2005年度活動報告

参議院 外交防衛委員会
平成17年4月21日(木曜日)
 
平成十七年四月二十一日(木曜日)
参考人
慶應義塾大学総合政策学部長 小島朋之

- 山谷えり子君
 自由民主党、山谷えり子でございます。
 両参考人の皆様、ありがとうございました。
 小島参考人にお伺いしたいと思います。
 四月十八日、町村外務大臣は唐家セン国務委員に対して、日本の教科書はすべて戦争の反省の上に立っている、愛国教育が結果として反日教育になっていない か、記念館の展示物の内容が日中友好に資するかという議論が日本の国会でなされているとおっしゃいました。さすが元文部大臣らしく、事実を踏まえた御主張だったというふうに思うんですけれども、むしろ歴史を、事実を曲げたりバランスを欠いているのが中国の方ではないかというような論説が、実は去年の十二月もニューヨーク・タイムズに載りました。
 そして、今回もフィナンシャル・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、そしてワシントン・ポストはかなり細かく詳細に、むしろ中国の方が歴史の事実を、あるいはバランスを欠いているのではないかというようなことを言っております。
 私も中国の教科書を読みまして、チベットが平和解放されているとか朝鮮戦争は米国の朝鮮侵略であるとかいろいろ書かれておりますし、また日中間の戦後の 記述については、一九七一年、日本の首相が中国を訪問し両国の外交関係が結ばれたと、たったこれだけでございまして、ODAの記述等々は全くないわけですね。バランスを欠いているというのが日本側の見方ではないかなというふうに思うんですけれども。
 その日中共同歴史研究もいいんですが、何年先の話になるか分からない。やっぱりこういう問題が起きたからこそ率直に意見を交わし合うということが大事だ と思いますので、どういう、学者として、作業、メッセージ、今現在できることがあれば教えていただきたいのと、ブッシュ大統領は、もうすぐに反撃というか、いや、アメリカの書き方はおかしいということをおっしゃっていらっしゃるわけですよね。やっぱりすぐに私は言うべきではないかというふうに思っています。
 それから、反日記念館、北京には入場者千二百万人、南京虐殺館には一千万人の入場者、今リニューアル拡充オープンのために工事をしております。その中に、百人斬り等、事実でない写真などが展示されているわけですから、これは淡々と、真の日中友好を築くためにチャイナ・ウオッチャーの小島先生がリーダー シップを取っていただくとか、何かアイデア、御決意あればお教えいただきたいと思います。
- 参考人(小島朋之君)
 私が申し上げました歴史問題の共同研究と、こういったときに、もちろん、今、山谷先生がおっしゃられたようなこと、こういったことについての事実の確認作業というのも当然入ってくるわけですね。
 ただ、先生がおっしゃられたように、今すぐやれることはやればいいじゃないという、正にそのとおりでありまして、町村外相が唐家センさんとの会談の中で 具体的な事実を挙げて、その修正を求める、こういったことは当然やるべきであるし、恐らく山谷先生もやっていただかなければいけないだろうと思うんですね。
 そういった、具体的に問題が起こったところできちんと反論していくというところと、やはり時間を掛けて、例えば教科書の中の対日記述、こういったことについては、それの記述の事実の確認というのはやっぱり時間を掛けてやった方がいいと思うんですね。だから、そういう部分については歴史の共同研究という形でやっていく必要があるのではないかというふうに思っています。
 それから、それをやらなかったのが問題なわけですね。例えば、先ほどから中国の教科書のことについていろんな先生方がお触れになっておりますが、実は中 国の教科書の中の対日記述というのも、ずっと一九七二年から同じであったかというと、そんなことないわけですね。八〇年代の中国の教科書の中の対日記述、 これなかなか良かったですね。八〇年代の初めだと、台湾の教科書の中の対日記述よりもはるかに現代日本を真っ当に、正確に評価している。
 それはつまり、 ちょうど中国が近代化を進めていくその中でトウ小平がルックイースト、近代化を日本に学べと、こういう方向を打ち出したのが正にそのまま反映されているわけで、やっぱりいろんな場面できちんと反論していくというのが大切なのではないかと思います。

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