平成14年度活動報告

衆議院文部科学委員会での質問
衆議院文部科学委員会
第 2 号 平成14年11月1日(金曜日)
 
平成十四年十一月一日(金曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 古屋 圭司君
理事奥山 茂彦君 理事鈴木 恒夫君
理事馳   浩君 理事森田 健作君
理事山谷えり子君 理事山元  勉君
理事斉藤 鉄夫君 理事佐藤 公治君
 青山  丘君  伊藤信太郎君
 小渕 優子君  岡下 信子君
 岸田 文雄君  近藤 基彦君
 佐藤 静雄君  谷田 武彦君
 中谷  元君  林田  彪君
 松野 博一君  森岡 正宏君
 柳澤 伯夫君  大石 尚子君
 鎌田さゆり君  中津川博郷君
 肥田美代子君  平野 博文君
 藤村  修君  牧  義夫君
 牧野 聖修君  山口  壯君
 池坊 保子君  黄川田 徹君
 石井 郁子君  児玉 健次君
 中西 績介君  山内 惠子君
 松浪健四郎君
文部科学大臣 遠山 敦子君
文部科学副大臣 河村 建夫君
文部科学大臣政務官 池坊 保子君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 重典君
政府参考人
(文部科学省高等教育局長) 工藤 智規君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 遠藤純一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 渡辺 芳樹君
文部科学委員会専門員 柴田 寛治君

-古屋委員長
 これより会議を開きます。
-古屋委員長
 山谷えり子君。
-山谷委員
 学校教育法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
 さきに遠山大臣がごあいさつにありましたように、人間力戦略ビジョンによって高い教育の質、また高等教育のレベルを維持しなければいけない、向上させなければいけないというものには大変共感を覚えるものでありますが、その前に、二、三質問させていただきたいというふうに思います。
 さきの日朝国交正常化交渉におきまして、五人の拉致被害者が北朝鮮に残している家族の帰国日程が確定できなかったというのはまことに遺憾でございますけれども、親子は一体でございます、日本人が日本へお帰りになるのは当然で、お帰りの日が早からんことを思いつつ、お伺いしたいと思います。
 遠山文部科学大臣は、閣議の後の記者会見で、就学、日本語習得に配慮したい、自治体、大学と連携して支援したいというふうにおっしゃられたかと思いますけれども、そこで、具体的なことをお伺いしたいと思います。
 現在、北朝鮮におられるお子様、大学生が四人、中学生が一人と報じられておりますけれども、これは日本にお帰りになった場合に、日本国籍を持つ日本人として中学の修学修了証明書というものはお出しになられるのでしょうか。
-池坊大臣政務官
 山谷委員も私も子供を持つ親でございますので、拉致された御家族の一番の懸念されることはきっとお子様方の問題ではないか、そして、その中でも極めて教育問題が比重が高いのではないかというふうに思っております。
 総合的な施策の中で、安心してこの日本の社会の中に溶け込んでいかれるよう願っておりますが、今お尋ねの中学校の卒業証書は中学校の課程を履修した者に与えられるものでございますので、ちょっと趣旨が違うのではないかと思いますが、卒業証書をお渡しすることができなくても、高等学校の入学のときには、北朝鮮と日本との教育制度の違いがございますけれども、御本人や御家族の意向を十分に伺いながら、教育委員会とか学校において入学資格や選抜においての配慮がなされるべきと考えております。
 文部科学省といたしましても、きちんと子供の高等学校受け入れが円滑に行われますよう、教育委員会、学校と密に連絡をとって、心配のないようにしていきたいと思っております。
-山谷委員
 日本人として義務教育終了、中学修学修了というのは、特例として前向きにぜひ御検討いただきたいというふうに思っております。
 続きまして、日本語教育、あるいは社会主義国で育ったということで子供の適応問題があろうかと思いますけれども、これはどのような、専門家でチームをつくるなりなんなり、対策、具体策を考えておられますでしょうか。
-池坊大臣政務官
 国内での就学については、一番の問題は、やはり日本語がどの程度、日本語の問題にかかってくると思っております。
 義務教育である小学校、中学校については、帰国されたお子様方の日本語のそれぞれの習得状態に配慮しながら相当学年に就学なさることだと思いますけれども、その就学に際しては、日本語教育のための教員とかあるいは配置、朝鮮語のわかる相談員の派遣といった点についても、市町村の要請を受けながらきめ細かにやっていきたいと思います。
 また、高等学校、大学についても、我が国と北朝鮮との教育制度の相違、問題点がどのようなところにあるかということがまだわかっておりませんけれども、御本人や御家族の意向を踏まえながら、入学者選抜試験における配慮、あるいは円滑な受け入れが行われるように支援したいと思います。また、そのときに、日本語の習得等についても、都道府県や大学の要望を踏まえながら支援策をしていきたいと思います。
 このごろ、国際人を受け入れるということにはだんだんなれてきたと思います。朝鮮語を話す方もいらっしゃいますので、それは早急にそういう方々の援助をいただきながら、お子様方の日本語の習得にも努めていきたいと思っております。
-山谷委員
 ぜひとも、そのようなきめ細かい、自治体それから大学などとの連携も考えながら、御支援をお願いしたいというふうに思うのですけれども、福井県立大学の場合は、希望の場合は入学、授業料の減免措置を予定しているということでございますけれども、このような自治体の動きについて大臣はどのような御見解をお持ちか、また国としてどのような措置をお考えか、お聞きしたいと思います。
-河村副大臣
 お答えいたします。
 福井県立大学のケースについてお話がございました。これは総合的に支援策を講じていかなきゃいかぬと考えておるわけでございますが、福井県立大学は、受け入れの方向の場合にはどういうことができるかということを今検討いたしているわけでございます。これは、大学の自主的判断、取り組み、これにまつ、これを評価していきたいというふうに思っておるところでございます。
 また、日本の大学への編入の問題等々これから出てくるであろう、こう思うわけでございますが、これは、言葉の問題もこれございまして、やはり特別な配慮が必要であろうというふうに考えております。
 選抜における特別な判断をする必要もあるだろう、こう思っておりまして、総合的に、御本人の希望とか、あるいは編入前、いわゆる編入入学前あるいは在学中に日本語教育をどの程度受講していけばいいのか、こういうことを踏まえて、総合的な、全面的な配慮の中で、特別な配慮の中で受け入れを考えていくということで、先ほど池坊政務官もお答え申し上げましたように、これは文部科学省としても非常に重要な課題であるという認識のもとにこの受け入れについて前向きに取り組んでいきたい、このように考えております。
-山谷委員
 総合的に特別な配慮を持ってというような今の御答弁に心強いものを感じましたので、ぜひそのような形で進めていただきたいというふうに思います。
 続きまして、大臣が、文部科学委員会、百五十五回のごあいさつの中で、人間力戦略ビジョンを進めていきたい、新しい時代を切り開くたくましい日本人を育成すること、豊かな心の育成というふうにおっしゃいました。
 今、子供たちの学力、体力、意欲の低下、そのほかに生きる意味と規範意識の喪失というのが非常に大きな根っこの問題となってあるというふうに思うんです。
 そこで、さきの国会で私が問題にさせていただきました、中学生にピルを勧める、あるいはフリーセックスをあおるような内容の「思春期のためのラブ&ボディBOOK」、保護者も大変に反対いたしまして、波紋が広がって回収というようなことにもなったわけでございまして、遠山文部科学大臣は、五月二十九日の答弁の中で、中学生にここまで教えるのはどうか、自分で考えて、いいと思えばやっていいというようなトーンがちょっと強過ぎるというふうにお答えいただきまして、私も本当に共感をしたものでございます。
 これが、各市町村、調べてみましたら、例えば神奈川なんですけれども、三十七市町村、十六回答ございましたけれども、指導者用としてとってあると言って、海老名市なんかは千百とってあるんですね。それから、相模原では、来年の三月に配付予定である、五千百三十六部とってあります。それから、藤沢市などは、三千二百とってあるんですけれども、厚生労働省あるいは文部科学省からの指示待ちをしているというような状況でございまして、これは「ラブ&ボディBOOK」の総括がきちんとできていないためにこのような現場での混乱状況、ハンドルの切りかえがされねばならぬということをきちんと定義したつもりでございましたが、そうなっていないということのように考えますけれども、厚生労働省の方はどのような助言、指示をなさったんでしょうか。
-渡辺政府参考人
 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、十代の人工妊娠中絶でありますとか性感染症の罹患率の増加などさまざまな問題に対応するために、性に関する健全な意識の涵養を図るということが大きな課題となっておるわけでございます。
 御指摘の件でございますが、財団法人母子衛生研究会が作成した「思春期のためのラブ&ボディBOOK」というものでございますが、これにつきましては、ピルについての副作用が記述されていないなどの問題があるということについて先生からも御指摘を受けていたところでございまして、こうした御指摘を踏まえまして、先生御承知のとおり、私ども厚生労働省から本件冊子を作成した財団法人母子衛生研究会に対して、必要な見直しを行うように助言を行ったわけでございます。当該財団の方では、訂正資料を作成し、希望のあるところにこれを配付するという措置をとったわけでございますが、全体に配付している中で、回収されているものもあり、そしてまたこの訂正資料も御活用いただくというようなところもあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、この財団におきましては、本件「思春期のためのラブ&ボディBOOK」という冊子につきまして、今後の増刷とか配付の予定はない、こういうふうに私ども、報告を受けておるところでございます。
-山谷委員
 今後増刷しないというのは当たり前のことでございまして、母子衛生研究会がどのような文書を送ったか、渡辺審議官は把握していらっしゃるんでしょうか。都道府県教育委員会殿として、希望に応じ、追加資料を配付するところとしているところでありますがと書いてあって、配付済みの冊子のうち使用見込みがないものについては、当会で引き取ることとしておりますので御案内申し上げます、追って配付先にもその旨の御案内を申しております、配付先にその旨をお知らせいただきますようお願い、何を言っているんだか、これは全然わからないですよ。総括していないということですよ、これは。もう一回お答えください。
-渡辺政府参考人
 今御指摘いただきましたように、当該財団法人からは、こうした七月十八日付の文書で、都道府県・政令市母子保健主管担当、教育委員会・学校保健主管担当殿ということで、この冊子につきまして、希望に応じ、追加資料を配付することとしているということで、見本を送付させていただいたわけでございます。あとは先生今お読みいただいたような記述もあるわけでございますが、私ども、こうしたことは、国会での先生の御指摘あるいは質問主意書での御指摘等々を踏まえて、私どもから助言指導させていただいた中で、こうした事業について一定の見直しを行い、そして必要な回収についても申し出をし、そして今後の増刷、配付予定を行わない、こういう整理をしていただいたものと考えております。
 個々の内容につきましては、いろいろ御指摘のいただいたところもあり、また一つ一つ、適切な部分ももちろんあるわけでございますけれども、総合的に勘案いたしまして、これまでの御指摘等を踏まえて、当該財団法人からの措置をとっていただいたものというふうに理解をしております。
-山谷委員
 ということは、きちんとした回収作業をしないということなんでございましょうか。この文書の中では、「日本では中絶することが許されている。」「日本のお医者さんの中絶手術の技術は信頼できるけど、」とか、もうでたらめの記述があるんですよ。回収しないんですか、きちんと。もう一度お願いします。
-渡辺政府参考人
 冊子の内容におきます問題点等につきましては、十分私ども当該財団の方に状況をお伝えし、意図を理解していただいているものというふうに考えております。
 この冊子そのものは、この財団法人がその責任において作成をしたものでございますし、私ども、省としてこれをみずから回収するというわけにもまいらない性質のものであるというふうに考えております。
 また、その活用におきましては、これまでのさまざまな議論をもちろん踏まえていただくという経緯を理解していただきたいと思っておりますが、まさしく子供の発達に応じて適切な情報が提供されるという基本が大事であるというふうに考えておりますので、現場における取り扱いも含めて十分注意をしていただきたいものと考えておるところです。
-山谷委員
 適切ではないから回収してくださいということで、世論もそういうふうになっているわけでございまして、今の答弁は非常に納得できないところでございます。
 いろいろな今、性教育、方向を変えてきておりまして、例えばアメリカなんかでは、避妊技術教育をしたところ、むしろ十代の妊娠率が三〇%も上がってしまったと。そうではなくて、きちんと欲望をコントロールすることとか人格形成とか生命尊重というようなふうに性教育の方針を転換したところ、例えばテネシー州のリアー郡、十代の妊娠中絶一位だったところが、転換したところ一年目には十位、二年前目には四十六位、三年目には六十四位と、どんどんどんどん妊娠率が低くなっていったんですよ。
 むしろ、今の厚生労働省がやろうとしているところを進めると、十代の妊娠中絶はますますふえていくばかりです。性感染症はふえていくばかりです。今の十代で十人に一人が性感染症じゃないかというような産婦人科のデータもあるわけですね。こういう現実、実態調査を厚生労働省はきちんとなさって、そしてこの今の回収というのは、これはもう不適切というようなことなんでございますから、財団法人母子衛生研究会が責任を持って編集したからうちはどうのこうの知らぬとおっしゃいましたけれども、これは厚生労働省の所管の財団法人ですよね。お金もおりているわけですよね。知らぬというのは無責任じゃないですか。もう一回答弁をお願いします。
-渡辺政府参考人
 私どもの所管法人であることは御指摘のとおりでございます。私どもの関係で、例えば在外の在留邦人に対する母子保健の知識の普及等に関しまして一定の補助も出ておるというのは先生御承知のとおりでございますが、本件の冊子の作成につきましては、私ども、誤解のないように御理解賜りたいのですけれども、補助事業として実施しているものではございません。
 もとより先生の御主張のベースでございますこうした十代の性の問題に関して、私ども性育という言葉を使っておりますけれども、それの一層の強化ということが大きな課題であるというふうに考えており、御指摘重々わかるところもあるわけでございます。また、来年度の概算要求におきましても、しっかり子供の発達に応じた性育ができますような研究教材を私どもの方で開発研究をしていくというようなことをとってまいりたい、こういうようなスタンスをとっておるところでございます。
 本件につきまして、私ども、これまでの経緯を踏まえて財団法人には適切な対応を求めてまいりましたし、そのような結果が得られるというふうに考えているところでございます。
-山谷委員
 何度もお伺いいたしましたが、回収しますか、しませんか。イエスかノーでお答えください。
-渡辺政府参考人
 役所として直接回収する考えはございません。
-山谷委員
 財団にお金が出ているわけです。厚生労働省所管の財団でございます。そのような答えは納得できません。もう一度お願いいたします。
-渡辺政府参考人
 繰り返しになって恐縮でございますが、これまでの経緯を踏まえて、財団としても、当該事業をもうしないという判断をしているということは十分事情を理解していただいているものと考えておりますし、これまでも配付先から、まだ十分とは言えないという御評価かとは思いますけれども、回収もさせていただいている部分もございます。決してこの財団が回収しないという態度でいるのを私どもが放置しているということではないということについて、御理解賜りたいと思います。
-山谷委員
 相模原では来年三月に配ると言っているわけでございますし、中絶のこのような書き方、あるいは中学生にピルを勧める、WHOでもとんでもないということを言っているわけですよ。それから、フリーセックスをあおる、これによって初交年齢がどれほど下がって、今、複数化、乱交文化が広がっているか、御存じでございますか。
 そのような答弁は本当に納得できないということをここで表明させていただきたいと思います。日本がつぶれます。未来への責任というものをきちんと果たしていただきたいというふうに思います。回収をお願いしたいというふうに思います。
 こんな中で、私は、性教育に関する指導資料、実践報告書などを読ませていただきました。指導資料には、愛がなければ性交してはいけないという考えを押しつけてはいけない、つまり愛がなくてもいいんだよと書いてあるわけですね、学校の先生が使う指導資料に。それから、実践報告書の中に、中学生、高校生のころは、二人の性のコミュニケーションがうまく図れず、避妊について話せない、しかし性交の回数は多い、その場合はピル、確実な避妊方法で、快楽の性が追求できることに気づかせる。中学生に対して、こういう報告書を先生たちが出してやっているわけですね。これは、教科書じゃないからそれは自由だというレベルではないというふうに思っております。
 先ほども申しましたように、アメリカでは、人格教育、それから責任をきちんと教える、節制を教える、生命尊重教育にした途端に、明らかに十代の初交年齢が上がっていって、妊娠中絶率が下がってきた。向こうは政策調査、実態調査をやって予算のつけかえをやっていますから、この五年間、物すごく急速にそっち側にシフトしてきているわけですね。そのような御事情をおわかりだと思います。
 それから、ドイツでは、子供たちには安定した家庭、結婚、親としての責任を教えるように配慮しなければならない。そしてまた、親の教育権として、性教育の内容や方法、議論、情報提供の義務づけをしているわけでございます。
 スウェーデンでは、いっときはポルノ、フリーセックス天国と言われておりましたけれども、これはやはり倫理上の問題を考えて、教科書や教材のチェック、イラストからビデオの映像に至るまでチェックしております。
 日本は、この今の厚生労働省がやろうとしているラインは、二十年おくれなんですね。いや、欧米に比べて日本はおくれている、恥ずかしい、冗談じゃございませんです。二十年おくれのあほなことを今厚生労働省はやろうとしているのでございます。この性育というプロジェクト、数千万円、違った方向に行かないように私たちはチェックしていきたいというふうに思います。
 遠山文部科学大臣、今のようなやりとりをお聞きになられまして、感想あるいはこれからの性教育のあり方に対する所感がございましたら、一言お願いいたします。
-遠山国務大臣
 人間にとって性の問題というのは、私は、大変生き方に絡む、何といいますか、私などの年代には非常に神聖な問題だと思っておりまして、余り即物的にアプローチをして幼い子供たちにいろいろなことを教えるのはどうかなというのが私の実感でございます。
 性教育について、私は余りうんちくを傾けてお話しするような内容は持っていないのでございますけれども、学校教育として性教育を扱う場合には、まず何といっても人間尊重を基盤としなくてはいけないと思います。そして、児童生徒の発達段階に応じて、性に関する科学的知識を理解されるとともに、これに基づいてあるいは望ましい行動がとれるようにするということをねらいにすべきだと私は考えております。
 つまり、私は、山谷先生のおっしゃったような、人間としての生き方として、そういう問題に対してどういう心構えで生きるべきかというようなことをきちんと教えていくことが本当は大事だと思っておりまして、それをいろいろな教科の中で展開していくんだと思いますけれども、そうですね、今のやりとりについての感想はということでございましたら、私は、問題のある資料は直ちに回収してもらいたいと思っております。
-山谷委員
 どうもありがとうございました。
 子供への責任、国の未来への責任、これは国家の安全保障の問題でもございます。ぜひ、今の大臣の答弁も踏まえて、厚生労働省として、合同プロジェクトチームをつくってこれからの性教育のあり方を考える、そしてこれは回収するというような方向で、本当にモラル、アイデンティティーを喪失させるような性教育はしていただきたくないというふうに思います。
 今、売春など性を売り物にすることは本人の自由と考えている高校生が四人に一人いる、こんな国異常ですよ。四人に一人。それから、出会い系サイトでの被害者、中高校生、四分の三ですね。本当に申しわけないですよ。私たち大人の義務、責任として、きちんとした責任ある性教育の方向の見直しというものはやっていかなければならないというふうに思います。
 渡辺審議官、もう一度簡単によろしくお願いします。
-渡辺政府参考人
 本日の先生の御指摘、それから委員会でのやりとりを含めまして、しっかりと財団法人にもさらなる御理解を深めていただくように指導してまいりたいと思います。
-山谷委員
 何をどう、回収はどうなんですか。もう一度お願いします。
-渡辺政府参考人
 財団として既に回収をしている実績もございます。不十分だという御指摘でございます。こうした回収の問題につきましても、繰り返し厳しく御指摘をきょういただいております。そういうことをすべて含めて、状況を理解していただき、正しい、適切な判断を財団としてしていただきますように私どもとして努力をさせていただきたいと思います。
-山谷委員
 厳しく見ていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 渡辺審議官、結構でございます。ありがとうございました。
 続きまして、遠山大臣の文部科学委員会での最初のごあいさつの中で、義務教育費国庫負担制度について、制度の根幹を今後とも堅持した上で見直しの具体的な検討を進めてまいりますとおっしゃいました。そのとおりだというふうに思っております。
 しかし、政府が三十日に出した分権改革会議最終報告の中に、義務教育費国庫負担制度の見直しで、五千億円削減とあります。これは税源移譲など、地方分権改革と具体策とセットでなければならないのに、協議は先送り状態。どのように地方の自主性が向上するかわからない中、受け入れられないものでございます。
 欧米の教育予算水準並みにいたしますと、あと日本は七兆五千億円プラスしなきゃいけない、もうそのぐらい教育に関して貧しい国でございまして、小泉総理の米百俵、あれは何なのだというような憤りを持っているものでございます。
 地方分権推進会議の報告書、ナショナルミニマム、国家による最低保障から、ローカルオプティマム、地域の選択による地域ごとの最適状態の実現を目指すと、何だかわけのわからない単語を使いまして、要するに地方のことは地方に任すというような形で改革をやっていくという、その目標に異論はございません。しかしながら、地方分権一括法、資料を求めましたらば、四千ページ、九キロもあって、ちっとも進まないというこの現状を見ますと、本当にどういうふうになっていくのだろうかというふうに心配でございます。
 昨日、三十一日、経済財政諮問会議で、大臣が御出席なさいまして、義務教育費国庫負担金について、平成十五年から十八年にかけて約五千億円削減という計画案を提出なさいました、分権改革会議と歩調を一にするというような印象を受けますけれども。平成十六年から定額化に向け検討、十八年度から新たな教員の評価、給与制度の実施も示されております。
 繰り返しますが、地域の特性、教育のあり方等グランドデザインで示していく中で、分権具体策とこれはセットでなければ、どうしても、どうなるかわからないということで、心配なことばかりでございますので、大臣はその辺、どのように考え、これから進めていかれるのでございましょうか。
-遠山国務大臣
 義務教育費の国庫負担金の話につきましては、これは、地方分権という角度から、その全額を一般財源化すべし、あるいは交付税化すべしという論議があったわけでございます。私どもといたしましては、その意見は、これは取り入れられないと思うわけでございます。
 義務教育費国庫負担制度は、憲法の要請によりまして、義務教育の水準を確保するための国の最低保障の制度でありまして、そもそもその制度の中に国と地方の役割分担というものが組み込まれております。その中で、国としては、義務教育の水準確保という観点から、この義務教育費国庫負担金というものを支出しながら、各地における義務教育が本来のあるべき姿で推移するようにきちっと役割を果たしていくということが国の役割だというふうに考えているわけでございます。
 その制度につきまして、地方分権あるいは歳出削減に係る観点から改革案を出すようにということで、総理から指示を受けました。そのことに対しましては、八月末の経済財政諮問会議におきまして、私どもは、義務教育費国庫負担金について、これを一般財源化することはできないと。
 ただ、その義務教育の水準確保のために本当に国が負担すべき経費は何かということを考えろということでございましたので、その角度からいえば、現に教員が働いてくれている、そのことに伴う経費については、給与費については、これは国が負担をしていく。しかし、その現に働いていることに伴うというよりは、共済年金の給付のことでありますとか、あるいは退職手当のようなものは、本来国が持つべきというふうなものに絞っていくべしと言われたときには、これはその対象ではないというふうに判断いたしまして、それについては、これは国庫負担金の方から五千億というものをむしろ一般財源化していくというのもいいのではないかということで、私どもとしましては、本体というものは絶対に守らなくてはいけない、その中で、五千億ということで案を出しているわけでございます。
 財源につきましては、もともとの当初から、そういうことについての財源は、三位一体論といいまして、国の補助金でありますとかあるいは地方交付税がどうなっていくか、それから財源の移譲がどうなっていくか、そういったことの三位一体論の中で対処するということが総理の方針でもございますので、そのこと自体は今後関係者の間で議論されていくものでございまして、当然それはその方向で考えられていくと思っております。
 私どもの立場は、財源論によって国の義務教育制度を論じられては困るということで、国のあるべき責任、それからその役割というものを全うするためにあの案を出したわけでございます。
 その過程で、知事さんのうちの四・五%の方だけが、ということは二人の知事さんだと思いますが、一般財源化しろということで、これはもうほとんど、九十何%の方は、これは一般財源化にはなじまないということで反対をしておられるわけでございます。
 地方の意見も十分聞きながらこの政策を打っていこうと思っておりますが、当然、これからの地方公務員制度の改革あるいは地方行財政制度の改革、さまざまなものと絡みながら、トータルとしての義務教育費国庫負担制度のあり方については、私は、地方の意見も聞き、かつ、教育論としてどうやってやっていくかということを十分勘案して進めていくべきものだというふうに考えております。
-山谷委員
 教育のあるべき姿、そして国と地方のそれぞれの役割、いかにあるべきかというのは本当に大きな問題でございますので、今国会、この委員会でも時間をたっぷりとっていただきまして議論したいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 随分と時間をとってしまいましたが、学校教育法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
 今、高等教育の高い研究、教育の質が求められております。スイスの経営開発国際研究所、国際競争力の調査によりますと、日本はトップランクだったのですけれども、一九九七年で十七位、二〇〇二年で三十位というふうに、もう本当に競争力が落ちてきておりまして、これは産業界のみならず、本当に多くの国民が心配していることでございます。
 この一部を改正する法律案では、設置基準の緩和を受けて、二〇〇四年より事後チェックで第三者評価を受けることになるという、事後点検型、切磋琢磨をちゃんとやりなさいというようなことでございます。国立大学も、法人化後は、大学評価・学位授与機構などで評価されて運営費交付金も変わるということで質が高まればよいというふうに考えておるわけでございますけれども、この大学に対する第三者評価制度、これまで自己点検、評価など、各大学の自己努力ということから、大学の全学的な教育研究等の状況、専門職大学院においては、各分野ごとに国が認証する評価機関が定期的に評価、公表するというふうに改正されるということでございますけれども、この評価、何年ごとぐらいにやろうというふうにお考えでございますか。
-河村副大臣
 大学全体は七年と考えておりますが、この専門職大学院については五年ということで設計をいたしておるところでございます。
-山谷委員
 現在、千二百を超える大学、短大がございます。そして今、大学評価・学位授与機構、並びに財団法人の大学基準協会、それから短大の基準協会、私学の基準協会ができていくというふうに、そしてまた、民間も参入し、先ほど河村副大臣の御答弁では、NPOの参入もというふうなことを考えていらっしゃるようでございますけれども、本当に、当初は、今のところこれだけしかないわけですし、一体この千二百をどのように評価していくんでしょうか。数、それから、参入を待つといったって、そうもうかる仕事とも思えませんし、専門性が高い仕事でございますし、どのような青写真でどう進めていこうというふうにお考えでございますか。
-河村副大臣
 委員も既に御承知かと思いますが、学位授与機構、国の機関として一つあるわけであります。さらに、四年制のいわゆる大学の持っている基準協会がやろう、それから、短大は短大で持っておりますいわゆるピアレビューといいますか、それぞれの大学間においてまずやるということ、それからさらに、大学の方も、あれだけの大学がありますから、大学連盟、私立大学協会があります、協会の方も新たにそうした機関をつくっていこうといたしておりますし、これは、おっしゃるように、これだけの大学が、国公私入れて六百、七百近い大学があるわけでありますから、それを全部やるということになりますと、ひとつこれだけの機関では足らないだろうということで、さっき答弁申し上げたように、NPO等の参加もぜひ望みたい、こう思っております。
 これは、七年に一回回ってくるような形で設計を立てていかなければなりません。特に、私学も入ってくるということになりますと、確かに計画的にやっていかなければならぬだろう、こう思っておるわけでございまして、各協会ごとにその計画はきちっと立てていただいて、どの大学も公平にできるような仕組みというものをきちっととっていく、これは当然のことであろうというふうに思っております。
-山谷委員
 財団法人大学基準協会は、一大学二、三十万から数十万の受託費用でやっていらっしゃるわけでございますけれども、これは大学から提出された書面を分析、審査するだけで、一日だけなんですね。欧米はもっと何日も入っていますよ、泊まり込みでディスカッションしたりして。
 それから、大学基準協会、現在やっているのは四十前後じゃないでございましょうか。そのくらいのことしかできない中で、認証の評価機関を入れて第三者評価制度を導入、これは本当に急いで、私、評価自体はいいと思っているんです。いいと思っているんではありますけれども、とにかく組織、人材、どの程度のレベルを考えていらっしゃるのか。七年というのも根拠がよくわかりませんけれども、本当にこんな形で七年ごとに回していけるのか、その辺もうちょっと具体的にお聞かせください。
-河村副大臣
 確かに、御指摘のように、これを何日間も張り込んでやるということになりますと、今の数で足るかということについては私も懸念をいたしておるところでございますが、外部の有識者にもしっかり参加をしていただくということが非常に必要であろうと思いますね。
 昭和二十二年につくった財団法人大学基準協会においては、これに加盟をしていただく会員校数というのが国公私合わせて五百五十九の大学が入っているわけです。その中で、いわゆる教員の方々にも参加をもちろんしていただく、さらに外部有識者にも入っていただくということで、かなりの数を確保して対応しているということでございます。
 現実に、実地検査もやらなきゃなりませんし、場合によっては、場合によってというか、既に生徒、学生の意見も聞くというようなことも今やっておるわけでございまして、これも、これからいよいよ私学も開始するということでございますから、山谷委員御指摘のような点を十分踏まえて、このスタッフの確保、これが十分であるかどうかということについてはこれからも我々としても十分注視をしていかなきゃなりませんし、さらに、今の協会だけじゃなくて、これに対してNPO等の参加も求めていくという方向で充実をして、図っていかなきゃならぬ、このように考えております。
-山谷委員
 認証評価項目の内容というのも随分質の点でかかわりがあるというふうに思うんですけれども、例えば、産業界が望む基準とか視点なんかをどう入れるかという工夫をきちんとしていただきたいと思いますし、それから、今大学卒で就職しない若者が五人に一人なんですね。就職しても三人に一人は三年以内にやめてしまうという、この卒業後の質というのも私はフォローしながら評価項目の中に入れていくというぐらいの、やはり大きなチャレンジ精神と時代を見通した評価項目の設定というものをしていただきたいというふうに思います。
 アメリカでは専門分野別に四十九の評価機関がございますけれども、日本の場合、ちょっと学界、幾つかに取材させていただきましたが、非常に学界の動きも鈍うございます。本当に中身まできちんと評価したいと思いましたらば、専門性の必要な分野が多うございますので、学界、産業界あるいは卒業後、さまざまな絡み、どういうふうにビジョンを持っていらっしゃいますか。
-河村副大臣
 評価基準には今御指摘のようないろいろな観点があるだろうと思います。今回法律で定めております点は、五つ、四つか六つぐらいのものにいたしておるわけでございます。その中に当然具体的な、社会的な要請にいかに大学がこたえているかという視点も入っていかなきゃなりません。
 先ほどのランキングの話も出ましたけれども、これは日本の大学がいわゆる産業界等々の経営者等々から見てその期待にこたえているかどうかということが今回の調査で行われたというふうに聞いておりまして、その点で、日本のランキングが非常に低かったということは、これはある一面的な考え方でありまして、その大学が事実どういう教育をやっているかとか、日本の大学生がよその大学と比べてレベルはどうかとか、そういう具体的なことではなくて、むしろ経営者が持っておられる感覚が非常に出てきたということは、この評価に当然そうした産業界の方々にも入っていただくことが必要になってまいりますので、今考えている基準協会等々の中にもそういうスタッフがきちっと入っているかどうかということについても、我々しっかり考えて指導していかなきゃいけない問題だろうというふうに思っております。
 いわゆる、委員御指摘のように、社会に出てからどのように活躍しているかということの評価、これはなかなか追跡評価は容易ではないかもわかりませんけれども、そういうことも踏まえた評価をするということも大学のいわゆる評価の中に非常に必要になって、要するに教育の後の大学が持つ責任をどういうふうに果たしているかという評価ができるかどうかということだろうというふうに思います。
 今の御指摘も踏まえながら、いわゆる大学をどう見るか、大学が、学生をまさに人格形成等々を含めて教育をしながら、同時に社会の要請にきちっとこたえた人材を出しているかどうか、まさに今内閣が求めている人間的戦略に合っている大学であるかという視点を考えていかなきゃならぬ、こういう理想のもとに評価基準を考えていくということが大事であろうというふうに考えております。
-山谷委員
 学位授与機構で評価されました国立大学が、非常に反発したということがございました。昨年、百七十件の異議申し立てがあった。これの分析をどのようにしていらっしゃるか。これの分析をきちんとして、いろいろな認証機関の認定などにもかかわらせられる問題を多く含んでいると思いますので、その辺のことと、それから今回の第三者評価制度の導入で、不服申し立て制度などのことはどのように考えておいででございましょうか。
-河村副大臣
 委員御指摘のように、大学評価・学位授与機構は、ことし初めて三月に評価結果を公表したわけでございます。これは、今回初めての件でございまして、まさにこれからもっと本格的に実施をするための試行的段階のもので、国立大学を中心に評価を実施されたわけですね。これについては、国立大学協会側からは、確かにいろいろな御指摘もありましたけれども、やはりこれは真摯に受けとめてこれからの自己改革に努めたいという意見の表明をいただいておるわけでございます。ただ、分野間での評価基準というものが必ずしも統一されていないという面もありまして、評価担当者間でも共通理解が十分でなかったという面も指摘をされておるところでございます。
 確かに、初めてのケースでございますので、かなり試行的な試みであったということでありますが、この評価結果の解釈についても、十分な理解をいただく、慎重を期していただきませんと、単なる大学のランキングに使われるような形のものであっては困るわけでございまして、この点についてのまだ理解も十分ではないだろう、こう考えておりまして、さらにこの学位授与機構側とそれから大学側とがお互いに協力しながら、その評価についてもっと真っ正面から向き合って、そして立派な評価、いい評価ができるような形をつくり上げていくことが非常に大事だろう、こう思っております。
 まさに緒についたばかりでございますので、これからさらにこれをきちっとしたものにつくり上げていくということが大事でございます。
 もちろん、これに対して、大学側の評価に対する不服申し立てといいますか、これはきちっと受けとめて、それに対してまたお答えができるような仕組みになっておるわけでございます。
-山谷委員
 本当に緒についたばかりで、しかもまだまだ頼りない状況でということで、非常に不安材料だらけですね。とにかく初期の条件、スタート時の志がその後の制度の意義と存続を決めるというふうに思っておりますので、今の答弁を聞きますと、非常に頼りない印象を受けているので、その辺のことをしっかりしなければいけないのではないか、もっと議論を尽くす必要があるのではないかというふうに考えます。
 先ほど、NPOなんかも参入していいのではないかというふうにおっしゃいましたけれども、これはみなし公務員制度の適用がないということで、アメリカなんかは五年ごとの更新制で機関をチェックしているというシステムがあるわけですが、日本の場合はそれがない。そうすると、癒着ということも懸念されるわけでございます。
 そのようなことがないように、あるいは財政的な措置を国が考えるとか、いろいろなことが考えられるというふうに思うんですけれども、中教審、八月五日の答申では、国の支援方策について、認証機関に対して検討する必要があるというふうに答申を出しておりますけれども、その辺のビジョンはどのようにお考えでございましょうか。
-河村副大臣
 委員御指摘のとおりでありまして、中教審もそのような必要性を認めておりますので、文科省としても、この評価というものをもっと充実させる、また発展させるためにも、財政的支援というものを当然考えていく、検討する必要があろうというふうに思っております。
-山谷委員
 続きまして、専門職大学院制度についてお聞きしたいというふうに思います。
 現行、研究者養成を主とした大学院の目的から、さらに高度専門職業人養成を明確にしていく、高度専門職業人養成に特化した専門職大学院を創設していき、修了者には専門職学位という学位を授与するというような創設の法律案でございますけれども、これは、二〇〇〇年にスタートした専門大学院制度というのがあるんですよね。これは学校教育法を改正しないでやった。これが、ことしの春に初めての卒業生が出た。そうすると、これ、ことしの四月が最後の入学生になっちゃう。これまた非常にいいかげんな状況でございますけれども、これ、総括もなされていないのではないかというふうに思います。
 これは、法科大学院を設置するためにこのような専門職大学院というようなことで、初めに法科大学院ありき、スペース、広いところをとっちゃって、あるいは大きなビルを建ててしまって、法科大学院というのをとにかく一つ入れる、あとは全然ビルに何が入るかわからない。専門職大学院に手を挙げていらっしゃる大学側の意思表示、あるいはまた想定される分野というものをどのようにお考えでございましょうか。
-河村副大臣
 いよいよこの学校教育法の改正によりまして、専門職大学院制度というものが導入されることになるわけでございます。
 これは今、当面、法科大学院という形でまずスタートすることになるわけでございますが、これまでの大学院レベルでやってきたものを、さらに高度の専門職業人を養成するという形で導入するものでございまして、これについてはいろいろな形でこれからの参入が考えられる、展開されていくだろうと思っておりますが、法科大学院を初めとして、さらに経営管理部門、あるいは公共政策、あるいは知的財産、そういうもので、今具体的な関係、参入は考えておられるようでございます。
 さらに、メディカルスクールの考え方とか、私はかなり広範な分野でこの専門職大学院というものへの参入、展開がされるであろう、このように予想いたしております。
-山谷委員
 この専門職大学院の評価の場合、特定の分野においては海外の評価機関等の評価を認めるなど適切な配慮、方策について検討するというふうにありますが、一橋なんかはMBA、海外の評価機関の評価をというふうに考えておられるようですが、やはり国際的な経営、ファイナンスの問題、あるいは国際的に活躍できる公衆衛生ジャンルの方とか、国際的に活躍できる高度な専門職の研究者、職業人というものが求められているときに、この国際的保証システムの構築の必要というのは、またそういう視点からも大事なことではないかというふうに思います。
 日本の政府というのは、アジアなんかに企業が海外進出する場合に、非常に、裸でほうり出すようなことがある。この専門職大学院が非常に充実して、国際的に活躍できる人材を輩出していくためにも、国際的な情報ネットワークの構築というものが必要だというふうに思いますけれども、その辺の検討状況はいかがでございましょうか。
-河村副大臣
 委員御指摘のように、この専門職大学院には、やはり国際的感覚あるいは国際社会で活躍できる人材を出すということも非常に大きな要点でございまして、そういう意味で、国際的な評価を受けるということも私は非常に必要なことだろうというふうに思いまして、そのことについても省令できちっとできるような形で、このグローバルスタンダードの定着している外国の評価機関、これの評価を受けるということは考えておるところでございます。
-山谷委員
 この専門職大学院の設置基準、組織、設備、人材、カリキュラム等々、再教育の機会の提供という視点も欠かせないわけでございますし、どのような制度設計を考えておられますか。
-河村副大臣
 この設置基準は、今回の教育法にあるわけでございますが、それで、その設置基準に合ったものについてはそれを認めていくということでございますので、今まで山谷委員が御指摘なさいましたような国際的な観点、あるいは高度な技術を持つあるいは知識を持つ専門家をつくっていくという形でございまして、特に設置基準の中では、この専門職大学院の場合には修業年限は二年を基本といたしておりますけれども、法科大学院など、分野によっては三年、外部、いわゆる広く人材を求めていくというような観点から考えますと、例えば法科大学院の場合ですと、法学部だけを学んできた人たちと、それ以外のを学んできた人たちも参入できるような形でございますので、そういう方々には三年という設置基準が設けてあるということでございまして、これまでのいわゆる大学院ですと、どうしても論文とか研究とか、そちらの方へウエートがあったわけでありますが、もちろんそういうことも大事でありましょうけれども、それをさらに実務と申しますか、それにもうちょっとウエートを置いた形での設計をして専門職大学院を認めるということになっていくわけでございまして、いわゆる研究指導教員というものを、これまで必置条件があったわけでありますが、そういう形のものは必置条件とせずに、むしろ専門大学院の専攻分野を教育するにふさわしい人たちをもっと集めて、そして高度の教育上の指導能力があるという方々を置きながらやっていくという形で、今までの専門大学院というものをさらに実務を重視して視野を広げたものにする設計、こういうことになっておるわけでございます。
-山谷委員
 法科大学院の場合は教員配置基準は学生十五人に対して教員一人、そしておおむね二割ほどが実務家教員というふうに示されております、具体的に。これでやると、試算によっては授業料が年間三百三十から三百五十万円ぐらいというようなこともあって、とても普通の人は行けないというような議論も起こっておりますけれども、これは法科大学院の実務家というと裁判官、弁護士、検察官、そんなに先生になってくれる人がいるのか。
 それから、今河村副大臣の御答弁では、具体的なほかの専門職大学院については、組織、設備、人材、カリキュラム等々のお答えはなかったわけでございますけれども、法科大学院ではない専門職大学院、実務家、どの程度、このように、法科大学院のように、おおむね二割とか具体的な数字を挙げていくのかどうなのか、その辺どういうふうにお考えでございましょうか。実務家の確保も含めてお答えいただきたいと思います。
-河村副大臣
 どの程度実務家を入れていくかということについて、これは二割が適当なのか、三割が適当なのか、私はその学ぶ学科等々によっても変わってくるんだろうと本当は思いますね。
 しかし、単なる机上の学問だけでは、これはもう今の社会には通用しないということははっきりいたしておりますから、できるだけ実務家を入れていく。法科大学院で考えれば当然法曹三者、あるいは企業の実務、法務を担当されている方々、そういう方々に入っていただくことが考えられるというふうに思います。
 実はブリッジ法の方でもそのことが指摘をされておりまして、国の責務として、法曹である教員の確保ということが入っておるわけでございまして、当然法曹関係者の協力をいただいて、その方々には勤務体系等々、柔軟にやってもらわなきゃなりません。あるいは兼職、兼業の問題等もあるであろうと思いますが、質、量ともに十分な実務家を確保するということで、このことを考えながら、これは二割あるいは三割ということを特に規定しているわけではありませんが、少なくともそのぐらいは必要になってくるのではないかという想定でありまして、まさに質、量とも十分な実務家の教員の確保、これに対して文科省としても支援をする、また法務省側の御協力もいただくということで進めてまいりたい、こう思っております。
-山谷委員
 法科大学院の場合でございますけれども、随所に法務大臣との連携ということが示されております。法科大学院の質の確保などについての責任所在はどうなっているのかをお伺いしたいというふうに思います。
 教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならないというふうにあるんでございますけれども、法務大臣は特に必要があると認められるとき、文部科学大臣に必要な措置を求めることができるというふうにもあります。特に必要とか連携とか、これは具体的にはどういうふうになっているんでしょうか。
-河村副大臣
 委員も御承知と思いますけれども、法科大学院は、設立については、いわゆる司法改革という面からも生まれてきて、今の法曹界、もっと法曹人口をふやす必要があるという指摘にこたえようということが一つでありますし、同時に、いわゆる三権を担う司法界に、まさにそれにふさわしい人材をもっと養成していく必要があるという教育改革、人材育成の面からも、この両方が相まってきたわけでございますが、あくまでもこれはいわゆる教育の根幹を担うものであるということが第一点であります。
 それと同時に、司法界に入っていくにはその上に司法試験がありますから、委員御指摘のように、その連携をしっかり図っていくためには、当然、所管大臣であります、主管であります文部科学大臣と法務大臣との連携というのは必要になってくるというふうに考えておりまして、そのために今このブリッジ法があるわけでございます。
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、これに、今委員が御指摘のように、その設置基準を策定する場合に、当然、法曹界の人材についての所管、責任を持つ法務大臣が、まさに法曹界の求める人材をどういうふうにつくっていくかということについて文部科学大臣に意見を述べるということは当然だろうと思いますし、あるいは、これまで法務大臣が法科大学院について資料を求める場合とか、あるいは法科大学院が法律違反をしているんではないか、いわゆる設置基準に反しているんじゃないかとか、そういうような問題があれば、当然、法務大臣が文部科学大臣に対して意見を言うことができる。
 もちろん、今の法科大学院で、これから行おうとしている法科大学院の人材に対して所管の法務大臣が、この人材のあり方について問題があれば当然法務大臣と協議するという、このことは当然のことだろうと思いますが、あくまでもこの法科大学院というのは法曹人材をつくっていく上のいわゆる教育の根幹をなすものだという考え方で、文部科学大臣が主管としてこの法律を出しておるようなわけでございます。
-山谷委員
 具体的なところになりますと、まだまだ詰めていかなければいけないところが多々あるというふうにきょう感じました。
 法科大学院に関しましては、法務委員会との連合審査も含めて、さらに議論を詰めていかなければいけない部分も感じておりますので、さらなる議論を求めて、委員会の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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