メッセージ(バックナンバー)

 162回通常国会がスタートしました。戦後60年大きな意義をもつ国会です。提出法案83本、条約9件が予定されています。
開会式には天皇陛下にご臨席いただきました。陛下より、
「本日、第162回国会の開会式に臨み、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。国会が、永年にわたり、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。ここに、国会が、国権の最高機関として、その使命を十分に果たし、国民の信託にこたえることを切に希望します。」
との「おことば」を賜り、身が引きしまる思いでした。

○本会議で総理は、小泉内閣として国政に当たる基本方針(施政方針演説)を述べました。政府4演説の概要(抜粋)は以下の通りです。
(国民の「安全」の確保)
空き交番の解消による「世界一安全な国」の復活、警察官の航空機同乗(スカイマーシャル)の導入、入国前不審者の電子照合システム、外国人宿泊客の本人確認を徹底するなど。テロや弾道ミサイルなど新たな脅威に対応し、国際平和協力活動に主体的に取り組む。
(国民の「安心」の確保)
少子高齢化の中、経済活力を維持しつつ、公的年金制度の一元化を含め、社会保障の一体的見直し。介護保険制度全般の見直し。年間30兆を超える医療費の公正・中立・透明性の確保の観点からの見直し。
(「官から民へ」「国から地方へ」の実践)
改革の具体化にこれからも全力を傾ける。
(経済の活性化)
主要銀行の不良債権はこの2年半で15兆円減少、バブルの整理のメドがつき、構造改革の取り組みを更に加速する。
(魅力ある都市と地方の再生)
規制緩和や金融支援により、民間が一体的な地区開発を進め、仕事と生活・文化機能の融合した街づくり事業が立ち上がってきた。既に、中国、韓国からの修学旅行生の査証を免除、各地の個性をいかした観光地づくり支援。「攻め」の農政への転換、挑戦する中小企業を支援。
(「人間力」の向上と発揮)
教育基本法の改正、学習指導要領を見直すなど学力の向上を図る。職業教育の充実を図るとともに、生活訓練や労働体験を積ませる合宿をするなど就労対策を進める。
(科学技術の振興と地球環境問題への対応)
新しい産業や雇用の創出、国民の健康、生活の質の向上、国の安全、災害防止に寄与する研究開発を戦略的に推進し、「科学技術創造立国」を目指す。
(外交)
安全保障常任理事国となるように力を注ぐ。サマーワでは約600人の自衛隊員が、住民との交流、医療技術支援、給水活動、学校や道路の補修を実施し、高い評価を受けている。水や衛生面で延べ200万人に、教育面で600万人の生徒に、日本の支援の手が差し伸べられた。北朝鮮の拉致問題解決、日中関係、日韓関係を深める。ODAを戦略的に活用。
(むすび)
戦後60年、新しい時代の憲法のあり方について議論を深める時期。

○町村外務大臣の外交演説について
(日米関係強化)
21世紀の国際情勢に適応した我が国安全保障確保の観点から米国との協力を進め、米軍駐留による抑止力を維持するとともに沖縄等に過重な負担を軽減すべく、引き続き米国と協議する。
(近隣諸国及び主要国等との関係の増進)
我が国の安全と繁栄のためには、中国、韓国との関係、パートナーであるASEAN諸国、インド、豪州といった近隣諸国、欧州や中南米等との関係を強化していくことが不可欠。
(中東地域の平和と安定への取組)
中東地域は、我が国の国益にとって戦略的に重要であり、その平和と安定に向けた協力を進めていくことは、我が国外交の重要課題。
(開発問題とアフリカ支援)
貧困削減を始めとする途上国の開発問題に積極的に取組み、その際、効率的かつ戦略的にODAを実施し、課題の解決に尽力。
(地球規模の問題への取組)
エイズ等の感染症や環境問題などの地球的規模の問題は、特に途上国の発展にとって大きな阻害要因。これらの問題には人間の安全保障の視点から取り組む。
(人身取引への対策の推進)
昨年12月に政府が決定した人身取引対策行動計画を踏まえつつ、その防止・撲滅と被害者保護に取り組んでいる。その一環として、国際組織犯罪防止条約の人身取引議定書の締結につき今国会で承認を得るべく作業中。
(国際社会の発展と繁栄のための取組)
国際社会における多角的自由貿易体制の維持・強化のため、12月の香港閣僚会議の成功、WTOドーハ・ラウンド交渉の最終合意に向け尽力。
(軍縮・不拡散のための取組)
大量破壊兵器の拡散問題への対処は喫緊の課題。5月のNPT運用検討会議やG8サミット等も活用しつつ、積極的に取り組む。
(魅力ある日本の対外発信)
ビジット・ジャパン・キャンペーンを進め、今年開催される「愛・地球博」等も活かし、市民レベルでの相互理解の増進に努める。
(対外情報収集・分析能力の強化)
戦略的外交展開のため、優れた対外情報収集・分析能力が必要不可欠。大局的見地から着実な強化に努める。
(結語)
「空高く飛ぼうとしない精神は、やがて地に墜ちる」(スマイルズ)。創造的で志の高い外交を展開する決意。

○谷垣財務大臣の財政演説について
(財政構造改革の基本的考え方)
我が国経済は、政府・民間の構造改革により長期の低迷を脱し、財政出動に頼らない、国内民間需要中心の回復を続けている。この回復を地域や中小企業に広く浸透、持続可能なものにするため、構造改革を一層推進。デフレは緩やかながら依然継続。脱却を確実にするため、日本銀行と一体となった政策努力の強化。
財政の現状は、平成17年度末公債残高が538兆円に達する見込みで、非常に厳しい状況。経済成長の阻害要因になりかねない。このため、2010代初頭の基本的財政収支の黒字化を目指して、歳出・歳入の両面から財政構造改革を進める必要。
この取組に当たっては3つの点を踏まえる。
(1)社会保障制度の見直しが不可欠 (2)少子・高齢化やグローバル化等の大きな変化に対応し、「あるべき税制」を構築 (3)持続的な財政の構築には、国・地方を通じて取り組む必要。「三位一体の改革」は、地方の権限と責任を拡大し、必要な行政サービスは地方自らの責任で選択できる幅を拡大。
(平成17年度予算及び税制改革の大要)
歳出改革路線を堅持・強化する方針の下、聖域なき改革を実施。これにより、一般歳出は3年ぶりに前年度水準以下に抑制。
「三位一体の改革」は、国庫補助負担金について、税源移譲に結びつく改革のほか、スリム化を図る等により、1兆8千億円程度の改革を行っている。 特別会計は、事務事業の見直し等の視点から着実な改革を進め、政策評価や決算の反映など予算の質の向上に取り組む。
(平成16年度補正予算)
大型台風や新潟県中越地震被災地復旧経費等として、災害対策費を1兆3,618億円計上。
(世界経済の安定と発展への貢献)
国際機関、G7、アジア諸国等と協力し、世界経済の安定と発展に貢献。アジアにおいて、通貨危機の予防・対処のため域内の枠組みであるチェンマイ・イニシアティブの見直しや、アジア債券市場育成イニシアティブの推進に取り組み、租税条約の改定に取り組む。

○竹中経済財政政策担当大臣の経済演説について
(集中調整期間から重点強化期間へ)
<もはや『バブル後』ではない>
小泉内閣は「改革なくして成長なし」との信念の下、各般の構造改革に取り組んできた。当初の数年を「集中調整期間」と位置付け、過去の負の遺産の解消に全力をあげることを目指した。
不良債権問題の集結が見えた今、「もはやバブル後ではない」(=『もはや戦後ではない』)。負の遺産清算の「守りの改革」から、新しい成長の姿をつくる「攻めの改革」。日本経済の正念場。
<かけがえのない2年が始まる>
平成19年、人口減少社会が現実化。2010年代初等の基礎的財政収支の黒字化に向けて、平成19年度から次の段階の新たな財政収支改善努力を開始する必要。
平成19年度までのかけがえのない2年間を「重点強化期間」と位置付け、足腰の強い、変化に柔軟な経済構造をつくるべく、「攻めの改革」に取り組む必要。
(17年度の経済財政運営)
<攻めの改革による経済活性化>
かけがえのない2年間の初年の平成17年、3つの方針で経済を運営し、また経済財政諮問会議で検討する。それにより、持続可能な経済発展を実現。
(1)攻めの改革を具体的な形にして、経済の活性化を実現する。「民間にできることは民間で」が重要。
郵政民営化は閣議決定した基本方針に基づき、より精細な制度設計と法案作成を行っている。同時に、関連する政策金融の改革、国債管理のあり方についても、経済財政諮問会議の重要課題と位置付ける。
<持続可能なシステムを構築>
(2)社会の諸制度の持続可能性について、国民の信頼感をより高める改革を進める。
<政策プロセスの透明化と説明責任>
(3)政策プロセスの透明化と説明責任の強化を行う。人口減少社会の成長力はどうなるか、長期ビジョン提示が重要。本年春頃「日本21世紀ビジョン」をとりまとめる。

平成17年1月24日 山谷えり子

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