平成14年度活動報告

第3回文部科学委員会
第 3 号 平成14年2月27日(水曜日)
平成十四年二月二十七日(水曜日)  午前十時開議
 
出席委員
委員長 河村 建夫君
理事 斉藤斗志二君    理事  鈴木 恒夫君
理事 田野瀬良太郎君 理事  増田 敏男君
理事 平野 博文君 理事  山谷えり子君
理事 斉藤 鉄夫君 理事  武山百合子君
  小渕 優子君   岡下 信子君
  小西  理君   近藤 基彦君
  杉山 憲夫君   高市 早苗君
  谷垣 禎一君   谷田 武彦君
  中野  清君   馳   浩君
  林田  彪君   二田 孝治君
  松野 博一君   松宮  勲君
  森岡 正宏君   大石 尚子君
  鎌田さゆり君   今野  東君
  中津川博郷君   中野 寛成君
  藤村  修君   牧  義夫君
  牧野 聖修君   山口  壯君
  山元  勉君   池坊 保子君
  西  博義君   佐藤 公治君
  石井 郁子君   児玉 健次君
  中西 績介君   山内 惠子君

文部科学大臣遠山 敦子君
文部科学副大臣青山  丘君
文部科学副大臣岸田 文雄君
文部科学大臣政務官池坊 保子君
文部科学大臣政務官加納 時男君
政府参考人
(法務省人権擁護局長)吉戒 修一君
(法務省入国管理局長)中尾  巧君
(文部科学省生涯学習政策局長)近藤 信司君
(文部科学省初等中等教育局長)矢野 重典君
(文部科学省高等教育局長)工藤 智規君
(文部科学省高等教育局私学部長)石川  明君
(文部科学省科学技術・学術政策局長)山元 孝二君
(文部科学省研究振興局長)遠藤 昭雄君
(文部科学省研究開発局長)今村  努君
(文部科学省スポーツ・青少年局長)遠藤純一郎君
(文化庁次長)銭谷 眞美君
(厚生労働省職業能力開発局長)酒井 英幸君
文部科学委員会専門員高橋 徳光君
 
河村委員長
次に、山谷えり子君。
山谷委員
 民主党の山谷えり子でございます。
 レーガンが危機に立つ国家の中で、我々は一方的な教育上の武装解除を犯しているなどと言いまして、またブッシュもそれを受けて、今、徹底的な教育のチェックと評価を行っております。それからブレアも、もう教育、教育、そして教育と言って、教育改革に大変に大きな力で取り組んでいるわけでございますけれども、我が小泉総理は、米百俵だけでいささか心もとない。その分を遠山大臣が、学びのすすめをアピールして、これは教育上の武装解除を犯してはならぬと力を込めていらっしゃるということで、保護者も学校現場も引き締まった気持ちでこの四月を迎えられるのではないかというふうに思いますけれども、ただ、今、国民は、教育だけでなく、社会経済環境の中で非常に苦しい思いをしておりますので、外務省の問題それから農水省の問題などで、もう役所と現場とずぶずぶやないかみたいな思いを持っているわけでございますね。
 平野委員が酒田短大の問題をおっしゃいました。私は、けさの産経の朝刊、増田委員が成り行きを見守りたいというふうにおっしゃいましたけれども、この問題を少しお聞きしたいというふうに思います。
 まだけさの朝刊をお読みになっていらっしゃらない方のために、ちょっと紹介をさせていただきますと、文部科学省が、チームティーチングに、加配のためにお金を出している、これは人件費、半額が国庫負担、残りが地方交付金なんですけれども、小樽市の公立小中学校二十校に、TTなど少人数指導を充実させるための加配措置をした、ところが二十校のうち十九校がインチキをしていたという問題でございます。目的どおりに運用せずに、教員全体の持ち授業時間を減らすなど、労働軽減に充てていたということがわかったということでございます。各学校は小樽市教育委員会に対して、そのとおりである、チームティーチングに使っていなかったというふうに認めております、新聞によりますと。
 それから、これは申請するときに、保護者、地域に対する説明とか、いろいろな実績などを報告するものがあるんですが、個に応じた指導ができたとか、保護者会で説明し大きな関心を呼んだ、チームティーチングによる授業の参観を実施したと、していないのにこういうことを書いているんですね。
 これはとんでもないことで、うその文書を作成したということだというふうに思いますけれども、十三年度だけで一億五千万円以上の公金のむだ遣いが行われたということなんですけれども、これに関して、大臣、いかがお考えでございましょうか。
矢野政府参考人
 まず、私の方から事実関係を御説明させていただきたいと思います。
 先ほどお話がございました報道についてでございますが、私ども、北海道教育委員会を通じまして小樽市教育委員会の調査を入手いたしたところでございますが、それによりますれば、平成十三年度につきまして、定数加配のございます小中学校、二十校あるわけでございますが、そのうち二十校中十九校につきまして、これは国の加配数は、そうなりますと加配の数が二十人中十九人ということになるわけでございますが、その十九校、十九人につきまして指導方法の工夫、改善の取り組みを全く行っていない、あるいはほとんど行っていない状況であるという報告を受けているところでございます。
 この定数加配は、少人数指導でございますとか、チームティーチング等による指導を通して、子供たちにわかる授業を行うことで、児童生徒の学力の向上を図る観点から特別に加配されるものでございますけれども、今回の事例では、教育に携わる者が、このための指導を行わないで、みずからの負担を軽減する等のために活用したとのことでございまして、そういう意味で、明らかに目的に反する、趣旨に反する使い方であるというふうに思うわけでございます。大変遺憾に思うわけでございます。  私どもといたしましては、北海道教育委員会による実態確認、それから原因究明、さらには責任の所在等につきまして、詳細で徹底した実態調査の実施と、また再発防止策の策定について、私どもとして北海道教育委員会に対して指示をいたしたところでございまして、さらなる事実関係が確認されますれば、私どもといたしまして、北海道教育委員会に対しまして、義務教育費国庫負担金の返還を求めるなどのそういう厳正な対応を行うことといたしているところでございます。
山谷委員
 そうしますと、ルール違反であったということでございますけれども、遠山大臣は学びのすすめの中で、すべての学校で自己点検、自己評価を実施し、教育課程や指導方法の改善を行う、校長のリーダーシップのもとになどというふうにおっしゃっていらっしゃいました。
 また、中教審では学校評価システムを早期に確立することを提言し、これは、学校として伝えたいことだけじゃなくて、保護者の立場を考えてちゃんと伝えなければいけないというようなことで、チームティーチングなど少人数授業、きめ細かい教育、それからきちんと自己点検、自己評価ができる学校づくりというのは、これからの教育改革のもう柱中の柱、そこが虫食いであったということに対して、大臣は、これから調査をなさるということでございますけれども、どのような手順で、いつごろまでに結果をお出しくださいますでしょうか。
遠山国務大臣
 本当に今回のケース、聞けば聞くほど許せないという感じでございまして、国民感情としても、決して許されないことであろうかと思います。
 そもそもそれぞれの学校において少人数の授業でありますとか、子供たちのために使われるべく措置したものが、教員のみずからの負担を軽減するなどのために使われていたとすれば、これはまことにゆゆしい問題だと思っております。
 今局長の方からお答えいたしましたように、北海道教育委員会によって、実態の確認、原因の究明、責任の所在など、さらに今詳細で徹底した実態調査を実施いたしておりますので、今いつまでということは、突然でございますので、あれでございますけれども、できるだけ早くこのことは明確にして、厳正に対処してまいりたいと思います。
山谷委員
 これは十三年度中の不正が約一億五千万円以上ということでございますので、これは来月中ぐらいには結果を出さなければいけないことだというふうに思いますし、また、この国庫負担金の返還請求というのは五年間にわたってさかのぼるということができますので、五年間さかのぼれば、あるいは数億円あるのかもしれません。これについてもきちんとおやりいただきたいというふうに思います。
 それから、今大臣は北海道教育委員会というふうにおっしゃいましたけれども、確かにこれは北海道教育委員会が調べなければいけないことではございますが、きちんと上がってこなかった場合、文部省財務課、小樽市に対して直接権限がないとは思いますが、これはそのような権限がないとかあるとかいう問題ではないと思いますので、実質的にどのようにきちんと調査結果を上げるということを担保していただけるんでしょうか。
矢野政府参考人
 今後の対応でございますけれども、まずは、小樽市における平成十三年度の状況につきましては、これは、先ほど大臣から申し上げましたけれども、できる限り早くということで、私どもとしては三月の中旬までにはその結果の報告を求めたいと思っております。
 また、十二年度以前、これは、私どもとしては、具体的には平成八年から十二年の五カ年を考えておりますから、十二年以前の状況につきましては、これは今年の五月ぐらいまでには結果の報告を求めたいと思っておりますし、あわせて、再発防止策の策定も求めておりますけれども、同時に、北海道全体での平成十三年度の状況につきましても、小樽市の調査が終了した後に、私どもとしては、北海道全体についての調査依頼も行いたいと思ってございますが、いずれにいたしましても、まずは、当事者である北海道教育委員会において責任を持って調査をしていただくように考えているところでございます。
山谷委員
 先ほど、レーガンの危機に立つ国家の一節を申しましたけれども、ブッシュは、それを受けまして、学力テストなどをして、アカウンタビリティー政策ということを教育改革の大きな柱にしております。教育成果に関する業績報告というものも出しているわけで、それによって補助金を変えたり、場合によっては閉鎖になる学校もあるということでございます。
 また、ブレアは、学校ごとに、いろいろな結果を新聞、インターネットで発表するということをやっております。四年から六年に一回定期監査をする。これがまたすごいんですね。中学校で一週間、管理職だとか先生だとか保護者だとか生徒に意見を聞きながら、一週間監査をする、学校の実情をチェックする。教授法だけじゃなくて、学習到達度のほかに、道徳的な、文化的な発達もきちんとチェックする。これの予算が、年間、百八十億円ついております。
 これから、私は、考え方としては、地方分権で地方の本当に特性を生かして、あるいは学校の特性を生かして、自由に教育がやれる分量というのをふやしていくべきだと思います。しかしながら、それは、きちんとした評価と公表という担保がなければ、このようにぐじゃぐじゃの状態になってしまう。人間というのは、聖書や文学作品を読むまでもなく、誘惑に弱く、罪深き存在でございますので、このアカウンタビリティー政策をきちんとやるためにも、今回のこのケースというものを、おざなりにしては、なおざりにした形で、うやむやにした結果発表では国民は納得しないし、あしたの教育改革がうまくいかないというふうに思っております。
 ちなみに、今予算では、来年の予算では、児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価のあり方に関する調査研究一千二百万円、学校の評価システムの確立に関する調査研究五千二百万円、まあ、本当に、調査研究ばかりして、一体、ほんまにやるんかいねという、これまでの学力低下問題に対してもきちんとチェックがなかったし、レビューもなかったということを国民は不安に思っておりますので、しっかりと調査をして発表していく。
 それから、これは雪印食品の食品表示の問題で、実は雪印だけではなかったんじゃないか、もっともっと構造的な、日本の食品業界全体の問題ではないかというようなことも浮き彫りになってきておりますので、あるいは北海道だけではない、すべての、全国においてこれは調査していただきたいというふうに思いますが、文部大臣、いかがでございましょうか。
遠山国務大臣
 先生の御意見、本当に貴重な御意見だと思います。
 私は、昨年、イギリスの担当大臣とお会いする機会がございまして、何と五千人の、いわば視学官のような人をきちっと雇って、そして、今、先生がおっしゃったように、各学校に行って、教育の進行ぐあいないし学校経営のあり方についてきちんと調べているんだというようなことを聞いた記憶がございますし、ブッシュさんの、この間成立させた、一月八日でしたかね、ノー・チャイルド・レフト・ビハインド・アクトという、これもまさにアカウンタビリティーをしっかりやっていくということを強化していく法律であろうかと思います。
 各国ともに、どちらかというと、日本のこれまでやってきた、学校教育のしっかりした体系を自分たちの国にも実現しようということでやっているような状況でございますが、我が国の学校については、多くの学校はきちんとやってきてくれていると思いますけれども、しかし、やはりアカウンタビリティーが問われる時代になったと思っております。自己評価をきっちりとやり、それをどのように透明性を保っていくかというようなことから始めまして、こういう問題について、ぜひとも、単に研究だけではなくて、それが実際に移せるようないろいろないい方策を考えて実現に移してまいりたいと思っております。
山谷委員
 そうしますと、三月中旬あるいは五月、六月にかけて、五年間さかのぼっての調査というのは、結果は、国民、マスコミに発表なさってくださるということですね。
矢野政府参考人
 これは、まさに貴重な税金の執行の状態についての調査でございますから、結果につきましてはきちんと発表いたしたいと思っております。
山谷委員
 続きまして、キャリアカウンセラーについて質問させていただきます。
 私は、大学で心理カウンセリング、またアメリカの方の大学で聴講生としてキャリアカウンセリングの勉強をさせていただいて、キャリアカウンセラー、キャリアガイダンスカウンセラーという言葉がやっと日本でもデビューしたかということを感慨深く思っている者でございます。
 百五十三国会、二〇〇一年十一月九日、民主党仙谷由人議員の質問の中で、ホワイトカラーの再就職、転職のあっせんのためのキャリアカウンセラーを養成する、これはつけ焼き刃じゃないか、アメリカでは、十七万人、大学院の修了を要するプロフェッショナルキャリアカウンセラー養成のための教官と講座をつくらないとだめだ、もうこれは大学院の修了を要するプロフェッショナルな仕事だというふうに仙谷由人議員が言われて、坂口大臣が、雇用のミスマッチ解消のために必要だ、失業者の早期再就職を図るために、今後五年間で五万人の、アメリカは十七万人、日本は人口半分で五万人、キャリアカウンセラーを養成したい、指摘いただいたように、指導的人材も含めて、キャリアカウンセラー養成のためのカリキュラムを、文科省、民間関係団体と連携協力のもと早急に開発し、キャリアカウンセラー養成に取り組んでまいりたいというふうに言われております。
 文部大臣、文科省との連携協力のもとに指導的人材も含めて養成していくということでございますが、五年間で五万人、一次補正でもう九・七億円ついているんですね。ところが、これが、七百人、三週間の研修という、もう本当にアメリカとは全く違うようなキャリアカウンセラー、九億七千万円でございます。
 百五十四国会、今国会、予算委員会の中で、一月二十五日、民主党の松本剛明議員が、雇用問題に関して質問をしたときに、坂口大臣がこういうふうに答えられております。
 キャリアカウンセラー制度というのは、今まで日本に余りありませんでしたので、これをつくり上げて、そして、いわゆる企業側の意見、個人の意見、そして国の施策、それぞれをお互いに紹介して、納得をもう少しいただけるような体制をつくり上げるというので、第一次補正では、千人規模でございますけれども、これを全国に配置した、次の本予算におきまして、一万人規模のキャリアカウンセラーをつくっていくということをやっておりますということなんですね。
 ところが、今回の本予算では三十五億円、しかしながら、千百人の養成ということしか上がっていない。
 私は、本日、坂口大臣のお答えをいただきたくて要請したんですが、常任委員会を開いていらっしゃるということでございますので、厚生労働省の方からで結構でございますけれども、数字が余りにもでたらめであり、そして養成育成が余りにもつけ焼き刃でイージーだというふうに思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
酒井政府参考人
 大臣が、五年間、五万人くらいのものが必要だということを私どもに御指示いただきまして、今、先生がおっしゃったような厳しい雇用の情勢を踏まえて、急げ、こういうことでございます。
 確かに、先生おっしゃったように、アメリカのキャリアカウンセラー、MBAを取っておる人、しかも、カウンセラー協会の試験をクリアしている人、こういう実態も私ども存じております。ただ、非常に幅広い、得意分野がおありのようでございまして、十七万人、十八万人という、先生がおっしゃったような状況であろうかと思います。
 ただ、最近、クリントン政権におきましては、もうちょっと実務的なキャリア開発推進員、ファシリテーターといった方も雇用の場で御活躍になっている。私どもは、そういうこともアメリカの専門家に来ていただきまして実は勉強はしておるわけでございますけれども、今後、やはり労働者の適切なキャリア形成、あるいは失業者の再就職をやるという際には、きめ細かなカウンセリングが必要だということで鋭意取り組みたい。
 今先生おっしゃった五年、五万人ということにどういうふうに立ち向かうかということでございますけれども、これは私ども、官民で協力してやっていこうというふうに思っているところでございます。
 公的部門、官の方では、先生今おっしゃった十四年度予算におきましては、職業訓練大学校におきまして一千百人、予算要求をさせていただいておりますけれども、そのほかに、これは雇用の現場で、ハローワークの相談員であるとか、あるいは職業訓練関係の施設の指導員、教員でございますけれども、こういう者にもすべてキャリアカウンセリングの研修を行いまして、公的部門における養成体制ということで、この人たちを研修もしていきたいと思っております。
 それから、民間につきましても、これは既に先生御案内かと思いますけれども、幾つかの講座がございます。こういう民間の方々、事業者、今そういうものをやっておられるところにも、我々の助成金あるいは教育訓練給付の指定講座とするといったようなことで支援をして、合計五年間五万人ということを目指すことができると思っております。
 ただ、今先生おっしゃいましたように、確かに、アメリカの正式なキャリアカウンセラーと比べますと養成期間が短うございます。これにつきましては、現在、日本型といいますか、そういうキャリアカウンセラーとしての能力要件としてはどういうものが必要であるか等々、専門家にお集まりいただきまして、今検討しておる。既に配置している人につきましても、こういう研究会のまとめを踏まえまして、今後、その能力をさらに高めるといったような再研修といいますか、そんなこともやりながら、いいものにしていきたい。
 ですから、走りながらやらせていただいているわけでございますけれども、今後とも、よりよい内容のものにしていきたいというふうに思っておりまして、頑張っていきたいと思っているところでございます。
山谷委員
 養成の大学が、職業能力開発大学校、全国で十校ぐらいあります。これは、厚生労働省の所管の特殊法人雇用・能力開発機構がやっているもので、政府出資金、交付金、補助金等、この機構には三千百十六億円ぐらい入れられている。この十年間で二・二五兆円、これまで累計で四・五兆円ぐらいこういうお金が入れられているというような機構のところの大学校でございまして、普通考えますと、そうすると、これは、本業というか、趣旨はスキルアップのための学校だというふうに思っております。
 それをつけ焼き刃的に、じゃ、ちょっとここで、単位で研修させようみたいな、やはり非常にイージーな感じがいたしますし、本来ならば文科省がもう少し、もう少しというか、もう圧倒的に本気になって、最初、この文科省と厚生労働省との連携というので呼ばれたのは、文科省の生涯学習局だった、もちろん生涯学習局も関係あるというふうに思いますけれども、本来ならば、最初から高等教育局を呼んで、プログラム、カリキュラム、それから、どうやって人間をつくっていくかということを考えていかなければいけない問題だったというふうに考えております。
 アメリカで十七万人のキャリアカウンセラー、六割から七割は学校に配置されているんですね、小学校、中学校、高校。それで、スクールカウンセラー、サイコロジカルなカウンセラーよりもキャリアカウンセラーの方が学校に配置されている。
 どういうことをやるかといいますと、心の悩みといっても、子供の場合は、友人関係、いろいろあるかもしれない。しかし、聞いていくと、だんだんその子のキャラクターとか行動パターンが見えてくる。そうすると、例えばその子がアナウンサーになりたいなんという希望を持っていたとする。普通、日本のカウンセラーだったら、アナウンサーは容姿端麗じゃなきゃいけないわよ、バイリンガルじゃなきゃいけないわよ、偏差値は幾らぐらいの大学を出てなきゃいけないわよなんということで、その子の夢をつぶしてしまうかもしれませんけれども、アメリカのキャリアカウンセラー的な発想だと、それだったら、私はあの保育園、あの図書館で読み聞かせのボランティアグループを知っているから紹介状を書いてあげるわ、読み聞かせのこんないいビデオがあるわ、あげるわ、そういうふうに行動していくうちに、心の悩みも解消していくわけですね。
 そういう意味で、キャリアガイダンスあるいはキャリア的な発想を持ったカウンセリングというのがとても大事で、心の悩みを最初に相談を受けていて、オーケー、では次からはキャリアガイダンスに変えようといって変えるんですよね。そういうような形のカウンセリング、あるいは地域の教育力を高める、あるいは子供の生きる力、自尊心を高めるために、こういったマインドを持ったカウンセラーがぜひとも必要で、別に厚生労働省のこの雇用・能力開発機構が悪いとは言っていませんけれども、こんなところに任せるべき問題ではないんですね。
 大臣、一言何か御意見がありましたら。
遠山国務大臣
 強烈なおしかりを受けたというような感じがいたしましたけれども、本当に、大学等におきますキャリアカウンセリングに関する能力の育成というのは大変重要な課題だと考えております。
 現在、各大学におきましては、心理学系の学科あるいは専攻などにおきまして、キャリアカウンセリングに関連する授業科目としましては、進路指導特論、キャリアカウンセリング、あるいは産業心理学などを開設している取り組みがありますし、例えば、筑波大学大学院教育研究科のカウンセリング専攻の職業心理学におきましては、キャリアカウンセリングの基礎を概説し、生涯キャリア発達理論に基づくカウンセラーの実習が行われていると聞いております。
 それと、大学の教員養成課程におきましては、進路指導に関する科目を必須としておりまして、平成十年の免許制度の改正によりまして、生徒指導、教育相談、進路指導等、これは一つに入っているところがちょっとあれでございますけれども、これらに関する科目というものの最低修得単位数を、小中高ともに従来の二単位から四単位に充実したところでございまして、これは平成十二年度の大学入学者から適用されているところでございます。
 我が省におきましては、各大学における充実したプログラムの開発に資するために、進路指導に関するモデルカリキュラムを大学に委嘱して開発して、これは関係団体に周知するなどの取り組みを行っているところでございます。この中では、御指摘のキャリアカウンセリングに関する内容にも触れられているところでございます。  徐々にではありますが、こういう方向に向かって、高等教育の段階でもきちんと対応していこうということで進んでいる状況でございます。
山谷委員
 このキャリアカウンセリングを受けている職業能力開発大学の学生さんの平均年齢、五十代前後ということなんですね。ですから、もうリストラされたか、されそうな方を集めてやっていらっしゃるという、こういうことではやはりいけないと思います。
 それから、教員養成課程、進路指導、これは、中高はまあまあにしても、小学校はやはり少な過ぎるというふうに思いますし、それから、今私が申しましたように、地域のネットワーカー、コーディネーター的な動きをしなければいけない人を育成しなければいけないので、ただ座学だけではいけないというような発想、それから、大学で心理学の一部でやるというのでは全く足りないということと、筑波の大学院もたしか定員三十人弱ぐらいだというふうに思いますので、五年間で五万人育成するというような、この数字を見たときに、文科省はもう少しきちんと出て、責任を持ってプログラム開発と、きちんとしたクオリティーの人材育成に力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 それから、コミュニティースクールについて続いてお話を伺いたいんですけれども、いろいろなバリエーションのある教育を受けるチャンスを広げるためのコミュニティースクールでございますが、ことしの一月二十五日、予算委員会で、民主党松野頼久委員が、文科省、平成十四年度予算で約三千万円のコミュニティースクールに対しての、モデル校ですね、予算を要望しているということでございまして、遠山大臣は「実証的な研究をまずすべしということで、来年度予算案に学校運営のあり方に焦点を置いた実践研究に係る経費を計上したところでございます。」というふうにお答えでございます。
 去年の暮れ、十二月二十六日付で、文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課長辰野裕一さんのお名前で各都道府県・指定都市教育委員会指導事務主管課長あてに、新しいタイプの学校、つまりコミュニティースクール等なんですが、その設置を促進する観点から、今後、新しいタイプの学校の可能性や課題について検討するので、実践研究の指定を希望する学校がある場合は平成十四年二月一日までに御提出してくれということがございます。
 何でこの暮れの十二月二十六日に出して、二月一日締め切り、これは、現場は混乱しているんじゃないかと思いますが、締め切りは終わりましたけれども、これはもう集まったということでございましょうか。何件ぐらい集まりましたでしょうか。
矢野政府参考人
 正確な数字は持っておりませんけれども、約三十件ほど、やりたいというお申し出をいただいております。
山谷委員
 その三十件はこれからどの五つに絞ろうかというような、絞られるというふうに思うんですけれども、コミュニティースクールに関しては、二〇〇〇年三月、教育改革国民会議で言われ、二〇〇一年七月、総合規制改革会議で中間報告でまた言われ、二〇〇一年十月、経済財政諮問会議の改革先行プログラムで言われ、二〇〇一年十二月十一日、総合規制改革会議、規制改革の推進に関する第一次答申、法制度整備に向けた検討を行うべき、こういうことが答申で言われて、これは閣議決定されている。法制度の整備に向けて検討、十五年中に措置ということでございますけれども、つまり、非常にもう進んでいると考えていいというふうに思うんですが、そのコミュニティースクールのモデル実践研究を行うに当たっては、これは総合規制改革会議のペーパーですが、「校長公募制の導入、十分に広い通学区域の設定、教員採用における校長の人選の尊重、教育課程、教材選定、学級編制などにおける校長の意向の尊重等の要件を満たすよう努めるべきである。」というふうに書いてあります。
 そうしますと、この五つのモデル校というのは、多少副教材をつくるためにお金を上げるよとか、その程度じゃ本当は許されない、このスピードで進んできていることを考えれば。この五つのうちの一つぐらいは校長公募でほんまにやるかいとか、あるいは一つぐらいは広い通学区域でやってみるかとか、あるいは一つぐらいは校長が教員を採用する、選任するというような形でやるかとか、そのぐらい踏み込んだ形での五つの選定というのがなされなければいけないというふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
矢野政府参考人
 コミュニティースクールについてでございますけれども、先ほどお話がございましたように、新しいタイプの学校の検討に当たりましては、学校運営のあり方に焦点を置いた実践研究ということがまず必要であるということで、そのために必要な予算を来年度予算に計上いたしているところでございます。
 実践研究の指定でございますけれども、先ほどお話し申し上げましたように、予算を相当上回るお申し出があるという状況の中で、どういう観点で指定をし、お願いをするかということでございますが、今、私どもが考えておる観点のポイントの一つは、地域のニーズを踏まえた学校運営を行うための学校あるいは学校長の裁量権の拡大、その点が一つのポイントになろうかと思います。
 もう一つは、地域の学校運営への参画というところでございまして、地域学校協議会などを設置して地域の学校運営へ参画したり、あるいは学校評価を行うというような形で、地域がどういう形で学校運営に参画できるかといった点に焦点を置いた研究であるかどうかということを総合的に勘案をして指定をいたしたいと考えているところでございます。
山谷委員
 それは、どういう形で選考して指定されたかということもぜひ御発表いただきまして、それから、今後、実践研究を踏まえてどう進めていくかということも含めて発表していただきたいというふうに思います。
 最後に、留学生の問題について質問させていただきたいというふうに思います。  中曽根内閣が留学生十万人計画と言いましたけれども、現在の留学生七・八万人、そのうち中国人留学生四・四万人、韓国一・五万人、台湾四千人、これがベストスリーでございまして、中国の留学生が大変この一、二年ふえております。
 というのは、中国も一人っ子で、あるいはまたお金があるということで、けれども大学の数がまだ足りないということで、大学に入れない若者が毎年三百万人ぐらいいる。それで日本に対しての中国からの留学生がふえているわけですが、日本では中国人留学生は出稼ぎみたいなことを見る人もいると思うんですね、あのような酒田短大の不幸なことがありますと。それから、中国は中国で、日本の大学は質が悪いじゃないか、これは双方にとって非常に不幸な状況だというふうに思います。
 日本と中国の教育担当者が何か抜本策をこれは考えなきゃいけないのじゃないか。アメリカは英語で教育してくれるし、それから世界的な競争力のある大学がありますので、中国人の優秀な留学生たちはアメリカへ行きたいと思う。それから、EUも上海に飛んで教育プログラムをつくっているんですね、カリキュラムを。そういう努力をしているわけです。
 小泉総理は、一月十四日のASEANでの演説で、ASEAN諸国との協力は未来への協力だ、第一に重視したいのは教育、人材育成だ、大学等々の交流なども考えていきたい、それから、ASEANプラス3、日中韓の枠組みを最大限活用すべきだ、豊かな人材と経済の大きな潜在力を持つ中国は、この地域の発展に多大の貢献を行うことでしょうというようなことも言っているわけでございます。
 遠山大臣は、日中学術交流など、本当にいろいろ長いこと中国との関係があるわけでございまして、また中国への思いというのも深いものがあろうかというふうに思いますけれども、中国人の留学生で非常に困っているのがアルバイトとか住居、それから日本企業の就職、これがアメリカに比べると非常に困難が伴う。それから、中国にいる間になかなか進路大学を決定できないということがある。それから、私費留学生、就学生の学習奨励費がカットされてきている。授業料減免法人援助事業も減ってきて、早稲田などは申請した学生の、ことし何か半分以下しかもらえなそうだということ、いろいろございます。
 国立大学等には、若干の、留学生の生活、精神面のカウンセリングとか帰国後のアフターケア、寄宿舎運営の補助などあるわけでございますけれども、これは、本当に未来への、日中間あるいはアジアの豊かさのためにも非常に大切な問題だというふうに思いますので、この辺、具体的にどう取り組んでいこうと思われていらっしゃるか。あるいは、遠山大臣の方に小泉総理から、何かこんなプログラムをというようなディレクションがございましたでしょうか。
岸田副大臣
 ちょっと私の方から取り組みだけ申し上げさせていただきたいと存じます。
 従来から御指摘がありました留学生受け入れ十万人計画、これは推進をしているところでありますが、その中におきまして、援助の充実ですとか宿舎の整備、あるいは英語による授業の拡大、あるいは短期留学推進制度、こうした施策を講じているところですが、それに加えまして、平成十四年度からは、これまでも、今先生から御指摘がありましたが、来日前に入学許可を実現するために、年に二回、海外十都市程度、またさらに国内でも十五都道府県を考えておりますが、こうしたさまざまな場所において日本の留学試験を実施する、現地において留学の是非を確認できるような便宜を図る、こうした施策も盛り込んでおりますし、特に、最先端分野の学生交流の推進、こういったものも、平成十四年度から力を入れていくというふうに今施策を予定しているところであります。それが今具体的に対応している施策の中身でございます。
山谷委員
 私が書きました小説が、ちょっと中国とか台湾とかでテレビドラマになって放映されて、遊びに行きますと、現代社会の、日本のポップカルチャーとかあるいは家族、嫁しゅうと問題とか、非常に聞きたがるんですね。
 ですから、こちらが受け入れる場合には、もっと責任を持って充実したプログラムを進めていくことと同時に、中国、アジア側に、日本の現代の、例えば最新日本事情のようなものを発信していくということも大事だというふうに思います。中国の場合ですと、ネット人口、今五千万人くらいございますので、受け入れる側、それから発信していくということも含めて、留学生の問題をこれから重く考えていくときに来ているのかなというふうに思います。
 質問をもっとしたかったのですけれども、時間が参りましたので、以上でございます。

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