平成13年度活動報告

民主党 芸術文化基本法案
平成13年10月22日
【1】民主党「芸術文化基本法案」のポイント
【2】民主党「芸術文化基本法案」の概要
【3】民主党「芸術文化基本法案」
 
【1】民主党「芸術文化基本法案」のポイント
*芸術文化の持つ価値を認識し、その発展のための総合的施策を推進する。
…芸術の持つ価値とは、
1. 豊かな創造性を育む。
2. 多様な価値観への理解を促す。
3. 経済・社会の発展に寄与する。
*芸術文化は、個人の価値観や表現の自由に属するジャンル。施策の実施にあたり、国は支援は行っても口は出さないことを旨とした基本理念を謳う。
…四つの基本理念
1. 誰もが「文化権」(自由に多様な芸術文化を創造し、享受する権利)を持つ
2. 芸術内容への行政の不介入
3. 地域主体の施策実施
4. 民間の政策関与
*ハード(施設)とソフト(人材)の一体的整備を促進する。
 わが国には2千を超える公立文化ホールがありながらその利用率は極めて低い。多くは貸出し事業が中心で、自主的な企画を立案・運営する専門家を配置する施設は少ない。民主党案では、芸術の専門家を配置する施設整備を促進するとともに、専門家の人材育成も併せて促進する。
*政策形成・実施過程で広く民意を反映させるシステムを構築する。
 国主導ではなく民間主導の芸術文化政策の立案・実施を実現するため、芸術家等の専門家、学識経験者その他広く国民の意見が反映される透明で公正なシステムを構築する。
*「基本計画」の策定は行わない。
 民主党案では、国による「基本計画」の策定は行わず、政策立案や実施にあたっては基本理念に則り、国主導ではなく民間主導、地域主体を基本としている。

【2】民主党「芸術文化基本法案」の概要
1. 目的
 この法律は、芸術文化が、人々の豊かな創造性をはぐくみ、多様な価値観への理解を促すとともに、経済及び社会の発展に資することにかんがみ、芸術文化に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、芸術文化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、芸術文化に関する施策を総合的に推進し、もってゆとりのある豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
2. 基本理念
1.「文化権」の明記
何人も、自由に多様な芸術文化を創造し、及び享受する権利を有するものとする。
2. 芸術内容への行政の不介入
施策を講ずるに当たっては、芸術文化に関する活動を行う者の自主性が尊重されなければならない。
3. 地方分権型芸術文化政策
芸術文化に関する施策は、芸術文化活動が地域の人々により主体的に行われるよう、地方公共団体が主導的役割を担うことを原則とする。
4. 民間の政策関与
政策立案・実施の過程で広く専門家・国民の意見を反映させる。
3. 国の責務
4. 地方公共団体の責務
5. 法制上の措置等
6. 芸術文化施設等の整備等
国民が自主的かつ主体的に芸術文化活動を行う機会を拡充するための地域の拠点として、芸術家等(企画・運営の専門家等を含む)を配置する芸術文化施設の整備を促進する。
7. 芸術文化活動への支援
8. 芸術家の養成及び確保
芸術家等が芸術文化の振興に果たす重要な役割にかんがみ、芸術家の養成・確保を促進する。
9. 芸術家の地位の向上
芸術家が適切な処遇の下で十分にその能力を発揮して芸術文化活動を行うことができるよう、芸術家の地位を向上させるために必要な施策を講ずる。
10. 伝統的芸術文化の継承等
11. 権利の保護
12. 教育施設、福祉施設等との協力
13. 国際交流の推進等
14. 税制上の措置
芸術文化活動を行う団体が一般からの寄附を受けることを容易にするための措置その他芸術文化活動を行う団体等の活動の促進を図るために必要な税制上の措置を講ずるよう努める。
15. 地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等
16. 政策形成への民意の反映等
芸術文化に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で、政策の決定を行う仕組みの整備及びその活用を図る。
17. 地方公共団体の施策
地方公共団体は、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた芸術文化を振興するため、必要な施策を積極的に推進し、実施するものとする。

【3】芸術文化基本法案
(目的)
第一条
この法律は、芸術その他の文化(以下「芸術文化」という。)が、人々の豊かな創造性をはぐくみ、多様な価値観への理解を促すとともに、経済及び社会の発展に資することにかんがみ、芸術文化に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、芸術文化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、芸術文化に関する施策を総合的に推進し、もってゆとりのある豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条
何人も、自由に多様な芸術文化を創造し、及び享受する権利を有するものとする。

芸術文化に関する施策を講ずるに当たっては、芸術文化に関する活動(芸術文化に関する企画、運営等を含む。以下「芸術文化活動」という。)を行う者(芸術文化活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主性が尊重されなければならない。

芸術文化に関する施策は、芸術文化活動が地域の人々により主体的に行われるよう、地方公共団体が主導的役割を担うことを原則とするものとし、かつ、国民がその居住する地域にかかわらず等しく、芸術文化活動を行い、及び芸術文化を享受することができるよう講ぜられなければならない。

芸術文化に関する施策を講ずるに当たっては、芸術家等(専門的に芸術文化活動を行う者をいう。以下同じ。)その他広く国民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならない。
(国の責務)
第三条
国は、前条の基本理念にのっとり、芸術文化に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第四条
地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、芸術文化に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(法制上の措置等)
第五条
政府は、芸術文化に関する施策を推進するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。
(芸術文化施設等の整備等)
第六条
国は、芸術家等に芸術文化の創作、公演、展示等の場を提供するとともに、国民が自主的かつ主体的に芸術文化活動を行う機会を拡充するため、芸術文化活動の拠点として、芸術家等を配置する芸術文化施設の整備を自ら行い、併せて地域における芸術文化活動の拠点としての芸術文化施設の整備に係る地方公共団体の施策及び民間の団体等の活動が促進されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

国は、芸術文化活動を行う者が円滑に芸術文化施設を利用することができるよう、必要な施策を講ずるものとする。
(芸術文化活動への支援)
第七条
国は、芸術文化に関する国民の自主的かつ主体的な取組を支援するため、芸術文化活動への財政上の援助その他の必要な施策を講ずるものとする。
(芸術家等の養成及び確保)
第八条
国は、芸術家等が芸術文化の振興に重要な役割を果たすことにかんがみ、芸術家等(個人に限る。以下この条及び次条において同じ。)の養成及び確保を図るため、自ら教育及び研修の充実等必要な施策を講ずるとともに、芸術家等の養成及び確保を図るための地方公共団体の施策及び民間の団体等の活動が促進されるよう、必要な施策を講ずるものとする。
(芸術家等の地位の向上)
第九条
国は、芸術家等が適切な処遇の下で十分にその能力を発揮して芸術文化活動を行うことができるよう、芸術家等の地位を向上させるために必要な施策を講ずるものとする。
(伝統的芸術文化の継承等)
第十条
国は、我が国の伝統的な芸術文化の継承、文化財の保存及び活用並びに地域の固有の芸術文化の保護のため、必要な施策を講ずるものとする。
(権利の保護)
第十一条
国は、芸術文化の所産の公正な利用に留意しつつ、芸術文化の所産に係る権利の保護を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(教育施設、福祉施設等との協力)
第十二条
国は、第六条第一項の芸術文化施設を拠点として活動する芸術家等その他の芸術文化活動を行う者が、地域の学校、社会教育施設、福祉施設、医療機関等と協力して、地域の人々が芸術文化を享受し及び芸術文化活動を行う機会を提供することができるよう、必要な施策を講ずるものとする。
(国際交流の推進等)
第十三条
国は、芸術文化に関する国際相互理解を深めるとともに、我が国の芸術文化の一層の振興を図るため、芸術文化に関する国際交流を推進するための施策その他必要な施策を講ずるものとする。
(税制上の措置)
第十四条
国は、芸術文化の振興に資するため、芸術文化活動を行う団体が一般からの寄附を受けることを容易にするための措置その他の芸術文化活動を行う団体等の活動の促進を図るために必要な税制上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等)
第十五条
国は、地方公共団体が実施する芸術文化に関する施策及び民間の団体等が行う芸術文化活動を支援するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(政策形成への民意の反映等)
第十六条
国は、芸術文化に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で、政策の決定を行う仕組みの整備及びその活用を図るものとする。
(地方公共団体の施策)
第十七条
地方公共団体は、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた芸術文化を振興するため必要な施策を積極的に推進し、実施するものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
芸術文化が、人々の豊かな創造性をはぐくみ、多様な価値観への理解を促すとともに、経済及び社会の発展に資することにかんがみ、ゆとりのある豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与するため、芸術文化に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、芸術文化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、芸術文化に関する施策を総合的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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