平成14年度活動報告

相模原市教委 小中学校教員向け
『ふれあい』『快楽の追求』性行為容認の指導書
文科省が調査へ
平成14年11月3日 産経新聞掲載記事
 
 神奈川県相模原市の教育委員会が今年三月、公立の小中学校の教員向けに、児童・生徒の性行動の容認を前提とするような性教育指導書を作成していたことが一日、わかった。記述には「性行為」を「ふれあい」と紹介したり、「快楽の追求」といった表現があり、文部科学省では「学習指導要綱を逸脱している疑いがある」として調査に乗り出す。一方、同市教委では「(児童・生徒の)実態を考えると、指導の必要性がある」としており、性教育のあり方をめぐり議論を呼びそうだ。
 指導書は今年三月、「人間として豊かに生きる 性教育の手引 改訂版」(A4判、百七十四頁)と題して同市教委が作成し、全教員に配布した。

 性教育の狙いを「性行動を不適切と禁じるのではなく、社会的に是認されるよう行動できるよう指導する必要がある」と指摘。小六の授業では、「握手やキス、抱擁とともに男女が心から愛するうえで欠かせない」として、性行為を「ふれあい」と紹介するよう指導している。
 また、中三の重点目標には「性行動に伴う責任とリスクについて理解させる」として、「避妊の原理と方法」が盛り込まれている。
 冒頭には「人間の性」を「生殖」「ふれあい」とともに「快楽の性」を挙げ、「相手の思いとは無関係に自分の快楽のみを追求する領域が広がっている」とするなど、性行為を容認する立場に立ったような記述が目立っている。
 同書について文部科学省では、学習指導要領では「避妊」は高校段階で教えるよう定められている点を指摘し、「中学生に教える内容としては問題がある。仮に学習指導要領の範囲を超えた指導でも児童の個別の状況を踏まえなければならない」(学校健康教育課)として事実関係の調査に乗り出す方針だ。
 山谷えり子衆院議員(民主)は、「小学校六年生に性行為をコミュニケーションの一手段のように教えるのはどうか。子供の発達段階を無視し、性交を助長する内容で義務教育段階の教育としてふさわしくない」と批判している。
 一方、相模原市教委指導課は「編集段階で性交を容認する姿勢はなかったが、そうとられてもやむを得ない」としながらも、「実態を考えると、内容には自信があり必要性もある。指導書だから、学校の判断で教える内容は吟味され、生徒に応じた指導をしている。指導要領に避妊がないことは知っていたが、性感染症の予防教育はあるので逸脱ではない」と説明している。相模原市では、八月に絶版回収となった中学生向けの性教育冊子「思春期のためのラブ&ボディBOOK」も保管しており、市内の中学三年生全員に卒業時に配布するという。
■性の手引書にある記述の抜粋
性教育の狙い
「性に関する行動を不適切なものとして禁じるのではなく、社会的に是認されるよう行動化できるように指導していく必要がある」
性教育の精神的側面
「性に関わる欲求を正しくコントロールする力を養うために生命を慈しむ心と性を自然に豊に受け止める心情を培い人間として『意思決定できる』価値基準を身につけることが必要」
小5の授業案
「性被害から身を守る能力を育てるとともに相手の嫌がることをせずにお互いを大切にする心を育てる」として、『性被害の実態』を教える。
小6の授業案
「人間はエロスを持つ。相手に対して精神的な思いを持ち、性交のみならず、握手やキス、抱擁など男女が本当に心から愛し合うのには欠かせないのが『ふれあいの性』です」として「ふれあいの性」を明記
中3の重点目標
「人間の性の特色や避妊のメカニズムの科学的理解を図るとともに固定的な男女の性役割意識にとらわれず、人間として自立する態度と能力を養う」として『避妊の原理と方法』を教える
人間の性
「本能だけではないからこそ、教える・考える・学ぶ必要があり、学ぶことでますます人間らしい性を営むことができる」として「生殖」「ふれあい」とともに「快楽の性」を記述

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