解答乱麻 自己決定から子供救え |
平成15年2月24日 産経新聞掲載記事 |
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出会い系サイト関連事件がこの三年で十六倍と急増中で、ようやく規制法案が提出されようとしている。だが、ランドセルを背負った子までが携帯電話片手に友人同士で情報交換し、使い方を広めている時代の実態を多くの大人たちは知らない。 |
「小学六年です。二万円で」というメッセージを見て十二歳の子供に三万円を渡して児童買春処罰法違反に問われた男性がいたが、サイトを見ていくと、十四歳、十五歳、十六歳という年齢の児童が“処女買いませんか”“生脱ぎパンティー一万円”“日曜日に三で会って”“ゴムつき四万円”と具体的に売り込み文を書き込んでいる。 |
平成十三年調査では女子高校生の22%が出会い系サイトを利用し、そのうち43%が相手と会っている。男女中高校生を合わせると、約三十四万人の子供たちが実際に異性と会っているという計算になる。そんな中で暴力をふるわれ、心身に傷を受ける被害もある。十九歳女子の十三人に一人が性感染症推定りかん罹患者という厚生労働省調査結果などを大人たちは深刻に受け止める必要があろう。 |
先月の警察庁発表調査では、中高生の67.7%が「同年代の女子が見知らぬ人とセックスすること」を容認し、「セックスで小遣いをもらうこと」を44.8%が本人の自由と答えている。教育現場では高校の先生用指導資料に「愛がなければ性交してはいけないという考えを押しつけてはいけない」とフリーセックスの勧めを記し、自己決定能力が十分でない小中学生にまで“性的自己決定権”を教えているが、先生方はこの調査結果をどう受け止めるのか。 |
先ごろ発表された「出会い系サイト」法規制アンケートでは、約八割の方が規制に賛成し、さらに七割が性的交際を求めた十八歳未満の未成年者に罰則規定を設けることにも賛成している。子供を罰するべきではないという意見もあろうが、むしろ、中高生が「子供は大人が思っているほど子供ではない」と言い、援助交際体験者からは「心に傷が残っています」「その時はラッキーと思っても必ず後悔する時がくる」と、子供を守るための罰の必要性を訴える声が高まっている。子供には法律で規範を示して犯罪を防止し、もし失敗を犯したなら教育的配慮ある指導により、生き直すチャンスが与えられなければならない。それこそが大人の愛と責任ではないだろうか。 |
私は昨年の国会でパソコン業界、携帯電話会社、総務省、経済産業省、文部科学省が現実を知らず、対策が手ぬるいと指摘した。福田康夫官房長官は、社会風潮についての議論を重要な問題として取り上げるべきだと答弁した。ようやく業界も自主規制の方針を出しつつあるが「出会い系サイト」はもうかり、三千五百ほどもある。チェックは容易ではなかろう。 |
学校現場では警察が説明に行こうとすると、“寝た子を起こさないで”と拒否するケースも多いと聞くが、被害防止と子供のすこやかな成長のため、法規制とともに家庭、学校、地域社会、事業者が一体となって対策に取り組み“あなたたちは愛され、守られている”というメッセージを届けなければ、荒廃はますます進んでいくだろう。 |
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