メッセージ(バックナンバー)
 自民党総裁選で麻生太郎第23代総裁が選出されました。
 夕方、官邸で教育再生懇談会が開かれ、私は渡海補佐官にバトンをお渡しするあいさつをいたしました。
 福田総理、町村官房長官、鈴木文科大臣もご出席です。教育基本法改正、教育再生会議、教育再生懇談会と、教育界の閉鎖性を打ち破り、タテ割り行政を排し、抽象的議論を繰り返す体質を変えるため、実態に基づいた議論を進め、予算をつけ替えてきました。
 今、風が吹き始めていると思います。
 43年ぶりの全国学力調査に基づき、切磋琢磨の空気が生まれ、体験学習や放課後活動の予算の充実により、多くの人々がご協力下さり地域再生にもつながっています。
 携帯電話に関しては、全国PTA協議会の調査と教育再生懇談会提言、そして今回文科省が「学校での携帯電話原則禁止」を打ち出すなど子供を守るための具体的連携が実っています。
 せめてあと3年、継続すれば、着実に教育再生の果実はいろいろな場で実っていくと思います。引き続きのお力を委員の皆さまと官邸スタッフにお願いいたしました。
 各地で教育再生の動きがある中で、大阪市と堺市に行ってまいりました。
 大阪天満宮を訪ねましたが、菅原道真公(845-903)が太宰府にざん言により左遷される途中、立ち寄ったとされる大阪天満宮は、江戸時代は近松門左衛門(1653-1724)や井原西鶴(1642-1693)などが集まる文化サロンだったとか。
 元禄文化は上方町人が担い手です。また落語なども境内で行われていたことから、上方落語の寄席も天満宮の隣に作られています。南北三キロの天神橋商店街は参拝する人々と共に天下の台所といわれた往時のにぎわいが伝わってきます。
 「若い参拝客がこのところ増えまして」と禰宜さんがおっしゃっていました。「学業成就」のお守りを若い人が真剣に選んでいる姿はほほえましいものでした。
 堺市は、青年会議所の皆さんが教育タウンミーティングを開いてくださり、基調講演をいたしました。
 青年会議所の皆さんは全国でおやじの会の活動、ふるさとの神話や昔話、偉人伝を掘り起こして広める活動、食育活動、職場体験活動、スポーツ活動など地元の子供たちのために献身的に動いて下さっています。
 「批判しているより、足元で必要なこと、役に立とうですよ」と言って下さいます。
 少し時間があったので第16代仁徳天皇の御陵にまいりました。
 全長486m、幅300m、面積465m2、グルリと回って2800m。三重の濠に囲まれていて、エジプトのクフ王のピラミッド、中国の秦の始皇帝陵と並ぶ世界三大墳墓といわれています。
 5世紀仁徳天皇の時代、人々の暮らしは苦しく、天皇は人々の困窮を憂いて三年間は課税しないと言い、苦しみを分かち合い、御衣は破れるまでお使いになり三年後に「高き屋に登りて見れば煙立つ 民のかまどはにぎはひにけり」と歌ったといわれています。
 宮殿が破損しても修理させず、課税したのは更に三年後といわれています。
 仁と徳とで日本は大きな家族のようであったという私の好きなエピソードなのですが、こうした説明は、どこにもありません。淋しい思いがしました。それでも堀を回り、樹々を仰ぐと当時の人々の声が聞こえてくるような気がして、心が静まりました。
 堺といえば貿易で得た富で富裕な商人の寄合で自治都市として栄えたことでも知られ、ポルトガル人が伝えた鉄砲を作り、戦国大名の戦いを変えたことでも知られています。また信長との複雑な関係など歴史的興味のつきない町です。
 しかし、あまりこうした歴史を観光や教育に生かすことに熱心でないのか、少しもったいないと思いました。堺市博物館の展示も、アッサリ。
 青年会議所の皆さんに「もっと歴史を町に、子供たちに広めて大切にしたほうがいいのでは」などとおせっかいめいたことも言ってしまいました。
 千利休(1522-1591)の住居跡、与謝野晶子(1878-1942)の生家跡も簡素な説明です。
 茶の湯をとおして、おもてなしの心、気配り、一期一会、平和を求める心という日本人の心が育まれたことや、与謝野晶子が若い頃は情熱を歌った「みだれ髪」や「君死にたまふこと勿れ」の詩を発表したことは知られていても、鉄幹と結婚し11人の子を育て、主婦として家事を大切にしながら「母であることは光輝」といったエッセーを書き続けた人であることは案外知られていません。
 ふるさとの人々がふるさとの先人や歴史を大切にすることは、愛ある人として生きていく大きな寄りどころとなると思うのです。
 24日は臨時国会召集。そして29日は総理の所信表明演説。
 そして、その先は…。

平成20年9月22日 山谷えり子

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