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解答乱麻「家族の復権」に幸あれ
平成15年12月22日
 
 「クリスマスの夜、私の通っていた教会では子供たちが歌を歌って街を回ったわ。病気の人、一人暮らしのお年寄り・・・そんな家の前で一曲、歌のプレゼントしながら寒い街を歩くの」友人がクリスマスの思い出を語り、少し残念そうに「でも今は中止。押しつけがましくお節介だと言われるそう」と、付け加えた。
 日本の街や家庭のクリスマス飾りは年々豪華になってきている。サンタやツリーが一般的で住宅街もイルミネーションが美しい。もっとも、欧米に見られるマリアとヨセフが飼い葉桶の中のイエスの誕生を喜び祈る姿は、ほとんど見られない。
家族写真 国際化が進む一方で、クリスマスとは貧しさの中で幼子が誕生し、家族の聖なる献身に包まれて育ち、恵まれぬ人々に愛を与える生き方を行っていく始まりの日、という意味を知る若者は、むしろ以前より少なくなっているように思う。

 「クリスマス、彼に何を買ってもらう?」「特別な日だからやっぱブランドおねだりよ」という電車の中での女子高校生たちの会話を小耳にはさみながら、わが少女時代は世のお父さんたちがクリスチャンでなくともケーキ片手に家路を急ぐそれなりに“つつましやかな家族祝祭夜”だったのにと苦笑した。
 クリスマスには、にわかクリスチャンになって陽気に騒ぎ、大みそかには仏教徒となって除夜の鐘を聞き、新年には神社にいそいそ初詣でという日本人らしいおおらかな善男善女ぶりが私は嫌いではない。けれども、宗教的情操心が年々欠けていく日本にあって、それぞれの宗教的行為の意味を解説し、普遍的な人間の生き方に思いをはせるよすがを与えるのも、今どきの大人の親切というものではないかと、思えるのである。
 今年は児童虐待防止法が制定されて三年だが、毎月平均三人以上の幼い命が奪われ、心痛むケースが増えている。イギリスでは同棲家庭の子供は、そうでない家庭の七十三倍致命的虐待にあいやすいという調査もあるが、日本でも内縁関係など複雑な家庭での犠牲が増えている。
 来年の通常国会に向けて児童虐待防止法改正の準備は進み、相談所の機能強化や司法の積極的関与は待たれるところである。
 しかし、そうした技術的改正にも増して大切なのはクリントン元大統領、ブッシュ大統領が米国で「家族の再興」を重要政策としてあげたように、日本でも最重要課題を家族の復権とすることなのである。家族こそ社会の基礎単位であり、人には家族をマユのようにして育つことで人らしく強められ、地域社会や国が豊かになっていく。
 英ブレア首相のマニフェストの奥には家族の絆と過去から未来へのつながりを神聖なものとする価値観が流れ、その新鮮さが社会と教育改革の根本となっていることを日本の多くの政治家たちは見逃している。
 いやいや嘆いても仕方ない。人に、家族に、小さき者に、淋しき者に光あれと街のイルミネーションが輝いているのだから、それを吸い込み笑顔光度をアップさせたい。大人の笑顔は子供たちへの一番のプレゼント、教育の一丁目一番地なのだから。

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