メッセージ(バックナンバー)
 土光敏夫さんの住まわれた家に自民党有志でまいりました。
 父は亡くなる年、行政改革を命を賭けて訴えていました。病んだ体で“土光さんの灯火を消すな”と全国行脚していました。
写真:土光家前にて 放送でも「行政改革を進めなければならないのに、最近はマスコミのほうが、ジャーナリストの浮気とでもいうべきか、あまり書かなくなった。私が新聞記者をやっていたころは、部長が“いい記事とってこい。国のためになる記事を”とハッパをかけたものだけれど、このごろのデスクは“面白い記事とってこい”という。発行部数競争でね。だから、芸能、スポーツニュースばかりになる。

 …これから21世紀にかけて、産業構造が大きく変わってくる。当然、行政も役所のあり方も変わらなくてはならない。たとえばバイオテクノロジーなんて、どこが担当しますか。通産省でもないし、農林省でもダメ。これからの産業は機械屋さんと電機屋さん、植木屋さんが一緒になってやる産業がいっぱい出てくるでしょう。それに対応できる役所の形態にしなくてはならない。そのための土台が臨調ですよ」などと語る朝が多くなったある時、聴取者で19歳の少年から“この番組だけでハシャイでも仕方ない。朝っぱらからこういう話題を出されては、一日中気分を悪くする”という投書がきたことがあります。
 父は投書を手に、「○○君、日本をよくするためには、やはり日本全体のシステムをよくしていかないと、君が40歳くらいになった時に困るんだ。そのために私は放送している。ガマンして聞いてください」と、明るい声で、サラリと投書を披露していましたっけ。
 臨調の土光さんの所に、官公労の組合など行革つぶしの投書が15万通もよせられ、産経新聞をのぞく一般紙の報道熱がさめたことに対し、父は不当な批判、正当な批判の見分けを自分なりにし、人々の感情も推し測ったうえで“最良、最善を最後までやる”ことを自分に課したのだと思います。
 今、自民党では、無駄遣いをチェックする無駄遣い撲滅プロジェクトチームを作り、チェックしています。橋下大阪府知事の話も党本部で聞き、土光さんのためにも“今度こそ”の思いです。
 
 テレビでも有名になった土光さんの質素な家…財界天皇といわれていましたのに、質素な家に住まわれ、バス停でバスを待ち、母上のつくられた学校橘学苑で、生徒たちと農作業をする姿は、今も目に焼きついています。
 「土光さん、参りました。土光さんの心をもう一度私にも下さい」と、玄関を入ります。
 静かな仏間、そしてメザシを奥さまといただかれていた狭い台所と食事の場、すれ違うのも大変な狭い廊下…庭にはご長男が育てられているエンドウマメのつる、アジサイの花のまわりをチョウが二羽仲良く舞っています。土光さんと奥さまが歓迎して下さっているのでしょうか。
写真:土光家前に橘学苑石碑前にて
 道路を渡ると、幼稚園と中高一貫教育の橘学苑があります。
 土光さんのお母上が岡山から横浜の土光さんと暮らすようになったある日、70才を過ぎた身ながら“このままでは日本が心配。日本を良くするのは子育てをする女性を教育することから”と、良き人、母、妻になる女子教育の学校を設立なさったのです。
 校門を入ると「正しきものは強くあれ」土光登美という文字がとびこんできます。さすが土光敏夫さんを育てた母上です。
 正しきものを目指し、そのために強くあれと努力を継続した母あればこそです。
 その時植えられた桜の苗木は、今はもう65年大きな樹となり静かな木陰を作ってくれています。
 男女共学で約800人の生徒さんを育てる学校となりました。学校の裏手にある畑は、生徒らにより、さまざまな作物が育てられています。
 「土光さんの学校だから」と入学させる親、祖父母もおられると聞き、有難い思いがしました。

平成20年6月26日 山谷えり子

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