平成12年度活動報告

「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」について(談話)
民主党ネクスト・キャビネット
民主党 教育・科学技術ネクスト大臣  山谷えり子
 「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」が成立しました。
 
 民主党は、クローン人間などの作成は絶対に禁止しなければならず、生命科学の進歩の速さを考えれば早急に法整備を行うべきであるが、一方でクローン技術そのものは医療や科学技術の発展に一定の有用性があるので、科学的合理性や動物実験では代えられない必要性があるものに限って研究を認めるようにするべきであると主張してきました。一方政府のクローン規制法案は、規制内容の大半が行政の指針に任されている、一体として考えるべきヒト胚の作成・利用の規制に踏み込んでいないなど問題のある内容でした。
会議風景 政府が提出したヒトクローン規制法案に対し、民主党は「人の生命の萌芽たるヒト胚はみだりに作成・利用してはならないこと、研究に必要とされるヒト胚の取り扱いに当たっては人の尊厳を冒すことがないよう特に誠実かつ慎重に行うべきこと、ヒトの属性を有する胚の作成・利用は、その胚からの個体の生成につながるものであってはならないこと」など人の尊厳の保持並びに人の生命及び身体の安全の確保を図ることを目的とした「ヒト胚等の作成及び利用の規制に関する法律案」を民主党案として提出し、政府案ともども審議を重ねてきました。
 しかし、クローン人間の作成禁止は急がなければならないところ、与野党の対立により禁止を遅らせることは避けなければならないことから、政府与党に対し法案に民主党の主張を取り入れるよう修正協議を要求。その結果、“ヒト胚が生命の萌芽であるとの前提で、ヒト胚の取扱いを含めた見直しを3年以内に行う”旨の修正が整ったことから、数歩前進と評価してこの修正案に賛成をしました。また、行政指針に盛り込むべき内容として、特に研究素材となるヒト胚や精子卵子の提供ルールや女性の心身の負担への十分な配慮などを示した付帯決議を付しました。
 民主党は生命倫理と科学技術の調和を考え、ES細胞などヒト胚を利用する研究の自由は医学上の可能性を大切に考えつつも、単に人クローンのみを規制するのではなく生殖補助医療の分野に一歩踏みこんだ生命倫理の視点からの包括的な規制を考えていかなければならないと考えています。
 我が国ではこれまで、この分野における広い議論がなされておらず、世論が十分に形成されているとは言い難い状況でありますが、生命科学、発生科学に関する技術のスピードを考えれば私達が、生命科学技術のヒトへの適用についてどこまで容認するか、研究をどう規制して、そしてどう進めていくか、声をあげていかなければならないと考えます。法案が可決されたこれからこそ、責任ある現場の人々は情報を出し、説明し、広く国民の意見を聞いていかねばなりません。政府には情報公開と生命倫理の視点からの付帯決議を尊重した指針の早急な策定を求めるとともに、生命倫理の視点からの包括的規制が1日も早く行われるよう、広く国民の意見を聞きながら早急に検討を進めるように求めます。
(民主党ホームページ掲載)

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