平成13年度活動報告

私にも言わせてほしい
平成13年11月24日 産経新聞掲載記事
 
異文化への理解 深めて…今こそ宗教教育を
 米中枢同時テロをきっかけに、中央教育審議会で学校での宗教教育のあり方が議論されている。
 サンケイリビング新聞が「テロ事件で家族で何を話したか」をテーマに五百人にアンケートをしたところ、トップは「宗教・民族問題について」であった。続いてテロ、戦争、いつどこで何が起こるか分からない世の中、人命の尊さ、と続いている。 私は、過日衆院文部科学委員会で「今回のテロを宗教戦争と考えてはならないが、だからこそ宗教的な教養教育が必要」と発言した。国際化が進む時代にあって、日本人としての教養をそなえ、尊敬される美しい生き方と規範意識の土台を作るためにも、教育関係者は洞察力を持って宗教教育のあり方を考えてほしい。
 教育基本法九条は「宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない」とし、第二項で公教育では「特定の宗教教育その他宗教的活動をしてはならない」と一定の枠をはめている。しかし、教育現場ではその解釈をめぐっておかしなことが起きている。
 文部科学委員会の席で、私は目に見えないものの背後にある尊いものを推しはかる教育、宗教的情操心をはぐくむ教育が失われてきたことを指摘したところ、遠山敦子文部科学相は、学習指導要領で「人間の力を超えたものに対する畏敬(いけい)の念を深める」ことが掲げられていることでもあり、ねらいとしている精神を十分酌み取って、教員が十分勉強されて取り組んでもらいたいと答弁された。
 学校現場では、給食時に「合掌」と呼びかけて、手を合わせて「いただきます」を唱和することにクレームがつき、手作りのおみこしを運動会でかつぐことにも文句が出て、修学旅行先として寺や神社が遠ざけられ説明がなおざりにされる、といった行き過ぎた現状がある。
 私は、公立小学校のPTA会長をしていたとき、保護者に地元の神社の由来を講演したり、放課後の子供たちに地元の寺で僧りょから生命についての話を聞くという自由参加プログラムを提供したところ大変喜ばれた。
 町の歴史、伝統、郷土の生活文化にふれながら、大きなものに包まれて在る自分を発見し、地域の一員としての自覚を深めることこそ、子供たちの心を朗らかにし、地域の教育力を高めることにつながっていくと考えている。
 総合的学習の時間や放課後の自由参加活動に、地元の人や宗教関係者は教育委員会、学校と何ができるか意見交換してほしいし、宗教音痴の先生画育たぬよう教員養成課程のあり方も見直すべきであろう。
 世界のそれぞれの国の生活と人のありようは、宗教と深い関係がある。日本の子供たちには日本の宗教観を学び味わい、規範意識を高めて異文化を理解し愛する力を深めてほしい。そのためにも大人たちは、宗教センスの発掘発露に臆病になるなかれ、ではないだろうか。

< < 平成13年度活動報告インデックスへ戻る

山谷えり子事務所
〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館611号室
TEL:03-3508-8611/FAX:03-5512-2611