平成14年度活動報告

衆議院青少年問題に関する特別委員会
第 2 号 平成14年11月21日(木曜日)
 
平成十四年十一月二十一日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 青山 二三君
理事馳   浩君 理事林田  彪君
理事松宮  勲君 理事森田 健作君
理事肥田美代子君 理事山口  壯君
理事丸谷 佳織君 理事達増 拓也君
 小野 晋也君  小渕 優子君
 太田 誠一君  岡下 信子君
 上川 陽子君  河野 太郎君
 阪上 善秀君  石毛えい子君
 武正 公一君  水島 広子君
 山谷えり子君  石井 郁子君
 原  陽子君
国務大臣
(内閣官房長官) 福田 康夫君
内閣府副大臣 米田 建三君
文部科学大臣政務官 池坊 保子君
政府参考人
(内閣法制局第一部長) 宮崎 礼壹君
(内閣府大臣官房審議官) 石川  正君
(内閣府男女共同参画局長) 坂東眞理子君
(警察庁生活安全局長) 瀬川 勝久君
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 鈴木 康雄君
(外務省総合外交政策局国際社会協力部人権人道課長) 泉  裕泰君
(文部科学省生涯学習政策局長) 近藤 信司君
(文部科学省初等中等教育局長) 矢野 重典君
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 遠藤純一郎君
(厚生労働省大臣官房審議官長) 青木  豊君
(厚生労働省職業安定局次) 三沢  孝君
(厚生労働省職業能力開発局長) 坂本由紀子君
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 岩田喜美枝君
(経済産業省大臣官房審議官) 松井 英生君
衆議院調査局青少年問題に関する特別調査室長 石田 俊彦君

本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
青少年問題に関する件

-青山委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
-青山委員長
 次に、山谷えり子さん。
-山谷委員
 民主党の山谷えり子でございます。
 今、武正議員も、男女共同参画社会とはというやりとりがございましたけれども、男女共同参画社会というのは、性別にかかわりなく、個性や能力を十分に発揮できる社会をつくることであり、職場での差別の是正とか、生活慣習面での抑圧的な部分というのは見直していきたいというふうに思っております。
 しかしながら、保育や教育の場で、行き過ぎも現在あるように感じております。男性と女性の区別をなくす、違いを排除していくという画一的、機械的な場面が見られる。今の高校の男女共学問題もそうかもしれません。
 私も、公立、私立、それから男女共学校、女子校、それぞれで育ちまして、それぞれのよさというものを身をもって体験しております。アメリカなどでも女子大のよさというのが今急速に見直されておりますし、今、国立の女子大も男女共学化というような検討もされているようでございますけれども、ぜひともこれは、歴史や伝統、文化、それぞれの多様性という視点で考えていくことがこれから大事なのではないかというふうに思います。
 さて、この委員会で、四月十一日、「未来を育てる基本のき」というような小冊子の中では、押しつけるような子育てをしていませんか、女の子だったらおひな様、男の子だったらこいのぼりなどというようなこと、これについての感想を福田官房長官に求めましたところ、「例示を見ましたら、正直言って、私も余りこれに賛成しません。」というふうにお答えになられました。
 この冊子の中に、「子育てはジェンダー・フリーで」と書かれております。「ジェンダー・フリーに育ってほしいものです。」と書かれております。
 ここで、「ふりーせる保育」という記述がございます。フリーダム、リリーフ、セルフコンフィデンス、もうわけのわからない単語を並べて「ふりーせる保育」ということを言っておりまして、子供の人権、ジェンダーフリーの視点をベースにした保育プログラムで、松戸市で今三カ所で実践中ということで、私もちょっと保護者に取材をさせていただきました。
 そうしましたら、「ふりーせる保育」をする、急に説明会があるというふうに言われた。保護者が、欠席の保護者のためにビデオを撮っていいですかと言ったら、肖像権の侵害になるからやめてくれと保育所側から言われた。そこで、行きましたところ、いきなり、松戸市男女共同参画プランの資料を配布されて、かなり厚いものですが、児童の権利の尊重、男女共同参画社会づくり、性の差別意識、ジェンダーフリーの説明があった。保護者は、ぽかんとしてしまった。一体何の説明だろうとぽかんとしてしまった。
 実際、始まった保育が、食事やおやつの時間も自由ということで、遊びに夢中の子は食べ忘れてしまう。それから、言葉遣いとかしつけが悪くなっていく。担任制も廃止されたので、子供と先生の関係が薄まっていく。お別れ会に何か発表させましょうよと親が言ったらば、それは子供の意思を尊重しなければいけないから、子供が決めることだ、幼児でも判断基準があるというふうに言われて寂しい気持ちになった。
 それから、お母さんたちが、運動会で「慎吾ママのおはロック」のCDをかけて一緒にダンスをしたいと言ったらば、お母さんが朝御飯をつくるというフレーズがジェンダーフリーに反するからだめだと言われて、歌詞をなくしてカラオケだけでやった。
 それから、「桃太郎」の本を読もうとしたら、おじいさんがしば刈りに、おばあさんが川に洗濯に、これがジェンダーフリーにかかわるからだめだというふうに言われたということでございます。
 実際、公民館では、「桃太郎」というのは暴力的で、とにかくジェンダーバイアスを押しつけるお話だから、「桃子の鬼退治」なんというふうに変えたりして読もうなんという運動がありまして、来年の高校の教科書では、「ある生徒は、このようなジェンダーにとらわれない幼児に育ってほしいと、だれもが知っている「桃太郎」のお話を「ももからうまれたももこちゃん」と改題してジェンダーフリーな絵本を創り、保育所の子どもたちに読んでもらった」。これはもう検定で合格しております、来年の春から使われる高校の教科書でございます。
 このようないろいろな動きがあるわけでございますね。これは、この「ふりーせる保育」だけではなくて、このような伝統行事を否定したり、このような絵本を書きかえたりという動きは、全国に保育の場で広がっております。とにかく保育所職員に研修、保護者には情報提供という形で、何か言おうものなら、それは間違っているというようなことで否定されてしまうというような苦情が今上がってきております。
 十一月十五日、衆議院の内閣委員会で、米田副大臣は、男女共同参画社会について、画一的、機械的に男女の違いを認めないというものではない、今、混乱がある、政府の立場をはっきりさせるために、十一月十二日の参議院の内閣委員会での福田大臣と米田副大臣の発言議事録、質疑応答を刷り物にして、全国の都道府県に配布いたしますというふうなお話でございました。
 内閣府に問い合わせたところ、配布してどうするんですかと言ったら、男女共同参画課に配布して、問い合わせがあったら答えるというようなお答えでございました。
 私は、今、保育現場、教育現場のこのような現状を見るにつけ、それだけでは不十分だというふうに思っております。一体、現場がどうなっているのか、調査していただきたいですし、それから、保育、教育等の現場までこのやりとりが伝わるような、さらに進んだ方策をぜひとも考えていただきたいというふうに思います。
 十一月十二日の参議院の内閣委員会で、内閣府の坂東眞理子男女共同参画局長は、ジェンダーイクオリティーとかジェンダーフェアネスという言葉はあるけれども、ジェンダーフリーという言葉はないではないかという質問に対して、そのとおりだ、ジェンダーフリーという用語はアメリカでもない、北京宣言でも国連婦人の地位委員会でもない、日本の男女共同参画社会基本法でも計画でも使用していない、画一的に男性と女性の違いを一切排除しようという人がいるが、そのような意味での社会づくりを目指してはいないというふうにお答えになりました。
 これは青少年健全育成の団体のグッズなんですけれども、これにも、ジェンダーフリーな社会を目指して、図書館でジェンダーフリーの絵本が待っているよ、こう書かれているんですね。相当なものなんでございます。官房長官、どういたしましょう。御所見をお伺いしたいと思います。
-福田国務大臣
 今、お話を聞いていて、正直言って、よくわからないことが多かったです。どうも私の現実感覚からは遠く離れたところのお話が大分多くございます。
 そういうことでありますが、まあ、余り行き過ぎちゃいかぬということは率直に思いますね。ほどほどにしてほしいという感じがいたします。
-山谷委員
 米田副大臣、いかがでございますか。
-米田副大臣
 十二日の参議院の内閣委員会の質疑応答を都道府県に配布するというお答えを申し上げたわけでありますが、今伺いまして、都道府県の担当課にとどめ置いて問い合わせがあったら答える、それでは消極的ではないかというお尋ねでありました。
 私もそれでは消極的だと思いますので、担当者に、もうちょっと迅速に政府の基本的な立場は伝えるべく手段を講ずるように、この後、指示するつもりでおります。
 また、御指摘のさまざまな現象、今、官房長官も、びっくりしているというふうにおっしゃいましたが、私もやはり、伺って、大変ゆゆしき事態だと思います。
 差別をなくすことは人類の共通の、また恒久的な課題でありますが、おのずからある区別というものもまたあるわけでありまして、画一的また機械的に男女の違いを否定するものではないということは政府の基本的な考え方であります。
 お話を伺っておりまして、ロシア革命直後のボルシェビキ政権におけるソビエト社会の混乱、あるいはポル・ポト支配下のカンボジアのさまざまな社会的混乱、あるいは中国の文化大革命下における混乱、それらを想起いたしました。
 よほど注意してきちんと施策を進めないと誤った方向にいく危険性がございますので、政府としては、これからも、この間の参議院の内閣委員会におきまして官房長官そして私が答弁を申し上げた基本姿勢にのっとって施策を推進してまいりたいというふうに思います。
-山谷委員
 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、出会い系サイトについて質問させていただきます。
 今、年少者の被害急増が深刻でございます。本年上半期で昨年同期の二・六倍、被害者の四八%は女子高校生、二五%が女子中学生という状況です。昨年検挙された児童買春事件で、出会い系サイトに関するものは前年比九・四倍。
 こうした出会い系サイト被害実態を踏まえまして、福田大臣の御所見、対策等をお伺いしたいと思います。
-福田国務大臣
 この出会い系サイトというのは、最近、青少年が大変利用している、そういう話を聞いておりまして、その結果、児童買春の被害を受ける事例が急増している、こういうことでございます。そして、その被害者の大半が女子中高生であるということで、大変憂慮しておるところでございます。これは早急に対応を考えなければいけないと思います。
 本年十月の青少年育成推進会議において、「「出会い系サイト」に係る児童買春等の被害から年少者を守るために当面講ずべき措置」を申し合わせいたしております。今後とも、この申し合わせの趣旨を踏まえ、関係各省の緊密な連携のもとに積極的な広報啓発活動を行ってまいります。また、法規制についても検討してまいりたい、このように考えております。
-山谷委員
 法規制についてなんですけれども、これは大人側の問題と利用する児童側の問題といろいろあると思うんですけれども、大人側、この書き込みをする人間が問題なわけで、売春防止法には勧誘・誘引規制がございますが、児童買春防止法にはございません。このような予備行為について対策をかけるというようなことが考えられるのか。
 そして、もう一点、児童の利用の防止策として、成人向けサイトに入り込めないような対策について、また、規制をかけることができるのか、そのような形での規制を考えていらっしゃるのか、もっとさらに違うものを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
-瀬川政府参考人
 出会い系サイトについて、少年の被害が大変深刻化しているという実態がございます。それから、出会い系サイト対策につきましては、昨年の風営適正化法改正のときに、附帯決議もいただいております。
 今、警察庁といたしましては、有識者の方々による研究会を設置しておりますし、また、プロバイダーやサイト運営者といったインターネット関係業者の方々にも参加いただいたシンポジウムを開催するなどしておりまして、幅広い意見を皆さんからお聞きして検討しているところでございます。関係省庁とも連携して今後進めてまいりたいと考えておりますが、今御指摘がありましたような点につきましても、十分検討の課題とさせていただきたいと思っております。
-山谷委員
 公序良俗違反、違法と決めなければプロバイダーも削除できないわけでございますから、ぜひここは踏み込んで法規制を考えていただきたいというふうに思います。
 また、今、サイトが三千五百ぐらいあって、閉鎖するにしても、削除がどう行われているかにしても、なかなか警察だけのサイバーパトロールじゃチェックできない。やはり民間のボランティアパトローラーの育成なども必要ではないかというふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
-瀬川政府参考人
 警察庁では、平成十三年から、文部科学省、民間有識者、それからインターネット業界の関係者といった方々と一緒に、インターネット上の少年に有害なコンテンツの実態、それからその対策ということにつきまして、調査研究を行っております。その中におきましても、いわゆる民間の方によりますホットライン活動というものの有効性が指摘されているところでございます。
 警察としても、サイバーパトロール等、鋭意進めているところでございますけれども、出会い系サイトの実態をよく把握し、必要な措置を講じていくためには、警察のみの力では十分ではないというのは御指摘のとおりだろうと思います。この研究会の研究の結果、あるいは外国の事例もいろいろございますので、こういったものも参考にいたしまして、関係の方々と協力をし、このいわゆる民間のホットライン活動の育成と効果的な連携方法ということにつきまして、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
-山谷委員
 ぜひともプロフェッショナルな形でのパトローラーの育成を考えていただきたいというふうに思います。
 青少年育成推進会議の申し合わせを受けて、先週、プロバイダー、事業者等に適切な措置を要請なさったということでございますけれども、こちらの方も、ただ要請するだけではなくて、今後、自主規制の状況などを定期的にチェックして、話し合いの場所を持っていただきたいというふうに思っております。
 それから、今、高校生の八一・五%が携帯を持っております。検挙事件のうち、出会い系サイトへの接続者が九八%であった。となれば、インターネット接続のできる移動電気通信事業者に対してフィルタリングサービスを実施するような自主的な取り組みを要請すべきではないかというふうに考えておりますけれども、その辺はいかがでございましょうか。
-鈴木政府参考人
 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、インターネットあるいは携帯電話の普及に伴いまして、携帯電話からインターネットへのアクセスが容易になりまして、インターネット上のいわゆる出会い系サイトが青少年の健全な成長に有害な影響を及ぼしているということは重々承知いたしております。
 先ほども御質問ございました中にありましたように、官房長官からお答え申し上げた推進会議の要請を受けまして、私どもも関連事業者に要請をいたしまして、モデル契約約款その他の再度点検をお願いしているところでございます。
 また、今お話のございました、携帯電話事業者がフィルタリングサービスを提供するようなものにつきまして、技術的には、コンテンツの中に特定の単語だとか表現があった場合に自動的に判別する、そういったものが含まれるようなコンテンツへのアクセスを遮断するということが考えられますが、しかしながら、携帯端末におきましては、現在のところ、この種のソフトウエアが実現していないということと、もう一つ、出会い系サイトと申してもいろいろございまして、何を青少年にとって有害な出会い系サイトと判断するかといった観点の問題もございます。
 先ほど警察庁の方からも御答弁ございましたように、関係事業者も協力して必要な研究会に入っておりますので、そこでまた検討させていただきたいと思っております。
-山谷委員
 携帯端末でのコントロールではなくて、ネットワーク網の方でコントロールというのは可能だと思います。確かに、おっしゃったような問題点がございまして、一〇〇%捕捉するということは難しいというふうに思いますけれども、かなりの部分が捕捉できるというような技術は既に持っているというふうに考えておりますが、その辺はいかがでございましょうか。
-鈴木政府参考人
 ただいま御指摘のございましたように、携帯電話ではない、いわゆるパソコンを通じてのインターネットへのアクセスにつきましては、既にそうした技術ができておりますし、そのようなサービスもネットワーク側で提供いたしております。
 しかしながら、携帯電話につきましては、端末の方で一定の操作をしなければいけないところもございまして、残念ながら、そのようなことはまだできておりません。今後、携帯電話事業者と、どういったことをすれば効果的な対策が打てるのか、相談してまいりたいと思っております。
-山谷委員
 これは決意さえあれば相当できるというふうに思いますので、ぜひ御決意くださいまして進めていただきたいと思います。取扱説明書に書き込むとか、その程度のことでは全く効果がないというふうに思っておりますので、子供たちを守っていただきたいと思います。
 サイトの書き込みで、このところずっと見ておりますが、十五歳、十六歳、十七歳、もうずらりと並んでいる。おさわりまで、五万円で、夜八時まで、ゴムつき四万円、高校生としたい人、もうめちゃくちゃでございます。このような状況を保護者は恐らく知らないんだろうというふうに思いますね。その被害実態をまず教えなきゃいけない。保護者に教えなきゃいけない。お父さんたちに教えなきゃいけない。先生たちに教えなきゃいけない。本当に、殺害される、金品を奪われる。海外では、女性や子供を装って登録して、数人で待ち伏せて暴行する。幼児性愛者が子供のふりをして、チャットしておびき出す事件も続発しております。
 今、女子高校生の二割は出会い系サイトの利用者、そのうち四割以上が相手と会っている。約二十万人弱。男女中高校生を合わせると、約三十四万人の子供たちが実際に異性と会っております。お金をもらうためには嫌らしいことをしないといけないと思っている子がなぜ多いのか。小学校六年です。二万円でと書いたメッセージで十二歳の子供に三万円を渡して児童買春処罰法違反に問われた男性がいましたけれども、加害者に腹が立ちますし、被害者に心が痛みます。
 今、売春など性を売り物にしていいと答える高校生が四人に一人。ピルを勧めてフリーセックスをあおるような「ラブ&ボディBOOK」というのが中学生全員、百三十万人に配られようとしました。私は回収を求めまして、そのような措置が進みつつあるように認識しておりますが、高校の先生用の指導資料には、愛がなければ性交してはいけないという考えを押しつけてはいけないという文があります。これは、フリーセックスの勧めなんですね。愛がなくてもいいということを言っているんです。先生の書いた実践報告書には、中学、高校生のころは性交の回数は多い、その場合は、ピル、確実な避妊方法で快楽の性が追求できることを気づかせる。中学生に何でこんなことを気づかせる必要があるんでございましょうか。
 旧総務庁の統計なんですが、電話するのは本人の自由あるいは構わないと答えた子が八割、いけないとしたのは二割。見知らぬ男性とデートしてプレゼントをもらう、いわゆる援助交際のようなことをいいか悪いかというふうな調査では、高校生の女子、テレクラの電話経験がない子で、本人の自由と言った子が七二%、テレクラの電話経験がある子では、構わないと言う子が八五%という非常な状態なんですね。
 愛や節制ある生き方、それから、自分の体というのは自分を超えた本当に豊かなものであるという普遍的な価値観を学校では全く教わっておりません。性的自己決定権という権利を自己決定能力が十分でない子に適用している。今、短期に同時に複数のパートナーとセックスするライフスタイルが定着化して、早期化しております。乱交文化が始まっております。これは小さな問題ではなくて、国家安全保障の問題だというふうに私は認識しております。トラウマに一生苦しむ子たちもいます。
 欧米では、年齢や人格形成に配慮した節制と責任、魂の問題を考えた性教育に転換しておりますけれども、日本は全く逆の愚かな方向に性教育がいっているというふうに私は認識しております。
 今、日本では、エイズ感染者の四割近くが十代、二十代です。アメリカでは、三人に一人の成人がインターネットで性的な内容を持つものにアクセスしていて、そうした方々はパートナーの数が多くなる、HIVを含む性感染症がふえるというような研究が進んでおります。日本でも、エイズ、性感染症治療費がこのままいくと老人医療費を抜くのは何年先か。私は、公衆衛生学の博士にちょっと聞きましたけれども、驚くほどの近さでございます。医療経済学、臨床的リスク分析データなどを出して新しい公衆衛生システム構築も必要となる事態となっています。そのようなことも視野に入れて、ぜひ法規制も考えていただきたいというふうに思います。
 学校によっては非常に温度差がある。警察が説明に行こうとすると、いやいや、うちはというようなことがございますので、このような現状認識。
 それから、学校でのフィルタリングソフト設定率はまだ八〇%弱でございます。地方交付税措置でインターネット関連として渡しているにもかかわらず、一〇〇%になっていいはずなのに、学校でさえまだ八〇%のフィルタリング設定率ということでございます。家庭におけるフィルタリングシステムの普及促進に努めるために、販売業者あるいはパソコン業界に、いろいろな設定の義務づけ、説明などの要請もしていいというふうに考えております。
 時間でございますので、福田官房長官、今いろいろ私が申しましたことに対して、改めての御所見、それから、規制の方向性をお教えいただきたいと思います。
-福田国務大臣
 いろいろおっしゃいましたけれども、一つは、今の社会風潮についてどう考えるべきかということだと思います。これは時間がかかりますから、一つだけ感想を申し上げます。
 先ほどのサイトの問題ですが、これは私は具体的にどういうことなのかよくわからないんだけれども、私の感じで申し上げれば、この問題が起こるのは携帯電話があるからだということなんでしょうかね。そうしますと、若い、小学校、中学校の学生が携帯電話を持つ必要があるのかどうかということがありますね。緊急時に必要だ、こういうふうなことなのかもしれぬけれども、緊急時に全員が、例えば地震が起こって電話したら、電話局はパンクしちゃいますね。通信できませんよ。かえって緊急な通話ができないというような、さっきちょっと国家安全保障上の問題があると言ったけれども、別の意味で言ったんだろうと思いますけれども、そういう問題もあるわけですね。
 ですから、本当に必要なのかどうかということを社会で考えてみる必要があるんじゃないでしょうか。また、簡単に持たせるような家庭のあり方、このことももう一度考え直してみる必要があるんではなかろうか。そういうことからこの問題がかなり解消されるのであれば、それはそれで一回、重要な問題として取り上げるべきではなかろうか、こんなふうにも思っております。
-山谷委員
 米田副大臣はいかがでございますか。
-米田副大臣
 御指摘の冊子については、既に回収されました。
 また、法規制の検討を去る十月二十一日に、内閣府事務次官を中心とする青少年育成推進会議というものがございますが、十月二十一日に開かれた会議におきまして、「法規制の検討を行い、早急に結論を得る。」この旨の申し合わせを行ったところでございます。
-山谷委員
 私は、パソコン業界とか携帯電話会社とのやりとりが、総務省、経済産業省、非常に手ぬるい、腰が引けていると思います。それはいろいろ業界のことを考えてのことだというふうに思いますけれども、ぜひとも、現状認識をしていただきまして、各家庭におけるフィルタリングシステムの普及促進などはやっていただきたい。それから、学校でのフィルタリングソフト設定率もきちんと上げていく。これは、それぞれ責任者の方、どのようなお立場で今進めていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
-矢野政府参考人
 学校におきましては、子供たちが有害情報を含むホームページを閲覧できないように、学校単位あるいはネットワーク全体でフィルタリングソフトなどを用いてアクセス制御を行うなど、さまざまな工夫がなされているところでございまして、このようなフィルタリングソフトが導入されている公立学校は、御指摘ございましたけれども、平成十四年三月現在、全体の八割を超えている状況で、導入が進んでいるというふうに認識いたしているところでございます。
 我が省といたしましては、フィルタリングソフトの活用を含めまして、有害情報への対応方法あるいは指導方法につきまして解説いたしました教員用のガイドブックを作成いたしまして、各学校に配布して、学校におけるフィルタリングソフトの活用を推進しているところでございます。
 今後とも、学校や教育センター等におけるフィルタリングソフトの活用を推進いたしますとともに、子供たちの情報活用能力の育成に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
-山谷委員
 例えば「おもちゃ」なんて打つと、アダルトグッズのところにすっと行っちゃうわけですね。しかも、いろいろなアダルトグッズがだあっと並んでいるその後に、このカテゴリーを友達に教えよう、携帯でこのカテゴリーを見ようみたいな、そういうことも書いてあるわけで、そういう生の実態をぜひ先生たち、それから保護者に教えていただきたいというふうに思います。
 それから、経済産業省の方はいかがでございましょうか。
-松井政府参考人
 お答えいたします。
 経済産業省におきましては、平成八年度から、所管の財団法人などに委託いたしまして、フィルタリングソフトの開発及び無料配布を実施しております。また、これに加えまして、プロバイダーが守るべき倫理要領、有害コンテンツ対策に関する広報パンフレットの作成、配布、ウエブサイトなどでの公開など、さまざまな形で広報活動を展開してきております。
 今後とも、パソコン購入時に小売店にフィルタリングソフトを紹介していただくよう広報することを含めまして、幅広く広報活動を展開すべく努力してまいります。
-山谷委員
 十月二十一日、青少年育成推進会議申し合わせで、さまざまな出会い系サイトの被害から子供たちを守る申し合わせ、関係省庁の連携などが書かれておりますので、ぜひこれを実行していただいて、適当な時期にまたフォローアップして公表していく、そして、さらに新しい対策を考えていくというような形で子供をお守りいただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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