2005年度活動報告

参議院 予算委員会
平成17年10月5日(水曜日)

- 山谷えり子君
 自由民主党、山谷えり子でございます。
 新憲法制定を望む声が国民の過半数となっております。国の最高法規ではありますが、前文は、日本、言霊幸う国日本の命が感じられるようなものであってほしいと思います。小学生が朗々と暗唱できるような、また女たちが台所で大根を刻みながらもふっと口ずさんでしまうような、そのような前文を望みます。
 私、試みの案を書いてみました。
 「四季のめぐり、恵みあふれる大八洲、豊葦原瑞穂の国に生まれ育ったわたくしたち日本国民は、睦み和らぎ、徳を高め、勤め励んで、平和の国、文化の国、道義の国として歩んできました。美しい日本の国がらを誇り、喜びとして、これからも正直、親切、勤勉、節度、品位、調和、献身、進取の気性をもって、諸国民との協和の中で輝く自由と民主主義の国として歩みます。長い歴史と伝統、家族の絆の中で、豊かに育まれたわたくしたちは、一人一人に与えられた賜物に感謝し、法にしたがい、国を富ませ、心を世界に開いた政治、経済、外交を展開し、尊い生甲斐を互いに尊重する社会をつくります。人類の恒久平和、自然との共生に心を一つにして国際社会の中で名誉ある国づくりにつとめます。愛と一致と希望の中で、力をつくし、誠をつくし、明き清き理想に向かって進んでいくことを誓います。」というものなんですが、明治時代は様々な方々が起草案を出されました。国民各位の具体的な議論の高まりを願うものでございます。
 現憲法の前文は、平和を願う諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意したという文章がございます。いかにもよさそうでございますが、これほどよく考えてみると非現実的な前文もないわけでございまして、この前文が正しいものであるならば北朝鮮の拉致問題も起こらないわけでございます。
 本日、十月五日、横田めぐみさん四十一歳のお誕生日でございます。両親とともに誕生祝いができないことを本当に政治家として申し訳なく思っております。佐々江アジア大洋州局長、十四日の二国間協議で、生存者の帰国、安否不明者の真相究明、拉致実行犯の引渡し、三点を強く求め、このままでは厳しい対応を求める声が強まるという国内状況を説明なさいました。生存者の帰国と言われたのは初めてではないかと思いますが、生きていらっしゃるということで交渉をなさっているわけですね。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 お答え申し上げます。
 政府の立場としては、当然ながら、今北朝鮮にまだ残されておられる方々、拉致の被害者の方々が生存しておられると、全員生存しておられるという前提の下に先方とその早期帰国のために交渉をしていくという、そういう立場でございます。
- 山谷えり子君
 今月中旬の日朝対話、どのような姿勢で臨まれますか。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 お答えいたします。
 日朝の政府間対話、この日程、場所、出席者のレベル等々、まだ先方との間で調整中でございまして、必ずしも報道にありますように十月の中旬ということで決定したわけではございません。引き続き先方との間では調整を進めてまいりますが、今回ようやく、一年ぶり近くにわたって中断しておりました政府レベルの先方とのやり取り、再開されるということで先方と合意したわけでございますから、是非とも私どもとしては拉致問題の解決につながるような、そしてまた日朝関係の前進につながるような成果を上げて、きちっとした対応を取ってまいりたいというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 必ず成果を上げるという御覚悟で臨まれるわけですね。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 お答えいたします。
 私どもとしては、交渉には真剣に臨みたいと思っておりますし、何とか成果を上げるべく全力を尽くしたいと思っております。
- 山谷えり子君
 昨年十二月二十四日、細田官房長官は、誠意ある回答がない場合、厳しい対応を取ると言われました。
 中川経済産業大臣にお伺いいたします。経済制裁についての御所見、お伺いします。
- 国務大臣(中川昭一君)
 私もこの拉致という問題は、一人の人間あるいは一人の政治家として、一刻も早く普通に暮らしていらっしゃった人たちが普通に日本で御家族と暮らすように、政治として、あるいはまた行政として、最大限努力していかなければならない喫緊の課題だというふうに思っております。
 そういう中で、昨年、参議院の本会議で可決、成立していただきました改正外為法、これは我が国の平和及び安全の維持のために特に必要があるときは、輸出入等の停止を閣議において、ここは主務大臣じゃなくて閣議ということになっておりますけれども、閣議において決定できるようにすると。主務大臣は財務大臣、経済産業大臣、私が行うということを追加をしていただきました。これは当然、拉致問題あるいは北朝鮮の核、大量破壊兵器を念頭に置いたものだというふうに考えております。拉致問題を始めとして状況は何にも変わっていないというふうに私は認識をしております。
 対話と圧力というのが北朝鮮に対する交渉の基本姿勢でございまして、対話につきましては先日も長期間にわたって行われたわけでありますけれども、対話と圧力という中の一つの手法として、この輸出入の停止と、輸出入等の停止ということは現に法律にあるわけでございますから、私はこの拉致問題解決、一日も早い解決のためにこういう法律を作っていただいたわけでございますので、これを早く発動しろという声は拉致家族の皆さん、あるいは多くの国民の皆さん、あるいは山谷議員も同じお考えではないかと思いますけれども、多くの国会の先生方もそういうお考えの方が多いというふうに私は理解をしております。
 したがいまして、拉致問題解決のためにあらゆる手段を使う、対話、圧力、あらゆる手段を使っていくという中でこの法律があるわけでございますから、主務大臣といたしまして、この拉致問題、一日も早い解決のためにこの法律が機能するということであれば、一刻も早くこの法律も発動すべきではないかというのが私の考えであります。
 しかし、あくまでもこれは閣議決定ということでございますので、総理始め、閣議決定という手続が必要だということももう言うまでもないことでございますけれども、ともに拉致問題解決のために私も全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
- 山谷えり子君
 できるだけ早くというのは、今回の日朝対話ということでございますか、後という、その成果によってということですか。
- 国務大臣(中川昭一君)
 今外務省から御答弁ありましたように、今、日朝対話をするということになっているわけで、これは一つの成果だというふうに御家族も会見でおっしゃっておられました。
 対話と圧力というのは、この対話があるから圧力は待つという性格のものでは必ずしもない。対話と圧力、両方あってもいいという判断もあり得ると思います。ですから、対話は対話として、北朝鮮は一刻も早く約束を守るべきだと思いますし、と同時に、現在進行形で拉致、あるいは大量破壊兵器、ミサイルの、核の問題が現に存在している、し続けているわけでありますから、この圧力という手段も、何も対話があるから圧力はいったん引っ込めるという性格のものでは必ずしもないというふうに理解しております。
- 山谷えり子君
 特定失踪者問題調査会は三十日、国井えり子さんについて拉致濃厚と発表しました。これで拉致濃厚としたのは三十四人でございます。この三十四人、きちんと一応ヒアリングをしたり調査したりして濃厚ということを言っているわけでございますが、拉致問題連絡・調整室が対策本部にならないがゆえに全く調べができないと。この状況をどうお考えでございますか。
- 委員長(小野清子君)
 どなたがお答えになりますか。
- 山谷えり子君
 齋木審議官。
- 政府参考人(齋木昭隆君)
 必ずしも私がお答え申し上げるのが適当かどうか分かりませんけれども、内閣全般にかかわることでございますし、今内閣の中に拉致の御家族も含めた被害者の方々に対する支援、連絡調整等を行う部屋というのが設けられております。また、当然のことながら、この内閣の中に、一体となって関係の省庁、多岐にわたりますけれども、これらが緊密に、局長レベルも含めて随時情報交換、また対応について協議をしておる、そういう体制を取っておりますので、今後とも関係各省庁、より緊密に、連絡の効果を上げながらこの拉致問題の解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
- 山谷えり子君
 これは本当に対策本部に格上げしてきちんと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、教科書問題について伺います。
 この夏、中学校用教科書の採択が全国で行われましたが、韓国から、教育委員会、教育委員個人あるいは県知事などに多くの手紙が寄せられました。ある県知事さんに韓国のある県知事さんから、県内の中学校の歴史教科書採択に当たり、知事様が慎重な判断を下さるようお願い申し上げますなどという手紙が届いているわけですね。また、ある教育委員会では、韓国からのお手紙を延々と読んで、教育委員がそんな議事進行おかしいじゃないかと言っても延々と読み続けたと、圧力を感じたという教育委員の方もいらっしゃいます。
 どういう組織からどういう内容で韓国からの手紙届いたか、文科省は把握していらっしゃいますでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
 御説明を申し上げます。
 今回の教科書の採択におきましては、国内外の様々の立場から様々な意見の表明が行われました。その中で、議員が御指摘をされましたように、韓国の市民団体、それから韓国の自治体が教育委員会に対しまして要望するといった活動も行われたことは承知をいたしておりますが、個々具体にどのような団体がどのような教育委員会に要望活動を行っていたか、全体的な把握ということは今のところ行っておりません。
- 山谷えり子君
 資料一をごらんください。
 これは山口県が調べたところ、市民からの情報公開を求める動きにより調べたところ、全市町、百八十二に韓国からの手紙が送られていたということでございます。また、昨日も別の県議会でこのことが話題になっております、問題化されております。
 文科大臣は調査を行うよう都道府県教育委員会に指示できるわけでございますが、これは全国調査すべきではないでしょうか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 この教科書採択については、それぞれの採択権者であります各教育委員会が様々な独自の調査によって、そして公正公平に、また静ひつな下で採択をしなければならないということになっております。
 そういう中で、国内外からいろんな団体等がこの教育委員会に対していろんな要望をしていると。これがきちっとした公正公平な、適切な採択に適切になっているかどうかということを含めて、改めて、今回の結果含めて文部科学省としてもきちっと調査をしたいというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 そうしますと、例えば韓国からの手紙がそれぞれの都道府県、市町村にどのくらい送られてきたか、いつごろまでに調査完了できますか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 具体的に、例えば韓国の市民団体でありますアジア平和と歴史教育連帯、ここが要望活動をしていたということを聞いております。具体的に、文部科学省として、広島県の教育委員会、和歌山県の教育委員会、愛媛県、それから大阪府等の教育委員会について具体的に既に聴取をしているところでございます。
 先ほど委員から御指摘がございましたように、この資料一の山口県だけでも百八十二件の書簡の送付等がございますので、具体的に全国でどの程度、どんなふうに国内外含めてこのような行動、活動があったかどうかということは把握しておりませんから、期限は明確にはお答えできませんが、できるだけ早くきちんとした形で調査する必要があるというふうに考えております。
- 山谷えり子君
 それでは、全国の調査、そしてまた発表をしていただけるということで御確認、よろしゅうございますね。
- 大臣政務官(下村博文君)
 はい。そのように対応したいと思っています。
- 山谷えり子君
 性教育の副教材、とんでもないものを教育委員会が作っているということもございます。今回の採択のいろいろな在り方においても逸脱した動きがございました。地方教育、地方制度調査会では教育委員会の必置、外せばいいじゃないかというような議論もあるわけでございますが、教育委員会制度の改革、どのように考えていらっしゃいますか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
 お答えを申し上げます。
 教育委員会は、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するとともに、多様な民意を反映するために設けられた地方教育行政の基本的な組織でございます。この教育委員会の在り方につきましては、現在、中央教育審議会におきまして義務教育の在り方全般にわたる審議の中で教育委員会の機能を充実をさせ、責任を果たし得る観点から議論が行われているところでございます。
 ここでは、教育委員会の設置を地方公共団体の判断にゆだねることにつきましても議論はされておりますが、教育の政治的中立性の確保の必要性や首長に権限が集中することへの危惧などから、慎重な意見が多数を占めております。
 一方、教育委員の数や首長と教育委員会の権限分担については、制度を弾力化し、それぞれの自治体の実情に合わせて決められるようにすべきといったような議論も行われているところでございます。
 こういった中央教育審議会の議論を踏まえまして、地方分権の担い手としての教育委員会が充実をし教育行政を行えるように、文部科学省としても適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
- 山谷えり子君
 教科書採択の在り方、教科書無償措置法の見直し、教科書の在り方全般にわたる教科書法等々について、中教審で検討する御予定はございますか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 この教育行政が特定の勢力に影響されない中で中立公正な行政運営を行っていくということは、今お答えしたとおりでございます。
 そういう中で、この教科書採択については、採択権者であります各教育委員会等の権限、責任においてきちっと対応されているというふうに思っておりますが、さらに、今後この教科書の採択について、教科書に関する調査研究のより一層の充実、あるいは採択に対する事務をルール化するなどの採択手続の明確化、あるいは採択地区の適正規模化、また静ひつな採択環境の確保等について、各教育委員会がより一層の改善に努めるべき事柄でありまして、これについて文部科学省として各教育委員会に対して指導しているところでもございます。
 そういう中で、中教審でこのことについて審議すべきではないかという御意見でございますが、取りあえず、当面は各教育委員会に対して採択のより一層の改善を努めるように指導していきながら、文部科学省として対応をまずは考えていきたいというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 実態調査をし、それを国民に公表し、しかる後、必要であると私は考えておりますが、中教審での議論をお願いしたいというふうに思っております。
 再来年より全国学力調査をするということでございますが、どのようになさるお考えでしょうか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
 お答えを申し上げます。
 全国的な学力調査についてのお尋ねでございますが、現在、平成十八年度の概算要求におきましては、まず対象学年を各学校段階の最終学年における学習到達度、理解度を測るという観点から小学校六年生と中学校三年生といたしまして、その全員が参加できることができる規模で実施をするということを予定をして今要求を行っております。また、対象教科につきましては、国語と算数・数学の二教科で実施をすることといたしております。
 なお、実施の年度といたしましては、平成十九年度からを予定をいたしております。
- 山谷えり子君
 小学校六年と中学三年、二学年だけではなくて、小学校一年から中学三年まで九年間すべてを調査していただきたいと思います。また、学科も、国語、算数、大事ですが、理科、社会等々も、五学科ぐらいは調査してほしいと思います。希望する学校のみというふうに聞いたんですが、そうではないんでしょうか。
 九学年なぜできないのか、そしてなぜ二科目なのか、あるいは希望する学校、この三点をお答えいただけますか。
- 政府参考人(銭谷眞美君)
 今後、全国的な学力調査につきましては、専門家の会議等を通じまして更に詳細な内容は詰めていきたいと、こう思っております。
 現時点で考えておりますのは、まず対象学年でございますけれども、六年生と、小学校六年生と中学校三年生にしましたのは、各学校段階の最終学年における学習到達度、理解度をきちんと測定をするという観点からこの学年にしたものでございます。
 それから、国語と算数・数学の二教科にいたしましたのは、国語、算数・数学が、読み書き計算の力を身に付けるなど、他の教科を教える上でも非常に基礎となる内容でございますので、この基本的な教科についてきちんと押さえたいという観点から、国語、数学・算数の二教科で実施をするということを予定したものでございます。
 また、希望する学校すべてがという言い方を先ほど申し上げましたけれども、基本的にこの学力調査、国が調査を依頼して、各学校で実施をするわけでございますけれども、最終的なその調査を受ける、言わば学校の立場から調査を実施するということにつきましては、学校の設置者でございます市町村の教育委員会の判断ということになりますので、私どもとしてはその判断を尊重して調査を実施をするということで希望する学校はという言い方を申し上げたわけでございます。
 なお、希望する学校が全国ほとんどすべての学校ということは当然考えられるわけでございます。
- 山谷えり子君
 昨年、サッチャーの教育改革を調べに英国に参りました。
 一九七九年、サッチャーが政権に着いたとき、子供たちの学力はがたがた、モラルはがたがた。サッチャーは、学力を高める、そしてモラルを大切にする、そしてイデオロギーの強い偏向教育はすべきではない、子供たちを守る、それが小さな強い政府を構造改革としてつくる。サッチャー政権、教育と、教育改革と車の両輪で進めなければ、幾ら構造改革をやってもあさってにはとんざしてしまうということで、徹底的な教育正常化、質の向上をやったわけでございます。
 そのとき、サッチャーは何をしたか。すべての学年の学力テストをして、その点数を知り、そして駄目な学校には徹底的に支援する、いい先生を送る。千二百の学校が立ち直りました。立ち直れない学校もありました。百九十の学校を廃校にしました。そうやって徹底的に子供たちを守ったんですよ。
 希望する学校なんておっしゃらないで、すべての学校を国が責任持つべきです。そして、九学年すべてやるべきです。下村政務官、いかがですか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 山谷委員と私も昨年十月にイギリスに教育視察に行ってまいりまして、今御指摘の点、全く同感をいたしましたし、また我が国のこれからの教育改革の方向性、イギリスのサッチャー改革以降の改革に非常に参考となる点がたくさんあったと思います。
 今回の学力調査は四十年ぶりの調査ということで、取りあえず来年度概算要求でまずそれに向けた調査をし、そして平成十九年度から実施するという中で、今、銭谷局長からお答えしましたように、取りあえず小学校六年生と中学三年生ということでございますが、本来の先生御指摘の趣旨から考えれば、当然義務教育期間、小学校一年生から中学三年生まですべての生徒にそのような学力調査をする中で、そしてどうそれに対してフォローアップをするかということを体制的にもつくっていくということが必要だというふうに思いますし、できるだけそういう方向になることが、早めにしていくことが望ましいことだというふうに私も思います。
- 山谷えり子君
 教育の正常化頑張ったときに、教職員組合は学力調査反対等をしまして、六か月間イギリスでストを打ったそうです。文部大臣の人形が焼かれて大変だった、ベーカー元文部大臣に、そのときの大臣に聞きました。教育の正常化、質の向上は信念よと、頑張ってくださいというふうに私は励ましを受けました。民主党、日教組も変わるんでしょう、全九学年、私はできると信じております。
 野口聡一宇宙飛行士からお話を聞きました。日本は画一的な学校教育とてもやっていると、しかし体験学習、多様な学習が足りないんじゃないか、学校教育の場でというお話でございました。私もそう思います。初等教育段階からの体験学習推進、どうお考えでございますか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 初等教育の段階から体験学習として林間学校、それから、これは阪神・淡路大震災が起きた後、兵庫県が体験活動をさせようということで、トライやる・ウィークということを実践をして、これが大変な子供たちにとっても評価が高く、そして教育効果が高かったということが兵庫県からも聞いている中で、文部科学省としても是非これを全国展開をしながら五日間、子供たちに体験をさせると。そして、こういうような体験活動を通じる中でキャリア教育、職業教育にもつながっていくような、そういう、ある意味ではニート、フリーター対策にもつながるようなことを小学生のうちから体験をこれから更にさせたい、そういう施策を十八年度以降更に強めていきたいというふうに考えております。
- 山谷えり子君
 私は、参議院の自民党政調にキャリアカウンセラー体験学習推進法という議員立法を出しましたが、財務省と厚生労働省と文科省と多岐にわたるのでこれはとても検討できないといって、今たなざらしになっているところでございます。
 アメリカでは、体験学習キャリアカウンセラーが小学校の段階からいて、地元でどんなボランティア組織があるか、どんな体験学習ができるか、紹介状を書いてあげるんですね、一人一人。だから、体験学習が豊かなんでございます。
 今日は、谷垣財務大臣に質問通告してないんですけれども、これニート対策、子供の教育、そういう面でめり張りの付けた、これから予算お付けになっていただきたいんですが、いかがでございましょう。
- 国務大臣(谷垣禎一君)
 突然のお尋ねですが、私も、若い子供たちにいろんな体験を積んでもらうということが今までややもすれば欠けていたし、そういうことを進めていくことは必要じゃないかと思っておりますが、余り深く答弁しますと財務大臣の職責を越えますので、これからよく文科大臣と議論をさせていただきます。
- 山谷えり子君
 これは国の未来をすばらしくするための重点でございますので、是非関係省庁でお話合いをしていただきたいと思います。
 続いて、資料二をお出しくださいませ。カラーコピー、男女が裸になってというイラストがございます。これは参議院予算委員会、三月四日、私が出したものでございます。神奈川県の小学校三年生の授業でございまして、小泉総理はひどいと絶句され、こういうことこそ中教審で議論すべきだというふうにおっしゃられました。また、中山文部科学大臣は、教育御意見箱を作って広く意見を集めたいというふうにおっしゃられました。自民党の方にも、テレビ中継があったものですから大変な声が参りまして、過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチームというのをつくりました。毎週活動をいたしまして、三千五百の過激な性教育とジェンダーフリーの実態が集まってきております。
 例えば、この小学校、イラストのコピーのある小学校からは、父兄が、上の二つ目丸ぽつ、学区内の周辺宅を訪ね、授業の一環なので御協力お願いします、おじさん、おばさんは週何回、どんなふうにしているのと質問に回ったとか。次の次、グループワーク、コンビニでエッチな雑誌を買って、拡大コピーをしてノートに張り発表、この時間に五時間掛けた、信じられない。これ、地元の人たち、保護者が文句言っているわけですよ、とんでもない授業をする。ところが、うちは性教育の先進校ですと言って全くはね付けられちゃう、教育委員会も動かない、こういう実態なんですね。学習指導要領違反、そして子供の発達段階を無視し、親の教育権を無視している。
 次の資料三でございます。これもプロジェクトチームに来た京都、小学校三年の子供を持つお父さんでございます。「いのちのたん生」、かわいいイラストです。そして隣のページ、マーカーしてあります。ある静かな夜のこと、お母さんが、私、赤ちゃんが欲しいなと言うと、お父さんは、そうだね、かわいい赤ちゃんが欲しいなと答えました。お父さんがお母さんをしっかりと抱き合いました。そして、お父さんは、ペケペケペケをお母さんのペケペケペケに入れて精子を上げたのです。隣が裸のイラストになっていますね。これ、小学校三年生ですよ。親の権威はどうなるんですか。親子関係壊れますね。
 このようなものを自民党の党本部に展示いたしました。千人の入場者がありました。中山文部科学大臣はこうしたものをごらんになられて、悪意を感じると言われました。下村文部科学大臣政務官、何か御感想ございますでしょうか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 これは普通の常識の感覚からいって、とても考えられない教育が学校現場で行われているというふうに思います。
 具体的に委員からも以前にも指摘をされておられましたので、文部科学省としてもこの横浜の事例と宇治の事例についてはきちっと調査をし、そして対策をし、現在ではこれは使用されないようになっておりますが、改めて確認をしました。
 横浜の事例については、これ、今御指摘のように、小学校三年生の授業で使っていた教材でございますけれども、神奈川県の教育委員会が改めて昨年、平成十六年の二月にこの小学校の実態調査を行いまして、そして指導計画や教材の見直しを図るように指導し、そして昨年から横浜においては使われなくなったということを聞いております。
 また、この宇治の、もう一つの小学校の方の性教材、やはり三年生で使われているものでありますけれども、これについても京都府の教育委員会に確認をし、これは京都市の教育委員会が、この府からですね、市に対して事実確認を行うように指導し、そしてこの教材は今後一切使用させない、しないと。また、性教育を行う際には学校全体で共通認識を図ると。一部の教師たちが使用していたということで、学校全体でそれについて了解を取っていたわけではなかったと。そして、当然保護者の理解得られてなかったわけでございまして、今後保護者の理解を得ながら性教育を行うということで市の教育委員会が指導したということでございます。
 文部科学省としては、改めて適切な性教育が実施されるように、これから悉皆調査をしながら、様々な機会を通じて国として責任を持ってこの性教育については適切な指導が行われるように各教育委員会を通じながら学校現場に対してフォローアップをしていきたいというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 グロテスクな紙芝居が全国各地から見付かったり、何か組織的な動きがあるんですね。下村政務官は副教材、全国いろいろ集められたとおっしゃいましたけれども、何か感想は。
- 大臣政務官(下村博文君)
 自民党のプロジェクトチームでも大変な全国で協力いただいて膨大な資料を集められ、またそれも拝見をいたしました。
 東京都の養護学校で人形を使った、セックス人形というふうに通称言われているそうですが、そういうものとか、あるいは、今日の資料を含めて、小学校低学年で驚くようないろんな副教材が実際に市の教育委員会の下に出版されたという事例もございまして、こういうものについても分かった段階で、先ほどのような観点から保護者の理解とかそれから学校全体のコンセンサスが得られているとかいうことを前提ですね、これは基本的にすべて使用が今はされないというように文部科学省としても指導しているところでございます。
- 山谷えり子君
 私の、参議院予算委員会で小泉総理が中教審で議論しなければいけないと言われ、そして中教審で議論進んでおるようでございますが、性教育に関してはどのような内容になっておりますでしょうか。
- 大臣政務官(下村博文君)
 お答えいたします。
 中教審の中で健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会というのがございまして、これはこの中教審の初等中等教育分科会の教育課程部会というところで議論されているところでございます。
 これはまだ途中段階でございまして、今後こういう観点から議論をしていくということでございますけれども、性教育については、特に学校における教育についてこれまで体育とか保健体育を始めとする関係教科ということで指導をしてきたわけでありますけれども、今御指摘のように、この性教育について様々な考え方が論じられている状況でありますので、是非、中教審としても、改めてこの性教育の在り方、それから教科における性教育に関する指導内容の体系化、これをきちっと議論をしながら、各学年、各成長過程に合った適切な教育をする必要があるのではないかというような議論がされているというふうに聞いております。
- 山谷えり子君
 性差否定、男女ごちゃ混ぜのジェンダーフリー教育の実例も寄せられております。
 男女のトイレが一緒で女の子がトイレに行くのを嫌がっているとか、男の子にスカートをはかせる授業、男女でおんぶしたりだっこしたり、中学生です、体ほぐし体操というものだそうですが、やっている。また、林間学校で男女同室、同じテントで寝かせる、小学校五年生。福島県で五百九校中百五十六校、仙台市で百二十二校中三十三校、地方議会で問題となりました。この夏も山形市で三十六校中六校が同宿しております。
 ジェンダーフリー教育なんですが、今年夏の日教組の定期大会で、平成十五、六年度の運動総括として、憲法や教育基本法の改悪の動き、性やジェンダーフリー教育への組織的攻撃など、平和が危機的状況にあると総括し、今年、来年度の運動方針として、ジェンダーフリーの理念の定着を図るとうたっております。
 ジェンダーフリーという言葉は細田官房長官も使わないことが望ましいとおっしゃっているわけでございますが、この男女ごちゃ混ぜジェンダーフリー教育、日教組は来年も理念の定着を図るそうでございますが、これに対して何か御感想あれば、下村政務官。
- 大臣政務官(下村博文君)
 お答えいたします。
 今年の七月に開催された日教組の第九十三回定期大会において、今御指摘されたように、ジェンダーフリーの理念の定着を図るという運動方針が決定されたということを聞いております。
 このジェンダーフリーという用語は、今、男女共同参画社会基本法あるいは男女共同参画基本法においては使用されていないわけでございますし、また、現在、一部に男性と女性の区別をなくして画一的に男性と女性の違いを一切排除しよう、そういう意味でこのジェンダーフリーという言葉が使われているという事例がございまして、実際に日教組においてこのような観点から使われているかどうかということは明確には承知していないところでございますけれども、この男女共同参画社会というのはそういう意味でのジェンダーフリーというのを目指しているわけではありませんので、政府としては、性別にかかわりなくその個性と能力が十分に発揮できることができる社会、そういう社会を目指しているということでございまして、日教組がどういう意味でこのジェンダーフリーというのを使われているかどうかというのは理解していないところでありますが、本来の、先ほど申し上げましたような画一的な男性と女性の違いを一切排除するという意味であれば、それは違うのではないかというふうに思っております。
- 山谷えり子君
 差別ではなく性差否定教育というのはやはり見直してほしいと思います。
 次に、少子化問題について伺います。
 さきの衆議院選挙で四十三人の女性議員が当選、また女性の目を大事にする自民党は、女性局で結婚、出産、子育てアンケートをし、七千七百十一名から回答が来ました。
 子供を持つことに対してどう考えますかと聞いたところ、命をいただいたことに感謝、次の世代にこの思いを伝えたいと三六%の方が答えられています。また、子供が生まれることになった場合、一年間の育児休業を取ることと保育園のゼロ歳児保育を利用して働き続けること、どちらを選択しますかという質問に対しては、育児休業を取るが七七%、保育園に預けて働くは一九%でした。自分の手で直接子供を育てたい、子供と一緒にいる時間を十分取りたい、乳幼児期の健全な発達に母親がいることが大事と答えております。
 育児休業、児童手当の充実、就業形態の多様化、時代に合わない行政基準の見直しなど、母親が乳幼児を自ら育てることができる政策が必要だというのが女性たちからの声でございました。
 中小企業の育児休業取得者があると、一人目百万円の助成金制度が創設されると。来年度の、今度の概算要求で二十億円ということでございますが、母親が乳幼児を自ら育てるための政策について、尾辻厚生労働大臣、御所見をお伺いします。
- 国務大臣(尾辻秀久君)
 ただいま育児休業制度についてお尋ねがございました。
 育児休業制度は、働いている方が離職することなく自ら子育てをすることができるものでございまして、希望するすべての労働者が育児休業を取得できることが重要であると考えております。
 このため、昨年末に策定されました子ども・子育て応援プランにおいて、目指すべき社会の姿として、育児休業取得率、男性が一〇%、女性は八〇%を掲げまして育児休業の取得促進等に今取り組んでおるところでございます。
 また、特に中小企業におきましては大企業に比べて育児休業取得率が低いなど、両立支援への取組が遅れておりますので、重点的に支援を行う必要がありますことから、今お触れいただきましたような中小企業に対する子育て支援助成金の創設というものを来年度予算の概算要求に盛り込んでおるところでございます。
 今後とも、子育てしながら安心して仕事を続けられる社会の実現、これは大変重要なことでありますから、目指してまいりたいと存じております。
- 山谷えり子君
 外注化ではなくて、お父さん、お母さん、家族が子供ができるだけ小さいうちは育てられるような支援、バランスの見直しをしていただきたいと思います。
 スウェーデンはゼロ歳児保育しておりません。また、デンマーク、ノルウェーでは保育園は五時まで、オランダでは四時まででございます。東京でゼロ歳児保育、月に五十五万円から六十万円一人の赤ちゃんに掛かっているわけですよね。本当に赤ちゃんの幸せを考えてお金の掛け方のバランスを見直してほしいと思います。
 母乳育児支援、赤ちゃんに優しい病院、ベビーフレンドリーホスピタルというのがWHO、ユニセフの支援のがあるんですけれども、日本ではたった三十四しかないんですね、これが、推奨。
 それで、母乳育児というのは、支えてあげなければ母乳は出るものじゃありません。乳房のマッサージ、乳房の体操、それからいろんな相談。山口県光市では、おっぱい都市宣言というのを決議しまして、母乳育児が約七割。これを国として、全国的に進められたらいかがですか。
- 国務大臣(尾辻秀久君)
 まず、赤ちゃんに優しい病院についてのお話がございました。赤ちゃんに優しい病院の取組というのは、母子、母と子の愛着形成を図る上でも有意義であると考えておりまして、私どもも赤ちゃんに優しい病院の普及の在り方について検討いたしておるところでございます。
 また、そのことで、さらにこの山口県光市で平成七年におっぱい都市宣言を決議をされまして、妊娠届け時から母乳育児に関する説明を行うなどの取組が行われておるとお聞きをいたしております。
 今お話しのように、母乳というのは乳児にとって最適な栄養でありますことから、厚生労働省におきましても、母子保健分野の国民運動計画である健やか親子21におきまして、出産後一か月の母乳育児の割合の増加を目標に掲げるなど、母乳育児の推進に取り組んでいるところでございます。また、各市町村におきましても、母親学級等におきまして、こうした母乳育児の推進について妊産婦の心身の状態を勘案して適切に指導が行われておると承知をいたしておりますけれども、健やか親子21ホームページにおきまして、市町村の先進的な取組を紹介するなど、引き続きそうした普及に努めてまいりたいと考えております。
- 山谷えり子君
 おっぱいというのはすぐ出るものじゃありません。吸って吸ってやっとちょっと出る。赤ちゃんは一生懸命吸うんです。そして、お母さんはそれによって、赤ちゃんによって母性に火をつけられる。女の体には自然が残っております。適切な指導とおっしゃいましたけれども、不足しております。是非、光市の取組を参考にして、もっと重点的な支援をお願いしたいと思います。
 資料四、出していただきたいと思います。
 少子化対策基本法の附帯決議に、出産を望みながら精神的、経済的負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援の充実を図るとあります。また、さきの国会、参議院少子高齢社会調査会で、命を大切にする視点に立ち、出産を望みながら精神的、経済的な負担に悩む妊産婦に対する相談等の支援についても充実を図る必要があると書かれております。
 今百十万人の赤ちゃんが生まれておりますが、中絶が三十五万人、実は三倍あるんじゃないか。つまり、百十万人生まれ、百十万人、同じ数の子供たちが中絶されているのではないかと、これが日本の現状でございます。
 女は安易に中絶したいわけじゃないんです。悩んでいるんです。産めたら産みたいと思っている女が大変に多い。しかし、それに対する相談、応援体制が、欧米にはありますけれども、日本には全くございません。
 民間のボランティアグループ、円ブリオ基金というのが、一口一円を募って胎児の救済、胎児の環境づくりを支援してきて、百五人の赤ちゃんが生まれました。一番下の写真がありますけれども、赤ちゃんができて失業して、住むところもなくなり、妊娠七か月まで病院も行けず、彼と二人、頼れるところもなく、私は生きていくより死んだ方がましだと思っていました、この円ブリオで助けてもらって、勇気を出してすべてが好転、今はかわいい娘を見るたびに円ブリオに電話して本当によかった、感謝、この子を産ませてくれてありがとうございましたとあります。
 附帯決議にも、また、参議院の少子高齢社会調査会の報告書にも書かれている、この悩んでいる妊婦さんへの応援、これはどのように重く受け止めていただけますでしょうか。
- 国務大臣(尾辻秀久君)
 先日、先生と御一緒に、この円ブリオの皆さん方、私の部屋にも来ていただきました。そして、お話も伺いました。多分、ここに今書いておられる方のお一人なんだろうと思いますが、おかげで子供を産めたんですと言って、そのお子さん抱いてきていただきまして、大変感動しながらそうしたお話を伺ったところでございます。したがいまして、今おっしゃるようなこと、これは極めて重要なことであるということは私どもも承知をしておりますし、そのように考えておるところでございます。
 平成十五年度でも、前年度よりは減少いたしておりますけれども、私の手元の数字でも人工妊娠中絶の手術、三十二万件行われたということになっております。やはりこうしたことを今お話しのように是非改めていきまして、私たちのこの子供が産めるようにという努力を更に続けていかなきゃいけないというふうに考えております。
 今、都道府県、政令市、中核市で設置をいたしております二十七か所の女性健康支援センターにおきまして、保健師等による出産等に関する悩み等を含めた女性の健康に関する一般的事項についての相談指導の実施は支援しておるところでございますので、こうした支援を更に充実していかなきゃならないというふうに考えております。
- 山谷えり子君
 是非、相談窓口の更なる設置、また基金等の設立についても御検討いただきたいと思います。
 続いて、男女共同参画担当大臣、細田官房長官にお伺いします。
 七月二十五日、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本的な方向についての答申の中で、「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)の表現等については、引き続き男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととする。」というふうに記して小泉総理大臣に提出されておりますが、この調査、進捗状況、いかがでしょう。
- 国務大臣(細田博之君)
 まず、山谷議員に心から感謝申し上げたいんでございますが、男女共同参画あるいはジェンダーに関連してこの予算委員会で非常に強い御指摘がありましてね、何か小泉総理も含めまして、過剰なる、過激なる性教育が行われたり男女同室宿泊などの問題ある事例がたくさん見られるということについて御指摘をいただきました。
 これに関して、男女共同参画の諸会議におきましては、この問題を非常に重く受け止めまして、その本意でない、本来の趣旨でないような過激なそういった性教育等が行われていることは決して許されるべきことではないんだという共通認識が醸成されていると。そして、あくまでもこの男女共同参画会議あるいはこの基本法の考え方は、現に社会的に存在する男女の性差による、起因する社会的な不利とか、先ほど言われておりましたような出産あるいは就職その他、育児とか、そういったことにおける差をなくすということが本旨であるということは度々確認もされ、そのための努力をしようということになっておりますことをまず御礼とともに申し上げたいと思います。
 御質問の男女共同参画基本計画の改定につきましては、本年七月二十五日に参画会議から内閣総理大臣に対して答申が行われました。答申においては、「社会的・文化的に形成された性別」、括弧してジェンダーと書いてありますが、この表現等については、引き続き男女共同参画基本計画に関する専門調査会において調査を行うこととするとされております。答申を受けまして、現在専門調査会におきまして有識者ヒアリング、「社会的・文化的に形成された性別」の分かりやすい表現等についての議論が行われておりまして、現在検討中でございます。
 今後、専門調査会の検討結果及び関係各方面の意見を十分踏まえつつ、今年度末までに政府として基本計画の改定に取り組んでまいりたいと今考えておりますが、非常に委員の御指摘によって、この誤った考え方での取組をいかに誤解も避け、実態をそれに合わせていくか、社会的問題を取り上げるべきだと、こういう方向になっていると承知しております。
- 山谷えり子君
 職場での差別はなくさなければいけません。また、男女仲良く家庭生活をする、町づくりにも参加する、これは大事でございます。
 細田官房長官が今おっしゃいました次の男女共同参画基本計画、資料五をごらんいただきたいというふうに思います。マーカーがしてありますが、私たち自民党内閣部会、男女共同参画会議、男女共同参画推進協議会、女性に関する特別委員会、そして過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム、この四合同部会で、例えばこれだけでございますけれども、いろいろ問題があるということを議論してまいりました。
 例えば、「社会制度・慣行について個人単位の考え方に改める」、これは一夫多妻とか事実婚を法律婚と同じに認めるのかとか、「税制については、個人のライフスタイルに中立的な仕組みとしていく」、配偶者控除、あってはいけないんじゃないか、こんなことまでこの基本計画に入れちゃっていいのか。
 また、「「社会的・文化的に形成された性別」(ジェンダー)に敏感な視点」、実はこれは、実態としてはジェンダーに敏感な視点もジェンダーフリーもジェンダー平等も全く同じように使われているのが実態でございます。性差別はあってはいけませんが、性別もあってはいけないというこのジェンダーという言葉、これは是非お外しいただきたいんですけれども、いかがでしょう。
- 国務大臣(細田博之君)
 ジェンダーという言葉が日本語に本来ございませんで、かつ、日本語で性差とか様々な、ただの性とかいろいろな言葉を使います場合に、それがぴったりとしておらないことから誤解が生じたり、あるいは誤用等が生じているというこの御指摘があることはもう様々な例を挙げられましたので御存じのとおりでございますが、これは世界的にも使われている言葉でありまして、むしろ英語として使われている国際語でもございます。日本語としてそれが十分に浸透するかどうか、かつ誤用されずにきちっと使われるようになるかどうかという、今後、ほとんどほかで使われない言葉でございますので、本来これについてどう考えるかということは、先ほどの参画会議等においても随分真剣に議論されております。
 ただ、国際的に相当長期間に使われておりますから、できるだけ表に出して分かりにくい言葉を使うということは避けながらも、国際的な感覚、そして男女共同参画の趣旨に合うようにはしていかなきゃならないと、こういうことで今検討が行われていると承知しております。
- 山谷えり子君
 国際的に使われておりますが、定義とか解釈はそれぞれの国に任せるという非常に乱暴で未熟な概念なんですね。これを国の政策の中心に据えるというのは私はまだまだ未熟で乱暴だと思っております。
 そして、特に「施策の基本的方向」というところにこの「(ジェンダー)に敏感な視点」というのが入れられているんですね。この施策に、施策の基本的傾向というの、方向というのは平成三十二年までの十五か年計画、つまり十五か年間の品質保証、保証期間を与えちゃうということなんですよ。国民のコンセンサス、今まだ得られていないと思います。いかがでしょう。
- 国務大臣(細田博之君)
 言葉としてなかなかこなれていないことは私も理解しております。ただ、趣旨において、我が国社会、特に世界的に見て、男女のあらゆる機会均等等、あるいは雇用の面でも育児の面でも極めて我が国女性が他国の女性に比べて不当に様々な差、差を感じていると。あるいは、現に社会的にそういうことが存在しているということを直視しなければならない。そのときに、一体今日、ジェンダーに敏感な視点といっている言葉の解釈として、もうちょっと分かりやすい言葉で、国民全体がそうだなと分かるような言葉でどういうふうに説明したらいいかということは今後とも検討する必要があると思います。
 例えば、今は日本のみが突出して、出産とともに働いている女性の七〇%が辞めると、そして出産、育児が終わったところで再就職しようと思うと、ほとんどこれがパート労働等で前どおりの給与や条件や労働条件でその力を発揮できないというような社会的環境がございまして、これは正していかなきゃならない。また、先ほど言われましたように、男性も、長時間労働を若い人はするために、家庭に帰って育児もするとか、男性も育児の手伝いができるような、あるいは協力、夫婦で協力するというような基礎が非常に諸外国に比べて劣っておることは事実でございますので、私は様々な意味で産業界等とも今代表と会議を持ちまして、ガリレオと言った人がいますけれども、コペルニクス的転回を男女共同参画についてしなければ、日本の今の女性の在り方、そして非婚化、晩婚化、少子化が本当の意味で克服できないと。こういう意味では、私は、山谷議員がいろいろな御提言をしておられることは大変貴重な御意見だと思いますし、方向は正しいと。是非一緒になってこの共同参画問題へ取り組んでいきたいと思っておりますが、この言葉の問題について、より良き考えがあればまたお聞かせをいただきたい。
 そして、実態においては、私どもはその行き過ぎたものの是正は当然しなきゃいけません。そして、本来のあるべき日本の男女共同参画問題を追求していくべき時期に来ていると。諸外国に比べて非常に後れている、もう中国その他の近隣諸国に対してもヨーロッパ等の諸国に対しても非常に実態が後れているということは申し上げたいと思います。
- 山谷えり子君
 私は九百万部の生活情報紙の主婦向けの編集長をしておりました。今、細田長官がおっしゃっていられたことを一生懸命進めてきたんです。女性がもっと元気になるように、社会進出できるように、差別なくすように、それはもう当然のことです。けれども、私は、ジェンダーというこの言葉によって、家族の否定、文化の否定、教育現場の混乱が起きているから、ジェンダー論をちょっと考えた方がいいんではないかということを言っているわけです。
 四自民党の合同部会で男女共同参画審議会基本問題部会の議事録を精査してまいりました。平成十年、基本法、基本計画ができる前の審議会でございます。
 例えばこう書いてあります。ジェンダーという概念を認めるところから、ある意味ではフェミニズムは出発しているわけですね、そこをかぎ付けてしまわれるととかですね、女子トイレと男子トイレを一緒にしなければいけないのですか、それは社会的、文化的に形成されているものなのですよ、ジェンダーとか偉そうなことを絶対言っては駄目ですよ、強引に押し切る、余り理屈を言わないで、これで熟した言葉ですというふうに押し切る、日本がジェンダーというものを書けば画期的なことになって国際社会に貢献するかもとかですね。こういう、これ何ですか、これ審議会ですか。この議事録、自民党の四合同部会でみんなで読み合わせたんですよ。
 そして、野中官房長官は、平成十一年、ジェンダーは非常に理解しにくい、基本法案では社会的、文化的に形成された性別という言葉を直接用いていない、ジェンダーという表現も用いておられないと、おらないと答えておられます。また、平成十四年、福田官房長官は、行き過ぎた解釈をすべきでない、ジェンダーフリーという言葉はくせ者で、理解の仕方、主張する方、使う人、いろいろな場合にその意味が違って取られると答えております。ジェンダーという言葉はお外しいただきたいと思います。
 もう一つですね、プロジェクトチームに寄せられた三千五百の中に大学生からたくさんのノートが届きました。ジェンダー学、女性学が必修科目になっていると。ノートを見ましたら、近代的結婚は、無償で妻が家事、育児を引き受けさせられる、男らしさ、女らしさは男女間の力の格差を生み、差別の元凶となる、男らしさ、女らしさの否定、機会の平等ではなく結果の平等を求めよ、区別は差別だから区別してはいけない。これだからテント一緒に寝かせるわけですよね。そういったようなラジカルフェミニズム理論を教えられている。男は抑圧者、男女を階級闘争のようにとらえているわけで、学問の自由はあります。私も、一九七〇年代、アメリカでジェンダー学を傍聴しました。だから分かります。
 しかし、必修科目にするのはどうしてでしょうと大学生自身から上がってきていますが、文部省、これ、必修科目、大学でどのぐらい進んでいるんですか。
- 政府参考人(石川明君)
 お答え申し上げます。
 女性学、ジェンダー学に関する科目を必修としている大学、短期大学は、平成十六年度の調査におきまして百四十四校という状況でございまして、全大学、短期大学の約一二%に相当しているところでございます。
- 山谷えり子君
 今のは必修科目で、選択必修というものも合わせると、つまり二科目の中から一個選びなさいと、選択も合わせると三割ぐらいじゃないですか。どうでしょう。
- 政府参考人(石川明君)
 選択必修科目を合わせますと三一・五%、おっしゃるとおり三割というような状況でございます。
- 山谷えり子君
 学問の自由はありますけれども、例えばある芸術大学の学生さんから、自分はこのジェンダー学とは考えが合わないというレポートを出したところ、単位がもらえなかったと。必修科目の単位がもらえないんです。これは思想信条の自由を侵しているんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
- 政府参考人(石川明君)
 各大学でどのような授業科目を開設するか、あるいは授業科目の内容ですとか、そういったことは、先生もお触れになりました学問の自由という観点から基づきまして、各大学で自主的に判断されるべきものでございます。
 私、今先生がおっしゃったような事例の具体的なケース、どういう設問でどういったその試験内容、そしてどういった解答であったのかということを詳しく存じませんので、今その具体的なケースについての是非をお答えするのはちょっと困難でございますけれども、それらを含めまして大学において適切にそれぞれ判断がなされているものと、このように考えております。
- 山谷えり子君
 真の男女共同参画社会をつくるために私も働きますので、政府としてもしっかりお願いしたいと思います。ありがとうございました。

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