果について、陰性の場合の的中率は九九・九%、しかし陽性と出た場合でも、二十九歳の場合では五〇%、四十歳の場合で八〇%と聞いています。
 これ、アメリカの会社が一回二十万円以上ですから、アメリカの会社と、あと中国ですね、すごくもうかるから各国に売り込みに行っているわけですよ。だから、慌てて学会、医会がガイドライン出したわけでしょう。しかし、法的拘束力は全くない。そして、現場の把握も厚生労働省は十分じゃないという状況なんです。精度も高くないと。
 指針は本当に守られると思っていますか。この陽性と出た場合、二十九歳の場合、五〇%しか分からないという、これ、こんなことでよろしいんでしょうかね。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) 山谷委員のおっしゃるとおりでございまして、この検査により胎児の染色体の数に異常があると、可能性があるということが分かるということは承知しております。ただ、これによって確定的な診断ができるわけではなくて、確定的な診断のためには別途の検査が必要であります。
 先ほど委員がおっしゃいましたように、二十九歳の場合には五〇%、四十歳の場合は八〇%と。そのとおりでございまして、三十五歳の婦人の方がこの病にかかられるのが二百五十人に一人と、二十九歳の場合は千人に一人と。やはり、的中率がやっぱり年齢によってこれが変わってくるということでありますので、この検査についてやはりきちっと正しい情報を理解していただけるように、これからもカウンセリング等が現場できっちり行われるように鋭意努めていきたいと、このように考えております。
○山谷えり子君 現在の母体保護法では、障害を理由とする人工妊娠中絶は認められていませんね。どういう理由のみ認めているんでしょうか。認めているというか、刑法では堕胎罪で認めていませんけれども、母体保護法の立て付けはどうなっていますか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 人工の妊娠中絶については、母体保護法で、身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれがある場合、若しくは暴行、脅迫等による妊娠であると、こういったときに人工妊娠中絶が一応認められているということでございます。
○山谷えり子君 今、統計では、人工妊娠中絶二十万人ぐらい、でも本当は百万人ぐらいあるんじゃないかと言われてもいたり、実態調査が本当にできていないんですね。これは、これから、この診断だけじゃなくて、どんどん診断が進んでいくと命の選別にもつながっていく可能性があるわけですから、ここで厚生労働省はきちんと調査をしてフォローアップをして、そして生命倫理の観点から議論してほしいと思います。なし崩し的に命の選別につながるようなことがあってはならないと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
 それから、子宮頸がんワクチンについてなんですが、定期接種化する法改正が予定されております。本ワクチン導入の際に子供の体に及ぼす影響や、開発後間もないワクチンで副作用の報告などの情報が十分でないことを懸念しまして、私は国会でも何度も声を上げてまいりました。
 このところ、子宮頸がんワクチンを接種した副反応について重篤な症例が多く報告されていますが、定期接種化した後に発生した重篤な副反応に対する補償について、厚生労働省はどのように考えていらっしゃいますか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) ありがとうございます。
 現在は、基金事業で市町村が加入している民間保険を活用して健康被害救済給付を行っていることとしております。
 そして、今検討していただいております、審議いただいております予防接種法改正法案、こちらの方が施行になりましたら、高い給付水準の健康被害救済を行うことが可能となります。法に基づく手厚い救済給付が行われるように、本法律の速やかなる成立を期待しているところでございます。
○山谷えり子君 三年間で子宮頸がんワクチンによる副反応が約千件ぐらいあるという報道もございます。私も被害者の関係者からお聞きしましたが、車椅子になっちゃったとか、もう自分の名前すら分からなくなってしまったとか、今、全国被害者連絡会が結成されようとしているんですね。杉並区も、自治体総合賠償責任保険に補償を求めたり、医薬品医療機器総合機構申請、これ被害者が訴えたり申請したりしているんですが、いずれも認められていないんですよ。
 こういうふうに、予想を上回る副反応、そして被害者連絡会までつくられようとしている状況をどのようにとらえていらっしゃいますか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) ワクチンによってこういった被害者の方々が出ているのは、厚労省としても十分把握をしております。審議会の方において委員の先生方に現段階では問題ないということで、ワクチンそのまま接種していただいている状況でありますけれども、適宜情報収集しまして、ワクチンの状況を把握しながら対応を考えていきたいと、このように考えております。
○山谷えり子君 被害拡大を防ぐことを考えてほしいと思いますし、また救済体制の確立を図ってほしいというふうに思っております。
 子宮頸がんワクチン定期接種化といっても、これは強制とか義務ではないですよね。自由な判断に基づく自由接種ですよね。そこのところが物すごく誤解が広がっているんですよ。ちょっと丁寧に説明していただけますか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) 定期接種化という名前がどうしても強制力を伴っているような印象を与えてしまいますけれども、国民の皆さんの判断によって接種をするかしないかというのを判断していただくということになります。
 ただ、ワクチンが定期接種化される訳には、やはりそれが効果があるとある程度認められているわけでありますから、是非そういった形でしっかりと考えていただいて、是非効果のあるワクチンを打っていただく。
 ただ、それに対してはリスクも少しは伴うということも十分に理解していただけたらというふうに思います。
○山谷えり子君 この子宮頸がんというのは、このヒトパピローマウイルスという百種類ぐらいあるウイルスに感染してそれが発展していくというふうに考えられているんですが、今多く使われているサーバリックス、これは百種類あるウイルスのうち16型と18型にしか効かないと、しかもこれ五割ぐらいから七割ぐらいしか効かないんじゃないかと言われていますね。日本人に多い52型と58型にはほとんど効かないわけです。それから、ほとんどの場合が自然治癒するという、これも案外知られていないことであります。
 そしてまた、サーバリックスの説明書には、「本剤の予防効果の持続期間は確立していない。」というふうに書いてありますし、私はメーカー側に何度も問い合わせましたが、これは子宮頸部の粘膜に抗体がにじみ出続けることによって効果があるんではないかと思われるけれども、子宮頸部の粘膜に抗体がにじみ出続ける副作用というのはデータがないから分からないと言っているんですね。平成二十二年、厚生労働省のがん対策室長も、長期データがないので副作用の情報はまだ不十分だと。もちろん二年前、二年ちょっと前の話ですが。しかし、まだこういう状況なんだと。その上で自由に判断して接種するかどうかと。五万円、六万円がただになるから、いいわというふうに思われる方いらっしゃるかもしれませんけれども、この辺の正確な情報発信というのはやはりしていただきたいというふうに思います。
 私、この内閣委員会で昨年の六月に、子宮頸がんになるハイリスク要因、一番の原因は何でしょうかと聞きました。そのとき、厚生労働省の健康局長はこう答えたんです。学者によれば、性行為年齢の若年化がその一つの要因であろう。これも教えられていないんですよ、ほとんど。そして、このワクチンそのものの限界性、これをきちんと教えるべきではないかと私が質問いたしましたら、予防接種法に基づく定期接種などでは、接種前に有効性や安全性について保護者に説明を行い、同意を得た場合に限り接種を行うこととしております。今回の子宮頸がん予防ワクチンの問題につきましても、その辺を十分に勘案して周知を図った上で、あるいは同意を得た上で接種すべしという形で実施要綱に明記しているところでありますと、去年の六月にそういう抑制的な、慎重な、当然のお答えを健康局長がしていらっしゃるんですね。
 そんな次第でございますので、ちょっと文部科学省にお伺いしたいんですが、本ワクチンの接種対象である主に中学生ですかね、十三歳セクシュアルデビューなんてふざけた言葉を使ってお勧めするところもありました。今もあるのかもしれません。心身の健全な育成を担う文科省として、報告されている副反応についての感想、そしてまた教育現場、各家庭に対する情報提供、性モラルをまず教えるべきではないか、その辺について御意見を伺いたいと思います。
○大臣政務官(義家弘介君) お答えいたします。
 山谷先生とはこの問題も含めて問題意識を共有しながらずっと活動してきたわけでございますけれども、個別接種の原則といえども、まず判断するには材料が必要なわけですね。メリット、デメリット、危険性、その材料を正確に認識した上で当然判断していく。では何が必要かといえば、私は二つの点であると思っています。まず一つは、予防という観点。何からどのように予防して、何が問題なのかという医療の観点と、もう一つは教育の観点。これは御指摘のとおり絶対に必要であろうというふうに思っています。
 また、学校現場の教師も、主に小中学校、中学生を対象とするわけですけれども、この危険性、副作用等々、しっかりとした知識が現在あるのかといえば、実はないのが実態であります。あるいは一部で、こうと原理主義的に固まってしまっている先生もまたいるのも事実です。だからこそ、きちっとした、この危険性、そして、あるいはどのような教育をしていくのか、先ほどおっしゃったように、性教育も含めてどのような教育をしていくのかということも両輪として考えていかねばならないと思います。
 少なくとも、ワクチンの副反応も含めて、教職員がワクチンに関する正しい理解を得ることは重要でありますし、また教職員等を対象とした研修会、講習会、様々な機会を通じてフェアな啓発を図っていく、しっかり開かれた啓発を図っていくということ、また、厚労省に対して保護者や教職員向けのQアンドAの作成等をお願いしたいと考えているところであります。
○山谷えり子君 どうぞ丁寧な行政をお願いしたいと思います。
 それでは、とかしき政務官、義家政務官、ありがとうございました。
○委員長(相原久美子君) お二方、退席結構でございます。
○山谷えり子君 靖国神社の神門が放火されたことについて、菅官房長官にお伺いします。
 平成二十三年一月二十六日未明に発生した靖国神社神門放火事件は、早期発見に加えまして、警備担当をしていらした職員の機転の利いた初期消火で幸い軽微な損傷にとどまりました。本件は、ソウルの日本大使館放火事件で逮捕され服役していた中国人の劉が放火を認め、日本政府は日韓犯罪人引渡条約に基づき韓国政府に同容疑者の引渡しを求めておりましたが、今年の一月三日、ソウル高裁が劉容疑者を政治犯と認定し、日本には引き渡さないとの決定を下したため、韓国法務省は同人を釈放、劉容疑者は中国に帰国しました。
 安倍総理は、一月四日の記者会見において、極めて遺憾であり強く抗議したいと強い不快感を表明されまして、また外務省も同日、駐日の韓国大使に抗議しましたが、本件をどのようにとらえ、今後、政府としてどのように対応なさいますか。
○国務大臣(菅義偉君) 本年一月の三日に韓国が行った靖国神社放火事件の被疑者引渡しのこの拒否決定は、日韓犯罪人引渡条約上の引渡拒否事由のいずれにも該当しないと考えられると、そういう観点から極めて遺憾であるというのが政府の立場であります。
 そのために、政府としては、韓国政府に対して遺憾である旨の抗議を行うとともに、韓国政府が適切な対応を取るように申入れをいたしました。さらに、現在、この劉強被疑者が一月四日、中国に帰国後、日本政府としては、中国政府に対しても身柄の引渡しを含む適切な対応を今強く求めているところであります。
○山谷えり子君 中国に対しては身柄の引渡しを強く求めていると、そしてまた、韓国政府に対しては日韓犯罪人引渡条約、国際法上の義務ですから、これをきちんと守れというふうに言っていらっしゃるということでございますので、一過性の抗議に終わらせず、粘り強く行っていただきたいというふうに思います。
 それから、靖国神社は我が国における戦没者慰霊の中心施設であり、国のために尊い命をささげられました二百四十六万六千余柱の英霊を冒涜した極めて悪質な犯罪でありました。このようなことが二度と起こらないように警備の厳重化というのを求めたいと思いますが、その辺はどのようになっているでしょうか。
○国務大臣(古屋圭司君) 多くの国民の方々がさきの大戦で亡くなられた英霊に対して哀悼の誠をささげる場所でございますので、静ひつな環境でそういうことをさせるということは治安上も極めて重要だと思います。残念ながら、今回の劉強事件もありましたので、私ども警察としても、今までも警備には十分対応してまいりましたけれども、今後とも更に施設管理者ともよく連携をして警備の徹底を図っていきたいというふうに思っております。
○山谷えり子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 古屋委員長、ありがとうございました。
○委員長(相原久美子君) 御退席、結構でございます。どうぞ。
○山谷えり子君 続きまして、領土、領海についてお伺いをいたします。
 海洋政策・領土問題担当大臣、山本一太大臣、これは初代大臣というふうに認識しております。大変に期待しているところでございます。
 自民党で私は、国境の島を守る、無人国境離島を守る、そしてまた特定国境離島を守るという法案を法案提出責任者の一人として昨年国会に出しましたが、議員立法で、残念ながら審議未了、廃案という形になっております。今、本当に諸外国からの不法侵入、領海侵犯、頻繁に発生しておりますけれども、これは早急に立法化すべきだというふうに思っておりますけれども。大臣としては、大臣もこの内容御存じだと思うんですよね。ですから、閣法として出そうと思われているのか、一体どういうふうにお考えなのか、お聞かせください。
○国務大臣(山本一太君) 今、山谷委員おっしゃったように、日本をめぐる情勢は非常に厳しいという認識を共有しております。その上で、政府としても、例えば低潮線保全法を作って、いわゆるEEZ等の基礎になる低潮線を確定させたりとか、あるいは、これも山谷先生深くかかわっておられますけれども、国境離島のうち海図にも地図にも名前のない四十九、ここの島に名前を付ける等々で、国境離島の適切な管理、保全、これに取り組んできたという認識です。
 今おっしゃった二つの法案、これも両方とも非常に私は大事だと思っておりまして、法案もしっかり最初から最後までよく読ませていただきました。これについては、私の元に、国境離島の適切な管理、振興、保全に関する有識者の懇談会を立ち上げる方向で今議論をしております。人選に少し時間が掛かるので、それでも人選を今進めておりまして、できるだけ早いうちにこの懇談会を立ち上げて、その中で、政府としてこの国境離島の問題、振興、それから管理、保全をどうしていくのかということを議論したいと思っていまして、この懇談会が立ち上がれば、山谷先生の意識にあるこの二つの法案、特に特定の国境離島、これをどうやって保全するかということについては、法案をどうするのかということについてもしっかりとそこで検討させていただこうと、そう考えております。
○山谷えり子君 無人国境離島を守る法案は、私が座長となって取りまとめさせていただきましたし、そのとき、安倍先生が、今、現総理が顧問としてかかわってくださっていたんですね。そして、各役所にもきちんと意見聴取して調整していますし、現実的でなければ法律としてワークしませんから、そして各党にもそれぞれ根回しを済んでおりますので、恐らく閣法を作るとしてもそんなに違いはないんだろうなというふうに思うんですね。
 これから有識者懇談会を立ち上げて議論をして、そうすると今国会には閣法としてはもう間に合わないと。じゃ、今年の秋ならば、大体設計図はできているわけですから、秋ならば間に合うと、そういうスケジュール感と認識していいでしょうか。
○国務大臣(山本一太君) 先ほど申し上げたとおり、閣法で出すかどうかもこの有識者懇談会で議論をさせていただきたいと思いますので、今、例えば閣法でやる場合にどこまでに出せるかということについて、明確な答えをここで差し上げられないのは大変申し訳ないというふうに思っております。
 いずれにせよ、与党ともよく相談をしながら、閣法の中身、閣法でやるとしても、あるいは違う方法を取るにしても、よく与党とも相談をしながら進めていきたいと、担当大臣としては考えております。
○山谷えり子君 この法案は、様々な離島の調査、そしてそれぞれの離島の特性に合わせたいろんな支援をしていく、標識の設置、灯台観測所、護岸工事など、また必要と判断した場合は買取りや借り上げもあるという、そして本当に環境やいろんな意味で促進を離島振興して図っていくという、特に特定国境離島というのは国境を守ってくださっている島々ですから本当に支援をしていきたいという法律でございますので、閣法で出すかどうかもまだ決まっていないという、そういう状況であるならば、状況を見てまた議員立法で出さざるを得ないかなと。
 山本一太大臣、頑張っていただきたいんですけれども、ちょっと今の答弁ですと、まあまだ立ち上げていらっしゃらないからそういう答弁になられるんだろうとは思いますけれども、思いを同じくするわけですから、是非スピードアップを図っていただきたい。本当に、秋の国会ででも成立できれば来年の予算に反映することができますから、そういうスケジュール感で是非お願いしたいというふうに思っております。
○国務大臣(山本一太君) 今の先生の思いをしっかり受け止めて、取りあえず有識者懇談会の方もできるだけ急いで立ち上げたいと思いますし、議論も少し迅速にやりたいと思っています。
 法案ということになると、先生の作られた法案もよく読ませていただいたんですが、例えば閣法でやる場合には、管理の強化が必要な離島を対象とした土地等の収用の必要性とか、あるいは法の対象となる離島の範囲とか、幾つか議論が必要なところも出てきますので、いずれにせよ、もう一度申し上げますけれども、与党とも相談をしながら、担当大臣としては、できるだけ迅速に議論をしてなるべく早く結論を出したいと、こう考えております。
○山谷えり子君 期待しております。
 内閣府に領土・主権対策企画調整室というのが設置されたという、これも私、領土議連の会長としてずっと領土担当部局と領土担当大臣をつくってほしいということを言ってまいりましたので本当によかったなと思っているんですが、この活動の内容、また展望をどのように描いていらっしゃいますか。
○国務大臣(山本一太君) 山谷先生おっしゃったように、領土担当大臣というのは安倍内閣で初めてつくられまして、私が初代の大臣に任命されたわけなんですけれども、私の問題意識は、実は対外発信というところにあります。
 この領土担当、領土・主権対策企画調整室、これは竹島の問題、そして北方領土の問題、尖閣は領土問題はありませんが、尖閣をめぐるいろんな問題、こういうことについて国民の理解を深めていくということは非常に大事だと思うんですが、そこに加えて、安倍総理やあるいは外務大臣とも、特に外交交渉を所掌する外務省とはしっかり調整をしながら、しかし、日本の主張がなぜ正しいのかと、こういうことをやっぱり外に発信をしていかなきゃいけないと、この機能強化をしなければいけないという大変意識がありまして、例えば、ほかの国がどういう戦略でやっているのかということもできれば検証して、その上でどうやって日本の主張をPRしていくのかということについて、当然、外務大臣を助けながら、外務大臣とも調整を図りながら私も対外発信の一翼を担いたいと、そんなふうに考えています。
 領土企画対策総合調整室ですけれども、国内啓発、内外発信等々についてのいろんな総合調整をやるということで、十五人でスタートいたしました。十五人ですね、十一人常駐、四人併任ということなんですけれども、この具体的な中身については今鋭意議論していまして、やろうとしていることは先ほど申し上げたとおりのことなんですけど、例えば有識者のやはりこれもしっかりとした組織をつくるということも一案ですから、そこについては、安倍総理のいろんな外交戦略もあるので、そこも見ながら今鋭意準備を進めております。
○山谷えり子君 これまで、北方領土は内閣、そして竹島は外務省と縦割り、いろんな戦略的に何かを発信するということが十分にできなかったわけですから、また予算もそれぞればらばらに付いていたということですので、山本大臣、是非頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから、尖閣の海域で日米で防衛計画を夏までに策定するという報道が今日ありまして、本当に結構なことだというふうに思っておりますけれども。尖閣の周り、国有化後、台風などの悪天候時を除いて、常時、中国の公船が徘回をしております。
 海上保安庁、現在の体制は十分でしょうか、それとも大変なのか、ちょっと現状と、それから、これから人員あるいは巡視船の増強など、どのように考えていらっしゃるか、お教えください。
○大臣政務官(赤澤亮正君) 御質問ありがとうございます。
 御指摘のとおり、尖閣の三島の取得、保有以降、尖閣諸島周辺海域で中国公船による領海侵入が繰り返されております。情勢は厳しさを増しているということで、しかも現在の状況は、今、他の管区から第十一管区に船をむしろ派遣をして何とか守っているという状態でございます。このような状況を踏まえて、領海警備に万全を期すために体制の拡充強化を図っていこうということで、大型巡視船十四隻相当による専従体制を確立することを早急にやりたいと思っております。
 平成二十四年度補正予算、それから二十五年度予算案において、大型巡視船の新規建造、あるいは海上保安官の大幅な増員など、海上保安庁の体制強化のための必要な経費を計上しております。
 今後とも、海上保安庁の体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期していきたいと思っております。
○山谷えり子君 もう海上保安庁の職員の皆様には本当に感謝をしております。私どもも、仲間たちとあの海域で漁業活動を何回か行いましたけれども、もうひどいときは五、六メーターという波がありまして、ジェットコースターのような状況でありましたね。本当に御苦労があるというふうに思います。
 また、先日、私のところに沖縄の漁業関係者が、先日、尖閣海域で漁業活動をしていたら、中国の公船が後ろ五十メーターのところをずうっと追いかけてきてすごく怖かったというふうにおっしゃっていらっしゃいましたけれども、こういう状況というか、現状をどういうふうに見ていらっしゃいますか。
○大臣政務官(赤澤亮正君) 尖閣諸島の周辺海域は、先ほど申し上げましたとおり、中国公船による領海侵入が繰り返されておりまして、中国公船が一時的に日本漁船に接近する状況、今の委員御指摘のように、ちょっと接近するどころか、かなり執拗な、何というんですかね、対応が発生するというようなことも起きております。
 海上保安庁としては、このような状況の下で、日本漁船と中国公船の間で不測の事態が発生するようなことはやっぱり防止しなければならないということで、必要に応じ所要の情報提供あるいは安全指導を行っているところでございます。
 今後とも、関係省庁と緊密に連携しながら領海警備に万全を期してまいります。
○山谷えり子君 それから、今燃料代が高くなってしまって、漁業関係者がなかなか行けないと。途中で海が荒れると戻ってこなきゃいけない、そうすると一回十万円ぐらい掛かる費用がパアになってしまうというような状況で、今まで自民党政権時代は油代の補助ということをやっていたんですけれども、厳しくなっておりますが、今後とも、それは政府として大きな視点から、日本の海で漁業関係者がきちんと営みができるように対策をお願いしたいというふうに思います。これは恐らく各役所で連携しながらということになるというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 本年の二月二十二日、これは、島根県が制定した竹島の日という条例に基づいて島根県で第八回の竹島の日記念行事が開催されました。私は領土議連の会長として当初からかかわっていたんですけれども、今年は島尻安伊子政務官が御出席をくださいまして、また国会議員の数も本当に最高の人数でございました。自民党は選挙公約にも、二月十一日建国記念の日、二月二十二日竹島の日、四月二十八日主権回復記念式典の開催を挙げておりまして、一歩ずつ前進しているかなと思っておりますけれども、記念行事に政府関係者として初めて御出席された感想などをお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(島尻安伊子君) 御質問ありがとうございます。
 まず、山谷えり子先生には、領土議連会長としてこの竹島の日の式典も最初から御出席でございます。そして今回、政府関係として初めて私、出席をさせていただきましたけれども、そのときにも、挨拶文等々、先生にはいろいろと御指導をいただきましたこと、御礼を申し上げたいというふうに思っております。
 今回のこの記念行事に政府関係者が初めて出席をし、我が国として竹島問題をめぐる我が国の立場を明確に主張できたということは大変意義があったことというふうに認識をしております。また同時に、島根県を始めとする関係者の皆様方、今回は第八回ということでもう八年目になるわけでありまして、それまでの御苦労といいますか、もう関係者が心を砕いて、しかも一貫してこの式典を続けてこられたということに関して敬意を表するそういう機会を与えていただいたということで、大変意義深いものだったというふうに認識をしております。
 竹下亘先生が御挨拶の中で、やっとこの日が来たという表現をなさいましたけれども、その御挨拶からも本当に現地の皆様方がどれだけの苦労を重ねてこられたかということがよく分かりましたので、また今後、私も山本大臣の下で領土担当を務めさせていただいておりますけれども、また政府としても、また来年、再来年に向けての取組というのをきちんと考えていくということだというふうに思いますので、また先生の御指導等、よろしくお願いしたいと思います。
○山谷えり子君 これからもどうぞよろしくお願いします。
 北方領土にしても竹島にしても、竹島でいえば、昭和二十七年の一月、李承晩ラインが引かれて、不法占拠を韓国によってされているという状況でありまして、いずれも主権を喪失しているときにそのようなことが行われてしまった。七年弱、占領軍の下に、占領時代にありまして、この度、六十一年目の節目として主権回復記念の日を、式典を四月二十八日に行うということを政府は決定したわけでございますけれども。
 私の父は、私は占領時代の生まれですが、父は国会担当の政治部の記者でありまして、あのときはもうマッカーサーのオーケーがないと本会議のベルも押せなかったんだよというようなことを言っておりました。新聞も検閲があって、いまだに国民は主権を奪われていた時代のこと、そして主権回復後、本当に主権は回復されているのか、いや、まだまだ足りない部分があるのではないかとか、それから、昭和二十七年四月二十八日に主権は回復したといえ小笠原、奄美、沖縄は引き続き米国の下に置かれたというような苦しみも含めて、戦後の苦難の歩み、そして戦後の国際社会に向かって日本が非常に貢献をしてきたこの平和の中でのすばらしい日本の歩み、平和国家、道義国家、そうした日本の国柄を確認する意味でも、また若い人たちとこの断ち切られたあの時代、その以前と以後というようなことを認識する意味でも本当に意義のある式典になると思いますし、していただきたいと思います。
 菅官房長官には質問のこれ項目に挙げていないんですけれども、今やり取りをお聞きになられて、領土、領海、また主権回復記念式典に対する思いをもしお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 今、委員から領土、領海、そして主権回復の日に対しての思いが伝えられました。まさにそのことをしっかり肝に銘じながら対応していきたいと思いますし、特に主権回復の式典には、奄美、小笠原、沖縄という、そうした皆さんの思いをしっかりと受け止めながらの式典にさせていただきたいと思います。
○山谷えり子君 どうもありがとうございました。