メッセージ(バックナンバー)

 日露友好議員連盟代表団として、ロシアを9/20-26訪ねました。来年の早い時期にプーチン大統領が訪日されるスケジュールで、その環境整備のための意見交換、視察、調査が目的でした。
 9/21は日本に関心の高い国会議員たち、そしてアレクセーエフ外務次官らと北方領土問題、テロ問題、パイプライン問題、原子力分野における協力について話しました。
 9/22はリハチョフ国会議員(法学博士、元国会副議長、EU代表)に私は3点申しました。

1) 平和条約締結のために北方領土の返還・解決が必要であること。そのためにもロシア側は国内世論への理解を得るための働きかけをしてほしい。例えば、日露行動計画に基づいて、日本がロシアに協力、支援をしている経済プログラムの実例などをロシア国民に伝える努力をもっとしてほしいこと。
2) 北朝鮮による日本人拉致問題の現状とそれを解決するため、六者協議の枠組みを通じ、ロシアの協力を得たいこと。
3) 日本の国連安保理常任理事国入りに対する支持を頂きたいこと。

 以上3点につき、リハチョフ議員は3点の問題については承知している。問題解決に向けてロシア国会と外務省に働きかける。日本とのやりとりの時の議題にあげるなど協力していきたいという答えがありました。
 国会やクレムリンの中での会合でしたが、プーチン大統領が執務する建物の前に世界一の大砲、砲台、鐘が置かれていることが印象的でした。国は力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系です。砲台を使わずに平和の鐘を鳴らすためのやりとりが外交努力政治ではないでしょうか。
 今はクレムリンの一部は観光客に解放されています。ロシアの小学生たちや欧州、アジアからも観光客が訪れていました。ロシアは紅葉が始まっています。景気は石油の値段が上がっているため良く、最近は7%前後の高成長国で、街は日本車があふれていました。
若い女性はピンヒールにボディコンシャスの服が日本より目につきました。
 ロシア正教の教会もあちこちで建て直され、宿泊したホテルのそばの教会を訪ねるとナポレオンとの戦いの時に建てられた救世主教会ということで、戦死者の名前が壁に彫られて慰霊されていました。どの国でも国のため犠牲になられた方への敬意を大切にしている姿には、心が鎮まります。
 興味深かったのは、その教会が爆破され、レーニン像(高さ400m)を建てる計画となりましたが、レーニンをめぐる評価により計画変更。一時プールとなり、改めて2000年に教会として復元されたということでした。
 モスクワ、サンクトペテルブルグ、ハバロフスク、ウラジオストクと夜行列車や夜行飛行機での移動で強行軍でしたが、その分、たくさんの人と出会い、街や病院、道路、橋、公共工事、スポーツ強化施設、文化施設などを見て考えを深めることができました。
 ハバロフスク、ウラジオストク極東地域へは、私は副団長として訪ね、知事との会談、拉致問題と北朝鮮問題、シベリア抑留者墓地の墓参り、経済プログラムの成功例の意見交換をしてきました。
 ウラジオストクの海洋墓地は市やロシアの人々が以前から草むしりもしてくださっているとのことです。この地で抑留者の皆様は道路や港、建物づくりに働きました。抑留者の皆様が作った港の石垣を見ながら、私はロシアの担当者に日本人抑留者の働きを説明するプレートをつけてほしいと提案しました。
 記者会見でも話したことですが、極東地域における日露間の悲しみ、喜び、光と影の歴史を広く双方の国民に知らしめることが必要だと考えます。
 パイプラインの建設の具体的見通しは、近々決定されるでしょうが、エネルギー安定のための政策、関係において極東地域は重要です。日本はウラジオストク近郊に約40艘ある退役原子力潜水艦解体プロジェクトの実施をはじめ、市場経済への移行、強化のために日本センターを設置し、約24,000名のロシア人ビジネスマン、専門家の育成につとめています。
 ウラジオストクの日本センター長は元商社マンで、日露のビジネスマッチングなどのため働いておられました。ロシア女性が青森りんごに目をつけ、1個400円で売り出したところ、アッという間に人気商品となって、今はモスクワ進出計画中という話など嬉しい話もきくことができました。
 ウラジオストクはシベリア鉄道の終着駅であり、「ホテルヴィーナス」が撮影され、東洋のサンフランシスコともいわれる街です。
 観光立国推進事務局長であった私は、観光分野での発展のあり方についても話をしてきました。領土問題を解決して、平和条約締結をすれば、経済、文化、観光など関係発展も緊密化が進みます。プーチン大統領の訪日の双方の国にとっての成功のため、また来月にも会合が予定されています。

平成16年9月27日 山谷えり子

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