メッセージ(バックナンバー)

 残暑の中、カーテンの汚れが気になってクリーニングをお願いしました。
 「毎年大晦日に洗っているのに、このところ納得できる仕上がりにならないの。プロにやっていただいたらどれ位キレイになるかと思って…」と私が言うと、初対面のその方は、にっこり。
 「やってみましょう…私は中卒でクリーニングのご用聞きをして50年。お家を出入りしながら皆さまに育てていただきました。」
 「鳩山一郎総理の家にも若い頃出入りさせていただきまして。奥さまの薫子さんは私が外に出るまでていねいに三つ指ついてお辞儀して下さる。ていねいにごあいさつ、ていねいな気持ちで人に接することを教えていただきました。
 もちろん難しいお客さんもいます。ある時は3時間も玄関先で“十分キレイになっていない”と叱り怒鳴りつけるお客さんがいました。まいってしまいましたが、門を出る時、無意識に頭を下げたんですね。それを防犯カメラがとらえていて、すぐにその方が“あなたは大した人間だ。立派だ。これだけ怒鳴りつけられたあと、誰も見ていない門を出たあとお辞儀する。すべて許す。これからもよろしく”とお許し下さいました。
 鳩山先生の奥さまの心で私は育てていただいたんだと思います。三木元総理のお家にもご用聞きに伺っていました。三木先生のお通夜の晩、家に弔問に行くとものすごい人。私など入るのは失礼かと帰宅すると、三木夫人からあとで電話。“なぜ来てくれなかったの。三木は出入りの方に一番お別れのあいさつをしたかったと思う。早くいらして”と言われ、最後のごあいさつができました。率直に電話で叱ってくださる三木夫人のお心も嬉しかったし、人間関係の尊さを学びました…」
 次々と語られるエピソードを私と娘は感動しながら聞きました。
 素晴らしいお人柄だからこそ、素晴らしい出会いがあるのでしょう。仕事を通して人格が磨かれていくことの有り難さ。
 「奥さんは幸せね。元気で感謝しながら働くご主人さまで。これだけ働くと夕食のビールがおいしいわね。」と言うと、その方は「亭主元気で留守がいい。そういうもんらしいですからね」と笑われました。
 心あたたまる思いを抱いて、娘と二人で夕食の支度にとりかかりました。

平成18年9月2日 山谷えり子

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