2005年度活動報告

参議院 外交防衛委員会
平成17年4月28日(木曜日)

- 山谷えり子君
 自由民主党、山谷えり子でございます。
 私は、自衛官のゴラン活動でのPKO活動、またアフガニスタンのDDR、武装解除活動、イラク人道復興支援活動、現地に参りまして意見交換をしてまいったものでございます。イラクでは、日本は日露戦争で勝利した国、アジアの人々にあの植民地支配に立ち向かう希望をつくったと言われました。また、長く戦後占領されていたにもかかわらず非常にあの目覚ましい復興をした国だと、秘密を教えてほしいというふうにも言われました。
 今年は、日露戦争、ポーツマス条約から百年、そしてまた、さきの大戦から六十年でございます。本日四月二十八日は、独立国家として主権回復をした日でございます。昭和二十七年四月二十八日から、今年、五十三年目の主権回復記念日でございます。
 町村大臣、今日を祝日にしたらいかがかと思いますが、この日への思いをお聞かせください。
- 国務大臣(町村信孝君)
 私も祝日が増えること一般論については賛成をするものでございますが、四月二十八日という特別な日という今の御指摘、よく理解をするところであります。したがって、非常に大切な日、重要な日だという認識はありますが、それが即お休みがいいかどうかというのはまたちょっとよく、また別の議論になるかなと思ったりもいたします。
- 山谷えり子君
 二年前の夏、私はインド洋で補給艦「とわだ」に乗せていただきました。自衛官の方たちは、英米など六か国の艦船にオイルを補給していらっしゃいました。テロに屈せず、平和を守るために休みなく働いていらっしゃる。平和は現在進行形でつくるものだと、それから、テロリストは地上だけではなくて海の上でも悪さをするものだということも思いました。
 五十度を超える甲板の上は輻射熱でございます。等距離で、艦船と補給艦が等スピードでオイルを補給するというこの極めて難しい技術を日本の自衛官は本当によくやっていらっしゃった。
 先日、イラクのガーニム大使にお会いしましたら、イラクでの自衛官、日本の自衛官の活動をイラクではよく報道しているんだけれども、むしろ日本国内での報道の方が少ないのではないかと。もっと日本の正しい、テロと戦う姿を日本人に知らせたらどうかと逆に言われてしまったんでございますけれども。
 大野防衛庁長官、このテロ特措法計画を六か月延長という中で、私はもっと広報活動に重点を置いていただきたいと思います。二月にラジオ放送をしたら、スマトラのあれ、いろいろな活動とか自衛官の海外活動をラジオ放送やったら非常に良かったと、また子供たちも関心あるようでございますので、是非、この基本計画延長と、そして広報活動の充実というのを考えていただきたいんですが、いかがでございましょうか。
- 国務大臣(大野功統君)
 日本の自衛隊の活動というのは海外において高く評価されている。武力行使をしない、武力行使と一体とならないということであるにもかかわらず、大変評価されております。
 そういう意味で、このテロ活動あるいはサマワにおける活動につきましても、今後、もう山谷先生おっしゃるとおり、広報活動に力を入れて国民の皆様の御理解をちょうだいしたいと、このように思っております。アドバイス、本当にありがとうございました。
- 山谷えり子君
 昨日、中国の王毅大使が自民党の外交調査会で、靖国参拝について、首相、官房長官、外務大臣は在任期間中参拝しないと日中で口頭の協定を結んだというふうに言われました。私もその場におりましたけれども、町村外務大臣、このような事実はあるのでございましょうか。
- 国務大臣(町村信孝君)
 中国との間でそうした紳士協定があるということは、私は一切承知をしておりません。
- 山谷えり子君
 そのとき、王毅大使は、日本人みんなは被害者だと、加害者は一部の軍人だというような言い方をなさったんですけれども、歴史を振り返り、戦争を反省するに、私たち日本人としてはそう簡単な割り切りもできないと。この辺の事情もお互いに率直に更に深く話し合っていくことが大切だというふうに感じました。
 また、四月十八日、町村外務大臣は、唐家セン国務委員とのやり取りの中で、唐家セン国務委員の方が中国の教科書に意見があるなら出してくださいとおっしゃられたということで、私、ちょっと今日は具体的に二、三指摘をさせていただきたいと思うんですが、まず、お配りいたしました資料一、国会でも既に問題になっておりますが、これは中国の歴史の先生たちの指導資料ですね、こういうふうに教えなさいという部分でございます。
 南京事件について、日本の帝国主義に対する深い恨みを心に刻ませるとか、そういうことが書いてあるわけでございますが、町村外務大臣は四月二十二日の衆議院外務委員会で、かなりの記述と受け止めたと、また政府参考人は、教科書、指導要領の研究がどう進んでいるか調べるとおっしゃいましたが、これはもう既に外務省としては全文翻訳はできているんでしょうか。どういう形で今研究を進めていらっしゃるのか、進行状況をお知らせください。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 お答え申し上げます。
 中国側の教科書、いろいろなものがございますけれども、私ども、今その中で、日本との関係で関係あるものも含めまして鋭意翻訳を進めておる最中でございます。
- 山谷えり子君
 この指導資料はもう何年か前に本の中でも話題になったものですので、本当はもう翻訳が済んでいないといけないレベルにあるというふうに思いますので、是非速やかに翻訳を済ませて、申し入れることがあったら申し入れていただきたいというふうに思います。
 続きまして、ちょっと資料が逆になっておりますが、資料五と六というのをごらんいただければ幸いでございます。
 町村外務大臣は、日本の教科書はすべて戦争の反省の上に立っている、侵略を正当化する教科書はない、中国の愛国教育が結果として反日教育になっていないか、記念館の展示物が日中友好に資するかという議論が日本の国会でなされているというようなことを唐家セン国務委員におっしゃられました。
 例えば、抗日記念館や出版物でよく見掛けるこの資料五のAの写真ですね。これは、日本の爆撃としてライフが一九三八年一月三日号、ライフが一九三七年ニュース物語ベストテンというのに選んだものなんですが、実はこれは宣伝のための演出写真であることが分かった。子供をそこに置いてポーズさせたことも分かったと。
 これに対して、外務大臣、少し具体的に取り上げたらいかがでございましょうか。
- 国務大臣(町村信孝君)
 いろいろなその教科書本体、あるいは教師の指導要領、あるいはこの抗日記念館、いろいろな面において本当にこれが正しい歴史の展示なんだろうか、日中友好に資するんだろうかという観点から子細に検討しなければいけないと思います。
 山谷委員を始め、国会の中で諸先生方がいろいろな御指摘をいただきましたものですから、唐家セン国務委員との話の折にもそうした様々な議論が日本の国会においてもしばしばなされているということを申し上げたのは、例えば先般の山谷議員の御指摘を私も頭に浮かべながら、唐家セン委員との話でそれを引用をしたわけでございます。
 いずれにしても、文部科学省ともよく共同作業をしながら、どういう形で意見を集約し、どういう形で先方にそれを申し伝えるか、よく考えて、そして実行に移していきたいと、こう思っているところでございます。
- 山谷えり子君
 続きまして資料六なんですが、これは慰安婦にされるために日本兵に強制連行される中国人女性たちという写真だと言われていますが、実は中国の人たちが日本人に、日本軍に守られて農作業を終えて帰る写真だという、全然違う写真なんですけれども、こういったことも具体的にお示しいただきたいというふうに思います。
 町村外務大臣は、四月二十四日のサンデープロジェクトの場で、李肇星外務大臣は日本の教科書を読んでいないと言われたというふうにおっしゃられたと思いますけれども、それは本当でございましょうか、そのやり取りは。
- 国務大臣(町村信孝君)
 外務大臣同士あるいはいろいろな国際的なやり取りのすべてを全部お話をしていいものかどうかというところもございますから、まあしかし、私、ちょっとそれはテレビで言ってしまったんだからもうそれは否定するべくもございませんが、いろいろな中国や韓国やあるいは外国の方と話をしておりますと、実際にその当該教科書を読んでいない方が非常に多いということを私、常々感じていたのであります。大体、新聞のこの頭書きを見て、タイトルを見て、ああそういうものかというふうに思っておられる方が実に多いんですね。それは多分、外国の方のみならず、日本国内においてもそういう方々が少なからずいらっしゃるんですね。
 ですから、やはり、特に責任のある立場の方が責任のある発言をされる際には、やっぱりその原典に当たるといいましょうか、必要なものにはやっぱり目を通した上で御発言をいただきたいと。
 私は、たまたまといいましょうか、文部大臣を二回務め、ちょうど四年前の教科書検定の折の私は文部科学大臣として責任を負っていたものですから、中国の教科書、韓国の教科書、もとより日本の教科書はほぼすべて目を通したつもりでございますので、そういう思いもありましてそういう発言をし、先方からは、いや、それは、目を通したわけではないという趣旨の御発言がございました。
- 山谷えり子君
 続きまして資料二をごらんいただきたいんですが、中国の歴史教科書で、済南事件と言われる、済南虐殺事件と言われるものなんですが、中国の教科書には、兵士、民間人数千人を殺し、虐殺をしたというふうに書かれているんですが、実は虐殺されたのは日本人でございまして、例えば外務省が国連に提出した覚書でも、シナ兵が日本人居留民男女に加えたる蛮行は、その残虐言うに及びざる程度のものありとかですね、あるいはイギリスのデーリー・テレグラフ社は、中国人は略奪と殺人を天与の権利であるかのごとく暴行を繰り返している、日本人の忍耐にも限度があると報じたり、当時のアメリカ公使ジョン・マクマリーは、日本軍が自国居留民の生命、財産保護のためにその任務を達成するべく誠意を持って行動したものと信じていたと証言しているわけでございまして、実は、教科書に日本側が細菌実験を行っているというのが載っているんですが、実は、この写真は済南事件のとき虐殺された日本人居留民の検視の写真ではなかったかというようなこともございまして、この済南事件、この教科書の書きぶりについても是非申入れをしていただきたいんですけれども、いかがでございましょうか、町村外務大臣。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 お答え申し上げます。
 御指摘の件でございますけれども、中国で今使用されております九年義務教育三年制初級中学の教科書、中国歴史、これは日本の中学生用の教科書に相当する教科書であると承知しておりますけれども、その中で、この済南事件につきまして、日本帝国主義は国民政府の北伐を阻止するために公然と出兵して済南を占領し、中国軍民双方を六千人余り殺害する済南事件を起こした等の記述があると承知しております。
 教科書における日本に関する記述、これは中国の若い世代の方々の対日観の形成に大きな影響を及ぼし得るものでございますし、今委員が御指摘になられた点も含めまして、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおり、いろいろな教科書等々の記述についてしっかりと分析を進めまして、その結果を踏まえて我々としてきちんと対応したいというふうに考えております。
- 山谷えり子君
 資料三と四はニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストが中国の教科書をどう書いているかというのを添えさせていただきましたので、後でお読みいただければと思います。
 ODAに関しまして、中国はODAについて何も国民に知らせていないという報道がありますけれども、実は違う面もございまして、中国には新聞が五千ございまして、テレビ局も三百ありまして、地方紙では日本のこうした活動について報道をかなりされているというふうにも聞きます。
 互いの国の双方の努力も互いに知り合わなければ日中友好にならないわけでございまして、外務省としては、中国のマスコミが日本のODA、草の根活動をどういうふうに報道しているかということをちょっと集めていらっしゃるわけですか。
- 政府参考人(佐藤重和君)
 ただいまのお話にございました中国において我が国のODAをどのように報道をしているかということでございますが、この点につきましては、私どもの大使館、総領事館の方でこれを常に調べておりまして、これを四半期ごとにまとめて傾向を分析し、本省の方に報告をしてきているということでございます。
 ただいまお話ございましたとおり、こうした報道という、中国における報道というものもかなりの件数、以前にも比べますとかなり増えてきております。特に、実際に我が国のODAを実施をしているそのプロジェクト、その実施の地元の報道、これはやはり、いやあ、いいことをやってくれているということで非常に大きく報道されているというケースが多いわけでございます。
 私どもそれを取りまとめて、できるだけこれは私どもの外務省のホームページの中でも、こういう報道がありますよということをできるだけ我々の中でも集め、かつそれを国内でも知らせるようにしたいというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 互いの日中友好のために、誤解が広がらないように、憎しみが大きくならないように事実を冷静に指摘しながら、向こうの、中国の日本に対する良いことも報道しながら、日中友好関係を本当に豊かに築いていきたいというふうに思います。
 ところで、昨日、田中実さんが北朝鮮による拉致被害者として十六人目の政府認定がなされました。認定がなければ交渉の場で取り上げられません。
 二十四日、日比谷公会堂で経済制裁発動を求める国民大集会に六千人が参加いたしました。この場で、拉致されたのではないかという特定失踪者問題調査会に相談しておられる家族六十人が参加しております。
 特定失踪者問題調査会には、四百二十人くらいの問い合わせがありまして、調べたところ、やっぱり三けたを超える拉致の疑いがある。その中でも非常に濃厚なのが三十三人というようなことでございますので、是非、拉致の可能性の濃厚な人のレベルアップをもう少しきちんと速やかに図っていただきたいということと、家族会の今、事務局長増元照明さん、救う会の島田洋一副会長が今アメリカにおります。
 アメリカの下院、ハイド外交委員長とおとといお会いしまして、ハイド外交委員長は、あらゆる手段で協力したい、日本の経済制裁も解決のため可能な手段だというふうにおっしゃられました。昨日、王毅大使も、経済制裁は日本の主権というふうにおっしゃっていらっしゃるわけでございまして、衆参の拉致問題特別委員会で経済制裁の発動を検討ということを採択されたのがもう十二月でございまして、四か月以上たっているわけでございます。
 町村外務大臣、この拉致問題への取組、経済制裁発動について御意見をお聞かせください。
- 国務大臣(町村信孝君)
 今委員御指摘の田中実さん、これは警察が新たな証拠を入手いたしまして拉致容疑事案であるという判断をし、二十七日、昨日、関係省庁認定連絡会議を開催いたしまして拉致被害者であると認定をしたところでございます。警察側も相当いろいろな情報収集、この田中さん以外の方も含めて一生懸命やった結果がまず一人出てきたということでございます。今日、北京で北朝鮮側に認定したという事実を伝えまして、即時帰国、真相究明を強く求めるということにいたしております。
 あと、この拉致問題全般についての政府の取組どうなっているんだという御指摘でございます。
 一月、二月、いろいろなまた文書のやり取り等もあったわけでございますが、経済制裁発動の準備は、先般来申し上げておりますとおりしっかりと政府全体としては今整えているところでございます。あとは、どういうタイミングでどういう方法がいいかということは状況を見極めながら適切に対応していきたいと、かように考えているところでございまして、経済制裁、有力な先方に対する手段の一つであるという基本認識は何ら変わっておりません。
- 山谷えり子君
 竹島問題に対して外務省のホームページをハングル語にリンクできるようにということを先日お願いしたのが実現しまして、本当にありがとうございました。
 韓国で、竹島の持続可能な利用法律が成立したと聞きまして、日本政府は抗議文書を出されたと。今、韓国政府の協力で、外人記者たちの竹島取材を計画しているということで、とんでもないことだと思うんですが、この際、もう一度、国際司法裁判所に付託すると、きちんと外交ルートで付託し直す、そして国際世論にこのことを訴え直すということをお考えいただけたらいかがかと思いますが、いかがでございましょう、町村大臣。
- 国務大臣(町村信孝君)
 こういう韓国の国会で竹島の持続可能な利用に関する法律、中身はまだちょっと詳細を私も聞いておりませんけれども、お互いに立場は違う、考えは違うという中でこうした問題を大きくプレーアップして大局的な見地から両国の友好関係を損なわないように努力していこうということを先般の日韓外相会談、四月七日のときに確認をしたところで、こういうような韓国の議会における立法というのは日本政府としては大変遺憾なことであると、こう思っておりまして、昨日、口上書を先方に渡し、アジア大洋州局長から韓国大使館の公使を呼んで正式に申入れをしたところでございます。
 ツアーの件は、何かだれが主催しているのかちょっとよく分からない、政府主催ではどうもないらしくて、ソウル外国人記者クラブが主催をしているらしいということなんですが、詳細はちょっとよく分かりません。もし政府主催ということが判明すれば、きちんとこれまた申し入れなければならないと思っております。
 国際司法裁判所のお話、この国会の中でも随分皆様方から御示唆をいただいているところでございます。
 これは、先般も御説明を申し上げたかと思いますけれども、これは一九五四年九月、口上書をもって竹島問題について国際司法裁判所に提訴することを韓国側に提案をいたしました。また、一九六二年の日韓外相会談の際にもこれを提起しましたが、韓国側は受け入れないということで、結果的には司法裁判所という場面、という場所を使うということにはならなかったという過去の経緯があるわけでございます。
 これは、相手方が同意がなければ、両国の同意がなければ国際司法裁判所は取り扱わないという、そういう取決めになっておりますから、その限りではやむを得ないのでありますけれども、私は、この国際司法裁判所を含めてどういう可能性があるか、竹島問題の平和的解決のために引き続き粘り強く努力をしていきたい。五月の連休中に日韓外相会談も京都のASEMの会議の場で行えるように今、日程調整をしているところでございまして、そうした場面などでこの問題、竹島問題についても話合いをしていきたいと考えているところでございます。
- 委員長(林芳正君)
 山谷君、時間が終了しております。
- 山谷えり子君
 大野長官、そして町村外務大臣の御努力に敬意を表し、時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。

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