2005年度活動報告

山谷えり子質疑 参議院外交防衛委員会
平成17年3月31日(木曜日)
 

- 山谷えり子君
 自由民主党、山谷えり子でございます。
 参考人の先生方、ありがとうございます。
 小川参考人にお伺いしたいと思います。
 私は、イラク、インド洋、そしてゴラン高原、PKOや人道復興支援を見てまいりました。非常に日本の自衛官は優秀でいらっしゃいまして、世界の平和の維持に貢献しており、また国益にもかなう活動をしているということを感じております。
 しかしながら、テロ特措法で自己の管理下に入った者と、あるいはその現場性というような二項目が入って臨機応変に活動、対応できる部分が増えたことは増 えたんですが、しかし本来持っている自衛隊の能力、あるいは国連の装備品すら守れないとか、武器の使用も国際スタンダードになっていないというような面か ら見て、本当に能力のある、そしてまた命を懸けて行っていらっしゃる方に対する感謝と敬意と、それからきちんと働いていただくための私たちのサポート態勢 が余りにも足りないというふうに考えているものでございます。
 イラクに参りましたとき、奥克彦大使、亡くなられた奥克彦大使に私たちの安全を保障してもらっていたんですが、平成十五年の四月二十九日の奥克彦大使の ホームページで、日本大使館はいつごろ機能を再開するのでしょうか、日本の場合、自国の兵士や警察官による警備を行いませんので、ちなみに、これは主要国 では非常にまれなケースです、警備対策が最大の問題ですと書いていらっしゃいまして、自衛隊が在外公館を警備することすらできないという本当に非現実的な 状況の中で自衛官にお働きいただいている。
 PKOの五原則の中の四番目と五番目ですね、中断と引揚げの問題、それから武器使用の問題、これを私は早急に見直すべきであり、また本来任務にきちんと位置付けるべきだと考えているんですけれども、先生はどのような意見をお持ちでしょうか。
- 参考人(小川和久君)
 また、これだけで一時間半講演できそうな御質問でございます。
 ただ、私自身、カンボジアPKOのとき、九二年の段階から、今の森陸上幕僚長がまだ一佐だったんですが、彼らと一緒に宮澤内閣の仕事の下働きをしたという立場なんです。だから、PKO本体業務参加凍結などを陸上幕僚監部の班長たちのワープロで打ち込む、そういう作業も一緒にやった人間でございます。
 ただ、それから十三年目になりますが、いろんな実績を積む中で、日本国民の理解も進んだことは進んだんですが、一つ大きな問題があるなと思うのは、これ は自衛隊にすべて任せようという話じゃないんですよ。ただ、その武器を使うことが求められるような任務、そういったことについてやはりもっともっと整理を し、知識を高め、自衛隊を有効に使えるようにはめ込んでいく、そのための法律や制度を整備しなきゃいけないだろうと思っています。
 日本のそういった議論の基本に置かれているのは何かといいますと、警察の持っている知識とか情報なんですね。そこで行きますと、もちろん個人的には優れた知識や情報を持った方もいらっしゃいますが、組織としては幼稚園。だから、警察が例えば銃器に関する知識を世界に通用するレベルで持っていれば、首相官邸をあんなところに造るわけないじゃないですか。何でこんなところに造ったのかと責任ある立場の官僚に聞いたら、警察に聞いたら、一番近くのビルから二百 五十メートル離れているからライフルの狙撃には大丈夫だと聞いておりますと。あほう言うなと。今度自衛隊が導入する十二・七ミリの大型の狙撃銃の有効射程 距離は二・四キロですよ。僕が昭和三十六年に十五歳で陸上自衛隊に入って、最初に使ったアメリカ製のM1ライフルだって有効射程距離で五百メートルです。 そのレベルの警察の知識を基にあらゆることが規定され、在外公館の警備にまでそれが影を落としているんです。
 だから、やっぱり、これは警察がいい悪いじゃなくて、情報を共有して、その中で必要な営みができるようにしていこう。だから、自衛隊の方に、自衛隊出身者だから引っ張ろうなんて思っていませんよ、そんなけちなことは。
 でも、この間も、たまたま僕は海上保安庁の委員やっているんだけど、海上保安庁の長官からいろんなブリーフィングがある。これは大変勉強になる。ただ、一つだけ気が付いたことがあるんです。これは申し上げたから議事録に出ていますけどね。
 何かといったら、南西諸島周辺海域における中国の調査船の活動についてというのがあるんです。ばあっと出てくるわけです、地図上にね、説明がある。僕か ら見ると、ほかの偉い先生はふうんと聞いているわけですよ。でも少な過ぎるわけ。私が、海上自衛隊から受けているブリーフィングから見ると数が少な過ぎる と思いますがと言ったら、警備救難部長が、実は海上自衛隊のP3Cのような能力がないから我々がつかんでいるのはこれだけですという話ですよ。それは年間 千七百億円の予算の海上保安庁だから、そんな能力を持てとは言えない。しかし、海上自衛隊と情報を共有しないで、おまえら何やってんだということを言わざるを得ないんですよ。
 だから、そんな問題が、そこだけ見ていると、もうすべてだと思っちゃうじゃないですか。それでいろんな必要な活動の基準が決められていくということにな ると、樋渡先生がおっしゃったように様々な矛盾につながっていくんですね。だから、やっぱり安全とかいうことが前提になるようなお話については、もう少し 国家のシステムを有機的に動かす、そのために政治がかかわりを持つことが重要だろうかなと思っております。
 ちょっとお答えにならないような話になりました。ありがとうございました。

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