2004年度活動報告

参議院 少子高齢社会に関する調査会
平成16年11月10日(水曜日)
 
平成十六年十一月十日(水曜日)
午後一時開会

 出席者は左のとおり。
会 長 清水嘉与子君
理 事 中島 啓雄君
中原  爽君
山谷えり子君
神本美恵子君
羽田雄一郎君
山本 香苗君
委 員 荒井 広幸君
荻原 健司君
狩野  安君
坂本由紀子君
関口 昌一君
小川 勝也君
岡崎トミ子君
加藤 敏幸君
島田智哉子君
柳澤 光美君
山本 孝史君
蓮   舫君
山本  保君
鰐淵 洋子君
小林美恵子君
事務局側  
第三特別調査室長 岩波 成行君
参考人  
国立社会保障・
人口問題研究所所長
阿藤  誠君
政策研究大学院大学教授 松谷 明彦君
株式会社大和総研
チーフエコノミスト
原田  泰君

(抜粋)
- 山谷えり子君
 参考人の皆様、ありがとうございました。自由民主党、山谷えり子でございます。
 私は長い間、九百万部の発行部数の生活情報紙、主婦向けの生活情報紙の編集長をしてまいりました。ですので、割合、生活の非常に具体的なことが目に入る人間でございます。そんな視点からお話を伺いたいと、阿藤参考人に。私が感じた感想とそれからお願いをいたしますので、それへの感想をお聞かせいただければと思います。
 数年前でしょうか、私、文部省の中教審の少子化問題の委員をしているときに、やはり日本は婚外子が少ないからというような説明をいただきました。私は、これはやっぱり文化的、社会的な問題であって、意図的に日本の社会で婚外子を増やしていこうという政策を取るべきではないというふうに思っておりまして、これから議論しろというのはどういう意図ですかと質問したことがございました。
 そしてまた、日本は実は世界で有数の中絶国であると。百十万人ぐらい今一年間で生まれるんでしょうか、統計では三十五万人ぐらい中絶というふうになっておりますが、実は生まれる数と同じぐらい中絶されているのではないかと言う人もいるぐらい非常に中絶の数が多うございます。
 今、主要国の婚外子の割合が多いということで、スウェーデンなんかも非常に傷付いておりますし、青少年の犯罪とか孤独ないろいろな問題が出ております。またイギリスも、サッチャーは、伝統的な家庭で育ててほしいと言っていますし、ブレア首相も、お父さん、お母さんとそろったところで育ってほしい、同棲家庭で育つと致命的虐待に七十三倍遭いやすいなんということも言っているようでございます。クリントンは、家族強化策というのを訴えて、お父さん、おうちに早く帰って本を読んであげてなんてスピーチをしますし、またブッシュも、伝統的家庭の優遇というようなことを言っております。
 私も、先ほど阿藤先生が文化的、歴史的背景が大きいんではないかというふうにおっしゃいまして、この視点から日本の出生率の問題を考えていくということが大変大事な視点だと思うんですね。日本の歴史、伝統、文化、敬神崇祖という情操、神々を敬い、祖先を大切にするという、その魂のありように着目するということが大切ではないかと思います。
 NHKの意識調査なんかでも、ふるさと大好きという意識の多い方は出生率も高いと、県ですね、ということもございますので、そのような方面でのちょっと分析をしていただきたいなというふうに思っております。
 日本の場合は、産む産まないは個人の自由というよりも、受けた恵みを命の流れの中で恩返しするというような感性を持っていらっしゃる方が多いのではないかと思います。子供と生きるのは、実は御先祖様と一緒に生きること、あるいは生かされることであるというような感性を持っていらっしゃる方がいるにもかかわらず、今のいわゆる分析がその部分を余り着目しない形で進んでいるのではないかということが気掛かりでございます。
 今、教育の面では家族は非常に抑圧的なもの、個人の自由と対立するものであるかのような記述がされております。私は、いろいろ教育問題の講演なんかを頼まれますと、PTAの方におたくのお子さんたちが学校で使っている家庭科の教科書、保健の教科書、ちょっとごらんになってみてくださいと言うんですね。そうすると、うちの子がこんな教科書で教えられているとは知らなかったというふうに言います。
 例えば、これ、先週行ったある学校の高校の教科書ですが、人生と家族とあって質問があります。A子さんとB夫さんは結婚して二十年ですが、八年前から別居中です。きっかけはA子さんに別の好きな人ができたから。この二人は離婚できるでしょうかと。これ高校生の親のこと言っているんですね、結婚して二十年。つまり、あなたたちのお母さんには浮気をする権利があって、離婚の権利があるよということを答えさせるような教科書になっているわけです。
 また別の教科書では、従来は未婚の母という言葉が使われてきた。しかし、最近は法律的に結婚せずに子供を産み育てることを自らの意思で選び取って母親になる女性を非婚の母、シングルマザーと呼ぶようになっている。結婚によらないで産まれる子供が結婚によって産まれる子供より多い国、括弧フランスやスウェーデンなどもあるという形で、高校生にシングルマザーの勧めをしているのかなと思われるような記述があるわけですね。
 また別の教科書には、近年では生活はともにするが婚姻届を出さず事実婚を選択するカップル、離婚をしても新たなパートナーと出会い再婚をするカップル、同性同士、男と男、女と女という意味ですが、同性同士で生活をともにする人たちなど、様々な形でパートナーとの生活を営む人たちもいると。つまり、男と女が御縁をいただいて結婚して命を授かってきたこの命をまたつないでいくという基本形が書かれずに、多様な過程を大事にしましょうというような、一見良いような切り口でですね、実は何というか、家族を軽視するような書き方がされているのではないかというような感じがいたします。
 また別の教科書では、祖母は孫を家族と考えていても、孫は祖母を家族と考えない場合もあるだろう、犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人もあるという。これは本当に東アジアの文化圏としてはちょっとおかしいんじゃないかなと思うような記述なんですね。
 英語の教科書も問題で、これは高校で使われている英語の教科書ですが……
- 山谷えり子君
 家事はだれがするもの、イット・ジャスト・イズント・フェア、フェアじゃない、で、ケンジとメリーさんというのがもう家事の分担が不公平でけんかばっかりしているんですね。それで、ある女の人がボブという人と同棲していて先週結婚を申し込まれたと。だけれども、結婚するとまたケンジとメリーみたいになっちゃうんじゃないかということで、この女の人が言うんですね。結婚っておばかな人たちや夢想家の人たちのためにあると思うの。まともに考えれば、だれが人のために自分の自由を捨てたりするの。結婚の半分くらいは離婚に終わるのよ。結婚は今世紀中に死に絶えると私も思ってる。今でも結婚しないで一緒に暮らしている人はたくさんいるじゃない。全く結婚なんてもう必要ないと。これを、英語を日本語に訳させるようなことになっているんですね。私はこういう教育はやはりおかしいのではないかというふうに思っております。
 仕事と家庭の両立支援というのは大変大切だと思うんですけれども、労働者としての親の権利を保障していくという視点とともに、その保育者、教育者としての親を助けるという視点が、今、日本のこの少子化対策では少し欠けているんではないかなという気がいたします。デンマークでは家族責任ということを重視するようになりましたし、またスウェーデンでは八歳まで育児休業が取れる、あるいはイギリスでは子育て命令法という形で、親がきちんと義務を果たさなければ罰金刑とか禁錮刑を受けるというようなことが法律で通っております。ノルウェーも在宅手当を大変多く出している、オランダは長時間保育は児童虐待だという発想で午後四時までというようなことでございます。
 ということで、阿藤先生にお願いをしたいんですけれども、日本の歴史や伝統、文化に根差した分析というのを新たにこの人口問題研究所でしていただきたいということと、現在行われている教育が、今後結婚をしない若者たちをむしろ増やしていくんじゃないかという意味で、こういうディテールって大事なことだというふうに思いますよ。目に付かないかもしれませんけれども、ひとつその教育の場面での将来予測というような意味で、この辺の分析も充実させていただきたいというふうに思います。
 外注化するだけではなくて、母性を育てるプログラムの充実策というような視点からの切り口という研究をしていただきたいんですが、そのようなものはあるのか、ちょっと御感想をお聞かせください。
- 参考人(阿藤誠君)
 大変難しい御質問なんですけれども、もちろん分析の枠組みの中にそういう伝統的価値観とか、そういうものを入れるというのは非常に大事なことで、特にそういう国際比較をする場合に、私自身も、そういう東アジアとかそれから南ヨーロッパとか、あるいはドイツ語圏とかですね、多様で見えてあるいは共通する部分があるということで、そういうものと、例えば女性の社会進出の関係とか、さらには少子化の進展の関係とかいうことを分析する必要性は感じておりますし、自分自身もそういう方向で今研究をしているところです。
 ちょっと教育の問題、いろいろお話伺いましたけれども、初耳でございまして、すぐに即答できるような問題ではないので失礼させていただきます。
- 山谷えり子君
 ちょっとフォローしてよろしいでしょうか、僣越ですが。
- 会長(清水嘉与子君)
 どうぞ。
- 山谷えり子君
 男女共同参画社会の流れを加速するということは、私は大事なことだと考えてはいるんです。職場での差別はあってはならないし、それから家庭でも、それぞれが仲良く調和して献身し合う、愛情を持ってということは大事だと思うんですが、今現在、地方条例で、例えば水戸市では、家事労働、育児などに対し経済的評価を与えることを家族の目標とするような形で、その男女共同参画の中に非常にラジカルな、フェミニズム的な思想とか、あるいはそのジェンダーフリー思想ですね、そういうものが入っている場合があるんですね。ですから、その辺もちょっと注意しながらこれから政策等々を考えていかなければいけないというふうに感じております。
- 会長(清水嘉与子君)
 御意見としてちょうだいしておきます。

以下にアクセスいただければ、全文をご覧いただけます。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frame/joho2.htm

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