2005年度活動報告

参議院 外交防衛委員会
平成17年10月20日(木曜日)

- 委員長(林芳正君)
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に立教大学大学院教授伊勢崎賢治君【国連シエラレオネ派遣団(UNAMSIL)国連事務総長副特別代表上級顧問(行政復興部門)兼DDR(武装解除・動員解除・社会再統合)統括部長などを歴任。平成15年4月から16年3月まで在アフガニスタン日本大使館DDR班長】及び防衛大学校国際関係学科助教授宮坂直史君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
- 山谷えり子君
 自由民主党、山谷えり子でございます。
 両先生、ありがとうございました。
 私、一昨年アフガンに参りまして、カルザイ大統領とお会いしました。また、DDRプログラム各国の皆様ともお会いいたしました。ドイツの方でしたか、もしそのプログラムで亡くなられるようなことがあったらドイツでは大騒ぎになりますかと聞きましたら、いや、危険性と貢献を十分に国民に説明しているから大丈夫だというふうに言い切られたのが大変印象的でございました。
 伊勢崎先生は、軍事オペレーション、DDRプログラムの正しい理解が日本にあったのか疑問だと、また安藤陸佐が非武装で参加されたということをおっしゃられました。それはどういう意味なのか。
 私、現地に参りまして、平和貢献プログラムでさえ武器使用基準が日本の場合国際スタンダードにないこと、また自爆テロに対抗できる法的基盤がないままに送り出しているという、非常にある意味で残酷な状況で日本は送り出してしまっていたんだということを思いました。その辺についてちょっと御解説をいただきたいと思います。
 また、宮坂先生には、テロ対策について、恒久法、課題、おっしゃいましたが、アメリカは九・一一の後にすぐに愛国法が制定されました。非常に短期間で、そしてまた随分大きな法律でございました。あれを私、見ましたときに、日本の場合は、テロの定義もできない、憲法九条も何か非常におかしな解釈がまかり通っている部分もある、また国家機密法もない、情報収集体制も不十分、このような中でそのような有効なテロ対策基本法というようなのができるのだろうかというのが率直な疑問だったんですけれども、テロ対策基本法、どのぐらいの枠組みで日本で今現実できるのかをお教えいただければと思います。
- 参考人(伊勢崎賢治君)
 ありがとうございます。
 まず、軍事監視の話なんですけれども、これは普通、通常、国連がやる場合でも、国連PKFはもちろん中立な抑止力として、武力の中立な抑止力として現場を確保するために配備されるんですけれども、例えば武装解除であるとか敵対勢力の信頼醸成を行うと、そういう作業というのは非武装の中立な監視団がやるというのが一つの通例になっております。
 これは非武装であるからこそできる仕事で、もちろんそういう話合いができるための信頼醸成、いわゆる武力的な信頼醸成をつくるのは中立な抑止力としての武力なんですけれども、実際的な話合いを取り持つのは、これは非武装の人間がやると。通常の国連のオペレーションですと、軍事、これは各国からの将官レベルの軍人、これ非武装ですね、プラス私が、元国連なんですけれども、私のような政務官、民間の人間が、民間というかいわゆる制服組ではない人間がチームとなってこの信頼醸成を行うということなんですね。
 アフガンに関してはこの中立な武力というのが存在しなかったんですね。そもそも武装解除をやるというのがかなり綱渡り的なベンチャー、アドベンチャーだったんですね。なかったというのは、もちろんISAFと呼ばれるカブールだけの治安部隊はありましたけれども、外に行きますとなかったわけであります。強いてあると言えば、いわゆる掃討作戦をやっている、戦争をやっているアメリカ連合軍がいるだけで、あれは戦争目的でやっていますから、我々の和平に対する中立な武力を提供するというマンデートはないわけであります、法的にはですね。でも、一応外国の武力としてあるわけでありますね。
 その極めてないない尽くしの環境の中で今回のアフガンのDDRが始まったということを一つ強調させていただきたいと思います。これ非常に、本当にタイトロープ的なゲームでございました。ありがとうございます。
- 参考人(宮坂直史君)
 ありがとうございます。
 テロ対策基本法なんですが、できると思いますし、思います、日本的な、日本版的な。それはやる気の問題でございまして、いろいろな困難があるというのは承知でございまして、特に、どの省庁がかかわっていくのか、だれが法案を書いていくのかということでとても、その駆け引きみたいのがあるということは聞いていますが。
 私、考えるに、日本なりの国際テロ対策基本法というのは、まずテロ対策の原則というのをはっきり明示すると、法案の中に。それがはっきりしていないのが日本でございまして、例えば警察庁や外務省には公言している、例えば警察にはテロの未然防止三原則だとか、外務省にも国際テロと闘うパンフレットの中に、テロ対策の三原則だったか四原則だったか、書かれているんですが、それを一つの省庁の問題ではなくて国の国家全体の問題として日本は、例えば簡単な原則でいいと思うんですが、テロを許さないとか入国させないとか、もうだれでも分かるような、小学生でも分かるような、非核三原則みたいなものですね、そういうような原則を作って法律に盛り込むと。
 そしてさらに、当然その法案というのはテロ対策の目的、目標というのを書かなきゃいけないし、またテロの定義というのも難しそうで実はそんなに難しくないものであって、幾らでも、私が書きたいぐらいでございますが、そういうテロの定義を書く。テロ組織とは何なのかということを書いて、日本にとって過去に脅威を与えたような、人質事件を起こしたようなテロ組織、実は一杯あるんですが、あるいは日本人を死傷させた、そういう組織を指定する、法律で。指定をして、そのメンバーの入国を規制する、禁止すると。日本に入っていれば、犯罪を犯してなくても出国、強制退去させてしまうと、そういうような出入国管理に関係するような条項を含むと。
 その他いろいろできると思いまして、是非、こういうものが一本あると、ただ単にお題目だけで、日本は、我が国は主体的、積極的にテロと闘うんだというのは私には何かお題目のように聞こえてならなくて、もっと世界に向かって、G8の一国でありますから世界に、今や日本はテロ対策のキャパシティービルディングといってほかの国を支援しているぐらいの国ですから、そういう国がテロの定義もないというのはおかしな話であって、是非、作れるし、やる気があれば作れるし、やらなければいけないのではないかなと思っております。ありがとうございます。

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