メッセージ(バックナンバー)

 与党の教育基本法改正検討会で、愛国心の書きぶりが「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」とする座長案を提示、了承されました。
 3本柱とされた「宗教的情操の涵養」を明記し「教育は、不当な支配に服することなく」の削除という問題は今後の問題として残されています。
 サッチャーは、教育の正常化のため学力と宗教教育を2本柱としました。
 キリスト教の他、仏教、イスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、シーク教の6宗教を宗教教養知識教育として必修とし、祈り、メディテーション、沈思黙考の時間をもつように指導し、現在のブレア政権でも(保守党から労働党政権に移った後も)この方針のもとに教育が行われています。
 宗教の意義を知り、教養がなければ、国際人としても心もとなく、道徳と人格形成の基盤となる宗教的情操の涵養は、軽視してはならないことでしょう。
 4月13日の産経新聞に、以前私が述べたコメント「昭和五十年代に年間数十万人の伊勢神宮への修学旅行は現在約二万人。それも『宗教の強制』として鳥居前で解散すると現状に疑問」が載っていますが、その疑問の思いを引き続きこれからの教育の現場で生かしていくようにしたいと思います。
 このたびの改正は、昭和22年制定以来の60年ぶりの戦後教育の転換のための改正です。家庭教育や職業教育、幼児教育の位置づけをしっかりとさせる改正も含まれており、今後、法律の条文が出され、自民党でさらにきちんと議論する場がもたれます。
 与党最終報告では、新しく記されたこととして豊かな情操と道徳心を培うこと、職業教育、公共の精神、生命尊重、伝統と文化を尊重すること、生涯学習、私立学校教育の振興、宗教に関する一般的な教養の尊重、教育行政における国の役割、教育水準の推進向上などについて書き込まれています。
 また家庭教育については「(1)父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けされるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとすること。
 (2)国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと。」
 幼児期の教育については「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基盤を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない」と新しく記されることになっています。
 報道は、今改正にいささか冷ややかな論調となっていますが、70回に及ぶ与党協議の中で、現行法より、全体としては、はるかに良くなっていると考えます。

平成18年4月14日 山谷えり子

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