2011年12月16日
拉致問題の棚上げと国交正常化交渉先行に反対する決議

拉致問題の棚上げと国交正常化交渉先行に反対する決議

平成23年12月16日
自由民主党政務調査会
拉致問題対策特別委員会

わが党政権下より、わが国の北朝鮮に対する基本的な方針は一貫している。すなわち、「拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図る」というものである。

これまで政府は、すべての拉致被害者の一刻も早い生還を実現すべく、「対話と圧力」という一貫した考えのもとに行動をとってきた。

拉致問題については、平成20年8月に日朝で合意した調査のやり直しに関し、わが国政府が北朝鮮側に早期の調査開始を繰り返し要求しているにも関わらず、未だ調査を開始していない。また、核・ミサイル問題についても、ミサイル発射、核実験を強行した後、日米韓を始めとする関係国の働きかけにも関わらず、六者会合にも応じていない。

我々は、このような現状を憂慮するとともに、北朝鮮の具体的行動を引き出すためには、わが国が国際世論をリードし、北朝鮮に対して引き続き圧力をかけていく必要がある。

このような中、超党派の議連「日朝国交正常化推進議員連盟」のメンバーが北朝鮮を訪問して、拉致問題解決前に国交正常化を先行させる議員外交を行うという動きが出てきている。

現在、わが国は拉致問題などを理由として公務員の訪朝禁止、国民の訪朝自粛という制裁をかけている。国民の代表たる国会議員が国交正常化交渉を先行させる行動をとるならば、拉致被害者救出を国家の最優先課題としている。わが国の立場が変わったかのごとき誤ったメッセージを伝えることになりかねない。

北朝鮮は、日本及び国際社会の経済制裁を早期に終了させる為、拉致問題を事実上棚上げにして国交正常化を優先する交渉を望んでいる。それに対してわが国は、あくまでも、国交正常化の前に、拉致被害者全員の送還と真相究明、及び拉致実行犯の引渡しを求めるという原則的立場を崩してはならない。

我々は、「日朝国交正常化推進議員連盟」の訪朝に断固反対するとともに、わが国の拉致問題に対するこれまでの対応方針を堅持していくことを求めるものである。
以上決議する。