メッセージ(バックナンバー)

 伊勢神宮の内宮と外宮の両正宮をお参りしてまいりました。朝7:00に豊受大新宮(外宮)にて食物と産業のおまもりを祈り、内宮の五十鈴川を渡ります。
 冷たい風の吹く中、朝日を浴びて宇治橋を渡る時、“ここは心のふるさとか そぞろ詣れば旅ごころ うたた童にかへるかな(吉川英治)”を思い出し、寒さを忘れました。幼子が祖母に手を引かれて橋を渡る姿を見て、自分の手をじっと見つめ直しました。家事炊事で荒れ、シワのふえた自分の手が、田舎の祖母の手と重なり、いつくしまれて生命が伝えられ、今度は私が伝えていかねばならぬ順番になっていることを励ましの中に教えられる思いがしました。手のひらをさすり、感謝し、お天道さまをうけました。
 共に参拝した方が、帰り道で“息子と毎年来ていますが、今年は息子が国よ安らかにという思いが、本当に自分の願いになっていることを感じたと言うのです。母として感無量です”と私に言われました。
 人はつながりの中で生かされていることを思い知らされる。“お伊勢さん”と古くから親しまれ尊まれてきたのは、そのへんにあるのでしょう。
 そういえば本居宣長は「答問録」で「サテ神道ニ教ノ書ナキハ、コレ真ノ道ナル証也。…教ノナキコソ尊ケレ、教ヲ旨トスルハ、人作ノ小道也」といっておられましたっけ。
 平成25年は62回目の20年に一度の式年遷宮です。遷される御敷地を拝見し、行事の説明をしていただきました。
 最近は、伊勢神宮や京都・奈良の仏閣への修学旅行が激減しています。お伊勢さんは昭和50年、54万人訪れていたのが平成9年には7万人に。京都・奈良はこの10年で修学旅行生は半分になりました。私は国会でこの問題をとりあげました。それに対して遠山文部科学大臣は“畏敬すべきものについて考える大切さ、学校が長い年月を通じて蓄積してきた人間理解・修養をもっと教育の中で考えてほしい”と現状を憂い言われました。ああ、それなのに学校現場では、宗教教育をしてはならないと遠ざけるいっぽう。お伊勢さんにこられる修学旅行生も橋を渡って解散。鳥居をくぐるのは自由参加という学校が多いようです。公立学校では特定の宗派教育をしてはなりませんが、伝統・文化・宗教とは何かさえ教えようとしない教育は、自由主義世界では異様です。豊かな心、個性、たくましく生きる力は、根っこが豊かであってこそ、伸びゆくものではないでしょうか。

 スペシャルオリンピックス開会式の長野に行きました。知的障害者が競い、共に楽しもうというオリンピック。たくさんのボランティアが支えるオリンピック。アジアで初めての日本開催です。皇太子殿下のご臨席を賜り、84カ国・地域2600人が参加です。
 笑顔の行進、そして司会進行も障害者たち自身によって。全身明るさ喜びいっぱい。客席ももりあがりました。
 なお、そばの座席の中曽根弘文元文相はH2Aロケット打ちあげが成功したかどうかを気になさり、開会式途中で無事成功のニュースを受けて喜んでおられました。私もホッ!というのもロケット打ちあげ失敗が続いたため、国会内で予算のつけ方をめぐって厳しいやりとりがあったのです。関係者の努力に感謝します。

平成17年2月26日 山谷えり子

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