生活者感覚で科学技術立国の見直しを |
大阪新聞 平成12年9月27日掲載記事 |
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「四・すぎ」改善 |
「わが国の国力強化のためにも、新しい生活感覚で科学技術基本計画を練り直してしてほしい」。先の総選挙で初当選した民主党教育科学技術ネクスト大臣(衆議院比例・東海ブロック)の山谷(やまたに)えり子議員(50)が、政府が見直し検討中の科学技術基本計画のあり方について「生活者感覚の導入」を強く訴えている。総選挙前までは、発行部数九百万部の世界最大の主婦向け生活情報紙「サンケイリビング新聞」の編集長を務めていた山谷さんらしく、「お役員さんが、机上のお役人感覚で基本計画を見直すのはご法度です」とクギをさすのを忘れない。 (政治ジャーナリスト・宮田修) |
ニッポン人の“四・すぎ”を改善することがポイントになると思う。つまり、子供たちの“勉強しすぎ”、若者の“遊びすぎ”、中年の“働きすぎ”、高齢者の“ヒマすぎ”。多くの人が、これら“四・すぎ”でヘトヘトになって、うつむいているのではないでしょうか」と山谷さんは独自の分析をする。 |
「本当に子供たちに学ぶ楽しさがあるかどうか。若者に自分の人生を切り開いていく勇気があるのかどうか。中高年の人たちに、更なるチャレンジ精神ができるような社会環境があるかどうか。ニッポンはいろんな設備は世界でも良い方だが、各世代とも、“豊かな心”を持っているのか…」と問題提起する。 |
先ごろの民主党新執行部の発足に伴い、鳩山由紀夫代表らの特別指名で、一年生議員ながらネクストキャビネット(影の内閣)の「教育科学技術大臣」に就任した。鳩山代表は「生活者感覚、何にでも興味を持つジャーナリズム精神の旺盛な山谷さんにネクストキャビネットに入閣してもらい、日常的で具体的なビジュアル・プログラムによる法律づくりを進めてほしい」。と要請。山谷さんも「ふだん政治面を読んでいない人たちとも積極的に交流して、少しでも生活実感のある法律づくりにチャレンジしたい」とやる気満々だ。 |
ところで、山谷さんはこの夏、開かれた臨時国会の衆院科学技術委員会で大島理森文相を相手に、一足早く、わが国の「科学技術立国」のあり方について、丁々発止の活発なやりとりを展開したばかり。
この中で、山谷さんは、政府が策定済みの科学技術基本計画の見直しに関して、1.十七兆という予算を網羅したにもかかわらず、欧米との格差が拡大している。2.基礎研究だけでなく、従来は日本が得意だった応用の部分でも水準が低下している…と指摘したうえで、次のように問題提起した。 |
「私は長い間、生活情報紙を作っていたが、科学技術について国民にわかるような説明をして欲しい。例えば、物質素材だったら、どこの大学のドクターが発明して、どう改良して、市民生活の中で採用され、それによってどういう市場が成立したんだとか、世界にどの程度輸出されているとか、目に見えるような形の公表の仕方をしないと、国民自身が日本は技術立国だというような夢が描けないし、若い人も志がもてない」 |
「何か、評価の仕方が身内のプロだけでよいのだろうか。公表とか、あるいは何をどう評価するかという場合、やはり“庶民感覚”というか、国民に近い感覚のやり方を提案していかないと、(国民の心が)どんどん離れていってしまうのではないか」 などと大島文相相手に鋭く問題提起した。これに対して文相は「たいへんおもしろい視点だ。山谷提案を研究していきたい」と固く約束した。 |
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