平成15年度活動報告

衆議院厚生労働委員会 山谷えり子質疑
平成15年2月25日
 
平成十五年二月二十五日(火曜日)  午後零時十一分開議
厚生労働大臣 坂口  力君
厚生労働副大臣 鴨下 一郎君
厚生労働副大臣 木村 義雄君
厚生労働大臣政務官 渡辺 具能君
厚生労働大臣政務官 森田 次夫君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 篠崎 英夫君
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 太田 俊明君
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 上田  茂君
厚生労働委員会専門員 宮武 太郎君

-坂井委員長
 これより会議を開きます。
-宮腰委員長代理
 次に、山谷えり子君。
-山谷委員
 保守新党、山谷えり子でございます。
 大臣は、所信表明の中で、雇用問題への取り組みをおっしゃいました。今、雇用の創出は何より大きな問題でございます。昨日、二月二十四日、予算委員会の席で大臣は、失業対策、改善策を問われまして、積極的にやっていきたい、例えば地方自治体、商工会議所等を取り込んでいくというふうに言われたわけでございますけれども、ぜひ観光に目を向けていただきたいというふうに考えます。
 政府は、観光立国という形で力を注いでいこうということでございます。また、保守新党も観光立国推進本部というのを設置いたしました。
写真:山谷えり子質疑 日本人の年間海外旅行者約千六百万人、我が国を訪れる外国人はというと約五百万人でございます。ブラジルの次の三十五位で、G7最下位、韓国よりも少なくて、アジアで九位という順位でございます。

 政府の方は、二〇一〇年までにその二倍、一千万人ぐらい日本に訪れてほしいと、ビジット・ジャパン計画をつくっておりますけれども、観光産業は、国内需要が二十数兆円、経済効果は五十兆円に及んでいるという二十一世紀の基幹産業であるわけでございまして、先進国では十人に一人が何らかの形で観光産業に職場を得ている。日本は、観光関連産業を含めると現在三百九十万人働いております。ちなみに、アメリカでは、関連産業を含めますと千八百万人働いている。
 日本の場合、観光立国という形で政策を進めていけば、新規雇用二百万人が見込めるわけでございます。現在、失業者三百五十万人のうち七五%の二百五十万人が高卒以下。観光産業ですと、老若男女、さまざまな方たちがさまざまな形で働けるようになる。離職者の再就職の受け皿にも非常に力を持つものでありますし、また、観光というのは、中国の易経では「国の光を観る」と。その地域で生活する人々自身が最高の観光資源ということで、地域社会の再生、また日本再生の大変な切り札になるというふうにも考えておりますが、坂口厚生労働大臣、観光立国政策あるいはこの形の中での雇用面での取り組み策への何かお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
-坂口国務大臣
 お話しいただきましたように、観光問題というのは、日本にとりまして大変大きい問題だというふうに私は思っております。
 というのは、今までいわゆる二次産業が中心でございましたけれども、この二次産業のところが非常に今厳しい状況になってきているわけでございますから、その中で多くの皆さんが三次産業にポジションを移していただかなければなりません。そういたしますと、その中でやはり観光というのは非常に大きなウエートを占めてくるというふうに思っております。
 問題は、なぜ日本に多くの人が来てくれないかということなんだろうというふうに思います。
 これは経済白書の中に書いてあった数字でございますから間違いはないというふうに思いますが、日本の人が外国へ行って使いますお金は一人二十万、外国の人が日本に来て使ってくれるお金は一人八万円と書いてございましたが、そういうふうに、人数も少ないし、使います金も少ないというのが現状でございます。
 観光といえども、労働生産性を上げて、できるだけよりよい観光をより安い値段で提供するということがやはり日本にとって大事なことだというふうに思うわけでございますが、そうしたことも考えながら、この観光の問題、取り上げていかなければいけないんだろうというふうに思っております。
 各地域がそれぞれ知恵を絞っていただいて、そして、ぜひそこには行きたいというふうに皆さんが思っていただくような観光産業というものを確立していかなければならないというふうに考えておりますし、これは厚生労働省だけではいきませんので、他の省庁とも連携を密にいたしまして、そして、ここが積極的に進んでいきますように努力したいと思っております。
-山谷委員
 地方自治体、商工会議所等々、さまざまなほかの業界に、何が困っているか、ネックになっているかというようなことを聞いて、規制緩和あるいは特区プランの中に入れられることもあるかもしれません、そのような具体的な取り組みはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
-坂口国務大臣
 観光だけに関して言えば、なかなかまだそこまで進んでいないというのが現状でございますけれども、写真:坂口国務大臣しかし、これはそれぞれの地域に根差した取り組みをやはりしていかなければいけないと思います。

 予算委員会でもお話をさせていただきましたとおり、これは、地方自治体、それから商工会議所、あるいはまた労働組合、あるいはまた経営家の皆さん方、そうしたトータルで、それぞれの地域で何があるかということを考えていただく以外に方法がないわけでございますので、いわゆる地域のネットワークというものをつくるということがまず大事。厚生労働省が中央から流す雇用政策だけでは、これはもう行き詰まってしまうというふうに思っておりまして、地域ごとのネットワークを確立していく、そのことが今最も重要なことだというふうに思っている次第でございます。そうした考え方に基づきましてやりたいと思います。
-山谷委員
 先進国で本当に観光国と言われているところは、ネットワーク化のために政府がそれなりに支援策をつくっているわけでございまして、ぜひそのような具体的なフレームワークをまずつくって、ネットワーク化がスピードアップしていくようにお計らいいただきたいというふうに思います。
 次に、先ほど大臣は、さまざまな省庁との連携というふうにおっしゃいましたけれども、例えば人材育成が大事なわけですけれども、日本の場合は、観光大学というのは、立教は観光学部がございますけれども、観光大学といったものが、本格的なものはないわけでございまして、本当に、アメリカなんかだと、ミシガン、フロリダ、コーネルなど、さまざまな観光大学があって、もう何十万人という人材育成ができていて、ミドルマネジメントの幅が広いわけでございますし、その辺の人材育成の面も、ぜひ何か積極策がありましたら御意見をお伺いしたいと思います。
-坂口国務大臣
 なかなかそこまで頭が回っておりませんで、大変大事な御指摘でございますから、文部科学省と早速連携をとりまして、そうしたことの方向性も一遍検討するようにしたいと思います。
-山谷委員
 本当に日本は、サービス産業が七割を占めております。だれかの休みがだれかの雇用を保障するというような面もございます。
 二〇〇一年、日本企業の有休取得率は四八・四%、これはだんだん下がってきているんですね。それは、リストラとかサービス残業等々ございまして、大変厳しい社会情勢ということもあって、有給休暇取得なんというのは本当に遠い世界の話になってしまったというような労働者もいるというふうに思います。
 しかしながら、有休取得率を上げて、旅をしてもらう、心と体の健康を取り戻して地域社会、家族の再生につなげていく、こういう日本のあるべき姿の中で、働き方、ゆとりのあり方、一つの考え方のもとに政策を進めていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、有休取得率のアップ策として何かよいアイデアあるいはリーダーシップのとり方、お考えでございますでしょうか。
-鴨下副大臣
 ただいまお話がありましたように、有休の取得率は、十三年で四八・四%ということで、決してよろしい成績ではないのかもわかりません。そういう意味で、長期休暇をとるということは、労働時間の短縮、それから勤労者のリフレッシュやゆとりある生活の実現ということで、大変意義深いことでありますので、一つは、我が省としては、地域の中にそういうムードをつくっていくという意味でのシンポジウムだとか、それから長期休暇制度の導入マニュアルをつくってもらう、こういうようなことの推進、それから、長期休暇の普及促進のために、例えば先進的にやってくださっているような企業に対しての助成だとか、それから中小企業団体が行う取り組みへの助成、こういうようなことで、できるだけ多くの方々が長期休暇、さらに年次有給休暇をとりやすいような雰囲気をつくっていこう、こういうようなことを推進しているところであります。
-山谷委員
 鴨下副大臣は医師でもいらっしゃいますし、とりわけストレスの専門家でもいらっしゃいますので、ぜひその辺の取り組みに期待したいというふうに思います。
 続きまして、先日、連合が全国一斉相談ダイヤルを行いましたけれども、不払い残業、賃金未払い、退職強要、すさまじい現実、悲鳴の声が上がっております。タイムカードを撤去あるいはタイムカードを押させてから残業させるなどという例もございますし、非常に深刻な状況になっております。
 また、去る二月三日に都内の特別養護老人ホームの理事長がサービス残業による労働基準法違反で逮捕されております。サービス残業で経営者が逮捕されるのは極めて異例のことだというふうに思いますが、働き方に応じた適正な労働条件確保という意味で、こうしたサービス残業に対してきちんとした取り組みをしていかねばならないわけでございますが、厚労省では、サービス残業の実態をどのように把握、認識なさって、そしてまた、その解消に向けてどう取り組んでいこうというふうにお考えでございましょうか。
-坂口国務大臣
 大変残念なことでございますが、現在の経済情勢も影響してというふうに思いますけれども、多くの方々からサービス残業に対する御指摘があることは事実でございます。

 平成十三年の四月から平成十四年の九月までの一年六カ月の間に監督指導をいたしました状況を見ましても、写真:委員会風景未払いになっています割り増し賃金につきまして、是正指導の結果、百万円以上を支払いました企業数は六百十三企業、当該割り増し賃金を受け取った労働者数は七万一千三百二十二名、こういうふうになっておりまして、割り増し賃金の合計額は約八十一億円に上っております。これは指導したところだけの話でございますし、御指摘をいただいたところにこれは限定されるわけでございますが、まだまだこのほかにそうしたところがあるんだろうということを危惧いたしております。

 いずれにいたしましても、サービス残業という形で、多くの皆さん方がせっかく労働をされますのにそれに対応できていないということは、これは明らかに法律違反でございますので、取り締まりというようなことよりも、まずそういうことがやはりあってはならないということの趣旨徹底というものが大事かというふうに思っている次第でございます。
-山谷委員
 労働基準法三十七条違反であるということを本当に啓蒙活動で徹底化していただきまして、世論の喚起ということを重点的に考えていただきたいと思います。
 連合の方では、労働基準監督署のあり方、名前を言いなさいとか、あるいは名前を言ったためにやめさせられた人もいるので怖いとか、電話相談をしても冷たかったとか、さまざまな現場での声がありますので、そうした現場の声を含めながら、厚生労働大臣にはリーダーシップをとっていただきたいというふうに思います。このような啓蒙活動をこれからどのようになさっていこうとお考えでございますか。
-坂口国務大臣
 いろいろの御指摘があって、厚生労働省の出先のところにも御相談をいただくケースが非常にふえていることは事実でございます。それは、必ずそれに対応させていただくようにいたしております。非常に悪質と思われるところにつきましては立ち入りをいたしまして、そして徹底的な調査をやらせていただいている。
 中には、これは厚生労働省だけではなくて、検察ともタイアップをして調べをさせていただいているというところも最近ございます。やはりそうしたことも含めながらこれは当たっていかないと、ただ単に指導するということだけではなくならない側面のあることも事実でございます。厳しくやる一方、また平素から多くの経営者の皆さん方に、あるべき姿ということもよく考えていただくようにしていかないといけない、そんなふうに思っております。
-山谷委員
 ぜひ強い取り組みをお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

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